フロントページ  プロフィール 鹿沼市の特徴
鹿沼市の人口鹿沼市の水道思川開発事業(南摩ダム)
東大芦川ダムその他のダムその他の話題


小泉構造改革に中身はある

2005-4-14

以前野党は、「小泉構造改革に中身がない」と批判していたように思いますが、とんでもない間違いです。中身はあります。アメリカ大使館のサイトに載っている「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」が小泉改革の中身です。

そこには、「ブッシュ大統領と小泉総理大臣は、規制改革・競争政策に関する分野別および分野横断的な問題に焦点を当て、経済成長や市場開放を促進するため「日米規制改革および競争政策イニシアティブ」(規制改革イニシアティブ)を2001年に設置した。」と書いてありますが、こうした要望書は1993年の宮沢・クリントン会談から始まっているといいます。

上記要望書には、例えば小泉改革の柱である郵政 民営化について、次のように書かれています。

*****引用ここから*****

 米国は、小泉首相の公社・公団の再編と民営化の取組みに関心を持ち続けてきた。この改革イニシアティブは、競争を刺激し、資源のより有効的な利用につながるなど、日本経済に大きな影響を及ぼす可能性がある。米国政府は、日本郵政公社の民営化という小泉首相の意欲的な取組みに特に関心を持っている。日本の郵便生命保険事業と郵便貯金事業が世界最大の生命保険事業者と預金制度にまで成長しているため、これらの事業の民営化は、それぞれの分野で営業をしている会社に巨大な影響を与えると考えられる。2007年に開始予定の日本郵政公社の民営化は、民間の宅配便業者にも大きな影響を与える可能性がある。

 本年の米国の提言の柱は、日本郵政公社の民営化が日本経済に最大限の経済的利益をもたらすためには、意欲的かつ市場原理に基づいて行われるべきであるという原則である。真に市場原理に基づいたアプローチというものは、日本の保険、銀行、宅配便市場において歪められていない競争を確保することを含まなければならない。日本郵政公社に付与されている民間競合社と比べた優遇面の全面的な撤廃は必要不可欠である。これらの優遇面は、米国系企業および日本企業の双方にとって同様に、長年の懸念となっている。経済財政諮問会議は、9月10日に発表した「郵政民営化の基本方針」において、日本郵政公社と民間企業との間の「競争条件」の均等化の重要性を確認することにより、重要な一歩を踏み出した。

 米国は、日本郵政公社と成田国際空港、日本道路公団等の他の組織の民営化が成功することを期待している。これは、複雑で挑戦的な取組みではあるが、効果的に実行できれば日本経済と日本の企業、消費者に大きな利益をもたらすことになる。本年の民営化にかかわる提言の重要項目は下記のとおりである。

  提言の概要

競争条件の均等化:保険、銀行、宅配便分野において、日本郵政公社に付与されている民間競合社と比べた優遇面を全面的に撤廃する。民営化の結果、歪められていない競争を市場にもたらすと保証する。

保険と銀行の公正な競争:日本郵政公社の保険および貯金事業においては、真に同一の競争条件が整うまで、新規または変更された商品およびサービスの導入を停止する。これらの事業に、民間企業と同一の納税条件、法律、規制、責任準備金条件、基準、および規制監督を適用するよう確保する。

宅配便サービスの公正な競争:郵便業務の規制当局は日本郵政公社から独立しかつ完全に切り離された機関であることを確実にし、民間部門と競合するビジネス分野における競争を歪曲するような政府の特別な恩恵を日本郵政公社の郵便事業が受けることを禁止する。

相互補助の防止:日本郵政公社の保険および銀行事業と公社の非金融事業の間で相互補助が行われないよう十分な方策を取る。競争的なサービス(すなわち、宅配便サービス)が、日本郵政公社が全国共通の郵便事業で得た利益から相互補助を受けるのを防止するため、管理を導入する。

完全な透明性:民間の利害関係者が、関係する日本政府の職員と民営化について意見交換を行い、政府が召集する関連の委員会の審議に貢献する有意義な機会が提供されるよう確保する。パブリックコメント手続きの十分な利用を保証する。

*****引用ここまで*****

ここまで事細かに日本を指図しています。これを忠実に実行しようとするのが小泉内閣です。小泉耕造改革はアメリカの国益を守るためのものだったのです。

この要望書の問題を指摘した本が関岡英之著「拒否できない日本」(文春文庫)です。これからの日本で何が起こるかを知る上で必読の書です。

この本を端緒として様々な議論がインターネットでは展開されています。(例えば、2005年森田実政治日誌[87])したがって、「年次改革要望書」の問題をここで議論してもあまり意味はないと思います。

しかし、次の2点だけは敢えて指摘させていただきたいと思います。

一つは、森田実氏も指摘していることですが、政府、マスコミが「年次改革要望書」の存在を報道してこなかったことです。なぜ報道されなかったのでしょうか。マスコミ関係者が無知だったとは思えません。政府とマスコミの間に何らかの取引があったという仮説を立てるべきだと思います。

二つ目は、マスコミの存在の大きさ、逆に言えば、インターネットは微力であるということです。ホリエモンは、「新聞なんてやがてなくなる」なんて言ってますが、マスコミの力はまだまだ偉大です。

アメリカ大使館が年次改革要望書を堂々と悪びれる様子もなくホームページに載せているというのに、新聞、テレビが報道しないと国民は知らないのです。

その他の話題へ>このページのTopへ