鹿沼市長と栃木県知事から申入書の回答が届いた

2012年11月4日

●鹿沼市議会がエネルギー政策の転換に関する意見書を採択

本題に入る前に核発電の問題について記します。

鹿沼市議会は、9月28日に原発から再生可能エネルギーの推進にエネルギー政策の転換を求める陳情を採択しました。

採択された意見書を読むと、要望事項は「原子力発電の比率を縮小し、完全廃止を最終目標とすること」と書かれています。

廃止までの期限が書かれていません。

100年かけて廃止すればいいという意味にもとれます。

民主党政権でさえ、「(9月)14日、「2030年代に原発稼働ゼロを可能にする」との目標を明記した「革新的エネルギー・環境戦略」を正式決定した。」(9月15日付け産経ニュース)というのに、鹿沼市議会が「いつの日か止めればいいですよ」という要望をする意味が分かりません。

ウランという資源は有限です。核燃料サイクルは夢物語であり、実現の見込みはありません。

ウラン燃料が枯渇する前に、放射性の廃物(廃棄物なら捨てることができますが、核発電のゴミは捨てることもできません。)の置き場がなくなります。

となれば、放っておいても、核発電はいつかは止まります。

いつかは止めざるを得ない政策について「いつかは止めろ」という要望を、2039年までに稼働ゼロにすると既に決めた国に対してすることにどのような意味があるのでしょうか。

ちなみに「枝野幸男経産相は「政府は2030年代に『原発ゼロ』とすると決めたものではない」と断言し」たというので、訳が分かりません。

自民党と一緒になって原発推進政策を続けてきた公明党のエネルギー政策は、40年後の2052年には原発をゼロにするが、「できるだけ前倒しする」というもので、結局、当分は核発電を止めないということです。

● 「原子力政策に民主主義なし」

2012年10月11日付け朝日新聞によると、フランスの原子力庁の元技師ベルナール・ラポンシュさんは、「わが国に『原子力ムラ』はない。あるのは原子力国家だ。原子力政策に民主主義はない」と言ったそうです。

核開発は、民主主義を無視することによってしか進められないということです。

● 静岡県議会が住民投票を否定した

「静岡県議会は11日の本会議で、中部電力浜岡原発(同県御前崎市)の再稼働の是非を問う県民投票条例案について、委員会で原案が否決されたのを受け一部議員が提出した修正案を反対多数で否決した。原案も全会一致で否決。」(10月12日付け下野)しました。

静岡県議会は、16万5000人を超える民意を踏みにじったのです。

否決の表向きの理由は形式的なもののようですが、否決に回った議員の本音は「自民改革会議の議員は本会議の討論で「国策の原子力行政が地方の住民投票で左右されてよいのか」と両案への反対理由を述べた。」(上記下野記事)ことからも分かるように、国策は住民の意見を無視して進めろという話です。

フランスでも日本でも、「原子力政策に民主主義なし」の表れです。

民意を尊重したら、核発電は推進できません。

「民意無視」が核発電の本質です。

●原子力規制庁長官に元警備・公安警察幹部が就任

第88代警視総監池田克彦氏が、2012年9月19日、環境省原子力規制委員会原子力規制庁長官に就任しました。

原子力規制庁とは、原子力規制委員会の事務局を担う役割のようです。

彼が核発電の専門家とは思えません。

ではなぜ警察OBが長官に就くのか。

原子力規制委員会は、「しんぶん赤旗」を記者会見から排除しようとしました。また、「原子力規制委員会が、傍聴者や記者を監視するために公安警察を会議に同席させていたことが10日に明らかになりました。」(10月12日付け赤旗原子力規制庁 市民監視を強化/長官は元警備・公安幹部)。

民意を押さえ込むためではないかという疑いが持たれます。

池田氏が長官に起用された理由について、上記赤旗記事は、次のように報じます。

規制委員会は環境省の外局。細野豪志環境相(当時)は発足時の記者会見で、池田氏を長官に起用した理由について、「各種災害に関連する警備活動や有事対応など、危機管理経験が大変豊富」だからと説明しました。

細野氏によれば、核発電で重要な部分を占める問題は、民意の押さえ込みではなく、災害時の危機管理だというのです。

核発電は、扱いを間違うと日本が滅びるほどの災害となるという前提でしょう。

そのとおりです。事故が起きれば世界中に放射能をまき散らし、日本中が住めない土地になってしまう可能性があることは、フクシマにより、だれの目にも明らかとなりました。

ではなぜ日本は、それほど危険な発電方法に頼らなければならないのかという疑問が改めて起きます。

日本は、なぜ最も危険な発電方法をこれからも続けなければならないのか、細野氏は説明すべきです。

「もともと警察と電力業界は、深い関係です。東京電力には32人、関西電力にも16人の警察関係者が天下っていることが明らかになっています。規制庁のトップが警察官僚出身で、電力業界に厳正な指導ができるかどうかも疑問が残ります。」(上記赤旗記事)。

電力会社が警察OBを必要とする理由については、電力会社に公安・警察OBが必要な2つの理由をご覧ください。

池田氏が長官に就任した理由は、核発電を進めるには、CIAが必要だということだと思います。

ここでも、「原子力政策に民主主義なし」ということです。

● IAEAの存在意義は核利用

「国際原子力機関(IAEA)の年次総会が17日、ウィーンの本部で5日間の日程で始まった。」(9月18日付け朝日)と報じられました。

天野之弥・事務局長は演説で「「原発は依然として多くの国にとって重要なエネルギー源であり続ける」とし、今後20年で原発は順調に増えると強調した。」そうです。

何度も書いてすみませんが、IAEAとは、「国際連合傘下の自治機関であり、原子力の平和利用を促進し、軍事転用されないための保障措置の実施をする国際機関」です。

IAEAは、核の利用を促進することを存在意義とします。

IAEAの決めたことに信頼性があると思っている人がいるようですが、核の利用を続けるという目的に合わない事実は認めないだろうと考えて彼らの言動を見るべきです。

核発電には、民主主義も科学もありません。

●市民団体が思川開発事業からの撤退等を求める申入書を鹿沼市、栃木県、国に提出

ここから本題です。

2012年8月28日にムダなダムをストップさせる栃木の会、思川開発事業を考える流域の会及びダム反対鹿沼市民協議会は、思川開発事業について国土交通省関東地方整備局、栃木県知事及び鹿沼市長に対して申入書を提出しました。

文面は、八ツ場あしたの会のホームページの事務局だより : 思川開発事業からの撤退を求める申し入れ書をご覧ください。

栃木県知事と鹿沼市長に対しては事業からの撤退を求めて申入れをしました。

八ッ場ダムをストップさせる東京の会も8月28日に思川開発事業の治水負担金の支出停止を求める要請書を東京都知事に提出しています。

ダム問題を考える千葉の会も8月24日に思川開発事業からの撤退を求める申し入れ書を千葉県知事に提出しました。

八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会も8月28日に思川開発事業からの利水撤退と同事業の治水負担金の支出停止を求める要請書を埼玉県知事に提出しました。

● 栃木県知事からの回答

私たちは、栃木県内の2市3町を対象とした水道用水供給事業計画が存在しないのであるから、思川開発事業から即刻撤退せよと申し入れました。

これに対し、栃木県知事は、9月18日付け砂水第139号により、「平成24年8月28日付けの申入れのあった標題のことについては、利水に関するひとつのご意見として承らせて頂きます。」との回答をしてきました。

要するにノーコメントということです。

あまりにも不誠実な態度です。

知事とすれば、本来なら「撤退するつもりはありません。」と言わなければならないところですが、水道用水供給事業計画が存在しないのですから、撤退しない理由が言えないので、ノーコメントにせざるを得なかったのだと思います。

福田富一・知事は、参画する理由がなくても、参画するという結論は変えないのです。

● 鹿沼市長にどう申し入れたか

私たちの申入れ内容は次のとおりです。

【申入れ事項】
1. 鹿沼市は思川開発事業から即刻撤退すること。
2. 「思川開発事業の関係地方公共団体からなる検討の場」の第3回幹事会の資料に記載された根拠のない事業計画や推計値の訂正を検討主体に申し出ること。

【理由】
 鹿沼市は、2006年の思川開発事業の計画変更の際、同事業に要望水量0.200m3/秒で単独参画しましたが、次のとおり、参画する理由が成り立ちません。
  (1)水源が不足していない
 鹿沼市水道事業第 5 次拡張事業第 1 回変更計画(2008年3月認可)によれば、鹿沼市が現在保有する水道水源は、37,590m3/日ありますが、近年、1日最大給水量は30,000m3/日前後で推移している上、今後人口は減少し、水需要が増加する見込みはないので、水源は不足していません。
 
  (2)根拠となる総合計画及び水道事業計画が存在しない
 鹿沼市は、鹿沼市水道事業第 5 次拡張事業第 1 回変更計画に基づいて思川開発事業に参画しています。
   しかし、この水道事業計画は、「第5次鹿沼市総合計画」(2007年策定。計画期間2007年〜2016年)と整合性を持たせて策定されており、同水道計画における推計値は、同総合計画における「(JR鹿沼新駅構想を前提とした)市街地開発」、「第3子対策事業」、2015年の人口推計値105,457人等の事業計画や推計値に基づいていますが、同総合計画は2011年まで適用された後に廃止され、第6次鹿沼市総合計画(2011年8月策定。計画期間2012年〜2021年)には、上記事業や人口推計値は引き継がれていません。
 
   「第3子対策事業」の一部は、子育て支援政策として残っていますが、人口増加や水需要増加の根拠にはなりません。
 
   鹿沼市水道事業第 5 次拡張事業第 1 回変更計画は、「第5次鹿沼市総合計画」と整合性を持たせたために、同総合計画が廃止されたことにより、水需要予測としての意味を失ったのです。
 
   すなわち、鹿沼市の思川開発事業への参画は、廃止された総合計画及びこれと整合性を持たせて推計された水需要予測を内容とする水道事業計画を根拠としており、総合計画及び水道事業計画の根拠を欠いています。
 
   実際、鹿沼市水道事業第 5 次拡張事業第 1 回変更計画における推計値が現実を無視した過大(負荷率だけは過小)なものであることは、2010年度の2010年度における実績値と比較しても、下表のとおり証明されています。 表を文章にすると次のとおりです。

行政区域内人口については、2010年度推計値は105,209人であるが、実績値は102,348人(2010年10月1日現在)であり、その差は2,861人であり、過大の度合いは1.03倍である。

給水区域内人口は、2010年度推計値は85,054人であるが、実績値は82,575人であり、その差は2,479人で、過大の度合いは1.03倍である。

給水人口は、2010年度推計値は80,886人であるが、実績値は77,191人であり、その差は3,695人であり、過大の度合いは1.05倍である。

負荷率は、2010年度推計値は75.2%であるが、実績値は88.7%であり、その差はマイナス13.5ポイントである。負荷率を低く推計することは、1日最大給水量を大きく推計する効果がある。

1日最大給水量は、2010年度推計値は36,340m3/日であるが、実績値は30,678m3/日であり、その差は5,662m3/日であり、過大の度合いは1.18倍にもなる。

1人1日最大給水量は、2010年度推計値は449L/人・日であるが、実績値は397L/人・日であり、その差は52L/人・日であり、過大の度合いは1.13倍となる。

 2010年度の時点で既に給水人口は5%、1日最大給水量は18%も過大に推計されています。
 
   「市街地開発」や「第3子対策事業」という幻の事業計画と現実を無視した過大な水需要予測により新たな水利を南摩ダムに依存する水道事業計画は凍結されるべきであり、そのまま推進することは、許されるものではありません。
 
   ちなみに、上記水道事業計画では、地下水の利用量を21,600m3/日に制限していますが、これも2002年度以降、上記水量を超えて利用しても取水障害が発生しておらず、科学的根拠を欠くことが証明されおり、このことを熟知する鹿沼市は、今後も水道水源を100%地下水に求める方針ですので、地下水の利用量を21,600m3/日に制限する計画は、思川開発事業に参画するための口実に使われているにすぎません。
 
   鹿沼市が思川開発事業に参画するための上記のような架空の根拠が、「思川開発事業の関係地方公共団体からなる検討の場」(2010年12月20日設置。鹿沼市長も構成員)の第3回幹事会の資料に記載されていますので、下記のとおり訂正すべきです
 
   思川開発事業の妥当性を検証するなら、現在有効性を持つ総合計画や水道事業計画との整合性を検証するべきです。

表を文章にすると以下のとおりです。
資料−1 利水参画者の必要な開発量の確認結果(案)では、「見込んでいる開発事業等」の項目で、鹿沼市については「市街地開発、第3子対策事業」とあるが、削除すべきである。

別添資料 各利水参画者の基礎資料集では、行政区域内人口がH27年度 105,457人となっているが、H28年度 100,100人と訂正すべきである。

給水区域内人口は86,000人となっているが、未推計とすべきである。

需要想定値は37,800m3/日となっているが、未推計とすべきである。

水源確保の状況は地下水21,600m3/日となっているが、地下水37,590m3/日 とすべきである。

 上記申入れの前提となる事実認識に誤りがあるかどうか、及び上記申入れをお聞き入れいただけるかどうかについて、2週間以内に下記までご回答くださるようお願いいたします。  
 
 
  ● 鹿沼市長からの回答

9月18日付けで鹿沼市長から以下のとおり回答がありました。

水道事業は、安心・安全な水を安定的に市民に供給することが責務であります。
本市の水源は、現在、すべて地下水ですが、地下水は、時には取水量の低下を招くこともあり、水源としては安定したものとは言えません。また、水道未普及地区からは、給水要望も多く寄せられています。

そのため、本市では、新たな給水への対応と安定給水のため、以前から新たな水源の確保に努めており、現在も、新たな地下水源の調査を進めていますが、調査実施前に行った市内各地での説明会の状況からは、取水の同意を容易に得られるとは思えず、相当な困難が予想されます。

これらのことから、取水計画にある必要水量の確保は、できる限り地下水を利用することで事業を進め、万一の場合に備えて、表流水についても選択肢として残しつつ、今後の調査や説明会を実施してまいりたいと考えております。


● 表流水が安全な水か

回答には、「水道事業は、安心・安全な水を安定的に市民に供給することが責務であります。」と書かれています。

しかし、浄水の費用は地下水の方が安いことからも、一般論として地下水の方が表流水よりも安全だと言えます。

「栃木県も25日未明、宇都宮市の県保健環境センターで24日に採水した水道水から、108ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと発表した。同センターには、鬼怒川から取水する松田新田浄水場(同市)から、水が供給されている。」(2011年3月25日付け読売。B級グータラヌーボな生活2というサイトから) と書かれているように、表流水は放射能汚染に弱いのです。

地下水源を2万1600m3/日に減らして、表流水を1万6200m3/日を確保することは、安心・安全な水を市民に供給することになりません。

また、水量の面からも、表流水は地下水よりも降水量に左右されやすく、「安定的」という水道事業の要請にも反します。

ちなみに、福田富一・栃木県知事は、知事選告示前の10月26日の公開討論会で「県南の市町は水道水源として地下水に100%頼っている。地下水が汚染された場合を想定すると、代替水源を考えないといけない。水利権確保は県の責務だ。」(10月30日付け下野)、「南摩ダムは地下水が汚染された際の危機管理策としても重要。」(10月28日付け読売)と言いました。

知事の説は、地下水は汚染されることがあっても、ダムの水は汚染されることがないというご都合主義でしかありません。

「危機管理策」と言いますが、昨年3月に核発電所の事故という危機があったときに、真っ先に汚染されたのはダム水を水源としていた水道だったじゃありませんか。

鹿沼市民は、鹿沼市上水道の水源が地下水なので安堵したのではないでしょうか。鹿沼市の水道当局も鹿沼市上水道の水源は100%地下水なので安全です(放射性物質で汚染される確率は低い)と市民に説明してきたのではないでしょうか。

地下水源を捨てて、ダム水を水源にすることが危機管理策になると考える知事を支持する人がどれだけいるのでしょうか。

●表流水は安定的な水源ではない

鹿沼市長からの回答には、「本市の水源は、現在、すべて地下水ですが、地下水は、時には取水量の低下を招くこともあり、水源としては安定したものとは言えません。」と書かれています。

そうかもしれませんが、地下水は表流水と比べれば安定的です。

表流水ならば取水量の低下を招くことがないかのように言うのは欺まんです。

●給水要望はどこから出ているのか

鹿沼市長からの回答には、「また、水道未普及地区からは、給水要望も多く寄せられています。」と書かれています。

確かに市政懇談会で板荷や西大芦の住民から水道が欲しいという要望が出たという話を聞いたことがあるような気がしますが、費用対効果を考えれば、上水道での対応は考えられず、簡易水道か専用水道で対応するのが筋でしょう。

確か当局の回答も簡易水道を検討したいということだったと思います。 上水道と簡易水道をすり替えていないでしょうか。

鹿沼市は、上水道の水源とするために思川開発事業に参画しているのです。簡易水道は関係ありません。

いずれにせよ、給水要望がどの地区から出ているのかの具体的な説明はないのですから、話をすり替えている可能性が大きいと思います。

●「費用対効果の重視」はどこへ行ったのか

鹿沼市長の回答には、「万一の場合に備えて、表流水についても選択肢として残しつつ」と書かれています。

これまで水源を確保する場合は、将来の水需要と供給量を予測し、どれだけ不足するからどれだけ確保するという形で計画を進めてきましたが、思川開発事業の参画については、「万一の場合に備えて」ということです。

「万一の場合に備えて」という理由が使えるのなら、どんな買い物でもできてしまいます。

「万一の場合に備えて」ダム事業に参画するということは、「最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」(地方自治法第2条第14項)や「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」(地方財政法第4条第1項)の規定に違反すると考えられます。

また、予算査定に当たっては、費用対効果を重視するのが、佐藤市長の公約です(例えば、2008年5月8日付け「れんごう栃木」)。

ダム事業への参画について「万一の場合に備えて、表流水についても選択肢として残しつつ」という程度の理由付けでは、費用対効果を重視したことにはならないと思います。

●上記申入れの前提となる事実認識に誤りはない

私たちは、「上記申入れの前提となる事実認識に誤りがあるかどうか」についても回答を求めましたが、市長からの指摘はないので、私たちの事実認識に誤りはないということです。

ということは、「市街地開発」も「第3子対策事業」も終わった話であり、少なくとも人口増加とも水需要増加とも結び付く話でないことは明らかとなりました。

●「水道計画も総合計画も不存在」には反論なし

私たちは、「市街地開発」も「第3子対策事業」が第6次鹿沼市総合計画では廃止された以上、これらの事業を前提とした鹿沼市水道事業第 5 次拡張事業第 1 回変更計画の水需要予測は意味をなさない、鹿沼市の思川開発事業の参画には総合計画上も水道計画上も根拠がないと指摘しましたが、このことについて鹿沼市長は反論しませんでした。

有効な総合計画や水道計画の根拠なしにダム事業への参画を進めることは許されないと考えます。

● 新駅中止は市長公約だった

国の検討資料に書かれている「市街地開発」と「第3子対策事業」は、鹿沼市水道事業第 5 次拡張事業第 1 回変更計画に書かれていることであり、「市街地開発」とは、主にJR新駅関係の住宅団地の開発のことです。

上記水道計画の認可申請書のp2−5−18には、「市街地開発の人口増」として2774人の転入者を見込むと書かれています。そのうちの半分以上の1512人が「民間開発事業(深津・白桑田地区)」で増加が見込めると書かれています。

そして、第3子対策事業による人口増として1250人を見込むと書かれています。

市街地開発分と第3子対策事業により約4000人の人口増加を見込むというのが上記水道計画の根本です。

民間開発事業(深津・白桑田地区)」がJR新駅設置に伴う宅地開発であることは明らかです。

前市長がJR新駅設置を重要政策としていたのに対し、現市長は、「多くの市民が反対しており、中止する」(2008年5月17日付け下野)というのが公約でした。

前市長が進めていた第3子対策事業についても、現市長は、「一人目からの子育て支援」(市民の勇気で鹿沼を変える会発行の討議資料)を公約とし、第3子対策事業で人口が増えるという発想は否定したことになると思います。 そして現市長は当選を果たし、第6次鹿沼市総合計画にはそれらの事業を載せませんでした。

そこまでは当然です。

しかし、ダム事業に参画する理由の話になると、現市長が否定していたJR新駅設置事業や第3子対策事業を持ち出してくるのはどうにも理解しがたいところです。

国土交通省は思川開発事業を検証していることになっていますが、こうした幻の事業が資料に書かれているのですから、まともな検証になるはずがありません。

(文責:事務局)
文中意見にわたる部分は、著者の個人的な意見であり、当協議会の意見ではありません。
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