栃木県は検討資料の提出を求められた

2012年7月27日

●検討の場第3回幹事会の議事録が公表された

6月29日に開かれた「思川開発事業の関係地方公共団体からなる検討の場 第3回幹事会」の議事録が関東地方整備局のホームページに掲載されました。

http://www.water.go.jp/honsya/honsya/verification/omoigawa.html

http://www.water.go.jp/honsya/honsya/verification/pdf/omoigawa/03_giji.pdf

以下に、栃木県が関係する部分を抜粋します。

○ 事業課課長補佐
(略) それから確保水源の状況でございますが、現時点で各利水参画者が確保している水源量 について確認しております。 7 その他ということで、そこに記載しております利水参画者の方々におきましては、下に書いております開発事業などを見込んでいらっしゃるということでございます。

3ページ目をちょっとごらんいただければと思います。まず水道事業の認可の状況でございますが、鹿沼市、小山市、古河市、五霞町、埼玉県それから北千葉広域水道企業団でございますが、こちらにつきましては水道法の6条、それから水道法26条に基づきまして、水道事業または水道用水供給事業として、水道事業の認可を受けていらっしゃるということです。

栃木県の思川開発事業に係る水道事業の認可について確認させていただきました結果、関係機関で協議し、調整するということをご回答いただいております。

それから事業再評価の状況でございます。厚生労働省が定めた水道施設整備事業の再評価実施要領に基づきまして、水資源機構が事業評価監視委員会に諮りまして、事業継続ということの評価を平成20年度にいただいております。この結果を受けまして、思川開発事業は厚生労働省から国庫補助金の継続も認められているというところでございます。

それでは、別添資料を使いまして、個別の状況を説明させていただきます。1ページ目に各基本的なデータなど、それから水源の確保の状況などを整理しております、栃木県さんの状況でございます。ここは細かいので省略させていただきます。

その下なのですが、水道事業の事業再評価の実施状況ということで書いております。B/Cが88.9ということで、引き続き事業を実施することが適切であるということで、評価をいただいております。

2ページ目でございますが、これは栃木県さんの利根川水系と括弧して書いておりますが、鬼怒川それから渡良瀬川の流域の係るエリアについて整理された結果ということでございます。このページは給水人口をあらわしております。これまで緩やかに上昇する傾向にございまして、現在約150万人ほどいらっしゃいます。将来、目標年につきましても、若干増加するということで見込まれておられるようでございます。

それから3ページ目でございますが、これは水需給の状況ということで、給水量と、それから水源の確保状況など整理してございます。下のグレーの棒グラフのところでございます。これが地下水をあらわしております。それから黒いところが河川水になりまして、白抜きの四角が現在確保されていらっしゃる水資源開発施設による水源量でございます。

それから上の点線の部分が暫定水利権に係る分ということです。
現在はこういった状況でございまして、将来の目標年27年でございますが、現在と同程度の地下水の取水を計画されているということでございます。

栃木県さんにおきましては、関東平野の地盤沈下防止対策の保全地域にされているということでございます。

将来でございますが、一番右の20分の2の供給可能量と書いてございますが、20分の2の渇水のときでも取水ができるようにということで確保される水源量でございます。

これと将来の需要量、最大取水量というのは白丸で書かれておりまして、最大給水量というのが白抜きのひし形で書いておりますが、これと均衡するような状況にあるということでございます。

それから4ページ以降が鹿沼市さんの状況でございます。4ページに推計に使う項目につきましては、同様の方法で取りまとめしております。 8

5ページ目でございますが、給水人口でございます。近年は緩やかに上昇するような傾向にございまして、現在7万8,000人ほどの給水人口がいらっしゃいます。将来は8万6,000人ほどの給水人口を予測されていらっしゃいますが、市街地の開発、それから鹿沼市さんの政策である第3子対策事業というものを考慮されていらっしゃるということです。

それから6ページ目でございます。鹿沼市さんの水源の状況でございますが、現在はすべて地下水で賄っておられるということです。鹿沼市さんが独自に設置いたしました地下水の専門会議の中で審議結果に基づきまして、将来地下水の取水量を若干減らそうということで考えていらっしゃるようです。それで足りなくなるものを思川開発のほうで確保するという計画でございます。将来確保される水源量と、それから需要量は均衡するような状況になるということです。

それから7ページ目が小山市さんの状況でございます。同様の方法で取りまとめております。

8ページ目が給水人口の状況でございますが、近年は増加傾向にあるということで、現在14万人ほどいらっしゃるということです。将来も若干増加するということを見込まれていらっしゃるということです。

9ページ目が水需給状況の結果でございますが、こちらにつきましても、関東地方地盤沈下対策要綱の保全地域に指定されているということです。それから、現在小山市さんにおきましては、思川開発事業に係る暫定取水も既に行われているということです。この棒グラフの点線の部分でございます。ほかの水源といたしましては地下水と河川水で賄っていらっしゃるということです。

ちょっと先ほど申しましたが、地盤沈下対策要綱の保全地域にも指定されているということもございまして、地下水の取水は増やさないという計画をされていらっしゃるということです。現在保有される河川水の水源と、それから思川開発で増加するものを確保していこうという計画をされていらっしゃるということです。 (略)

○広域水管理官(関東地方整備局)
すみません。検討主体のほうからなんですけど、1点お願いがございまして、栃木県さんに対してなんですけれども、今回別添資料で整理させていただいたように、利根川の水系全体の水需要予測と、それに基づいた必要な開発施設としての思川開発事業の位置づけというものについては、一応確認させてはいただいているのですけれども、資料−1で説明させていただいたとおり、水道事業認可の状況というところにございますように、栃木県さんの思川開発事業に係る水道事業認可について確認させていただいた結果、関係機関と協議し調整するというお答えをいただいているということでございます。

申しわけないのですけれども、我々、今、思川開発事業についての検証というものをやっているところでございますので、全体のお話に加えまして、思川開発事業に関する部分についての資料について、追加して提出いただきたいと考えているところでございますので、ぜひご協力をよろしくお願いしたいと思っております。

○栃木県総合政策部長
よろしいですか。今、お話しいただいたんですけれども、栃木県といたしましては、当初から県南の市、町からそれぞれの人口とか水需要の動向等を踏まえた要望水量をお聞きしまして、それをもとに事業に参画しているということでございますので、お話ですけれども、今回提出しております資料で、必要開発量の根拠と言いますか、その辺につきましては十分おわかりいただけるのではないかと思っているのですけれども。

○広域水管理官(関東地方整備局)
よろしいですか。ちょっと今日は配付してございませんけれども、ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目というものがございまして、その中の利水等の観点からの検討という部分の中に、我々検討主体は利水参画者に対し、ダム事業参画、継続の意思があるか、開発量として何トン必要か、また、必要に応じ利水参画者において水需要の点検、確認を行うよう要請する。その上で検討主体において、例えば上水であれば人口動態の推計など、必要量の算出が妥当に行われているかどうかを確認するというふうに示されておりまして、これを我々としては予断なくやっていく上では、やはり思川開発の部分について追加して、その部分に関する資料というのをいただきたいなと考えているところでございます。

これは八ッ場のときにも同じようなやり方でやらせていただいているところなので、ご理解いただければと思っております。

○事業課長(水資源機構)
栃木県さんはいかがでしょうか。

○栃木県総合政策部長
あくまでも検証のために必要というお話であれば、できるかどうかですけれども、思川開発事業単独の水需要予測が確認できる資料につきまして、提出できるかどうかも含めて検討させていただきたいと思います。

ただ、いずれの場合にいたしましても、ちょっと時間をいただくことにはなりますので、その辺ご理解いただければと思うのですが。

○広域水管理官(関東地方整備局)
すみません、申しわけないのですけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

○栃木県総合政策部長
検討させていただきます。


●栃木県は資料を出せない

東京都の建設局長代理が七夕みたいなペースの会議をやっているようでは困るみたいなことを言っています。

思川開発事業は、南摩ダムによる水没予定地の住民の移転がすべて終わっているのですから、本来なら検討作業はスムーズに進むはずですが、そうはいかないのは、栃木県が足を引っ張っているからのようです。

おそらく福田富一・栃木県知事は、足を引っ張りたくないのでしょう。

ダム事業に協力すれば、国土交通省に貸しをつくることになり、後々いいことがあるでしょうし、関連工事を請け負う可能性のある建設業者の支持も得られるからです。

福田知事が思川開発事業に協力したいのに、逆に足を引っ張る理由というのはよく分からないのですが、参画する予定の市町(栃木市、下野市、壬生町、野木町、岩舟町)が抵抗していることが考えられます。

なぜ抵抗するのかと言えば、上記2市3町では、いずれも思川開発事業への参画を前提とした暫定水利権を保有していませんので、水道水源は足りている、付き合いで払うカネもない、となれば、今更参画する理由もないということが考えられます。

もっとも、2市3町が今になって抵抗するなら、なぜ2001年の思川開発事業への要望水量調査のときに参画の意思を表示したのか理解に苦しみます。

●必要水量の算出が妥当に行われているかどうかは確認されていない

関東地方整備局の広域水管理官が「「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」というものがございまして、その中の利水等の観点からの検討という部分の中に、我々検討主体は利水参画者に対し、ダム事業参画、継続の意思があるか、開発量として何トン必要か、また、必要に応じ利水参画者において水需要の点検、確認を行うよう要請する。その上で検討主体において、例えば上水であれば人口動態の推計など、必要量の算出が妥当に行われているかどうかを確認するというふうに示されておりまして」と言っています。

だから栃木県(単独参画している鹿沼市と小山市を除く。)は、思川開発事業に関するきちんとした水需要予測を示してほしい、と続くのですが、きちんとした水需要予測をしていないのは、栃木県だけではありません。

鹿沼市については、「5ページ目でございますが、給水人口でございます。近年は緩やかに上昇するような傾向にございまして、現在7万8,000人ほどの給水人口がいらっしゃいます。将来は8万6,000人ほどの給水人口を予測されていらっしゃいますが、市街地の開発、それから鹿沼市さんの政策である第3子対策事業というものを考慮されていらっしゃるということです。 」と説明されていますが、市街地開発や第3子対策事業なんて終わった話です。

2011年8月に策定された第6次鹿沼市総合計画にそのような語は見当たりません。

鹿沼市が思川開発事業に参画する理由を市街地開発や第3子対策事業に求めるなんて、お粗末すぎます。

必要水量の算出が妥当に行われているかどうかは確認されていません。

国土交通省は、栃木県以外の利水参画者については確認済みみたいな言い方をしていますが、事実に反します。

(文責:事務局)
文中意見にわたる部分は、著者の個人的な意見であり、当協議会の意見ではありません。
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