被害者側の控訴審準備書面(5)を読んでみた(鬼怒川大水害)

2024-10-24

●被害者側の控訴審準備書面(5)が提出された

前回記事と前後しますが、鬼怒川大水害訴訟において被害者側が控訴審準備書面(5)を2024年6月26日付けで提出しました。

この書面は、若宮戸での溢水に関するものです。

●誤字脱字

以下に誤字脱字を記載します。
p11

「25.35k」

意味が分かるかと言えば分かりますが、本来は「左岸25.35k」でしょう。
p12
「向かってが」→「向かって」
p14

「河川法施行令1項1項」→「河川法施行令1条1項1号」(2箇所、p25でも)

「22.35kは」→「25.35kは」
p15

「対象となったきは」→「対象となったときは」

「既存の連続的に堤防が築堤されている」→「連続的に築堤されている」

「築堤区間においては、無堤区間には」

築堤区間に無堤区間があるのは矛盾ではないでしょうか。

「堤防が築堤」→「堤防が築造」

「堤防が築堤されている築堤区間」

堤防が「築堤」されていない築堤区間もあるということでしょうか。

用語の説明が必要だと思います。 p16

「等しくなるこれと」→「等しくなるのと」?
p17

「築堤区間の無堤区間」

矛盾していないでしょうか。

「流下能力(川幅)」

意味不明。

「本件砂丘林」

7行後と12行後には「本件砂丘」と書かれています。

「本件砂丘林」と「本件砂丘」は違うのか。同じなら統一すべきだと思います。

「尾根、特に稜線」

デジタル大辞泉によれば、「尾根」とは、「山の峰と峰とを結んで高く連なる所。また、隣り合う谷と谷とを隔てて連なる突出部。脊梁(せきりょう)。稜線(りょうせん)。」です。

「稜線」とは、「山の峰から峰へ続く線。尾根。」です。

つまり、「尾根」=「稜線」である、つまり、同義語であると説明されています。

辞書と違う意味で使うということなら、定義の説明が必要だと思います。

代替案を言うなら、「尾根」は「畝」ではないでしょうか。
p19
「是正する義務があり」→「是正する義務があり、その義務とは、」
p21

「2025」→「2015」(2箇所)
p23

「認定」→「指定」
p26

「堤外地についての」

「堤外の土地」には、「政令で定めるこれに類する土地及び政令で定める遊水地を含む。」と規定されています。

若宮戸地区の河畔砂丘は、堤防類地なので「堤外地についての」は不適切だと思います。
p27
「関係がいない」→「関係がない」
p31

「堤外地についての」→「堤外地等についての」
p32

「置かれ土嚢は」→「置かれていた土嚢は」(p33でも)
p34

「22.39m」?

p14では「22.38m」と言っていたはず。

「22.38m」が正解だと思います。なぜなら、2003年度にサンコーコンサルタントが提出した「若宮戸地先築堤設計業務報告書」(甲4)に「表4.2.1鬼怒川左岸若宮戸地区縦断計画表」があり、そこにBC5の地点の計画高水位が22.380mであるという記載があるからです。

●管理開始当時に構造令はなかった

p13で「しかし、国が鬼怒川等の河川管理を開始した当時から、堤防が、構造令基準を満たしていることは少なく」と書かれていますが、国が鬼怒川の管理を開始したのが1965年であり、河川管理施設等構造令は1976年に制定されたので、すなわち、管理開始当時には「構造令基準」は存在しなかったので、管理開始当時に当該基準を満たすかどうかという言い方には違和感があります。

時系列を無視した話だと思います。

●若宮戸での計画高水位は1973年度に変更されたのか

p14で「計画高水位(22.35k(25.35kの誤り)は、Y.P.21.58m、昭和48年の利根川水系工事実施基本計画の改定よりY.P.22.38m)」と書かれています。

つまり、25.35kでの計画高水位が1973年に80cm引き上げられたと言っています。

しかし、その根拠が書かれていません。

1973年度利根川水系工事実施基本計画(乙31)を読んでみると、p20には鬼怒川についての計画に関する基本方針表が掲載されており、計画高水位については、「川島下流は現在HWL .上流は現在HWL−80(cm)」と記載されています。つまり、1973年度には、鬼怒川では、川島下流の計画高水位に変更はないということです。

1973年度利根川水系工事実施基本計画(乙31)のどこをどう読んだら、鬼怒川25.35kでの計画高水位を80cm引き上げたと読み取れるのか分かりません。

弁護団はこれまで、25.35kでの計画高水位が引き上げられたと言ったことはないのですから、せめて初めて言うときくらいは、その根拠を明らかにすべきです。

そうでないと、その弁論が正しいのかを検証できません。

また、鬼怒川の25.35kでの計画高水位が1973年に0.8m引き上げられたと言うことによって何が言いたいのかが分かりません。

●堤防類地の要件をどう考えるのか

p15及びp17の記述からは、堤防類地の高さは、一般論としては、上下流の有堤部の堤防と同程度の高さが必要であり、計画高水位より低くてもかまわないと言っていると思います。

しかし、一般論として、計画高水位より低い土地を堤防類地(堤防が設置されているのと同一の状況を呈している土地)としてよいのかは疑問です。

いずれにせよ、弁護団の説によれば、若宮戸については、1966年に上下流の堤防の高さは計画高水位を超えていたのですから、堤防類地も計画高水位を超えていることが必要だということになります。

いずれにせよ、堤防類地の資格要件を控訴審で議論するのは遅すぎると思います。

●意味が分からない

p18〜19の4、(1)の記述は、私の勉強不足のせいか、理解できませんでした。

●時間を無視している

p20の中ほどの「本件河川区域指定が・・・低下したのである。」については、1968年8月に撮影された空中写真と2004年1月に測量された平面図を突き合わせて、地盤高が低くなったと言っているわけですが、時間を無視した議論だと思います。

同じ話がこの後3回は繰り返されます(p21、p22、p34)。

1968年時点の地盤高は、いくら地形に変更がほぼないとはいえ、36年後に作成された測量図で判断することはできないと思います。

36年間に1.02m以上も低下したとも思えないので、1968年時点ですでに計画高水位より低い箇所があったとは思いますが、36年間、地盤高が不変だったと考えるのも乱暴だと思います。

●1968年以降の河川区域の指定のやり直しも違法になるはず

p20で「そして、これ以上の掘削が行われるのを防止し、上記のかろうじて確保されている安全性が損なわれないようにしなければならない状況であったのである。」とか「本件区域指定を取り消して、本件砂丘の中央西寄り尾根が河川区域になるように是正しなかったことは・・・著しく合理性を欠いている」と言います。

つまり、河川区域の指定のやり直しをすべきだったと言います。

しかし、弁護団の主張によれば、堤防類地の指定は、一般論としては、上下流の堤防高が計画高水位以下の場合は、地盤高が計画高水位以下であっても合法と考えるそうですが、鬼怒川については、若宮戸地区の河畔砂丘の上下流の堤防高は1966年時点で計画高水位より高いので、河畔砂丘の地盤高が計画高水位以下となった場合には、堤防類地の要件を欠くので、河畔砂丘を取り込んで河川区域の指定をすることは違法となるはずです。

弁護団によれば、1968年8月には、L25.35k付近の地盤高は計画高水位より1.02m低い21.36mだったというのですから、河畔砂丘に隣接する上下流の堤防高(計画高水位より高い)と釣り合っておらず、河畔砂丘は堤防類地の資格がないはずであり、そこを取り込むように河川区域の指定をすることは違法になるはずです。

それでも河川区域の指定のやり直しをすべきであったと主張することは、堤防類地の資格の観点からは、矛盾していると思います。

換言すれば、河川区域外の河畔砂丘が1968年に堤防類地としての資格を失った後もこれを取り込むように河川区域を拡張する指定をすべきであったとする弁護団の主張が正しいとするならば、国が1966年に堤防類地としての資格のない部分を指定したことも適法になってしまい、この指定が違法であるとする弁護団の主張が成り立たなくなると思います。

●裁量権の問題にしている

p20〜21に「安全性確保の措置を講じていなかったものであり、河川管理者の権限の行使(不行使)として許容される限度を逸脱したものであって、著しく合理性を欠いている」と書かれており、義務違反説に似ています。

道路の落石事故について、管理者が通行止めにしなかったことが管理の瑕疵であるとした判例もあるので、国家賠償法第2条の解釈に義務違反説的な発想を持ち込むことが間違っているとは思いませんが、行政の義務違反を問う以上、裁量権の逸脱の問題に帰着し、裁量権の行使が著しく合理性を欠くかという、厳しい判断基準で裁かれることになると思います。

これに反し、大東判決要旨一を基準とすれば、そこでは、「著しく」とか「格別に」とかの厳しい関門はないので、「著しく合理性を欠いている」という土俵で闘うよりは楽だったと思います。

弁護団も一審での原告ら準備書面(9)p18で、河川区域の指定に関する争点には大東判決の「河川管理の特殊性」及び「要旨一」が適用されるとし、さらに、改修途上の河川については、「安全性を備えているかによって判断すべきである。」とする平作川最高裁判決要旨二が適用されると書いていました。

ところが、その結論部分では、「以上のとおり、このように考えても、被告が若宮戸地区の砂丘林が河川区域となるように河川区域に指定することを怠ったことは、被告の鬼怒川の河川管理の瑕疵である」(p16〜17)と書いており、つまり、作為義務違反が瑕疵であるという説を突如として持ち出し、「安全性を備えているかによって判断すべきである。」という主張をかなぐり捨ててしまい、控訴審になっても、上記のとおり、義務違反説で主張しています。(控訴答弁書p31では「備えるべき安全性を欠くに到ったか否かという観点から判断されるべきものである。」と書いており、安全性の欠如が基準であるような書き方もしており、混乱していると思います。また、安全性を備えているかで瑕疵の有無を判断するなら、大東判決要旨一を適用しているのと同じだと思います。)

弁護団は、「大東水害最高裁判決の判断基準を用いるだけでは、本件河川区域指定についての河川管理の瑕疵の有無の判断はできないのである。」(控訴答弁書p31)と言いますが、河川区域の指定の争点には、大東判決要旨一及び平作川最高裁判決要旨二が適用されるという主張は、どうなってしまったのでしょうか。

「大東水害最高裁判決の判断基準を用いるだけでは」ということは、大東判決の判断基準の一部は用いているのかもしれませんが、どこでどう用いているのかが分かりません。

●築堤と指定処分を峻別する実益はなかったことを認めている

p26で「しかし、本件河川区域指定は、国の主張するような治水事業を行った結果なされた河川法6条1項3号の区域指定ではない。」と書かれています。

ここでの論点は、河川区域の指定は治水事業ではないので大東判決の射程外であり、大東判決の基準が適用されないという弁護団の主張が成り立つのかということでした。

国が河川区域の拡大の指定は築堤等の事業実施に関連して行われるので治水事業の一環であるから、若宮戸地区での指定も大東判決の射程内であると主張したのに対して、弁護団が上記のように反論しました。

つまり、築堤等の事業実施に関連して行われる河川区域の指定が治水事業の一環であるという一般論には答えず、事業実施に関連しないで行われる指定もあるという個別論で反論をしています。

弁護団が個別論でしか反論しないということは、一般論としては、国の主張を認めるという意味でしょう。

弁護団は、河川区域の指定には、河川管理施設の設置事業の実施に伴うものと、そうでないもの(現状での安全性を維持するためのもの)があり、そうでないものについては、大東判決の射程外だと言いたいのだと思います。

そうであれば、最初からそう言えばいいと思います。

河川区域の指定は意思表示を伴う処分であり、築堤のような事実行為ではないから、およそ指定という処分は、すべからく大東判決が想定していないものである、というように受け取れるようなことを言うから議論が混乱するのだと思います。

事実行為は処分とを峻別する実益はどこにあったのでしょうか。

河川区域の指定は処分であるから築堤とはわけがちがうという話をするからには、指定についての一般論を語っているのかと思ったら、弁護団が言いたかったのは、新河川法が施行されてから初めての指定についてであり、つまりは個別論だったわけです。(ちなみに、築堤がなぜ事実行為だと言い切れるのか疑問です。用地の取得が必要な場合には、任意買収や土地収用のような法律行為が必要になります。)

それにしても、安全性を維持する行為(河川の維持管理)が大東判決の射程外という主張には無理があると思います。

大東判決では、土砂の浚渫を怠ったことが瑕疵に当たるかも判断されたからです。

●反論の仕方が的外れではないのか

p26に書かれているように、国は、「河川管理実務上、河川区域の範囲の拡大(の指定)が堤防等の河川管理施設を設置する具体的な築堤等の事業実施に関連せず単独で行われることはなく」(国の準備書面(12)p28)と言います。

これに対し、弁護団は、「しかし、本件河川区域指定は、国の主張するような治水事業を行った結果なされた河川法6条1項3号の区域指定ではない。」と反論していますが、的外れな反論ではないでしょうか。

河川法施行令第1条第1項第1号の土地(堤防類地)については、河川区域の指定は、施設の設置を要件としておらず、実際、利根川水系河川の直轄区間では、1966年に「事業実施に関連せず単独で行われ」ました。

つまり、河川区域の指定は、法律的には施設の設置を要件としていないので、国の主張は法律論として成り立たないことを指摘すべきだと思います。

また、国は実際、1966年に施設の設置を伴わない河川区域の指定を行いました。

このことは、国が控訴審準備書面(12)p25で「必要かつ相当な区域に限って当初河川区域の指定がされた」と述べて認めていることです。

したがって、「河川管理施設を設置する具体的な築堤等の事業実施に関連せず単独で行われることはなく」(同p28)という上記の国の主張は虚偽であることを指摘すべきだと思います。

そもそも、国が「河川管理実務上」と主張することの意味を問題にすべきだと思います。

訴訟とは、法的な筋論を議論する場であり、「実務上」どのような管理をしているかは本来は関係ないはずです。(河川の管理の一般水準が考慮されることがありますが、悪しき慣行を是認するという意味ではないはずです。)

法令上はきちんと管理することになっているが、実務上は杜撰な管理をしていたんです、というような言い訳を聞いても意味ないでしょう。

慣習も慣習法として認めるべき場合は、法規範の一つなので、慣習を無視するわけにはいきませんが、規範とすべきかは検討が必要であり、慣習に従っていたから免責されることにはならないはずです。

「河川管理実務上」とは、法令上はどうなっているかは知らねえけれど、という意味で使っているのではないでしょうか。

河川管理者側が法令の規定をさておいて議論すること自体の問題性を指摘すべきだと思います。

●議論がかみ合わない原因は「堤外地についての」としていることにある

また、国のいう「河川区域の範囲の拡大(の指定)」とは何を指すのかを明らかにしないで反論するのも問題だと思います。

おそらくは、築堤後に堤防敷地と低水路との間の高水敷を意味しているのだと思います。

そうだとすれば、根拠条文は、河川法第6条第1項第3号の括弧書き以外の部分です。

ところが、弁護団が問題にしている1966年になされた指定の根拠条文は、河川法第6条第1項第3号の括弧書(のうちの堤防類地)です。

根拠条文の異なる河川区域の指定について議論しているのだとしたら、議論がかみ合うはずがありません。

弁護団の主張は、河川法施行令第1条第1項第1号に規定する堤防類地に照準を合わせずに、法律のレベルで「河川法6条1項3号の区域指定ではない。」とか「堤外地についての河川法6条1項3号の区域指定を行い」とか「この河川法6条1項3号の区域指定は」などと、範囲を広げて議論するために、国からのピント外れの反論を招いていると思います。

堤防類地に関する河川区域の指定の話をしたいなら、最初から堤防類地に論点をしぼればよかったと思います。

「堤外地についての河川法6条1項3号」のように、議論の対象となる指定の範囲を広げた表現をしたことが混乱の原因だと思います。

●河川法の改定時の状況を説明すべき

新河川法が施行されてから初めての河川区域の指定は確かに異例でした。

新旧の河川法では、「河川区域」の定義そのものが変わっていますし、旧河川法時代の河川区域の範囲は、現在では想像もつかないものでした。

国の代理人は、そのあたりの事情を分かっていないので、頓珍漢な反論をしてしまうという側面もあると思います。

弁護団がそのあたりの事情を知っていればの話ですが、図面等を示して説明すれば、蒟蒻問答は避けられたのではないでしょうか。

●河川の安全性が損なわれないようにすることは、大東判決の判断対象外ではない

p26〜27には、大東判決を始めとする一連の水害訴訟における最高裁判決は、河川の安全性が損なわれないようにすることは、判断対象外であり、念頭にないものであると書かれています。

しかし、大東判決では、土砂の浚渫を怠ったことも争点になっていて、判断されています。

「河川の安全性が損なわれないようにすることは、判断対象外であり」ということではありませんでした。

●いつの話をしているのか

p31では、「若宮戸地区の洪水に対する安全性は、・・・計画高水位以上の高さのあった本件砂丘によって確保されていた」と書かれていますが、いつの話をしているのでしょうか。

1968年まででしょうか。

弁護団の主張は、時期を明記しないことが多く、そのことが理解を困難にしていると思います。

●大規模掘削がなくても被害はゼロではないということか

p34には、「本件掘削がなければ、・・・本件溢水は生じなかった」と書かれています。

断面積が28.75倍になったということは、本件掘削がなければ、1/1+28.75*100=約3.4%の被害で済んだという主張でしょうか。

被害額の約3.4%が天災によるものだったということでしょうか。つまり、被害額の約96.6%が人災だったということでしょうか。

しかし、弁護団の主張によれば、若宮戸地区では、「図8から明らかなように・・・河川区域の指定がなされた区域の境界線の地盤高及び河川区域内の横断図における最高地盤高は、計画高水位を大幅に下回っており、場所によっては、2m以上(2014年度の測量による。引用者)も下回っていた箇所すらあった。」(一審原告ら準備書面(9)p9)というのですから、若宮戸地区での被害額の100%が人災によるものだと思います。

●国の主張に沿って攻める方が楽だった

p34には、「上記国の主張は、若宮戸地区において溢水の発生を防止するには、堤防を築造しなければならない、ということに帰する。」と書かれています。

国の主張に沿って、築堤すべき箇所に築堤せず、危険な状態を放置したという主張をした方が攻め方として楽だったと思います。

2004年時点で河畔砂丘の地盤の高さが計画高水位よりも約1m低くても過渡的安全性を有していたという主張は、なかなかに分かりにくいものでした。

それだけでなく、河畔砂丘の地盤の高さが計画高水位よりも約1m低くても過渡的安全性を有していたと主張することは、三坂町の堤防が計画高水位より4cmとか7cmとか10cm低くても(2011年度の測量で)安全だったと言っているようなものであり、事実、水戸地方裁判所も「現況堤防高を考慮しても同地区が一定程度の安全性を備えていたということはでき」(判決書p54)と言っています。

見出しの「国の主張に沿って攻める方が楽だった」という言葉は、誤解を招くかもしれません。

国の主張は事実ではないが、その主張に乗った方が楽だという意味ではありません。

国の主張は事実です。

河川区域外の河畔砂丘には計画高水位を1.02m下回る地点があり、2004年時点で堤防類地の資格要件を満たさないことは明らかです。(弁護団は、1968年から計画高水位を1.02m下回る地点ができたと言っています。)

だから、河川区域外の河畔砂丘は、本件掘削がされる前から堤防類地の資格はなかったとする国の主張は事実です。

ところが弁護団は、2014年3月から本件掘削がされる前までは、過渡的安全性を有していたと言います(一審での原告ら準備書面(9)p17〜18)。

その根拠は、2011年度の鬼怒川直轄河川改修事業(甲7)において、若宮戸地区が「山付堤」とされていて、「概ね20〜30年で整備すべき区間」にも入っていなかったことから、被告は、若宮戸地区が過渡的安全性を「すでに満たしていると判断しているものである。」とか「被告もそのように考えていた」と弁護団が読み取ったということです。

しかし、河川が過渡的安全性を有していたかは、管理者がどう考えていたかで決まるものではなく、主として河川の物理的状況で決まるものだと思います。

つまり、弁護団は、甲7から被告の判断を読み取った結果として、少なくとも2011年度時点で、河川区域外の河畔砂丘を堤防類地にしていたとすれば、過渡的安全性を有していたと言っているわけであり、河川の物理的状況を考慮した上での判断ではありません。

河川の物理的状況は、弁護団によれば、1968年から若宮戸地区には計画高水位より1m以上も低い箇所があったのですから、堤防類地の資格はなかったはずであり、国の主張の方が事実に基づいていることになります。

●3枚の添付図が同じに見える

添付図面で重ね合わせ図が3枚あります。

空中写真に迅速測図を重ねたものだそうですが、迅速測図しか見えないので、どれも同じ図にしか見えず、何が言いたいのか分かりません。

図を提示するなら、naturalright.orgの鬼怒川2015シリーズの若宮戸における河川管理史9 建設省が統制した河畔砂丘掘削若宮戸の河畔砂丘 12 河川区域外の砂丘掘削のような図が必要であり、それらから引用した方がよかったと思います。

(文責:事務局)
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