秒刊SUNDAY というサイトの2012 年02 月27 日の記事にワールドトレードセンターはスッカスカだった!とんでもない構造が明らかにという記事が掲載され、インフォシークのニュースになっていました。
秒刊SUNDAY とは、湯川晃氏が個人運営するニュースサイトだそうです。
そこには次のような書かれています。
2001 年9 月11 日にアメリカの象徴ともいえるべき、ワールドトレードセンターに2 機の飛行機が突っ込み、ビルを倒壊させたという事件は、世界中を震撼させた。あの固いビルが爆弾を使わずあっという間に倒壊してしまうと言う恐ろしい事実に目を疑った人も多いはず。飛行機が突っ込むことを想定していないとはいえ、ビルがそんなに簡単に倒壊しても良いのか、もしかしたら今回紹介する写真が簡単に倒壊した理由の一つなのかもしれない。
記事は、WTC は「スッカスカだった」と書きますが次のサイトの写真を見てください。建設中の写真です。
ツインタワー基礎データ
どこが「スッカスカ」なのでしょうか。
このサイトには、「建設中の写真でも明らかだが、ツインタワーは単なる「中空のチューブ」ではない。」と書かれています。
●「爆弾を使わず」に科学的根拠なし
「あの固いビルが爆弾を使わずあっという間に倒壊してしまう」と書かれていますが、爆弾を使わなかったという前提で議論を進めるのは詭弁の論法です。
もう一度崩壊の映像をネットで探して見てほしいと思います。
911:《もう笑うしかない!》米国政府お抱えエセ科学者集団NISTの「怪答」には、NIST(アメリカ国立標準技術研究所)のFAQが引用されています。
(質問12)NISTは爆破解体説の証拠を探したのか? サーマイト(テルミット)に切られた鋼鉄の残滓を検査したか? サーマイトと硫黄の混合物(サーメイト:テルマット)は鋼鉄を簡単に切ってしまう。
(回答)NISTはその鋼鉄中にある化合物の残滓を調べなかった。今までの2、4、5そして11の質問への回答がNISTの爆破解体否定の理由を説明している。
要するに爆破解体ではあり得ないから、爆破解体の証拠は調べなかったということです。NISTの調査は、結論ありきの調査だったのです。「爆破解体ではあり得ないと考えたとしても、念のため爆破解体の証拠がないか調べてみるのが科学ではないでしょうか。
NISTの研究者がエセ科学者であることがばれてしまいました。
百歩譲って第1ビルと第2ビルが爆破解体でないとしても、飛行機が衝突していない第7ビルは、どう見ても爆破解体そのものです。
●飛行機の衝突は想定していた
「飛行機が突っ込むことを想定していないとはいえ」と書いてありますが、根拠が分かりません。
阿修羅の掲示板のf9.11のイカサマ・・・WTC設計関係者に見せたい一枚の崩壊画像には次のように書かれています。
航空機テロで崩壊した米ニューヨーク・世界貿易センター(WTC)のツインタワーの構造設計者であるレスリー・E・ロバートソン氏は,日経アーキテクチュア誌のインタビューにこたえ,このように語った。
設計当時に最大の航空機だったボーイング707 型機が濃霧に見舞われて空路を外れ,衝突することを想定した。
「707 型機の衝突が何本の柱を壊すかを計算して設計した。707 型機の衝突を吸収できるようになっていた」と言う。
Wikipedia の"ミノル・ヤマサキ"にも、次のように書かれています。
航空機の衝突自体は、想定した設計だったという。構造設計をしたレスリー・ロバートソンは「設計当時、最大の航空機であったボーイング707 型機が衝突し、衝突面の3 分の2 の柱が壊されても、持ちこたえる構造だった」と語っている。ただし、実際に衝突した航空機が想定以上に大型なボーイング767 であり、衝突による火災の発生が想定を大幅に上回っていた可能性がある。
Wikipediaに書いてあることが事実とは限りませんが、WTC の設計者は飛行機の衝突を想定していたと考えてよいのではないでしょうか。
ちなみに、1945年7月28日にアメリカ陸軍のB-25がエンパイアステートビルディングに衝突しているのですから、高層ビルを建築する際には、飛行機の衝突を想定して設計していたとしてもおかしくはありません。
●WTCは衝突に耐えた
アメリカ政府の言うことなら何でも信じるmsq 氏のサイト分解『911 ボーイングを捜せ』によるとFEMA (アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)の作成した文書には次のように書かれているそうです。
2.2.1.1 飛行機の衝突による最初の被害
アメリカン航空11便はWTC1の北面のおよそ94階から98階にかけての部分に衝突した(図2-13 と2-14)が、ビルディングの北面とそれに隣接した内側部分に大きな被害を引き起こし・・・この被害にも関わらず、およそ1時間43分の間、建物は全体性と強度をもち続け全体的な安定性を残していたことは明らかである。
2.2.2.1 飛行機の衝突による最初の被害
ユナイテッド航空175便が衝突したのはWTC2の南面のおよそ78階から84階の間であった。衝突した部分の広がりはビルディングの南東の角からビルディングの壁の大きな部分にわたっていた。
飛行機は、ビルディングの南面の衝突した部分に大きな被害を与えた・・・はっきりしていることは、およそ56分間の間全体的には安定して残っているのに十分の全体性と強度を建物が持ち続けたことである。
FEMA でさえも建物は全体性と強度を持ち続けたという評価をしているのです。
msq 氏でさえも、上記分解『911 ボーイングを捜せ』 に次のように書いています。
世界貿易センターのタワーはジェット旅客機が衝突しても持ちこたえるような設計がされていたはずなのに倒壊してしまったのは不思議だという議論があります。しかし、現実には、ボーイング767 型機が衝突して倒壊するまでには約1 時間弱から2 時間弱の時間を要したのですから一応は「持ちこたえた」といえるでしょう。
WTCが脆弱な構造だったから飛行機の衝突のためにあっけなく崩壊したという湯川氏の主張はこれまでにない独特のものですが、衝突がビル崩壊の大きな要因だったとする点ではこれまでの「表」の通説と同じです。
飛行機の衝突にビル崩壊の原因を求めるのなら、湯川氏は、飛行機の衝突していない第7ビル崩壊の理由をどう説明するのでしょうか。
●9.11では、想定した飛行機とどれほど違うのか
ところで、Wikipedia には、「実際に衝突した航空機が想定以上に大型なボーイング767 であり」と書かれています。
WTCに衝突したとされる767は707よりどれほど大型だったのでしょうか。
msq 氏のサイトの「ボーイング707」の衝突には、次のように書かれています。FEMA の『世界貿易センターのビルディングの性能の研究』から引用したもののようです。
ボーイング707 は、タワーの設計時には、総重量が263,000 ポンド(119.3t)で飛行速度は180mph(289.7km/h) で空港へ接近していると想定されていた;タワーの攻撃に使われた、ボーイング767-200ER 型機は衝突時には、総重量274,000 ポンド(124.3t)で、飛行速度は470 から590mph(756.4-949.5km/h)と推定されている。
ボーイング767ー200ER型は124.3tで、707は119.3tです。
124.3 t/119.3 t=1.04ですので、707と767の重さは4%しか違わないようです。
そうだとすると、Wikipedia がなぜ「想定以上に大型なボーイング767 」と書き、FEMA がなぜ「9 月11 日の出来事では、二つのタワーに衝突したのはボーイング767-200ER 型機で、重量または質量において明らかにより大型であり」と書くのか分かりません。
FEMAやWikipediaが殊更に設計者の想定外の大きさの飛行機が衝突したことを強調しているように思えます。
●学ばない人がいる
記事には次のようにも書かれています。
専門家の推測によると、ワールドトレードセンターの倒壊は、飛行機がビルに突っ込むことによりビルが炎上、その熱で鉄骨が溶け、大黒柱である、センターコアまで溶かしてしまったことにより全体的な倒壊に至ったのではないかと言う説が一般的だ。また飛行機が突っ込むことの衝撃でビル全体の強度が弱体化し、上記の理由と重なり倒壊した可能性が高い。
案の定記事のトラックバックで読者から次のように指摘されています。
飛行機の衝突を想定した設計になっとるよ。
航空燃料の火災では鉄骨は溶けないし、
それに倒壊のスピードが異常に早い。
上記のとおりWTC は飛行機の衝突を想定した設計になっていたと考えていいと思います。
「その熱で鉄骨が溶け」もあり得ない話です。灯油が不完全燃焼して鉄が溶ける温度にはなりません。
そして、「一般的な」説では、ビル崩壊のスピードが異常に速いことの説明がつきません。
第1ビルの高さは417mで、第2ビルは415mです。
2 棟とも約10秒で崩壊したのです。
ビルの屋上は、10秒で400 m を移動したことになります。
人間の人力での移動の最高速度は、10秒で約100 m。時速36 km です。
WTC は、その4倍、時速144 km の速さで崩壊したのです。
「上層階の重さに堪えかねて押しつぶされた」というパンケーキ理論では説明がつかないのです。
鉄骨がすぱっと切断され、水平方向に吹き飛ぶ理由も説明できません。
コンクリートやガラスなど鉄以外の物が粉末になる理由も説明できません。
湯川氏が意図的に読者をだましていないとしたら、無知なだけです。
事件から10年以上も経ち、本やネットには情報があふれているのに、何も学ばない人がいるものですね。