鹿沼市の少子化対策が功を奏したのか

2007-06-26

●鹿沼市の出生数が6年ぶりに増加した

07-05-08「下野」は、「第3子事業」が奏功」という見出しを付け、2006年度の鹿沼市の出生数が6年ぶりに前年度より増加したこと、阿部和夫市長が少子化対策の効果が表れたと話していることを報じています。本当に鹿沼市の少子化対策事業が功を奏したのでしょうか。

●国、栃木県の出生数も増加している

07-06-07「下野」は、「出生率1.32」「6年ぶり上昇」の見出しで、厚生労働省の人口動態統計(概数)の結果を報じています。記事によると、国と栃木県の出生数(日本で生まれた、日本国籍を有する赤ちゃんの数)も2006年は前年より増えています。鹿沼市と対比すると次の表のとおりです。
年(鹿沼市は年度)鹿沼市栃木県
200585817,3631,062,530
200686917,6471,092,662
増加率(%)1.31.62.8

出生数は、前年比が国で2.8%、栃木県で1.6%増加しているのですから、鹿沼市で1.3%増加したからといって、それが特別な対策を講じたためと言えるのか疑問です。市長の感想を政策の科学的な評価と勘違いさせるような新聞記事は書いてほしくないと思います。市長の発言内容が科学的に正しいのかを考える義務が新聞社にはあるのではないでしょうか。

●出産奨励政策は賢明か

いわゆる団塊ジュニアと呼ばれる世代が30歳代の半ばになれば、出生数は落ちていきます。その下の世代では、生む人の数が少ないのですから、1夫婦で3人くらい生んでもたかが知れています。人口を増やすことは、どうあがいても無理ではないでしょうか。

宇都宮大学教育学部助教授の金田耕一助教授は、「出生率を高めるという論理が分からない」(2000-05-19「読売」の栃木版金曜随想)と書いています。また、「少子化対策のために出産を奨励するのは、高齢化対策のために早死を奨励するのに似ている」とも書いています。出産奨励政策に税金を投入することは賢明でしょうか。

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