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合併後の鹿沼市人口108,700人(2015年)の根拠判明?

2005-3-16

鹿沼市・粟野町合併協議会は、合併後の鹿沼市の2015年の人口を108,700人と推計しています。その計算根拠が記載された資料(文書名は不明)はこちら(6ページ、PDFファイル600KB)です。 p6とp7に推計結果が出ています。 「ナローバンドなので最も問題のある箇所だけを見たい」という方はこちら(1ページ、PDFファイル156KB) をクリックしてください。

「推計の根拠が判明した」と言いたいところですが、資料を見ても、どうしてこのような数字が出てくるのか依然として不明です。

合併後の鹿沼市の人口推計について、合併協議会によるものと人口問題研究所によるものをグラフ(PDFファイル52KB)で示しますので、比較してください。政策目標ベースの推計は、荒唐無稽のように思われます。

●カラクリは「政策人口」

合併協議会による推計は、実勢ベースと政策目標ベースとでは大違いです。 実勢ベースの推計人口も人口問題研究所の推計人口よりかなり多めの数字となっていますが、政策目標ベースよりはまともです。減っていく人口を増加に変えるカラクリは「政策人口」という名称の市外からの流入人口です。2025年までの累計は、1万人以上と推計されています(グラフ参照)

鹿沼市は、資料のp6で「政策目標ベースでは、平成27年の両市町合計人口は、108,722人で、実勢ベースと比較し、5,818人の政策人口が必要です。」と調査会社から釘を刺されています。まともに計算したら減るはずの人口を、依頼主の求めに応じて増加に持っていくのが調査会社のつらいところでもあり、腕の見せ所でもあるわけですが、「それにしても限界がありますから、がんばって政策人口を捻出してください」と言われているわけです。

どうやって政策人口を生み出すかというと、「若者定住策や次世代育成対策などの充実などにおける効果的な政策・施策の推進が求められます。」と書かれていますが、具体的な政策は不明です。

●「政策人口」は虚構

今回の推計は、「科学的に推計すればこのくらいの数字にしかならないが、すばらしい政策を執行すれば人口はこのくらいまで増える」というこれまでの人口推計の手法を踏襲しています。しかし、全国どこでも、科学的な手法による推計結果に逆らって人口を増加させた自治体はおそらくないと思います。人口を増やすための「すばらしい政策」があるなら、どこの自治体でも採用しているはずです。「政策人口」などということを言い出したら、科学的な人口推計は意味を失います。「政策人口」は虚構にすぎません。

「政策人口」が虚構であることは、これまでの鹿沼市の人口推計が実証しています。もし、「政策人口」のようなものが虚構でないならば、2005年の鹿沼市人口は103,000人になっていなければなりません。ところが2005年3月1日現在の人口は、93,856人にすぎません。 

●「政策人口」の見積りが過大

流入人口が大幅に見込める特段の事情があれば、コーホート法に「政策人口」のようなものを加味して推計することは科学的と言えるかもしれませんが、「政策人口」などの数字に合理的な裏づけがあることが必要でしょう。宇都宮市でも「すう勢分人口」に「開発人口」(区域外からの流入人口)を加えて宇都宮市と河内町の合計人口を2003年度に推計していますが、2025年までに累計で11,015人と算出しています。49万都市での流入人口が20年間で11,015人という推計です。10万都市の鹿沼市が同じく20年間で累計11,901人の「政策人口」という名の流入人口を見込むことは暴挙です。

封鎖人口が減少していく中で、鹿沼市は11,901人の流入人口をどこから持ってくると言うのでしょうか。鹿沼市は、責任ある人口推計をすべきです。

●鹿沼市水道事業第5次拡張計画でも同じ手が使われた

思い起こせば、鹿沼市水道事業第5次拡張計画でも同様の手法が用いられました。2010年の「すう勢分将来人口」は約10万人だが、「開発計画分人口」1万人を加えると11万人になるという具合に。今回の推計では、「すう勢分将来人口」は「実勢ベース」人口に、「開発計画分人口」は「政策人口」に言い換えられただけで、発想は同じです。

●宇都宮市では現実的な人口推計をした

宇都宮市でも以前は非現実的な人口推計をしていましたが、2002年度に人口推計の見直しを実施し、現実的な数字に修正しました。しかし、鹿沼市では、またもや非現実的・非科学的な人口推計を繰り返しているということです。宇都宮市でできたことが、なぜ鹿沼市でできないのでしょうか。市民や議員のレベルが低いからかもしれません。

●水需要の推計は政策目標ベース人口を基になされる

今回の推計では、下位推計(実勢ベース)と上位推計(政策目標ベース)の二通りの推計をしたわけですが、問題なのは、案の定「水需要の推計は、政策目標ベースの人口推計結果を使用します。」としていることです。鹿沼市は、過剰に人口を推計し、過剰に投資するという政策手法を崩したくないのです。過剰投資をするための過剰推計をしているとしか思えません。

過剰投資の責任をだれかがとってくれるのでしょうか。市長は、「市民が選んだ市長と議会が決めたのだから、市民が水道料金や税金で負担すべきだ。」と言うでしょうね。

●鹿沼市は既に水需要の推計の見直しをしていた

ダム反対鹿沼市民協議会は、鹿沼市に対し、水需要の早期見直しを要求してきましたが、明確な回答を避けてきました。ところが、上記のように今回の資料のp6には、「以下の(略)水需要の推計は、政策目標ベースの人口推計結果を使用します。」と書かれています。つまり、既に水需要の見直しがなされているということです。

市に対して水需要の見直しを要求してきた(思川開発事業を考える流域の会のサイト参照)市民団体には、その後見直しをしたのなら、「見直しをした」と連絡してくるのが人の道ではないでしょうか。

鹿沼市へ公開質問(2003年9月。思川開発事業を考える流域の会のサイト参照)をしても未だに回答が来ませんし、水資源対策室に回答を催促すると、「回答はしない」と回答される始末です。私たちダム反対派住民は、市長との面会も拒否されるし、市民としての扱いを受けていないと思います(税金を取られるとき以外は)。 阿部市政に反対する市民は、市民ではないということなのでしょうか。

●南摩ダムに参加するための過大人口推計か

鹿沼市は、2010年に11万人という過大な人口推計を前提にして、東大芦川ダムの表流水を確保する計画でしたが、2003年9月10日に福田昭夫知事が東大芦川ダム計画の中止を発表することによって、鹿沼市が無駄な表流水を買うことを免れたわけですが、ほっとしたのもつかの間、鹿沼市は、第4次総合計画と鹿沼市水道事業第5次拡張計画における人口推計が大外れしたことに何の反省もないまま、過大な人口推計を繰り返し、今度は南摩ダムの水を買うことにしたのです。

●最大の悲劇は善人の沈黙

マーティン・ルーサー・キング牧師は、「最大の悲劇は、悪人の暴力ではなく、善人の沈黙である」と語ったそうです。鹿沼市が非科学的な人口推計をするのは、悪人の暴力の段階です。鹿沼市の多くの善人たちが 無駄なダムの建設を阻止するためにものを言うことを期待します。

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