本題に入る前に近況報告をします。
7月3日に南摩ダム建設予定地を視察してきました。南摩ダムの付け替え県道は凍結すべきだに書いたように、わずか6.2kmの区間に四つのトンネルと八つの橋のある付け替え県道の建設が進んでいます。
一番東にある4号トンネルは既に完成しており、1号トンネルは7月中に着工するようです。橋については、5号橋、6号橋、8号橋が着工済みです。国も地方もカネがないというのに、なぜこのような道路に150億円もかけなければならいのかと思いました。
南摩ダムが中止になれば、なぜ四つのトンネルと八つの橋が必要なのか説明がつかないと思います。
●民主党とみんなの党からは回答なし
ムダなダムをストップさせる栃木の会が参議院議員選挙栃木地区立候補者に対してアンケートを実施しました。
6月16日に各政党又は事務所あてにアンケート用紙を郵送しました。
6月22日までの回答期限に回答があったのは、日本共産党だけでした。
未回答者に6月23日に電話で催促しました。
未回答者に更に6月25日に電話で催促した上で、ファクシミリで再度アンケート用紙を送付しました。
6月26日に自由民主党から回答がありました。
7月3日までに民主党とみんなの党からは回答がありません。
アンケートの結果は、次のとおりでした。
質問項目 | 簗瀬進 | 上野通子 | 小池一徳 | 荒木大樹 |
---|---|---|---|---|
政党 | 民主党 | 自由民主党 | 日本共産党 | みんなの党 |
南摩ダム建設中止について | (未回答) | 中止か建設か判断がつかない(理由:ダム中止に伴う地域振興策が何も示されていない。) | 中止すべき | (未回答) |
湯西川ダム建設中止について | (未回答) | 建設すべきだ(理由:ダム本体工事が進んでいるので中止できない。) | 中止すべきだ | (未回答) |
八ツ場ダム建設中止について | (未回答) | 中止か建設か判断がつかない | 中止すべきだ | (未回答) |
日本共産党の回答理由は次のとおりですが、いずれもアンケート主催者が用意した選択肢です。
【南摩ダム中止の理由】
【湯西川ダム中止の理由】
【八ツ場ダム中止の理由】
私は上野通子氏の回答を理解できません。
上野氏は、南摩ダムについて、「ダム中止に伴う地域振興策が何も示されていない。」から中止か建設か判断がつかないと書きますが、ダムは地域振興のために建設するものではありませんから、「ダム中止に伴う地域振興策が何も示されていない。」ことは、判断の主な根拠にはならないと思います。
判断の基準が地域振興策だけというのもおかしな話で、南摩ダムの目的は治水と利水なのですから、まずは、治水と利水を判断の基準にすべきです。
また、上野氏は、湯西川ダムについて、「ダム本体工事が進んでいるので中止できない。」と書きますが、論理に飛躍があり説得力がありません。本体工事が進んでいるとなぜ中止できないのかという説明が不足しています。おそらく説明できないと思います。
なぜなら、本体工事が進んでいても事業を中止することは理論的に可能だからです。塩那スカイラインのように、本体工事に着手したが中止した事業なんていくらもあります。「本体工事が進んでいる」ことは、「中止できない」理由になりません。だから、「中止できない」は不正確で、「中止したくない」と書きたかったのだと思います。
公共事業を進めるべきかどうかは、公共性があるかどうかで判断すべきです。
公共の利益の代表者である政治家が本体着工を基準に建設の是非を判断するとなると、既成事実を逸早く積み上げた官僚と建設業者の利権に政治家がお墨付きを与えることになると思います。
無駄の横綱八ツ場ダムについて「中止か建設か判断がつかない」ということは、税金の無駄遣いに関心がないということになると思います。
●自由意見
自由意見欄には、日本共産党のみが次のように書いています。
利根川水プランを見直し、利根川水系全体の利水、治水について公平な人選のもとに開かれた形で検証することを求める。
三つのダムと霞ヶ浦導水事業は必要なムダな事業であるだけでなく、自然、環境、地域を破壊し、地域住民に高い水道料金を課し、真に有効な治水対策を遅らせ、取り返しがつかない被害をもたらす可能性がある。
中止以外の選択肢はない。