水が余れば「環境用水」に使うという理屈

2007-2-8

●茨城県が水需給計画を見直した

2007-2-7付けしんぶん赤旗によると、茨城県は、「新・長期水需給計画(いばらき水のマスタープラン)の見直し案を6日までに公表しました。

「過剰な水源開発で水余りと関東一高い水道料金となっている茨城県はいま、1日22万7000トンの水道水が余っている状況です。」「見直し案は(20)20年の供給量を現在進行中の八ツ場(やんば)ダム、湯西川ダム、思川開発、霞ヶ浦導水事業を前提に計算しています。」「20年には水道用水と工業用水あわせて1日、45万トンの水余りを予測しています。」(いずれも上記記事から)。

●「余った水は環境用水に」という理屈を許すのか

そんなに水を余らせてどうするのかというと、見直し案は、「環境用水」や渇水などに備える「危機管理水量」に使うとしているそうです。国(国土交通省)の定義によれば、「環境用水」とは、水質、親水空間、修景等生活環境又は自然環境の維持、改善等を図ることを目的とした用水です。

「危機管理水量」の定義は分かりませんが、おそらく、異常な渇水や水道施設の事故による断水に備えるための水量と思われます。

茨城県は、上記見直し案で「環境用水」や「危機管理水量」のためにどれだけの水が必要だとしているのでしょうか。1日当たり45万トンということは、1人1日最大給水量を400リットルと仮定すると、112万5000人分の水です。これほど膨大な水量が「環境用水」や「危機管理水量」のために必要だとは思えません。

茨城県が「環境のために使い、危機に備えるための水量は多い方がいい」と考えているとしたら間違いです。そういう理屈を許したら、自治体の水源確保量は天井知らずになってしまいます。要らないダムなんてない、ということになりはしないでしょうか。それでは、最少の経費で最大の効果をあげるという地方自治法の規定に違反します。

「将来水需要が増えないから徳山ダムは必要ない」と住民から言われた水資源機構が「朝シャンとガーデニングが普及するから水需要は増える」と答えたという話があるそうです。ダムを造りたい人たちが朝シャンとガーデニングの次に水需要を生む要因として考え出したのが、「環境用水」と「危機管理水量」なのでしょうか。

●「環境用水」はマッチポンプ

ダムで開発した水源を環境用水に使うのは、マッチポンプです。ダムで川を塞き止め環境を破壊し、水質が悪化し、流量の乏しくなった下流にダムの水を流すことによって、水質や環境を改善するというのですから、地面に穴を掘ってはすぐ埋めるくらいナンセンスな所業です。そもそも下流の環境を破壊したのはだれなのかを考えるべきです。

水が余ったら「環境用水」に使うという理屈にだまされてはならないと思います。

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