栃木市は人口減少に歯止めがかかったか

2009-12-08,2009-12-09追記

●栃木市は南摩ダムの水を要望していた

栃木市は、人口が減少しているのに、南摩ダムの水を要望して、県南市町で構成する水資源開発促進協議会の会長市を務めて、ダム促進の立場で奮闘していたようなので、私たちは大変戸惑っていました。

栃木市は、県南で一番人口の減り方が激しかったのですから、真っ先に思川開発事業から脱退すべきです。

栃木市がダム事業に参画するなら、どこの自治体でもダム事業に参画する大義名分を持つことになります。

●1,431はゼロに等しいか

2009年12月2日に栃木市議会定例会一般質問がありました。このことについて3日付け下野が「市人口減少に「歯止め」」の大見出しで報じています。

私は、この見出しを見てびっくりしました。栃木市の人口は、1985年から減少の一途を辿っていたからです。「歯止め」をかけたいという希望の意味かと思ったら、「歯止めがかかっている」という市長の言葉が書かれています。

日向義幸市長は、「統計上、人口減少は一定の歯止めがかかっている」と答弁したようですが、どうして「歯止めがかかっている」と言えるのか理解できません。

下野記事によれば、「市の人口は4年前の国勢調査時で約8万2千人で、今年10月もほぼ同数だった。」そうです。

2005年10月1日を基準日とする栃木市の国勢調査人口は82,340人です。

では、2009年10月1日現在の栃木市の人口は、何人でしょうか。栃木市のホームページ統計データのリンクがあります。ページを開くと、毎月人口のエクセルファイルがダウンロードできます。

エクセルファイルを開くと、2009年10月1日現在の栃木市の人口は、80,909人と書かれています。

82,340人と80,909人は、「ほぼ同数」でしょうか。

82,340人−80,909人=1,431人の差があります。1,431人は、国勢調査人口の1.7%ですが、栃木市にとって無視してよいほど小さな数字とは思えません。

栃木市の人口は、最近5年間次のように推移しています。出典は、上記エクセルファイルです。                              
人口
2005年82,340
2006年82,047
2007年81,574
2008年81,107
2009年80,909
    

    ●違うものを比べていた     

下野記事は、「市の人口は4年前の国勢調査時で約8万2千で、今年10月もほぼ同数だった。」と客観的事実として書きました。ところが、下野の記者に聞いてみると、記者は、今年10月の栃木市の人口を調べたわけではないそうです。市長が議会でそう言っていただけだというのです。それならそうと、例えば、「「ほぼ同数だ」と市長は答弁した」と書くべきです。     

ではなぜ市長は、4年前の国勢調査人口と今年9月の人口がほぼ同じと市長が言ったのか。記者が栃木市に確認すると、住民基本台帳人口(81,008人)と外国人登録台帳人口(1,143人)を合計したら、約82,000人(82,151人)になったとのことです。          

国勢調査人口と台帳人口を比べてどうするのでしょうか。     

台帳人口が政策の基礎となるのなら、なぜそれとは別に80,909人という推計人口を集計するのでしょうか。推計人口には外国人も含まれていますし、台帳人口より実態に近いのです。推計人口を基礎に政策立案するのが筋です。     

ちなみに鹿沼市でも今年11月1日の推計人口は102,945人、台帳人口が103,263人ですから、台帳人口の方が318人も多くなっています。住民基本台帳人口に外国人台帳人口を加えたら、実態に近い推計人口よりもますます膨れ上がります。     

栃木市は、人口減少という事実を認めようとしません。市民も質問者の大出孝幸議員も市長の不実の告知に怒るべきではないでしょうか。     

    ●「歯止め」答弁が出る理由(2009-12-09追記)     

栃木市の過去を振り返ると、日向野市長は、2005年10月28日に次期総合計画(都市経営計画)の基本構想を発表しました。その内容は、「将来人口は、2015年には74,000人に減ると見込まれる。」「しかし、人口定住化に向けて積極的な投資を行うことで減少に歯止めをかける。」というものでした。     

他方、栃木市の未来に目を向けると、「日向野義幸市長(51)は4日の市議会一般質問で、「これまでの経験と実績のすべてを傾注し、新生栃木市の初代リーダーとして重責を担いたい」と述べ、来年3月の新市発足に伴う市長選に、無所属で立候補する考えを正式に表明した。」(2009-12-05下野)のです。     

そこで日向野市長は、実績を示すために人口減少に歯止めがかかったと言う必要性があったわけです。そのために国勢調査人口と台帳人口を比べたわけです。     

下野が「市の人口は4年前の国勢調査時で約8万2千人で、今年10月もほぼ同数だった。」と書けば、読者は、歯止めがかかったという市長の答弁は本当だと思うでしょう。しかし、上記の表のように、推計人口は減少しており、人口減少に歯止めがかかってはいません。下野がなぜ日向野市長の選挙の応援をするのか分かりません。     

ちなみに、栃木市は成り行き任せの場合、2015年の人口を74,000人と推計しています(「都市経営計画」(概要版)p5)が、国は、2015年の栃木市の人口を77,304人と推計しています。栃木市が何もしなくても、2015年の栃木市の人口は77,000人程度になると思われます。そのとき日向野氏が市長をやっていたとしたら、無策なら74,000人になるところを、優れた政策によって77,000人程度にとどめたと言うのでしょうか。     

栃木市は、人口推計をやっても当たったためしがないのですから、自前で人口推計をやるのをやめた方がいいと思います。人口推計をやる資格がないと思います。国の推計をそのまま使う方が経費もかからず、的中率も高いのですから、市民のためでもあります。     

(文責:事務局)
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