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鹿沼市の人口

水需要は、「人口」と「1人当たり使用水量」のかけ算で計算されます。 水需要を左右する最大の要因は、人口です。

鹿沼市の人口はどのように推移してきたのでしょうか。そしてどのように推移していくのでしょうか。鹿沼市は、現実を正確に把握した上で将来を予測し、政策判断をすべきなのですが、鹿沼市は、この点について市民に詳しく説明したことはありません。鹿沼市のサイトを見ても分かりません。

●鹿沼市人口の推移(毎年10月1日)

現在、鹿沼市の人口は、グラフ(PDFファイル16KB。出典:鹿沼市統計書)が示すように減少傾向にあります。

●鹿沼市人口の推移(毎月1日)

鹿沼市の毎月の人口の推移を描いたグラフ(PDFファイル20KB。出典:鹿沼市公式ホームページトップページ)をご覧ください。

鹿沼市の人口のピークは、2000年12月の94,378人です。2003年以降、94,000人を超えることはありませんでした。

●鹿沼市人口の予測

鹿沼市は、第4次鹿沼市総合計画で立てた、2010年に11万人という人口予測をいまだに堅持しています(鹿沼市のサイトの「創世プランの推進」を参照)。鹿沼市のサイトでは、「人口11万人(鹿沼の適正な人口規模として設定)」とぼかした書き方をしていますが、第4次鹿沼市総合計画には、「平成22年の人口規模は、11万人と推計されます」(p29)と明記され、計画書の資料集には計算方法も書かれています。 「人口11万人」は、単に「適正な人口規模として設定」されたものではなく、算出された推計値です。

鹿沼市は、「鹿沼市水道事業変更認可申請書(第5次拡張)」(1996年作成)でも2010年の人口を11万人とする推計をしています。

●鹿沼市の人口実績と予測

鹿沼市の人口実績(鹿沼市統計書)と鹿沼市による予測(鹿沼市水道事業変更認可申請書(第5次拡張)による)及び財団法人統計情報研究開発センターによる予測をグラフ(PDFファイル144KB)に描いてみます。


財団法人統計情報研究開発センターによる予測では、「2030年の鹿沼市人口は85,062人」です。(ちなみに、栃木県知事の諮問機関、大芦川流域検討協議会では、栃木県建設総合技術センターが「2020年の鹿沼市の 人口は92,971人」という推計結果を提出しました。) 人間の集団が人口規模を維持するには、1組の夫婦が2人以上の子を産むこと、難しく言えば、合計特殊出生率が2.08以上であることが必要であるとされています。

ところが、国立社会保障・人口問題研究所のサイトの将来人口推計データベースによれば、鹿沼市の2000年の合計特殊出生率の推定値は、1.44です。2003年の日本の合計特殊出生率1.29よりは高いものの、鹿沼市人口は、増加するどころか現状維持さえ不可能であることは明らかです。

●鹿沼市による人口予測はどのくらい外れたか

鹿沼市による人口予測はどれくらい外れたのでしょうか。グラフ(PDFファイル92KB。出典:鹿沼市水道事業第5次拡張計画認可申請書、鹿沼市統計書)で見てみましょう。


鹿沼市は、水道事業第5次拡張計画において、人口が1993年の92,139人から2003年の102,501人に増える、つまり10年間の人口増を10,362人と予測しましたが、2003年10月1日の人口は93,901人でしたので、実際には1,762人しか増えませんでした。予測的中率17%ということになります。鹿沼市は、6倍近く人口の増加を過大に予測したことになりますが、いまだに「2010年に11万人」という予測を堅持しています。

●鹿沼市は人口予測を修正すべきだ

過大な人口推計が鹿沼市の水政策を誤らせた元凶です。11万人の人口予測を掲げたままで正しい政策決定を行うことはできません。これほど大きく人口予測が外れたのですから、鹿沼市がまずやるべきことは、人口予測の修正です。

希望や夢を持つことは結構ですが、推計や予測は科学的に算出すべきものです。現在の世代が「現実」と「希望」を混同して過剰に投資や開発を進めれば、現在の世代だけでなく、将来の世代まで負の遺産を背負い込み、将来の世代に迷惑をかけます。

●「自分さえよければいいのか」ということが問われている

究極の問題は、「将来の世代に迷惑をかけても構わないと考えるか」、「将来の世代に迷惑をかけるべきでないと考えるか」、ということになると思われます。また、人口減少を前提とすれば、ほとんどのハコモノ行政は推進する理由を失うことになりかねませんが、「市政とは、ハコモノ行政を進めるためにある」と考えるのか、「そうではない」と考えるのか、が考え方の別れ目になると思われます。

●少子化問題をどうするか

少子化問題については、赤川学氏が著書「子どもが減って何が悪いか!」(ちくま新書)で示唆に富む指摘をされています。結論だけを書くと、少子化問題に出生率回復策で対応するのがよいとは思わない、少子化を食い止めることは不可能である、少子化と人口減少を既にある事実・与件・前提とした上で、選択の自由と負担の分配に配慮した制度を設計していくべきである、とされます。

●人口増加の夢を見続ける自治体住民の不幸

日本の人口が現在約1億2500万人であり、2050年には約1億人に、2100年には現在の半分の約6000万人まで減るであろうことがかなりはっきりしており、栃木県も県内人口がやがて減っていくという推計をしています。鹿沼市民にとって不幸なことは、このような状況の中にあっても、歴代鹿沼市長とほとんどの議員は、「本市の総人口は、(略)計画的な市街地整備を進めていくことによって、引き続き増加することが見込まれ」(第4次鹿沼市総合計画p29)ると強弁し、人口増加を前提とした政策立案に明け暮れ、人口減少を前提とした政策立案を怠っていることです。

●合併後の鹿沼市人口も過大見積り(2005-2-18)

鹿沼市と粟野町は、2006年1月1日に合併する予定です。合併協議会は、2015年の鹿沼市人口を108,700人と推計しています(2004年11月に鹿沼市・粟野町合併協議会が作成した新市建設計画素案のp4(PDFファイル156KB)参照)が、社会保障・人口問題研究所による鹿沼市と粟野町の推計を合計すると2015年には100,951人にしかなりません。

どちらも人口の減っていく市と町が合併しても、やはり人口は減っていきます(2005年1月発行の「ダム反対鹿沼市民協議会だより」(PDFファイル40KB)参照)。

合併協議会は、どうしてこのような過大な人口推計をするのでしょうか。人口が減るという推計をしていたのでは、合併特例債が使えなくなるから困るということなのでしょうね。

過大な人口推計をして、過大な設備投資をして、自然を破壊し、借金を残す。役人と政治家と一部の建設業者のための政治がいつまで繰り返されるのでしょうか。市民が意思表示をしていかない限り、自然が破壊され尽くすまで繰り返されると思います。

  ここで、この国は行き着くところまで行かないと変われない国だからと傍観者になるか、自分にできることは愚直にすることで当事者になるか、考え方の別れるところでしょう。



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