鹿沼市議会の議会運営委員会を傍聴できなかった

2018-06-27

●傍聴を拒否された

2018年6月22日14:30から鹿沼市議会の議会運営委員会(構成は委員長以下9人)が常任委員会室で開催されました。

議題は、「秘密会の取消し、謝罪、処分を求める陳情」の審査です。

この秘密会については、過去記事鹿沼市議会のかぬま魅力向上特別委員会が傍聴者を追い出したで紹介しました。

冒頭15分間、陳情者が趣旨を説明するための陳述がありました。

2018年6月23日付け下野新聞によると、かぬま魅力向上特別委員会の正副委員長の説明もあったようです。

結論は、ミニコミ紙「明るい鹿沼」No.24によると、議会運営委員会の委員が内容を未だよく把握していない、との理由で閉会中継続審査でした。

問題は、私を含め3人の傍聴希望者が傍聴できなかったことです。

●傍聴を拒否された理由とは

傍聴を拒否された理由とは、定員オーバーとのことでした。

陳情者が議会事務局から聞いた話によると、議会運営委員会の傍聴者の定員とは、報道機関を含め5人だそうです。それとは別に議員枠があり、議員なら部屋のスペースが許す限り入れるようです。

当日は、私が開会5分くらい前に会場に着いたときには、既に記者が2人、一般の傍聴者が3人入っていたそうで、部屋の外には既に1人の傍聴希望者が入れずにいました。

私の後にもう一人傍聴希望者が来て、都合3人が傍聴できず、常任委員会室前の廊下で待機しました。

陳情者の話によると、傍聴者が途中退席すれば、傍聴できなかった者が入れ替わりに傍聴できるとのことでした。が、1人はしばらくしてあきらめて帰りました。

●常任委員会室に空席はたくさんあった

確かに常任委員会室は広くはありませんが、会議開始後も20席くらいは空いていました。

会議の休憩時間に陳情者が船生哲夫議員に「後ろに席がたくさん空いているのだから、室外で待っている傍聴者を入れるよう委員長に申し入れてほしい。」と頼みましたが、「あの席は執行部が座る席だ。」と言い、応じませんでした。

しかし、当日は執行部からの傍聴者はいませんでした。

●陳情者が委員長に傍聴枠を増やすように頼むも委員長が拒否した

陳情者は、陳述の冒頭で室外にいる3人の市民にも傍聴を認めるよう申し入れましたが、鰕原一男委員長は拒否しました。

●議会のホームページによれば、議会運営委員会の傍聴者の定員は5人ではない

鹿沼市議会委員会条例に「第16条 委員会は、議員のほか、委員長の許可を得た者が傍聴することができる。」と規定されています。

議員は当然に傍聴できるが、議員でない者は委員長の許可を得た場合にのみ傍聴できるという意味でしょう。

議員でない者が何人傍聴できるのかについての条例の規定はないようです。

鹿沼市議会のホームページを見ると、傍聴手続きのご案内というページがあって、次のように書かれています。

2 常任委員会等の傍聴方法

常任委員会は、委員会毎に市役所本館2階の「特別会議室」または本館3階の「常任委員会室」で行われます。それぞれの入口に置いてある「傍聴人受付簿」に住所・氏名等を記入して入室してください。定員は5人(内、記者2人)です。特別委員会、及び議会運営委員会は委員長の許可により傍聴することができます。

つまり、傍聴者の人数は、常任委員会については、記者2人を含む5人とすることがどこか(申し合わせ事項?)で決まっているようですが、特別委員会及び議会運営委員会については、決まりがないということです。委員長の裁量に任されているという意味だと思います。

そうだとすれば、6月22日の議会運営委員会では、鰕原委員長が裁量で許可すべきだったと思います。

●議会事務局職員はなぜホームページの記載と異なる説明をするのか

上記のとおり、陳情者の話によると、今回の議会運営委員会の傍聴者の定員は、記者を含めて5人だと議会事務局職員が言ったそうです。

ところが上記のとおり、議会のホームページでは、議会運営委員会の傍聴者の定員については、人数が明記されていません。

3種の委員会で傍聴者の定員を5人とするなら、3種を引っくるめて書けばいいのであり、わざわざ常任委員会についてだけ定員を書く必要はありません。

常任委員会の傍聴者については、「定員は5人(内、記者2人)で す。」と書いてあるのに対して、特別委員会及び議会運営委員会については人数を明記しない、という書き方をわざわざしているということは、定員を5人とせず、臨機応変に対応するという趣旨としか思えません。

鹿沼市議会の常任委員会では、執行部職員が大勢入るので傍聴者定員5人は仕方ないとしても、その他の委員会では、空席の状況に応じて臨機応変に委員長が許可するくらいのことがなぜできないのでしょうか。

議会事務局職員の言うこととホームページの記載がなぜ違うのか、職員がなぜ「定員は5人」と言ったのか、を究明する必要があると思います。

●議会傍聴ができる根拠規定とは

地方自治法第130条に傍聴に関する規定があり、鹿沼市議会傍聴規則もありますが、本会議についての規定と思われます。

住民が議会の会議を傍聴できる条例上の根拠は何でしょうか。

鹿沼市議会基本条例には、次のような規定があります。

(議会の活動)
第2条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 公平性、公正性及び透明性を確保するとともに、市民に開かれた議会を目指すこと。
(2) 市民の意見を把握し、政策形成に生かせるよう、市民参加の機会を確保すること。
(3) 市民の意見を基に調査し、及び研究し、政策提言、政策立案等に努めること。
(4) 市民主権の立場から市政運営が適正に行われているかを監視し、及び評価すること。
(5) 説明責任を果たすため、市民に分かりやすい方法で議会の会議の原則公開及び情報の提供を行うこと。

(市民と議会との関係)
第6条 議会は、市民に対して積極的に情報を発信し、情報の共有化を推進するとともに、説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議、常任委員会その他の会議を原則として全て公開するものとする。
(以下略)

「透明性を確保」「市民に開かれた議会」「市民参加の機会を確保」「説明責任を果たす」「会議の原則公開及び情報の提供」「市民に対して積極的に情報を発信し、情報の共有化を推進」と、美しい言葉が並んでいます。

そして、「議会は、本会議、常任委員会その他の会議を原則として全て公開する」と宣言しています。

しかし、実際にやっていることは、委員会では3人の市民しか傍聴を許可しないということです。

これで「会議を原則として全て公開する」と言えるのでしょうか。

●「記者を含めて5人」は妥当か

ちなみに常任委員会については、傍聴者の定員は、記者2人を含め5人とする扱いになっているわけですが、妥当でしょうか。

一般市民の枠は、たった3人ということになります。

仮に定員5人を是認するとしても、記者を含めるのは不当だと思います。

一般市民の傍聴をできるだけ多くしなければ、「市民に開かれた議会」の名に値しないと思います。

●空席に傍聴者を座らせると、どのような不都合があるのか

もちろん、物理的制約があることは理解できますが、20席くらい空いているのに、傍聴できる市民を3人に制限する必要があるのでしょうか。現行制度は、市民感覚として理解できません。

傍聴者を執行部職員が座るための席に座らせることで、どのような不都合があるのでしょうか。想像がつきません。

議会のやっていることは、市民感覚と遊離していると思います。

議会基本条例が制定され、そこには素晴らしいことが書かれていますが、議会がやっていることは、100年前とほとんど同じではないかと思います。

●立場が逆になっても同じことが言えるのか

鰕原委員長、船生議員及び議会事務局職員は、傍聴者を空いている席に座らせるわけにはいかないと言います。

しかし、鰕原委員長、船生議員及び議会事務局職員が現役を退き、一介の市民となったとき、議会の傍聴に出かけ、中に空席があるにもかかわらず、傍聴を拒否されても、同じことが言えるのでしょうか。

●栃木県内他市の状況

ちなみに、市議会の議会運営委員会の傍聴可能人数について県内他市の状況を電話をかけて調べた結果は、次のとおりです。

宇都宮市 5人(記者は別)
足利市 10人(記者は別)
栃木市 3人(ただし、傍聴希望者数を事前連絡してもらえば広い部屋での開催可能)
佐野市 2人(記者を含む。)
鹿沼市 5人(記者2人を含む。)
日光市 決めていない(委員会室はかなり広い。20人でも可能)
小山市 10人(記者は別)
真岡市 5人(記者を含め先着)
大田原市 決めていない(記者を含め5人くらい可能)
矢板市 3人くらい(記者を含め。ただし、傍聴希望者数を事前連絡してもらえば広い部屋での開催可能)
那須塩原市 12人(記者を含む。)
さくら市 傍聴不可
那須烏山市 決めていない(記者を含め10人くらい可能)
下野市 決めていない(記者は別に7人くらい可能。執行部からの傍聴がなければ、10人くらい可能)

結局、そもそも議会運営委員会の傍聴を認めないさくら市は論外として、鹿沼市議会より遅れている議会は、記者を含め2人とする佐野市ということになりそうです。

栃木市と矢板市の傍聴可能人数は少ないですが、臨機応変に対応する姿勢が見られますので、鹿沼市議会より上でしょう。

下野市議会は、執行部からの傍聴がなければ、一般傍聴者の数を増やせるという考え方を示していますが、鹿沼市議会には通用しません。どちらがまともな考え方でしょうか。

鹿沼市議会では、かぬま魅力向上特別委員会を設置して、鹿沼市に移り住んでもらえるような政策を考えているようですが、同委員会では、傍聴者を会議開催後、約20分経過してから突如秘密会を決定し、追い出し、議会運営委員会では、一般傍聴者定員が3人のところ、6人来たが、空席があるにもかかわらず、3人を閉め出しましたが、それでも平然としている議員や職員のいる市に移り住みたいと思う人がいるでしょうか。

鹿沼市議会では、議員や職員が庶民感覚を失っていないでしょうか。

●何が問題か

議員や職員は、委員会の傍聴者の定員を5人と決めた以上は、室内に空席があっても傍聴者数を増やすことは認められないと言います。

一般市民としては、空席があるなら傍聴者数を増やしてもよいと考えます。

両者の考え方に大きな違いがあることが問題だと思います。

ただし、上記一般市民としての感覚とは、私が想像する一般市民の感覚であり、大多数の鹿沼市民が私と同じ感覚を持っているとは限りません。

本稿をお読みの皆様は、どちらの考え方が妥当だと思いますか。

(文責:事務局)
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