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国勢調査をやると人口が増える

2006-7-26

●宇都宮市人口も国勢調査で増えた

鹿沼市人口が2005年国勢調査によって増加したことは、「 鹿沼市の人口が増加に転じた?」で既にお知らせしました。

宇都宮市においても同様の現象が見られました。2005年国勢調査時の宇都宮市毎月推計人口の推移をグラフ(宇都宮市2005年国勢調査人口)(PDFファイル48KB)で見てみましょう。

宇都宮市の2005年国勢調査時前後の人口は、次のとおりです。

        8月1日   454,227
    9月1日   454,913
    10月1日   457,557(国勢調査人口)
    11月1日   457,973

    

8月1日から9月1日までの増加数は、686人です。     

10月1日から11月1日までの増加数は、416人です。     

ところが、9月1日から10月1日までの増加数は2,644人であり、通常の約5倍の伸びを示しています。     

●2000年国勢調査では減っていた     

2000年の国勢調査では、宇都宮市では人口を減らしました(グラフ(宇都宮市2000年国勢調査人口)(PDFファイル48KB)参照)。     

宇都宮市の毎月推計人口は、毎年4月に落ち込み、5月から翌年3月まで盛り返すというパターンでした。そして、国勢調査人口(10月1日現在)は、その前月(9月1日現在)の人口よりも落ち込むというのが2000年における宇都宮市毎月人口の推移でした。     

宇都宮市において、2000年国勢調査時には、調査の結果、人口が減ったのに、2005年国勢調査時には、調査の結果、人口が増えるというのは、どのような理由によるのか分かりません。     

●2005年国勢調査の調査票未回収率、宇都宮市は9.4%     

2006年6月28日付け下野新聞によれば、宇都宮市における2005年国勢調査の調査票未回収率は、9.4%だったそうです。     

記事には、「未回収となっても世帯の人数、男女別などは住民基本台帳などで補足できるが、年齢や通勤経路などは分からず、統計の精度は大きく落ちる。」と書かれていますが、10人に1人は調査票を提出していないのですから、年齢や通勤経路などだけではなく、世帯の人数の精度も落ちると思います。     

宇都宮市の2005年国勢調査人口の正しさに疑問が生じます。     

●国勢調査人口が住民基本台帳人口からかけ離れる     

次のグラフを比較してください。     

2000年における推計人口と台帳人口と国勢調査人口(PDFファイル64KB)     

2005年における推計人口と台帳人口と国勢調査人口(PDFファイル64KB)     

赤棒が推計人口、青棒が台帳人口、緑棒が国勢調査人口です。例えば4月の人口は、推計人口にあっては4月1日現在の推計人口を、台帳人口にあっては3月31日の台帳人口を表します。数字は、宇都宮市のホームページの「統計」からとっています。     

2000年国勢調査においては、国勢調査により台帳人口との差が縮まったのに、2005年国勢調査においては、国勢調査により台帳人口との差が広がってしまいました。     

2005年国勢調査での宇都宮市の未回収率が9.4%で前回(2000年)の6倍であることを考えると、2005年国勢調査の数字がおかしいのではないかと考えてしまいます。     

●そもそも国勢調査は必要か     

そもそも国勢調査は必要でしょうか。     

2006年7月25日付け朝日新聞には、「こうした回収率アップの方策の一方で、根本的な議論は十分にされていない。日本に住むすべての人の動向を把握する必要があるのか。それによって得た統計が具体的に私たちの暮らしに役立っているのか。多くの人が抱く疑問には、素通りのままだ。」「どういった調査が、何のために必要か。本当に全数調査が必要なのか。あり方を正面からとらえ直さなければ、国勢調査の行き詰まりは解消されない。」(村上宣雄記者)と書かれています。さすが朝日ですね。掘り下げています。     

同日付け読売新聞は、「(国勢調査は)幅広い行政施策に利用されている。」と書き、国勢調査の存在意義に疑問を持ちません。     

莫大な経費、膨大な量の紙が使われること(再生利用されるとはいえ)、プライバシーの侵害、調査員の苦悩などを考えるとダム事業と同様、費用対効果を検証すべきでしょう。国勢調査をやらないと本当に政策を誤るのでしょうか。ほかの統計調査では代替できないのでしょうか。     

国立社会保障・人口問題研究所は、国勢調査を基に日本の人口推計をしてきましたが、毎回過大に推計し、年金財政を破綻へと導きました。調査が正確でも推計がデタラメでは意味がありません。ましてや、今回の国勢調査の結果は本当に正確なのでしょうか。     

美添(よしぞえ)泰人・青山学院大学教授(統計審議会会長)は、上記読売記事で「国が政策を誤ったら、不利益を被るのは国民全体だ。(だから国勢調査をやるべきだ)」と言いますが、そう言えるためには、「国勢調査をやれば、国は政策を誤らない」と言えることが必要でしょう。しかし、人口も水需要も増えないことがはっきりしても、南摩ダムも八ツ場ダムも川辺川ダムも中止になっていません。     

「国が政策を誤ったら、不利益を被るのは国民全体だ。(だから国勢調査をやるべきだ)」という命題は成り立つのでしょうか。

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