「南摩ダムの水は使わない」

2008-09-18,2008-09-19修正,2008-09-25追記,2008-10-10修正

●「ダムの水は使わない」との市長発言

2008-08-10に、西大芦地区で西大芦漁業協同組合主催のアユの食味会が開かれました。出席した佐藤信鹿沼市長は、あいさつの中で「鹿沼市水道事業第5次拡張計画の第2回変更計画として、南摩ダムの水は使わない計画を作る」と述べました。福田昭夫衆議院議員も同席していました。

選挙前に言っていたことを当選後も言っているのですから、佐藤市長の考え方にブレはありません。佐藤市長は、南摩ダムについては、「水没予定地の住民が移転して、しかもダムは造らないのが一番いい」と言いましたし、水道にダムの水は使わないと言っているのですから、佐藤市長の考え方は、私たちの考え方と全く一致します。私たちは、佐藤市長の公約実現のために協力しなければなりません。

●これで職員も安堵か

これまでは、ダム促進派の阿部和夫氏が市長だったので、水道部や企画部の職員は、心ならずも南摩ダム建設を前提とした行政を進めざるを得なかったのですが、今年6月20日に就任した佐藤信市長が、鹿沼市は水道水源にダムの水は使わないと言っているのですから、職員も良心の呵責を感じることなく、脱ダム行政を進めることができる事態になりました。鹿沼市は、思川開発事業からさっさと抜け出せばいいのです。

ところが、脱ダム行政はあまり進展していないようです。市の職員がブレーキをかけているという噂も聞こえてきますが、ダム関係の職員は、喜々として脱ダムに向けて仕事をしているはずだと私は思います。そうだとすると、市長公約の実現を妨げる"市民の敵"は一体だれなのでしょうか。分かる人がいたら教えてください。

●議会で「水道事業計画の見直しはしないが調査・研究はする」と答弁(2008-10-10修正)

2008年7月の鹿沼市議会で芳田利雄議員が水道問題について質問しました。質疑の概要は、以下のとおりです。

芳田議員は、「そもそも栃木県内の下流県にも新規の水需要はないので、南摩ダムを建設する必要はないと思いますが、仮に百歩譲って、新規の水需要があったとしても、このように水のたまらないダムでは、その役割を果たすことはできません。  そこで、伺いたいと思います。ダムに本当に水がたまるのかどうか、佐藤市長の認識を示していただきたいと思います。市長の見解を求めます。よろしくお願いします。 」と質問しました。市長の答弁は、次のとおりです。

ダム起業者であります水資源機構からの説明によりますと、南摩ダムの計画は、昭和30年度から59年度までの30年間の南摩川及び大芦川や黒川からの導水可能量に基づき、計画が行われたものであります。
 私も、そういった部分では、しっかりと確認をしておく必要があろうかと思いまして、ダム起業者でございます水資源機構からおいでをいただきまして、説明を受けました。南摩ダムの計画そのものは、昭和30年度から昭和59年度までの30年間、南摩川及び大芦川、黒川からの導水可能量に基づいて計画が行われたものであります。

 この2河川における30年間の導水可能量と南摩川の流量の合計は、これは川の流れで解析したデータということになっています。年間平均で3,900万トンであったものが、河川に設置した水位計で、これによって平成13年から平成15年の3年間、そしてまた平成15年から平成17年の3年間ということで、これは水位計によるデータに基づいて導水可能量というものをはかったわけでありますけれども、年間平均で、平成13年から平成15年が5,900万トン、そして平成15年から平成17年が5,600万トンということで、当初解析していたデータに比べて、かなりの量で、水位計によるデータというものの結果によって、平均で年間5,000万トン以上取水できるのではないかということで、裏づけがとれましたということの説明を受けたわけであります。

 ダム計画における飲料水、農業用水の年間使用量というのは3,500万トンですから、そういう意味では差し引き年間1,500万トンぐらいの貯水が可能になるだろうと。そうすると、おおむね3年から4年ぐらいで、当初の容量であります5,100万トンの貯水は可能になるというふうに私もお聞きをしたところでございます。どう思うかというよりも、現時点では、その事業主体であります水資源機構からの、そういった説明について理解をいたしていると、こういうことで答弁とさせていただきたいと思います。

30年間の流量データよりも3年間のデータを信用しろ、というのは無理ではないでしょうか。「平成13年から15年までのデータにおいては、2河川の導水可能量と南摩川の流量の合計は、年間平均で5,900万トンであるとのことです」が、大芦川と黒川の大洪水のときに、取水制限流量を超える流量をすべて南摩ダムに導水できるという計算をしていないでしょうか。導水量は、導水管の太さによって制限されますし、取水工において沈砂池に水をため、土砂を沈めてから導水しますから、沈砂池の容量によっても導水量は制限されます。

板荷地区の説明会で使われた資料には、年間5,900万m3ためるには、大芦川の年間流量の24%、黒川の年間流量の16%を導水し、南摩川の年間流量の全量をためる必要があります。

南摩川の年間流量を一滴残らずダムにためて合計すれば、5,900万m3たまるということですが、少なくとも南摩川の自流くらいは、河川維持流量として流さなければなりませんから、これを利水に使える水量としてカウントすることが妥当とは思えません。また、大芦川の年間流量の24%、黒川の年間流量の16%を導水されたら、両河川に相当の影響が出ると思います。大芦川では、年間に3か月も取水されたら、流量が減り、生態系に大変な被害が出ると思います。

今でもよく分からないのですが、南摩ダムに入ってくる水の量は、百歩譲って、どんなにがんばっても年間5,900万m3です。ところが開発水量は、3.202m3/秒=約1億m3 /年です。ごまかされているように思います。ダムがあってもなくても川の年間流量はほぼ同じです。ダム湖から蒸発するから、ダムがある場合の方がむしろ年間流量は少ないかもしれません。ダムで水の流れるタイミングをずらすこと、言い換えれば、ダムで川の流量を平準化することで、それほど水が使えるようになるのでしょうか。なるとすれば、平準化による弊害を考慮しなくてよいのでしょうか。

1984〜2002年の19年間について南摩ダム貯水池の運用シミュレーションを水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之共同代表が行うと、延べ14年は貯水量がゼロ又はほぼゼロとなっており、利水ダムとしての機能を発揮しないことが証明されています。水資源機構の受け売りで素人だましの答弁をするのはやめてほしいと思います。

芳田議員は、市民の飲み水を地下水から表流水に変えることをどう考えるのかを質問しました。「特に市長は、さきの選挙で表流水を使う必要はない、地下水を使えばよい、鹿沼には地下水がある、こういう発言をしていたと思うのですが、含んだ答弁をお願いしたいと思います。 」と聞いています。 市長の答弁は、次のとおりです。

 平成18年度末における本市の上水道の給水人口は7万6,728人であり、簡易水道等を含めた普及率は84.4%となっております。これは県内14市中で14番目の普及率であり、一日も早い水道からの給水を望む市民の皆さんのためにも、引き続き拡張を図っていかなければならないと考えております。したがいまして、現在浄水場ごとに5つのブロック化をいたしておりまして、給水区域を定めておりますけれども、ブロック間で配水を調整しながら、市民生活に影響が出ないよう水道事業を展開していきたいと考えております。

 なお、計画見直し後の新規事業につきましてでありますけれども、既に事業に着手している部分もございます。今後考えられる方策について調査、研究を指示しているところであります。

 選挙のときに地下水でいいのだというお話をさせていただきました。水のことですから、どうしてもなくなれば表流水ということを否定するわけにはいかない。したがって、南摩ダムにつきましても、水利権を持つということについては、これは私も了解をいたしているところであります。しかし、当然表流水を使うということになりますと、取水堰、浄水場等々の工事費用を含めると莫大な投資をすることになります。

 したがって、水道料金にも当然大きくはね返ってまいりますから、でき得る限り地下水でしのいでいくほうがベター、ベストであることには間違いなかろうかと思います。そういう意味で、地下水でというふうにお話をさせていただき、これだけ余裕があるではないかというお話もいただきました。そういうことも含めて、これから鋭意検討しながら、地下水でもって賄えるよう精いっぱい努力をしていきたいと考えております。

佐藤市長の考え方は、水利権は取得する、しかし取水施設や浄水施設は当面造らないということが明らかになりました。

鹿沼市の水道普及率が低いと言いますが、西部簡易水道を完成させても加入者が少ないことを水道当局はどう説明するのでしょうか。水道の需要がなかったことの証明ではないでしょうか。

西部簡易水道は、2006年4月に旭が丘簡易水道と統合され、西部地区簡易水道となりました。その直前の3月議会での芳田議員の質問に対して渡辺政夫水道部長は、西部簡易水道の利用状況について、「計画給水戸数は11事業所を含む835世帯であり、平成16年度末利用戸数は給水可能戸数620戸に対し加入戸数262戸、率にして42%、使用戸数152戸、率にして約25%であります。」と答弁しています。

完成から4年経っても25%しか使っていない水道施設だったのです。安くてうまい井戸水が飲めるのに、わざわざ高いカネを払って塩素の入った水を飲む必要がないという住民が多いのが実態ではないでしょうか。

水需要があると言って水道施設を建設し、完成してみたらやっぱり加入者があまりいませんでしたという失敗を今後繰り返さないという保証があるのでしょうか。

芳田議員は、鹿沼市水道事業第5次拡張の見直しをすべきではないかと質問しました。市長の答弁は、次のとおりです。

 鹿沼市水道事業第5次拡張事業は、平成8年に認可を取得し、着実に推進しておりましたが、10年が経過し、認可内容と現状に差が出てきたことや、東大芦川ダムが中止されたこと、原水からクリプトスポリジウムの指標菌である大腸菌等が検出されたことなどから、平成18年度に認可見直しに着手いたしました。

 国とは変更の認可内容について事前協議を進める一方、平成19年12月議会に提案した鹿沼市水道事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案の議決をもとに、細部にわたった調整完了後、国に変更認可を申請し、本年3月26日、認可を取得いたしました。

 現在は、認可取得後間もないこともあり、即第5次拡張事業第2回変更の認可協議は難しいことから、さきの質問にお答えしましたとおり、担当部の調査研究の結果を待って、議会にもその案をお示ししながら、理解を得ていきたいと考えております。

鹿沼市水道事業第5次拡張事業は、「着実に推進して」きませんでした。なぜなら、この計画における水源計画は、南押原地区の地下水(日量11,100m3)と東大芦川ダムからの表流水(日量16,200m2)でしたが、どちらの水源も確保できなかったからです。

「現在は、認可取得後間もないこともあり、即、第5次拡張事業第2回変更の認可協議は難しい」とのことですが、市長が代わって、市の方針が変わるのは仕方ないことではないでしょうか。そうでなければ、市長を代えた意味がありません。阿部市長の水道政策は間違っていたのですから、一刻も早く改めるべきです。

「調査・研究」をするなら、その間、ダム水の利用を前提とした事業は凍結するのが筋です。

芳田議員は、水道行政に対する住民参加について次のように質問しました。

これまでの水道行政においては、水道計画に民意が反映されませんでした。だから、ダム建設などというとんでもない事業計画が明らかになったわけであります。

 そういう点で、この東大芦ダムは住民の反対運動で中止になったわけですが、この住民運動からやっぱり行政は学ぶ必要があると思います。第5次拡張計画を議会の議決を経てという話もありましたが、実際には、議会にはそんなに説明されていないのです。このA4の紙ぺら1枚です。10か年計画も、予算規模も、財政内訳も、どれだけ値上げされるのかも全く説明がないのです。

 だから、そういう点では、やはり議会にちゃんと報告をして、市民にこういった事業内容を示して、市民の意見を聞く、ここからスタートするのがいいのではないかなと思うのです。この辺について市長の答弁をお願いいたします。

佐藤市長の答弁は次のとおりです。

もちろん議会を含めて、市民の皆さんにもその辺のところを十分ご理解いただいた上、当然大きな負担がかかる話でありますから、そのことは丁寧にご説明しながら、なおかつ先ほど申し上げましたように地下水を主体にどうやっていけるのかという、変更申請も含めて、これから考えていきたいと思っています。

「大きな負担がかかる話でありますから」市民に説明すると言いましたね。とりあえず広報かぬまの記事を待ちましょう。

●9月議会でもダム水不要と市長発言

佐藤市長は、2008年9月議会でも「ダムの水はできる限り使わない」と発言しました。重大な発言であり、大ニュースになるかと思いきや、なぜか新聞は書いてくれません。

市長が脱ダムを公言してくれるのは頼もしい限りですが、問題は、本当に鹿沼市が思川開発事業から脱退できるのか、です。

2006年度中に、市民が知らないうちに(議員は知っていたのでしょうけど)、鹿沼市と栃木県と国交省と水資源機構の間で、鹿沼市が思川開発事業に正式に参画する手続が進められていました。関係書類は、次のとおりです。鹿沼市水道事業変更認可申請書(第5次拡張変更)の添付書類です。
鹿沼市が思川開発事業に参画するための文書のやりとり(PDFファイル376KB)

水道水源に関する市長公約を実現するためには、鹿沼市は、県、国交省、水資源機構とうまく交渉していくことが必要です。

●水需要は減る

9月議会で芳田議員は、上水道の水源として南押原地区の地下水の確保をあきらめるなと発言しました。万一の水不足に備え、鹿沼市は新たな水源を確保しなければならない。そのためには、宇都宮市や日光市から供給を受けることも考えるべきだと発言しました。

私は新規水源を確保しなければならないとは思えません。 「野村総合研究所の報告書によると、2040年の日本の水道使用量は現在の4分の3から半分に減る見通し」(2008-02-16読売)なのです。何もしなくても水は余るということです。

ちなみに、民間研究所の予測は結構当たります。外れる予測を売っていたのでは、信用をなくし、商売にならないからです。もっとも、役所に寄生して、行政の注文どおりの人口予測や水需要予測をやっている民間コンサルタントもあり、そういう会社は役所の仕事を受注し続ければデタラメの予測をしても食べていけるので、民間会社でも食っていける保証があるなら、デタラメの予測を平気でやります。上記の野村総合研究所の報告書は、結論から見て、役所が発注した業務の報告書ではないと思います。

芳田議員は、大規模な渇水や万一の地下水汚染事故に備えて水源には余裕が必要だと言いたいのかもしれません。

少なくとも、鹿沼市の現在の上水道計画では、1日最大給水量が2015年度に37,800m3になると推計しています。松原に供給する余裕まで見込んでいます。2015年度以降は鹿沼市の1日最大給水量は減ると見込んでいます。そして鹿沼市は既に38,100m3/日の水源を保有しています。新規水源の確保は不要ではないでしょうか。鹿沼市は、余裕の水源が必要だなどと言っていません。当局が必要と言っていないのに、市民や議員が必要だと言うことはないと思います。ちなみに、鹿沼市の1日最大給水量は、2007年度で29,520m3/日です。3万トンを割っています。大事なことなので二度言いますが、鹿沼市の保有水源は38,100m3/日です。既に余裕はあります。

ちなみに水道事業においては、水源に余裕があるかどうかは、1日平均給水量に着目して判断しているようなのです。つまり、水道事業者は施設利用率(=1日平均給水量/1日給水能力)という概念を立てています。

例えば西方町の保有水源量は4,060m3/日で、1日最大給水量は4,026m3/日(2007年度)であり、ほぼ等しいのですが、全く動じる様子がありません。「水源の手当ができないような町長は辞任しろ」という町民の声など聞いたことがありません。西方町の1日平均給水量は2,673m3/日です。保有水源量の66%にすぎません。施設利用率66%ということです。このあたりが、西方町が思川開発事業の完成を悠長に待っていられる理由だと思います。しかも西方町の同事業への参画水量は当初34m3/日だったのであり、明らかに"おつきあい"です。最終的には480m3/日を要望していますが、本来不要な水量です。

鹿沼市の1日平均給水量は、2007年度で26,169m3/日です。保有水源量の69%にすぎません。余裕がありますよね。

●ダム水利用の愚

水道料金の値上げについて、上記読売記事では、「ダムへの投資や水質悪化に伴う高度浄水処理の導入などがコストを引き上げている」という水道協会の羽根田卓一調査課長の分析を紹介しています。

「ダムへの投資」や「高度浄水処理の導入」は、まさに鹿沼市がやろうとしていることです。ダムの水なんか使うから、膜ろ過処理などというカネのかかる処理が必要になるのです。

野村総研の報告書をまとめた宇都正哲さんは、コスト削減策の一つに地下水利用を提案しています。「土壌がフィルターの役目を果たすため、一般に河川水より水質がよく、浄水費を圧縮できるのが、その理由だ」(上記読売記事)。

地下水利用は、鹿沼市が既にやっていることです。地下水を放棄して河川水を利用することが安全で安心な水道行政なのだという政策を私は到底理解できません。この政策は、阿部前市長が主導した政策なのでしょうか、水道当局が主導した政策なのでしょうか。

●「水道審議会は設置しない」と答弁(2008-09-25追記)

芳田議員は、水道事業に関する中長期計画を策定する場合、水道審議会を設置すべきと思うがどうか、と質問しました。

そもそも水道事業に関する中長期計画の策定をいつやるのか分かりませんが、水道部長の答弁は、「懇談会を設置したい」というものでした。芳田議員のコメントは、「公募委員を入れるように」というものでした。

審議会と懇談会は、どう違うのでしょうか。

「審議会等の透明化、見直し等について」(1995年9月29日閣議決定)には、懇談会とは、「その会合が審議会等とは異なり、あくまでも行政運営上の意見交換、懇談等の場として性格付けられるものである」と書かれています。

他方、自治体で審議会とは、付属機関の一つです。付属機関とは、「執行機関がその内部部局のほかに、必要と認めて設置する機関及び行政執行の前提となる調査、調停、審査等を行うために設置される審査会、審議会等の機関」(「自治用語辞典」ぎょうせい)です。Wikipediaでは、分かりやすく「合議制の諮問機関」としています。"はてなキーワード"では、「学者や専門家や利害関係団体が政策に関する提言を行う、各官庁や自治体の付属機関である。政治家や官僚が委員になることはない。」と解説していますが、鹿沼市では、議員や職員が委員になっています。

懇談会は、意見交換の場にすぎません。懇談すれば、それで終わりです。ところが審議会では、例えば、市長から諮問されて、審査し、答申します。決定するのはあくまでも市長であり、答申に法的拘束力はありませんが、事実上拘束されます。答申を無視すれば、市長は、道義的・政治的責任を負うことになります。国土交通省近畿地方整備局長が淀川流域委員会を設置しておきながら、同委員会を無視してダムありきの河川行政を進めるという暴挙に出て、大問題となっています。

鹿沼市の執行部が水道審議会の設置を避けたのは、審議会の意見に拘束されたくないということでしょう。審議会の意見が民意だとすれば、民意に従いたくない、水道行政は執行部で勝手にやりたいというのが執行部の本音ということでしょうか。それでは、水道行政から民意を排除していた阿部政権と同じです。

市長選前のテレビ討論会で、阿部氏が「政策はオレが決める」みたいな言い方だったのに対し、佐藤氏は「政策を決めるのは市民の皆さんです」というような、阿部氏とは対照的な回答をしていたような記憶があります。佐藤市長が水道部長の答弁を了承したことが信じられません。

●水道審議会の設置を望む(2008-09-25追記)

巷間、御用審議会が行政にお墨付きを与えるだけの、いわゆる"審議会行政"の弊害も指摘されていますが、審議会をきちんと運営すれば、審議会は民主的行政に資するものです。ダム水を使わない水道行政という市長公約を実現するには、審議会の設置が有効だと思います。

国では、中央環境審議会がかなり理想的な運営をしていると聞いています。国の審議会等については、審議会等の整理合理化に関する基本的計画(1999年4月27日閣議決定)が策定されています。

審議会の公開(傍聴)については、鹿沼市審議会等の会議の公開に関する要綱が既にあり、原則公開ですが、不十分です。傍聴人に発言の機会を与えるべきです。傍聴人と委員の意見交換を認めるべきです。

議事録も公開することになっているが、迅速でなければ意味がありません。市民がリアルタイムで情報を共有できなければなりません。ホームページへの迅速な掲載が必要です。インターネットの普及により全市民が審議会の議論にほぼ同時関与することが可能な時代になっています

委員の構成については、最近では公募委員は不可欠になっています。

審議会に議員は加えるべきでないと思います。議会はチェック機関であり、執行部の諮問機関に議員が最初から入っていては、チェック機能を十分に果たせません。

職員も委員にすべきでありません。職員は市長の補助機関であり、諮問する側とされる側が一緒では意味がありません。

パブリックコメントを募集し、審議会の議論の俎上に乗せるべきです。鹿沼市総合計画ではパブコメを募集したものの、委員には見せませんでした。

県内では那須塩原水道事業審議会があります。岡山市水道事業審議会、倉敷市水道事業審議会、本庄市水道事業審議会、郡山市水道事業経営審議会、鶴岡市水道事業経営審議会など全国にはたくさん先進事例があります。

審議会の在り方については、長野県上田市の審議会等附属機関の在り方等に関する基本指針、模原市審議会等 の 在 り 方 に 関 す る 基本指 針 が参考になります。

(文責:事務局)
フロントページへ>鹿沼の水道へ>このページのTopへ