鹿沼市は水源開発をいつまでやるのか

2010年12月19日

●2010年鹿沼市議会9月議会で決算認定議案が上程された

2010年9月28日に鹿沼市議会本会議が開催され、芳田利雄議員が2009年度の水道事業会計決算について反対討論を行いました。

反対討論の内容は次のとおりです。

最後に認定13号、水道事業会計決算の認定について、反対の理由を述べます。

鹿沼市は、水道事業第5次拡張計画の第1回変更計画、これの見直しをしました。第5次拡張計画の見直しをしました。それが第1回変更計画であります。厚労省の認可を受けて、平成21年度4月1日からこの制度が、計画がスタートしております。

それでは、どこを見直したかですが、これまで市民の飲み水は全て地下水で賄っていますが、この地下水を一部廃止して、南摩ダムの水、表流水を利用するというものです。しかし、佐藤市長の誕生によって、事態は大きく変わりました。佐藤市長は、水道事業に対して、市民の飲み水はこれまでどおり地下水で賄う。そして、南摩ダムの水は使わないという画期的な方針を示しております。

その後、民主党政権の誕生によって、南摩ダムの本体工事が凍結となり、南摩ダム中止の可能性も生まれ、先に佐藤市長が示した方針転換が現実的になってきております。そこで佐藤市長が示した方針がこの21年度の水道事業の中にどのように生かされてきたかです。

第5次拡張計画第1回変更計画の最も大きな見直しはダムの水を取るために、一部地下水を廃止したことにあります。そこで、南摩ダムの水は使わないわけですから、いったん廃止をした地下水を復活させる必要があると思います。

廃止になったのは第3浄水場第6、第7、第8取水井です。これ、南押原地区の井戸で、1日当たり1万1,100トンあります。取水できます。同意が得られなかった理由はこの地域は給水区域外のため、水だけ持っていかれるという抵抗感があったためです。しかし、今は給水区域となっております。今では水道加入者もふえております。自分たちが飲む水ですから、住民同意は得られると思いますので、住民との交渉を求めるものであります。

もう1つは、今後のために水源開発にもっと力を入れることです。既に調査をしておりますが、ダムを必要としない水道事業のために、積極的な水源調査を求めるものであります。

2つに、第1回変更計画の基本的なことについてですが、今給水人口は目標は8万6,000人です。鹿沼の人口は減っております。2015年までにあと1万人をふやす計画は何も示されておりません。この給水人口ももっと減らすことを求めます。

また、1日当たりの取水能力は3万7,800トンです。実質値は3万トンですから、今の取水能力でも対応は十分可能ですが、安全をとって新しい水源の確保を求めるものであります。

最後に3点目ですが、市民の水使用量ですが、市民の水使用の現況は3割の世帯が基本水量10立方未満であることを重く受けとめる必要があります。これは高齢者ひとり世帯がふえているのも大きな1つの理由となっております。基本水量を5立方に見直すことを求めます。これは節水対策にもつながるものであります。

以上で私の反対討論といたします。 終わります。


●水源開発をいつまでやるのか

芳田議員は、鹿沼市上水道の「1日当たりの取水能力は3万7,800トンです。」と言っていますが、この数字は、鹿沼市水道事業変更認可申請書(第5次拡張変更)(1−3−2ページ)によれば、地下水を21,600m3/日取水し、表流水を16,200m3/日取水した合計の水量です。現在の井戸能力は37,590m3/日であると書かれています。37,800m3/日は、表流水の取水を前提とした数字であるということです。

芳田議員の意見には概ね賛成ですが、「今後のために水源開発にもっと力を入れること」が必要なのかは疑問に思っています。

鹿沼市の人口は2000年をピークに減少しています。今後どれくらい減少するかというと、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2010年から2030年までの間に約12%減ります。

給水人口は、給水区域の拡張を見込んだとしても、2030年度には7万程度ではないでしょうか。現在より8,000人近く減るのではないでしょうか。

どこの自治体でもそうですが、今後、水道事業は、出費の増大と収入減に苦しみ、経営が成り立たなくなることが予想されます。

今、水源開発に投資することが必要でしょうか。この投資が将来禍根を残すことにならないでしょうか。水源開発よりも漏水対策に投資すべきではないでしょうか。

水源に余裕は必要ですが、水源がたくさんないと不安だからできるだけ多くの水源を確保するという考え方ではなく、どれだけ余裕があればいいのかという検討を科学的に行うことが必要ではないでしょうか。  

(文責:事務局)
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