民主党に脱ダムの意思はあるのか

2011-02-08

●ダム撤退のルールを示せ

2011年1月29日付け下野は、ダム事業の検証について、「撤退費用ルールを示せ」という見出しで良い論説を書いています。

思川開発事業に栃木県を通じて参画している2市6町(当時、その後合併して2市4町)が、年間で最も多く給水した日の実績(1日最大給水量)に対し平均1.5倍の水源を保有していること、単独参画の鹿沼市と小山市もそれぞれ1.3倍の水源を保有していること、1人当たりの水使用量が減少傾向にあること、人口減少時代に入ったことを考えれば、今後も水需要が大きく膨らむことは考えにくい、と書いています。

そして、検証の結果、ダムの水は必要ないということになっても、現行法では、撤退してもダムの費用負担を求められることが問題だと書いています。

「自治体に事業参画継続の意思を問うならば、まず国は、今回の検証でダム事業を中止、撤退した場合の費用分担のルールを明示する必要がある。」と主張しています。

「ダム事業から自治体が撤退しても、財政的負担を求めないことにする特別立法を考えるべきだ。」と主張します。正論です。

ところが民主党政権は、特別立法をする気配はありません。

●五木村もほったらかし

2011年1月19日付け熊本日日新聞は、川辺川ダムについて次のような記事を書いています。

五木村補償法案、提出見送り 「国会情勢厳しい」と国交相

 国土交通省は18日、川辺川ダム事業中止に伴う五木村の生活再建支援に関連した補償法案について、24日開会する通常国会への提出見送りを決めた。大畠章宏国交相は同日、見送りについて熊本日日新聞社などのインタビューに答え、「大事な視点だが、国会の情勢が厳しく、(法案を提出するかどうか検討する)俎上[そじょう]に載らなかった」と説明した。

 補償法案は、公共事業を中止した場合に関係自治体や住民の生活再建を財政支援する根拠法となる。国交省は「川辺川ダムを全国のモデルケースとしたい」として熊本県や五木村と協議中の生活再建策に沿って補償対象などを固め、2011年度の予算関連法案としての提出を目指していた。

 大畠国交相は「これまでの大臣と同様に必要だという認識は持っている。提出に向けて引き続き準備、検討を進めたい」と強調した。補償法案提出延期は昨年の通常国会に続いて2度目。(原大祐)

民主党政権は、川辺川ダムの中止に伴う五木村の生活再建支線に関連する補償法案の国会への提出を再度見送りました。

見送った理由が「国会の情勢が厳し」いからというのですが、意味が理解できません。

●八ツ場ダムは2018年までに完成

2011年2月4日付け毎日新聞は、次のように報じています。

大畠国交相:八ッ場ダム完成、3年遅れの可能性

2011年2月4日 11時17分

 大畠章宏国土交通相は4日午前の衆院予算委員会で、群馬県長野原町の八ッ場ダムの建設について「さまざまな難しい問題もあるので秋までに検証を進めたい。もし建設を進めるとの判断になった場合は2018年をめどにダムを完成させたい」と述べた。現行計画は15年完成を目指しており、3年遅れになる可能性を示唆した。自民党の佐田玄一郎氏への答弁。【中山裕司】

八ツ場ダムの中止は民主党のマニフェストに書かれていたはずです。

それが「もし建設を進めるとの判断になった場合は」という留保付きですが、「2018年をめどにダムを完成させたい」と変わってしまいました。

民主党政権はどうなっているのでしょうか。

民主党が不甲斐ないから自民党政治に戻せばいいかというと、自民党に政権を任せたら、現在凍結されているダム事業はほとんどすべてが凍結解除となるでしょう。財源がないから、すべてのダム事業を完成させることは無理でしょうが。

だから、どっちがましかと言えば、民主党がましであるとは言えます。

(文責:事務局)
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