文書管理に関する栃木県知事への公開質問

2014年3月13日

●栃木県知事に文書管理について質問した

思川開発事業を考える流域の会は、2013年12月18日付けで栃木県知事あてに下記の質問状を送付しました。

栃木県が思川開発事業に参画する際に作成した検討資料のうちどのような資料が現在も残っているのか、廃棄したとすれば、いつだれがどのような理由で廃棄したのか、代替案の費用が記載された検討資料があるのか、代替案の費用に関する資料が廃棄された場合、政策決定の妥当性が検証できなくなることについての見解などについて質問しました。

また、公文書等の管理に関する法律に準じた文書管理規程の改正をいつ行うのかも質問しました。

2013年12月18日
栃木県知事 福 田 富 一 様
思川開発事業を考える流域の会代表

文書管理に関する質問
日ごろ県民益の実現のために尽力されておられることに敬意を表します。
さて、私たちは、2004年に提起したダム訴訟において、勝敗を決するほどの重要性を持つと思われる公文書が、訴訟係属中であるにもかかわらず、保存期間の満了を理由に廃棄されていたという事実に直面し、由々しき問題だと考えております。
そこで、栃木県の文書管理の方法について別紙のとおり疑問がありますので、お忙しいところ恐縮ですが、2014年1月31日(金)までに下記あてにご回答くださるようお願い申し上げます。

質問事項
1 思川開発事業に参画する際の検討資料について
栃木県は、2001年に思川開発事業に参画することを決定するに当たって、代替案を含めた検討を行いました。
(1)どのような組織をつくって検討しましたか。
(2)検討に関する資料のうち、現在も存在する資料についてうかがいます。
ア どのような資料が現在も存在しますか。
イ 廃棄しなかった理由は何ですか。
(3)検討に関する資料のうち、廃棄した資料についてうかがいます。
ア どのような資料を廃棄しましたか。
イ どのような方法で廃棄しましたか。
ウ 廃棄の専決権者はだれですか。
エ 廃棄した時期はいつですか。
オ 廃棄した理由は何ですか。
カ 保存期間はどのような理由で何年としましたか。
(4)代替案の費用が記載された資料についてうかがいます。
ア 当該資料は現存しますか。
イ 廃棄したとすれば、いつ、どのような理由で廃棄しましたか。
ウ 廃棄したことが妥当であると考えますか。
エ 妥当であると考える場合、その理由は何ですか。
(5)代替案の費用に関する資料が廃棄された場合、政策決定の妥当性が検証できなくなると考えられますが、このことについて貴職の見解をお示しください。

2 公文書管理の方法について
国では、公文書等の管理に関する法律に基づき各省庁で文書管理規則を定め、公共事業の事前評価に関する資料が事業完了前に廃棄されることのないように運用されています。また、同法は、「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」(第34条)と規定しています。
(1)栃木県において公文書等の管理に関する法律第34条に基づき、同法の趣旨にのっとって公文書の保存期間等を改正する意向がありますか。
(2)あるとすれば、いつまでに改正しますか。 (3)ないとすれば、その理由は何ですか。              以上


●説明責任を果たす姿勢なし

2014年1月28日付けの栃木県知事からの回答は、「文書管理に関する栃木県知事の回答」のとおりでした。

木で鼻をくくったような回答書であり、説明責任を果たそうという姿勢が見られません。代替案についてどのような検討をしたのかを知られたくないという姿勢がありありと見えます。

代替案の費用に関する資料が廃棄された場合、政策決定の妥当性が検証できなくなることについての見解については、回答拒否です。

私たちは、思川開発事業への参画当初の代替案の検討に間違いがなかったのかを再検討したいと考えているのですが、福田知事は、そうはさせないと考えているのでしょう。

また、栃木県文書等管理規則等の改正についてもやる気があるのかについても答えません。したがって、ある事業に関する検討資料をその事業の完成前であってもどんどん廃棄してしまうという事態がこれからも続くということです。説明責任を果たす姿勢はさらさらなく、「絶望の栃木県庁」です。

●栃木県職員としての心構えに反しないのか

栃木県は、「とちぎ行革プラン」で行財政改革推進の5つの視点の一つに「透明性の確保と説明責任の徹底」が挙げており、次のように書かれています。

(5) 透明性の確保と説明責任の徹底
行財政改革の推進状況及び成果について、県民に分かりやすい形で公表し、透明性の確保と説明責任の徹底を図ることによって、県民の理解と協力を得ながら改革に取り組む。

栃木県は、思川開発事業について、利子を除いても治水負担金として130億円、利水についてはダム建設負担金で64億円、水道施設建設で192億円を使うことになりますが、透明性の確保と説明責任の徹底は必要ないのでしょうか。

●知事の資格なし

栃木県重点戦略「新とちぎ元気プラン」(2011年度〜2015年度)のp78には、「(1)県民に開かれた県政の推進」という項目があり、次のように書かれています。

目指すべき将来像に向かって、多様な主体による協働を広く展開していくためには、県民 との間に信頼と責任あるパートナーシップを構築することが重要です。このため県では...
・県政に関する様々な情報の積極的な発信と説明責任の徹底により、県民との情報の共有化を図っていきます。
・様々な機会を通じて県民の意見やニーズを把握し、県政への反映を図っていきます。

思川開発事業に関する限り、「情報の積極的な発信と説明責任の徹底」や「県民との情報の共有化」とはほど遠い状況にあり、県の言うこととやることは違っています。

説明責任を果たそうとせず、公金を浪費する、そんな県政運営を指揮する福田富一氏に知事の資格はないと思います。結局、選挙になると彼を当選させてしまう県民が悪いという話になると思います。

そう言われても、県民としては、日々の生活に追われ、栃木県政の状況を把握する暇がないし、マスコミも理不尽なダム行政を採り上げる機会は少ないし、運動団体は力量不足でPR不足。それぞれが「仕方がない」という言い訳をするのでしょうけど、こんな「仕方のない」状態を私たちはいつまで続けるのでしょうか。

(文責:事務局)
文中意見にわたる部分は、著者の個人的な意見であり、当協議会の意見ではありません。
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