鹿沼市長は過大な水道計画を反省していない

2008-03-19

●2007年12月議会で水道計画に関する質問があった

最近になって鹿沼市議会のホームページに2007年12月議会の議事録が掲載されました。

芳田利雄議員は、12月5日に、水道事業第5次拡張計画の変更計画について質問しました。第5次拡張計画が過大な水需要予測に基づいていたことについて阿部和夫市長に反省の弁を求め、以下のようなやりとりがありました。

質問者:芳田利雄議員
まず最初に、水道事業についてお尋ねをしたいと思います。
 ついにというか、やっとといいますか、この第5次拡張計画の見直し案が今議会に提案をされました。目標年次2010年における1日最大給水量5万500トン、1人1日最大給水量は561リットル、これが第5次拡張計画であります。私は通告をした一般質問の冒頭に、この第5次拡張計画見直しについて市長の責任のある反省の弁を、まず求めておきたいと思います。
 実はこの第5次拡張計画はいかに荒唐無稽な計画だったのか、住民の皆さんは本当にこの計画のために苦しめられてきました。行政は、2010年には5万500トンの水が必要になるからと、こういうことから東大芦川のダムは必要だと、このように訴えてまいりました。この計画をつくったのは前の市長でございますが、阿部市長にもこの計画を今日まで引きずってきたという責任があろうかと思います。しかし、見直し案が提案されたにもかかわらず、何一つ反省の弁は聞かれませんでした。市民の皆さんに10年にわたって迷惑をかけてきたという反省があってしかるべきだと思います。
 ダム反対の先頭に立ってきた西大芦漁協組合長の石原政男さんは、これらの闘いの中で疲労がもとで倒れて、現在入院をしております。紙っぺら1枚で事済まされたのでは、治る病気も治りません。そういうことで、市民に対して市長のほうから一言反省の弁をお願いしたいと思います。市長、どうでしょうか、よろしくお願いします。

答弁者:阿部和夫市長
 ただいま芳田議員のほうから、第5次の見直しについて、今までの5万500トン並びに561リットルの見直しをするに当たって、我々が述べてきたにもかかわらず、反省の弁がなしにして新たな見直しに取り組むということはいかがなものかというふうな解釈をさせていただいたところでございます。
 この第5次の見直しにつきましては、世の中の水に対する市民の考え方、いわゆる水を使うという意識、いわゆる節水意識が高まってきております。特に現在、自然水と言われまして水を販売できるような世の中になっているということも考えれば、水はいかに重要であるかという反面、また水の節水というものについて市民も大変重要性を認識されてきたものだろう、このようにも思っているところでございます。さらには、第5次拡張計画を見直すに当たっては、ただいま申し上げましたとおりに、そのようなことも含めて、社会の情勢というのが変化をしてきたところでありまして、ここでやはり見直しをすべきであろうと、このような結論に至ったところであります。
 特にダム問題でありますが、東大芦川ダム問題につきましては、県において中止の表明をされたところであります。あの当時、東大芦川ダムでの水の利用というものは毎秒0.2トン、1万6,200トンの水を使用するという、その計画の中に盛り込まれていたところでありますが、ダム中止に基づいてこの水利用が不可能になったということも1つの大きな問題でありましたが、この中身は県水であります南摩ダムの水の利用が可能になったということでありまして、南摩ダムに我々鹿沼市としては表流水の利用を含めて参加をするということに至ったところでございます。
 この辺につきましても、やはりこれからの鹿沼市の水の安定供給、安全で安心な水を供給する上にあっては、地下水においてはクリプトスポリジウムというものが非常に問題になってきている事情でありまして、少しでもクリプトスポリジウムが検出されれば、その地下水は利用ができないと、こういうことにも至るわけでございます。やはり2つの表流水と地下水からの利用をすることによって、鹿沼市の安全で安心な安定した水の供給ができ得るものと、このように考えているところであります。
 ただ、この地下水において、使用禁止ということになれば、市民皆水道という中にあって、市民の皆さん方がいかに生活水を使用するに当たって有効にといいましょうか、不便をかけずに利用がいただけるという、その水量にも至るのが1万6,200トンであると、こういうふうにも解しているところでございます。
 いずれにしましても、このような関係の中で、社会情勢の変化、さらにはダムに対する多くの考え方、そしてあのダムを建設するのに協力をしていただいた、南摩地区の苦渋の選択をいただいた地権者の皆様方には心から感謝を申し上げるところでありまして、私としては、この計画が今見直しに当たって、先代の市長がつくったにしても、継承したのはどうかという話でありますが、ここに来て、やはり将来の水利用というものを考えるべきであろうという私の選択の中で、第5次拡張計画を見直したわけでありますので、ご理解をいただきたいと思っているところでございます。  質問に対する答弁を終わります。

●どこに反省の弁があったのか

阿部市長の答弁は難解で、意味が分かりません。おそらくノー原稿なのでしょうか、それにしても意味不明です。

芳田議員が言うように、第5次拡張計画は2010年度を目標年度とし、給水人口9万人、1日最大給水量50,500m3/日、1人1日最大給水量561リットルとする荒唐無稽な水道計画でした。この過大な計画に市民はダム反対運動を余儀なくされ、苦しめられてきたわけです。過大な計画を見直せと芳田議員や市民は要求してきたのですが、歴代市長は頑として受け入れませんでした。

いつの間にか水需要(1日最大給水量)を25%もいきなり減らして、従来の計画が過大であったことに一言も触れないとは、市民をあまりにも愚弄しているではないか、というのが芳田議員の質問の趣旨でしょう。

で、市長の答弁のどこに反省の弁があったのでしょうか。「第5次拡張が過大だった」とか「過大な計画に固執したことは誤りであった」とか、全く言っていないと思います。

市長は、水道水源を100%地下水から一部地下水に変えれば、クリプトスポリジウムの被害発生の危険が軽減されるようなことを発言していますが、水道の常識に反する発言だと思います。

「過去の所業を反省しないのか」と問うているのに、「ここに来て、やはり将来の水利用というものを考えるべきであろう」では、答えになっていません。

「ここに来て」と言う感覚も分かりません。鹿沼市の1日最大給水量は、1994年度の35,739m3/日をピークに減少していたのですから、第5次拡張計画の見直しはもっと早くやって当然なのに、「ここに来て」やっと見直して反省もしないというわけです。

この市長答弁に対する芳田議員の発言を紹介します。

質問者:芳田利雄議員
 早速反省の弁をいただきました。阿部市長には心から感謝を申し上げたいと思います。気持ちよく質問に入りたいと思います。

 

政治家の言葉は政治家にしか理解できないのでしょうか。芳田議員は「早速反省の弁をいただきました。」と述べています。感謝までしています。  

阿部市長は、第5次拡張計画について、計画は妥当であるとして、市民の意見を受け入れませんでした。今回の変更計画についても市民が意見を述べる機会さえ設けていません。議会にさえ事前に相談していないと思います。それでも「感謝」ですか。  

(文責:事務局)
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