すごいぞ民主党

2009-12-10,2009-12-11追記

●民主党栃木県連、ダム事業見直し

「民主党県連は谷博之代表、福田昭夫代表代行が7日夜に記者会見し、鹿沼市の思川開発(南摩ダム)の中止、日光市の湯西川ダムの中止を含めた事業の全面的見直しを求める、と発表した。本県が関係する群馬県の八ツ場ダム、茨城県の霞ケ浦導水も中止を求めるとした。きょう8日にも党本部に県連としての判断を伝える。同日の同県連常任幹事会で決定した。」(2009-12-08下野)。

民主党県連はよくやりました。私たちは、自民党政権を終焉させた甲斐があったというものです。自公政権下では考えられない事態です。

今回の判断が最終決定ではないので、ぬか喜びにならないように気を引き締めなければなりませんが、民主党県連としては、やるべきことをやってくれたと思います。

●なぜ見直しなのか

民主党県連が4事業を見直しとした理由について、下野は「福田昭夫県連代表代行の意向が色濃く反映された県連方針」(2009-12-09下野)と分析しています。

福田氏が11月9日に民主党県連が湯西川ダムを視察したときに、工事事務所の職員らを前に「このダムはもともと必要ないダムだと思っていた」、「旧栗山村の(故斎藤美喜男)村長が(他市町と)合併したくないために誘致したのが湯西川ダム」、「鬼怒川の治水計画は川治、五十里、川俣の3ダムで完結している」と発言したことを紹介しています。

「本体未着工の南摩ダムについては「南摩川は余りにも水量が乏しい。鹿沼市もダムの水は使わない」などとして、早い段階で中止の意向を固めていた。」とも伝えています。

8日読売は、見直しの理由について次のように報じています。

終了後、取材に応じた福田昭夫衆院議員は、事業を見直すことについて、「民主党は必要のないダムはやめるのが大前提だ。鬼怒川の治水計画は、既存の川治ダムなどで洪水調整が完結している」と説明した。ただ、住民がダム建設に伴う付帯道路や橋の完成を望んでいるとし、「道路や橋などの地域振興策を実施することが前提」とも述べた。

8日毎日は、次のように報じています。

幹事会終了後、会見した代表代行の福田昭夫衆院議員は「温泉街の湯西川上地区の意見が無視されてきた」と述べ、西川と湯西川下両地区は代替地の確保などが措置されたが、上地区は渓流などが失われることで、「長期的な影響が出る」と指摘。「不要なダムはやめるというのが党の基本方針。最終的にどういう見直しをするかは国交省が判断する」と説明した。

確かに福田氏の執念もあったかもしれませんが、まともに議論したら、4事業を継続する道理がないということが一番大きかったと見ることもできると思います。福田氏の説く道理にだれも反論できなかったのではないでしょうか。

9日朝日では、民主党県連の幹事会で、「次の選挙に影響するか」という観点から議論されたという記事が載っていました。次の選挙でも民主党が大勝することがいいこととは思いませんが、これだけ筋を通されたら、よい影響は出ると思います。

●福田氏がいなかったらどうなっていた(2009-12-11追記)

2009-12-09赤旗は、次のように報じています。

民主党栃木県連合会は7日、本体工事中の湯西川ダムについて中止を含めた全面的な見直しを国に要請することを決めました。(中略)県議会で自民党と一体で推進してきた同党の方針転換を明示したものです。

そうなのです。県議会の民主党議員は、自民党や公明党と一体となってダム事業を推進してきたのです。無駄なダム事業に一貫して反対してきた日本共産党としては、民主党県議に対して今更ふざけるなという気持ちはあるでしょう。

10日読売は、「湯西川ダム見直し 波紋広がる」の見出しで、次のように報じています。

 複数の関係者によると、7日夜に宇都宮市内で開かれた常任幹事会には、県連代表の谷博之参院議員ら本県選出の国会議員5人や県議らが出席した。「(ダムに)反対する住民の意見を大切にするべき」という福田氏と、「地元の多数意見はダム建設の推進だ」と主張する出席者で意見が対立。会議は予定時間を約1時間オーバーするほど白熱し、結局、「鬼怒川の洪水調整は既存の川治ダムなどで完結している」などの理由で福田氏の意見が通った形になったという。

 福田氏は、旧今市市長から2000年にダム事業の見直しを掲げて知事に初当選。湯西川ダムの建設現場を視察した11月にも「このダムは必要ない」と、その姿勢を強調した。県連内では「湯西川ダム問題にずっとかかわってきた福田氏の発言はやはり重い」という声もある。

7日夜に開かれた民主党栃木県連の常任幹事会が予定時間を1時間もオーバーするほと白熱したのは、福田氏の正論に反発する県議が多かったことを意味すると思います。県議たちは、南摩ダムや湯西川ダムが役に立つと思っているとしたら洞察力がなさすぎますし、無駄なことを知っていて反発したのなら悪質です。

「県連内では「湯西川ダム問題にずっとかかわってきた福田氏の発言はやはり重い」という声もある。」ということの意味は、福田氏の正論を論破できる県議などがいなかったということではないでしょうか。

これまで自民党と一体となってダム事業を推進してきた県議たちに、反省はないのでしょうか。

福田氏が孤軍奮闘したのはどうやら事実のようです。民主党県連に福田氏がいなかったら、結論は全く別のものになっていた公算が大きいと思います。

(文責:事務局)
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