オサマに関する赤旗の表現が変わった

2011年5月26日

●赤旗はどう書いていたか

またも世界はだまされるのかに書いたように、 5月3日付け赤旗には、用語解説として「ウサマ・ビンラディン容疑者」とは、「国際テロ組織アルカイダの指導者で、2001年に米国で起きた9.11同時多発テロの首謀者でした。」と断定していました。

1964年のトンキン湾事件がアメリカの自作自演であることを見抜いた日本共産党にしては、アメリカ言いなりなのは不思議だと私は書きました。

●なぜ表現を変えるのか

5月19日付け赤旗は、「ビンラディン殺害をめぐる三つの根本問題」という記事を載せています。

三つの根本問題とは、国連決議、テロ対処の基本ルールに反する、主権国家にたいするあからさまな主権侵害、テロ根絶に逆行し拡大させる危険だそうで、もっともな話ですが、彼が9.11の首謀者であるか、の方がもっと根本問題だと思います。

そこには、次のような文章があります。

ビンラディンは、2001年9月11日の同時多発テロへの関与を自認し、世界各地で起きたテロ行為の首謀者である嫌疑もかけられています。

5月3日付け記事では、「9.11同時多発テロの首謀者でした。」と断定していたのに、5月19日付け記事では、断定を避けた表現になっています。

なぜ表現を変える必要があったのでしょうか。

政党機関紙とはいえ、新聞の発行者が断定するからには相当の根拠があったはずです。その根拠が半月後には消えてしまったのでしょうか。

●オサマは関与を自認しているか

おそらくは、赤旗がオサマ・ビン・ラディンを9.11の首謀者と断定したのは、彼が事件への「関与を自認し」ているからということでしょう。断定の根拠は、自認だったということのようです。

しかし、赤旗の編集者は、何を根拠に彼が関与を自認していると書いたのでしょうか。

5月2日付け毎日には、「2004年10月29日 アルジャジーラがビンラディン容疑者のビデオ映像を放映。同容疑者は米同時多発テロ(01年9月11日)の犯行を初めて認める」と書かれています。

赤旗は、このビデオを根拠に彼が事件への関与を自認していると書いたのでしょうか。

私が9.11に関するWikipediaは非科学的で「犯行指揮を証言しているビデオに出てくるオサマ・ビンラディンをloose changeというサイトで見られますが、明らかに別人です。」と書いたところ、自作自演説たたきで有名なmsq氏までもが「ビデオのビン=ラディン氏が本物かニセモノかという問題。確かに、ビデオ "loose change" で見る限りは、ビン=ラディン氏が似ていないことは確かです。」(9.11に触れると言論弾圧を受ける(その1))と書いています。

だれが見てもでっち上げのビデオだということです。

あのビデオがまともな機関の声紋鑑定を経ているという話は伝わってきません。

●犯行を自認していない

成澤宗男氏が「続9.11の謎」(金曜日)でビン・ラディンの「テープ」という1章を設け、p50に次のように書いています。

ビン・ラディンが「9.11」後初めて世界にメッセージを発したのは、9月16日にカタールの衛星放送・アルジャジーラを通じてである。そこでは「私はこのような行為をしてはおらず、誰かが自身の動機に基づいて実行したようだ」と宣言し、さらに自身が滞在していたとされるアフガニスタンのタリバンの最高指導者オマル師に「国内の法を守ると誓った」としながら「師はそうした行為を許さない」とも述べた。

さらにパキスタンの『Ummat』紙01年9月22日付に掲載されたインタビュー記事でも以下のように語っていた。 「すでに明言しているが、この件に関して私は何もしてはいない。私はイスラム教徒として、ウソをつかないあらゆる努力をしている。これらの攻撃について知っていることはないし、罪もない女性や子ども、人々を殺すことなど考えたこともない」

この話は、9.11におけるユダヤ人の死者数で引用した9/11トリック--「テロ」は起きなかったにもっと詳しく書かれています。冒頭のCNNの記事は、9月16日のアルジャジーラの放送についての報道だと思います。

そして当のオサマ・ビン・ラディン本人も、CIAに利用されたと気付いたのか、事件後にステートメントを発表、「個人的な理由で計画されたように思える最近の攻撃を企てたのが私でないことを世界に向けて保証したい」と述べた(CNN, "I would like to assure the world that I did not plan the recent attacks, which seems to have been planned by people for personal reasons." by Osama Bin Laden)。

さらに2001年9月28日パキスタン紙デイリー・ウンマのインタヴューでも、9/11攻撃の背後にイスラエルがいることを暗にほのめかしながらこう訴えている(Khilafah.com, "The Al-Qa'idah group had nothing to do with the 11 September attacks"/9-11 Review, "I am not involved in the 11 September attacks in the United States.")、「9/11攻撃には関与していない」(Ibid., "I am not involved in the 11 September attacks in the United States.")、「それらの攻撃については何も知らないし、無実の女性、子どもたち、その他の人間たちの殺戮を特段の行為と見なすことも望んでいない」(Ibid., "I had no knowledge of these attacks, nor do I consider the killing of innocent women, children, and other humans as an appreciable act.")、「アメリカという国に敵意を抱くものではない。われわれが敵対するのは、他国を奴隷化、もしくは政治的・経済的自由を抵当に入れるよう強制するシステムに対してだ。このシステムはアメリカのユダヤ人たちによってすっかり支配されている。彼らの最優先事項はイスラエルであって、アメリカではない。アメリカ国民はユダヤ人の奴隷そのものであり、彼らの制定した綱領と法令に従った生活を余儀なくされていることは明らかである」(Ibid., "We are not hostile to the United States. We are against the system, which makes other nations slaves of the United States, or forces them to mortgage their political and economic freedom. This system is totally in control of the American Jews, whose first priority is Israel, not the United States. It is simply that the American people are themselves the slaves of the Jews and are forced to live according to the principles and laws laid by them.")、「無実のイスラム教徒やアメリカに対して黙々と大量殺戮を行っているイスラエルこそ処罰されるべきである」(Ibid., "So, the punishment should reach Israel. In fact, it is Israel, which is giving a blood bath to innocent Muslims and the US is not uttering a single word." by Osama Bin Laden)。

どうです。オサマ・ビン・ラディンは、犯行を自認などしていません。否定しています。犯人はイスラエルではないかと言っています。

赤旗の編集者は、この犯行否定声明をどう解釈するのでしょうか。後にアメリカ政府が発見したビデオテープなどの方が信ぴょう性があるというのでしょうか。

●ビン・ラディンのテープとはどういうものか

しかし、「12月13日になって、今度は本人が「事件の関与を認めた」とされるビデオテープが出現する。発表したのは国防総省で、「11月末に(アフガニスタンの)ジャララバードで入手した」という。」(続9.11の謎p51)ことです。本人と似ていない、左利きのはずが右手で何かを書いているなどの理由でニセモノと批判されています。

p53には次のように書かれています。

傑作なのは02年11月に登場し、「9.11」との関連を本人が「告白」したというビデオテープだ。CIAは「信憑性あり」と断じたが、スイスの人工的な知覚を研究する機関・IPAIにに「95%の確率で本人の声ではない。詐欺師によって録音されたものだ」と認定されてしまった。

ほかにも、2006年1月19日には、アルジャジーラがビン・ラディンの声とするオーディオテープを放送したそうです。

2002年9月9日にも、アルジャジーラによって「『9.11』を賞賛するビン・ラディンの会話」だとするオーディオテープが放送されたそうです。その3日後には、ブッシュ大統領が国連で「イラクのテロリストとの結びつきと大量破壊兵器の脅威」という題で演説したそうです。

2003年2月11日にも、アルジャジーラが放送した同様のオーディオテープがあるそうです。

成澤氏は次のように書きます。

本人が犯行を自供したというテープなら本来第一級の重要証拠のはずだが、それが今日までそのようには決して扱われていない事実こそ、こうしたテープの正体を雄弁に物語っているに違いない。

赤旗の編集者がオサマ・ビン・ラディンを9.11の首謀者であると決めつける根拠が、自分で見てもいない(であろう)ビデオテープだけだとしたら、かなり問題です。

(文責:事務局)
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