利根川の洪水が足利市と佐野市まで来るのか

2009-09-12

●八ツ場(やんば)ダム推進議員連盟1都5県の会が会合

2009-09-12下野に「新政権に建設要請へ」の記事があります。

八ツ場ダムに関係する都県の建設推進派議員でつくる「八ツ場ダム推進議員連盟1都5県の会」が「11日、都内で会合を開き、連立政権を発足させる民主など3党の党首や新国土交通相に、ダムの完成を求める要請書を提出することを決めた。」そうです。

同会は、栃木、茨城、群馬、埼玉、千葉、東京の「都県議員約260人が参加して今年4月に結成。メンバーの大半を自民党議員が占めて」います。「会合には64人が出席。」したようです。

●政権交代の意味が分かっているのか

群馬県の中村紀雄県議は「国家が国民に約束したことが、政権が代わって簡単に破られていいのか。」と言ったそうです。

政権が代わっても政策を変えてはいけないとしたら、政権を代える意味はあるのでしょうか。国と国民との売買契約や賃貸借契約が政権交代によって破棄されることは許されないと思いますが、ダムを建設するという政策が変更になるのは当然ではないでしょうか。

中村県議は、政権交代の意味が分かっているのでしょうか。

公共事業は、ある時ある政権が決めたから実施するべきものではありません。公共性があるから実施すべきものです。

中村県議は、公共事業の意味が分かっているのでしょうか。

●ダムは「情」で造るのか

新政権の党首らに提出する要請書には「建設中止の方針を「これまでダム建設に翻弄されてきた地域住民の心情を無視する」」と批判しているそうです。

ダムは、全国民の払った税金が使われて建設されます。水没地区住民の心情に大きな比重を置いて建設されては、一般の納税者はたまりません。

公共事業は、公共性があるから実施されるべきなのです。

蜂の巣城紛争の主役である室原知幸氏は、「公共事業は法にかない、理にかない、情にかなうものでなければならない。」と言ったそうです。八ツ場ダム推進は、水没地区の一部の住民の情にかなうのかもしれませんが、「法」にも「理」にもかなうものではありません。

●八ツ場ダムに水害防止効果はない

上記会合で木村好文栃木県議連会長が「(水害から住民の)命を守るダムを民主党は『無駄』だと言うのか」と同党を批判した」そうです。

「ダム」と聞けば「命を守る」と決まり文句のように言う人がいますが、ダムにどれほどの治水効果があるのかを考えているのでしょうか。

木村議員は、八ツ場ダムが本当に栃木県民の命を守るのかを検証したのでしょうか。

八ツ場ダムは、1947年のカスリーン台風が再来しても治水効果がないことは、国が認めています。

2005年2月26日(土)「しんぶん赤旗」に「八ツ場ダム大型台風に効果なし/塩川議員に国交省局長」の記事があります。

日本共産党の塩川鉄也議員は二十五日の衆院予算委分科会で、国土交通省が建設中の八ツ場(やんば)ダム(群馬県)について、同省の計算でも大型台風による洪水の治水効果がないことを示し、同ダム建設の中止を求めました。

塩川氏は、八ツ場ダム建設の根拠となっている治水効果について、利根川流域に大きな被害をもたらしたカスリーン台風(一九四七年)級の豪雨には、同省の計算でも、ダムの治水効果は全くないのではないかと質問。清治真人河川局長は「カスリーン台風のときのような雨の降り方には、ダムの効果は期待できない」と認めました。


●利根川が足利市と佐野市を浸水させるのか

上記下野記事には、「出席した県担当者も、同ダムが「県南2市1町の洪水被害防止のために必要」と述べ、県も建設推進の立場であることを明言した。」といいます。「県南2市1町」とは、「足利、佐野市、藤岡町」のことです。

その県担当者は本気で利根川の洪水が利根川とは7km以上も離れている足利市と佐野市を浸水させると考えているのでしょうか。

仮にそのような水害が起こり得るとしても、10億4000万円の負担金を払うなら、確率的に考えて、もっと優先順位の高い水害常襲地帯が栃木県内にあると思いますので、そちらにカネを回すべきだと思います。

●知事と違うことを担当職員が言っていいのか

それに、福田富一栃木県知事は、八ツ場ダムについて9月3日に「「流域の関係都県の意向を確認した上で、ダム建設推進の是非を慎重に判断するべきだ」との考えを示した。」そうです。

知事が「ダム建設推進の是非を慎重に判断するべきだ」と言っているのに、職員が「「県南2市1町の洪水被害防止のために必要」と述べ、県も建設推進の立場であることを明言」することに問題はないのでしょうか。知事が記者に述べたことが彼の真意であるならば、知事が言っていないことを担当職員が言っても処分されないのでしょうか。

知事と担当職員が矛盾することを言っていること自体が、八ツ場ダムを建設するまともな理由がないことの証拠ではないでしょうか。

(文責:事務局)
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