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鹿沼市の推計人口はなぜ過大か

2005-4-9

●合併後の鹿沼市人口は、2025年には109,280人

合併後の鹿沼市の人口が2015年に108,700人になるという合併協議会による推計については、 「合併後の鹿沼市人口108,700人(2015年)の根拠判明?」に書きましたが、更なる情報公開請求によって詳しいことが分かりました。合併後の人口推計を記載した文書名は、「鹿沼市・粟野町新市建設計画フレーム調査報告書」で、合併後の鹿沼市人口は、2025年には109,280人にもなると書いてあります。どうしてそんなことになるのでしょうか。

●マジックのタネは「政策人口」

まずは、上記報告書から作成した鹿沼市分の人口推計をグラフで見てみましょう。さすがに2010年に11万人という野望は捨てたようですが、反省の色もなく10万人に近づけようとしています。

次に粟野町分の人口推計をグラフで見てみましょう。やはり、人口問題研究所によれば減っていくはずの人口を逆に増やしてしまっています。合併協議会による推計人口のグラフは、コーホート要因法で普通に推計したグラフとあまりにもかけ離れています。

推計人口を膨らませる魔法の杖は「政策人口」であることもは「人口推計における「政策人口」はなぜ不要か」に書きましたが、そのカラクリをもう少し詳しく見てみましょう。

●”いいとこ取り”の「センサス変化率」

報告書の推計結果を記載した部分(p3)に「使用したセンサス変化率」と題した表が掲載されており、政策目標ベースでは、センサス変化率の設定方法は、「昭和55、60年の2点間、昭和60、平成2年の2点間、平成2、7年の2点間、平成7、12年の2点間のそれぞれのセンサス変化率の年齢区分ごとの最大値」であるとされています。

一読しただけでは難解な文章ですが、要するに、1980年から2000年までの20年間を5年間で四つの区間に区切り、それぞれの5歳階級別人口が5年間でどのように増減(変化)したのかを率で数値化し、最も大きい数値を示した区間の変化率をセンサス変化率とし、「このセンサス変化率が今後も変わらないものとして、将来人口を推計します。」(上記報告書p3)ということです。

もっと砕いて言えば、それぞれの5歳階級別人口群において過去20年間で最も人口の増えた時期の人口増加率が将来もずっと継続するという前提で人口を推計してしまおうということです。 現実に起こりえないシミュレーションをしています。

どうです。乱暴でしょう。「いいとこ取り」や「ご都合主義」の典型です。

●なぜ過大な人口推計をするのか

鹿沼市は、この当たるはずのない推計に969,045円の委託料を払っています(証拠書類はこちら。PDFファイル112KB)。人口問題研究所の推計結果なら、7,350円を払って本を買えば手に入ります。 わざわざ高い委託料を払って実現する可能性のない人口推計をする必要はないはずです。

人口増加は、市民にとって幸せの条件ではありません。人口が増えなくても、合併後の鹿沼市民が幸せに暮らせればいいはずです。

鹿沼市がなぜこのような過大な人口推計をするのかと言えば、再三書いたように、合併特例債などを使って、いわゆるハコモノ行政や土建行政を進めるためと思われます。

●今後の鹿沼市の対応を推理する

ここで鹿沼市が人口問題について今後どのような対応をとるのかについて推理してみます。

○合併後の数年間は、「人口をどうやって増やすのか」と聞かれたら、「現在、有効な人口増加策を研究している」と答える。

○次の5年間は、上記の質問に「いくつかの人口増加策を実施している」と答える。

○次の5年間は、「人口が増えないではないか」と聞かれたら、「鋭意努力しているが、短期間に成果が出るものではない」と答える。

○次の5年間は、「時間をかけたが成果が出ないではないか」と聞かれたら、「もっとカネをかければ成果が出るが、財政上の制約があるので成果が思うように出ない」と答える。

○次の5年間は、「時間もカネもかけたが成果が出ないではないか」と聞かれたら、「議会も同意して実施した人口増加策なので間違いではなかった」と答える。

そうこうしているうちに、市長も議員も任期を終え、職員も異動や退職をしてしまうので、人口が増えるとか増やすとか言った人たちは、だれも責任をとらなくてすみます。

無駄な工事にカネを使われて困るのは市民です。問題は、市民がこうした政治手法を好むのか、好まないのか、許すのか、許さないのか、という問題だと思われます。

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