栃木県公共事業評価委員会は茶番だ(コメントの9割を無視)

2013年2月23日

●競馬詐欺にご注意

先月末に浅草の仲見世を歩いていたら、60歳くらいの二重まぶたの目月井の鋭そうな男が近寄ってきて、「どうもしばらく。田中です。」と声をかけられました。

だれだか分からなかったのですが、「どちらの田中さんでしょうか。」と問い返すのも失礼と思い、「ああ、どうも。」と曖昧な返事をしてしまいました。頭の中では、「どこの田中だっけ」と検索をかけているのですが、全く思い浮かびません。すると男は、「痩せたから分からないかな。」と言ったかと思うと、「俺は競馬をやってるんですよ。」と言い、さりげなく「数千万円稼いだ。」とつぶやきます。札束に目がくらみ、思わず、「数千万円ですか。」と聞き返してしまいました。

男は、「競馬関係者に知り合いがいるんだ。」と言いながら、ジャケットの右ポケットを開いて中を見せました。そこには約300万円の札束が二つ折りになっていました。すかさず男は、「これから何をするの。」と聞きます。「会議に行く。」と答えると、「30分ぐらい時間あるでしょう。」と言います。「時間がないんで、これで。」と言って、男を振り切ってきました。

おそらくあれは、競馬詐欺です。

「田中です。」とありふれた名前で知り合いの振りをするのがミソです。

だれだって、田中という名前の知人は一人ぐらいはいるでしょう。

あいさつをされた相手に見覚えがなくても、「どちら様でしょうか。」と聞き返すのも失礼と思う心理も詐欺師はうまく利用しています。

ついていったらどうなるかは、想像がつきます。

どの馬が勝つかは決まっている場合があるということを30分かけて説明される。その情報をもらうには情報提供料が必要だ、払ってみないかと勧められるのでしょう。

詐欺にご注意ください。

● パブリックコメントは十分に考慮されなければならない

ここから本題です。

2013年2月18日に栃木県公共事業評価委員会の会議が栃木県庁で開催されました。

委員は9人で以下の人たちですが、当日の出席者は7人でした。

栃木県公共事業評価委員会委員名簿

その会議で「栃木県南地域における水道水源確保に関する検討について」が審議されました。

問題なのは、栃木県がパブリックコメントを無視して県の考え方を示し、評価委員会の委員もそのことを全く指摘しないまま、委員会は検討(案)が妥当であるとの意見書を提出しました。

2012年11月27日から12月26日を応募期間として実施された「栃木県南地域における水道水源確保に関する検討(案)」について実施されたパブリックコメントには、21人の県民が意見を提出しました。

コメントの全文は、第4回事業評価委員会資料(2013年2月18日)で3か月間は公表されています。

応募した21人のうち19人は県の示す検討(案)に反対の立場です。

県が意見に振った通し番号の19番と21番の2人だけが検討(案)に賛成していると読めます。

19/21=90%の意見が県の案に反対の立場ということです。

ところが栃木県は、県民から提出された意見の9割を無視して地下水依存率を削減することが正しいのだという意思決定を行いました。

しかし、栃木県は、栃木県パブリック・コメント制度実施要綱を制定してパブリックコメントを実施しています。要綱の第1条には、「県の政策形成過程における公正の確保と透明性の向上を図り、もって県民の参加による開かれた県政を推進すること」がパブリックコメントの目的であると書かれています。

第2条第1号には、パブリックコメント制度とは、「提出された県民の意見を計画等に反映させる」手続であると書かれています。

第6条第1項では、「実施機関は、県民から提出された意見を十分に考慮して計画等について意思決定を行うものとする。」と規定されています。

県民から提出された意見の9割を無視することがどうして「県民から提出された意見を十分に考慮」したことになるのでしょうか。どこが「公正の確保」でしょうか。どこが「県民の参加」でしょうか。どこが 「開かれた行政」でしょうか。

栃木県は、言っていることとやっていることが違いすぎないでしょうか。

9割の意見が間違っているなら、県がそれらの意見を無視することもやむを得ないでしょう。

しかし、資料の主な御意見と県の考え方を見れば分かるように、栃木県は論理のすり替えをやっているだけで、9割の反対意見が間違っていることを論証していません。

栃木県のやっていることは、栃木県パブリック・コメント制度実施要綱第1条、第2条及び第6条に違反します。

栃木県は、自分の決めたことも守れないのです。

地方自治法第183条の2は、「普通地方公共団体の執行機関は、・・・その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、・・・誠実に管理し及び執行する義務を負う。」と規定しています。栃木県知事のやっていることは、この条文にも違反すると思 います。

そして、委員はだれも県の方針がほとんどの意見を無視し、栃木県パブリック・コメント制度実施要綱に違反していることを指摘しないのです。

公共事業再評価委員会は茶番です。

(文責:事務局)
文中意見にわたる部分は、著者の個人的な意見であり、当協議会の意見ではありません。
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