鹿沼市議会の委員会の傍聴人の定員が3人で「会議を原則として全て公開する」と言えるのか(陳情本会議採決)

2018-11-03

●議会運営委員会報告は不採択だった

2018年9月25日10時から鹿沼市議会本会議が開かれました。

陳情第2号「特別委員会及び議会運営委員会の傍聴人の定員に関する陳情」について本会議採決がされました。

それに先立って議会運営委員会からの報告が鰕原一男委員長からありました。

陳情第2号に関する報告は、次のとおりです。

9月14日に議会運営委員会を開催し(中略)委員からは、陳情者の趣旨は理解できるが、議会基本条例に基づき公開もしており、傍聴人の定数については、新庁舎整備ができるまでは現状のままでよい、よって本陳情は不採択とすべき、また、特別委員会及び議会運営委員会においては、委員長の裁量で傍聴者を増やすことが可能であるので、現状のままでよい、よって本陳情は不採択とするという意見があった、一方、傍聴人は5人まで認め、その他報道関係者とすべき、又は、陳情人の趣旨は理解できるが、この場で具体的な人数を決定するのは適当でないので、趣旨採択とすべき、あるいは、鹿沼市議会先例及び申合せ事項において定めた、委員長が許可する傍聴の取扱いの見直しを図ることが望ましい、また、会議の運営上及び秩序保持のため、傍聴人定員数は一定の基準を設けざるを得ない、よって本陳情は趣旨採択とし、今後議会内部で検討すべき、といった意見がありました。

これらのことを踏まえ、陳情第2号については、趣旨採択とするか、不採択とするかの挙手採決を行い、趣旨採択に賛成の委員は、市田登委員、鈴木敏雄委員、津久井健一委員の3名であり、不採択とした委員は、加藤美智子委員、舘野裕昭委員、小島実委員、船生哲夫委員の4名でありました。

その結果、陳情第2号については、不採択とすべきものと決しました。


●本会議採決は趣旨採択となった

議会運営委員会からの報告の後、陳情第2号について佐藤誠議員が不採択に対する反対討論を行い、大貫毅議員が継続審査としてもっと議論すべきとの意見を述べました。

その後、増渕靖弘議員から「趣旨採択」にすべきとの動議が出され、休憩後、全会一致で「趣旨採択」となりました。

趣旨採択とは、鹿沼市議会事務局の説明によれば、請願や陳情について、内容は妥当であるが、実現性の面で確信が持てないといった場合に、不採択とすることもできない、として採られる決定の方法です。

通常は、委員会で出した結論が本会議でも支持されるものですが、陳情第2号については、委員会の議決が本会議で覆されたのは、委員会の審査に問題があったからだと思います。

9月15日の議会運営委員会の会議録が入手できたので、委員の発言を検証してみます。

●船生哲夫委員の発言

「議会基本条例に基づき公開もしており、傍聴人の定数については、新庁舎整備ができるまでは現状のままでよい」という意見は、船生哲夫委員のものです。

会議録では次のとおりです。

ただいま、××さんから陳情の趣旨説明がございましたけど、中身については言わんとしていることは分かります。しかし、議会基本条例で原則として会議は公開するということは当然知っていますけど、以前にこの傍聴の原則というか、傍聴人の人数等については記載されております。

しかし、今、新庁舎建設という時に、旧会議室、この会議室ですけど、その中で現状、傍聴人5名、5名と記者2名ということでありますので、一応公開はしていますので、今のままで、新庁舎ができるまでは、このままでいいのではないかと。

趣旨は分かる。趣旨は分かるが、そのような形で取りはからっていただきたいと思います。

私は、この陳情につきましては、趣旨については分かりますけど、一応不採択かという感じを受けました。以上です。


▽傍聴定員が「5名と記者2名」なら7名になってしまう

船生委員は、陳情人の趣旨説明を聞いていないのでしょうか。

陳情人は、1997年の各派幹事会申合せ事項には、3種類の委員会の傍聴人について一律に5人の定員を設け、うち2人を記者に充てることが書かれていると説明しています。

定員が5人といっても、記者が2人来れば、一般市民は3人しか傍聴できないことになるが、それではおかしいだろう、というのが陳情の趣旨です。

船生委員は、「5名と記者2名」と言っていますので、一般市民5人プラス記者2人の合計7人が傍聴できるという認識ですので、事実誤認の上で結論を出しています。

▽「一応公開はしていますので」では、理由にならない

鹿沼市議会の委員会の会議は、一般市民3人は傍聴できるのですから、一応は公開していることは明らかです。

陳情の趣旨は、委員会の会議は昔から一応は傍聴ができたが、それは、議会には公開する義務はないが、市民への恩恵として傍聴を許可するという位置付けであったと思われるが、鹿沼市議会基本条例が2011年に制定され、委員会の会議も原則として公開すると規定したのだから、市民は権利として議会を監視できるのであり、「一応公開はしています」という程度ですませることはできないのではないか、というものです。

「一応公開」していることは誰も否定していません。「一応公開」していることは、問題の出発点です。問題は、「一応公開」でいいのか、ということです。

なぜ「一応公開はしています」程度で構わないと言えるのかを説明しなければ、陳情を採択しない理由になりません。

船生委員は、採択しないという結論を述べているだけで、理由を述べていません。

結論を言うだけの議論には意味がありません。

市民は、意味のない議論をしてもらうために議員を雇っているのでしょうか。

▽新庁舎建設は関係ない

船生委員は、「新庁舎ができるまでは、このままでいいのではないか」と言いますが、なぜ新庁舎建設を持ち出すのか分かりません。

陳情人は、今、傍聴のルールがおかしいから、今、改めるべきだ、と言っているのですから、船生委員がルールを変えたくないなら、今のルールが適正であることの理由を説明すべきです。

新庁舎建設は、現在の傍聴のルールがおかしい、という問題と関係ないので、陳情を認めない理由にならないと思います。関係があると言うのなら、なぜ関係があるのかを説明すべきだったと思います。

▽「趣旨は分かる」なら趣旨採択が筋だ

船生委員は、「趣旨は分かる」と言いながら不採択だと言います。

「趣旨は分かる」なら趣旨採択とするのが筋ではないでしょうか。

「趣旨は分かるが不採択だ」と言うのなら、趣旨採択の出番がありません。

船生委員は、採択、不採択、趣旨採択という議会用語を理解していないのでしょうか。

●舘野裕昭委員の発言

「特別委員会及び議会運営委員会においては、委員長の裁量で傍聴者を増やすことが可能である」という意見は舘野裕昭委員のものです。

会議録では次のとおりです。

今まで、傍聴の申合せの方で、5名で委員会は認めるということで、それは今までどおりでいいのではないかと思っています。

しかし、特別委員会若しくは議会運営委員会においては、委員長が認めれば入れるというか、委員長の裁量で傍聴者数を増やすということができるので、現状のままで、あとは委員長の裁量に応じた取扱いがよろしいのではないかと思います。

これが○か×かとなりますと、私は、気持ちは分かりますけど、不採択かな、という方向性です。以上です。


▽「委員長の裁量で傍聴者数を増やす」という措置はとられていない

舘野委員は、「特別委員会若しくは議会運営委員会においては、委員長が認めれば入れるというか、委員長の裁量で傍聴者数を増やすということができる」と言いますが、1997年の各派幹事会申合せ事項では、定員5人(うち2人は記者枠)としているため、実際、6月22日の議会運営委員会では、委員長は裁量で傍聴人を増やす措置をとらなかったのです。だから陳情第2号が提出されたのです。

「委員長の裁量で傍聴者数を増やす」という措置がとられているなら、問題はありません。

舘野委員は、「委員長の裁量で傍聴者数を増やす」という措置がとられていないにもかかわらず、とられていると事実誤認して問結論を出しているのですから、その結論が妥当であるはずがありません。

▽「気持ちは分かりますけど、不採択」なら趣旨採択が筋だ

舘野委員は、「気持ちは分かりますけど、不採択」と言いますが、そういう場合は、趣旨採択にするのが筋ではないでしょうか。

▽なぜ不採択にこだわるのか

舘野委員は、上記発言とは別に、委員長が趣旨採択を提案した後に、「異議あり。私は採択が不採択でどちらかで。逆に、採決とっていただければ、と思いますのでよろしくお願いします。」と発言しています。

自分で「気持ちは分かりますけど」と言っておきながら、趣旨採択はあり得ない選択肢だ、採択か不採択かの二者択一で採決すべきだ、と言うのですから、私には支離滅裂のように見えます。鹿沼市議会議員なら理解できる発言なのでしょうか。

▽「委員長の裁量に応じた取扱いがよろしい」のなら採択すべきだ

舘野委員は、「委員長の裁量に応じた取扱いがよろしい」と言います。

それは、各派幹事会が定めた定員を無視しろということでが、まさに陳情人が求めていたことですから、採択するのが筋です。

▽「現状のままで、あとは委員長の裁量に応じた取扱いがよろしい」は矛盾する

舘野委員は、「現状のままで、あとは委員長の裁量に応じた取扱いがよろしい」と言いますが、「現状のまま」ということは、傍聴人の定員5人(うち一般市民は3人)というルールを守ることであり、「委員長の裁量に応じた取扱い」ということは、そのルールに従わないということですから、矛盾しており、意味不明です。

●市田登委員の発言

「傍聴人は5人まで認め、その他報道関係者とすべき」という意見は、市田登委員のものです。

会議録では次のとおりです。

来てみないと分からない。報道関係者が2枠でもある。最高5人と言っていることもありますので、私は5人まで認めて、報道関係者は別枠でいいかと思います。以上です。

ほとんど日本語になっていませんが、一般市民の枠を3人から5人に増やせば、それで十分だ、という意見でしょう。

6月22日には、実際に傍聴したい一般市民が7人いました。

傍聴人の定員を増やすという市田委員の意見によっても、2人の一般市民には傍聴を許可しないということです。

せっかく傍聴に来たのだから傍聴させればいい、となぜ考えないのでしょうか。

5人を超える一般市民の傍聴希望者に傍聴させるべきでないと考える理由を言わなければ、陳情に答えたことになりません。

市田委員もまた代替案という形で結論を言っているだけで、なぜ陳情を採択しないのか、なぜ代替案の方が優れているのか、を説明していません。

●小島実委員の発言

小島実委員の発言は、会議録によれば次のとおりです。

委員長がその場に応じて対応するという意見がございましたけど、その場その場の対応でというのはちょっといかがなものかと私は考えております。

先ほど、船生委員が言いましたように、新しい庁舎に向けてそういう傍聴席のスペースをたっぷり作って、そして、これから研究していけばいいと思います。

私は、記者を入れての今までの現状どおりでいいかと考えています。以上です。
▽「その場その場の対応」でなぜまずいのか

例えば、傍聴希望者が7人の場合もあれば、10人の場合もあることを考えれば、その場その場で臨機応変に対応することが望ましいことは当然ではないでしょうか。臨機応変でなぜ悪いのでしょうか。

小島委員が「その場その場の対応というのはちょっといかがなものか」と考えるなら、少なくともその理由を述べなければ、陳情人は納得できないでしょう。

▽なぜ新庁舎建設を持ち出すのか

陳情人は、今の制度がおかしいと言っているのに、新庁舎建設を持ち出す意味が分かりません。

生活保護の申請をしたい市民が市役所に来たときに、職員が「法律が3年後に変わるかもしれないので、3年後に来てみてください。」と言うことが許されるでしょうか。

陳情を採択しないのは議員の考えですから自由ですが、市民に分かる理由を言うべきです。

▽船生委員は「たっぷり作れ」と言ってない

小島委員は、「先ほど、船生委員が言いましたように、新しい庁舎に向けてそういう傍聴席のスペースをたっぷり作って」と言いますが、船生委員はそんなこと言っていないと思います。事実誤認があると思います。

▽今だって傍聴スペースはたっぷりある

小島委員は、「新しい庁舎に向けてそういう傍聴席のスペースをたっぷり作って」と言いますが、今だって常任委員会室に傍聴スペースはたっぷりあります。10人は座れるでしょう。

それにもかかわらず、鹿沼市議会は、5人以上の傍聴を認めないのですから、新庁舎ができたとしても、傍聴枠が広がる保証はありません。

7人の一般市民の傍聴スペースが十分にあるのに、委員長は3人しか許可しないから陳情が出ているのに、小島委員は、この問題状況を理解していないと思います。

●鈴木敏雄委員の発言

「この場で具体的な人数を決定するのは適当でないので、趣旨採択とすべき」という意見は、鈴木敏雄委員のものです。

会議録によれば次のとおりです。

陳情人の趣旨はよく分かりますので、陳情に対しては採択、不採択あるいは趣旨採択というのがありますので、この場で具体的な人数を決めるのは適当でありませんので、どっちみち、この先例及び申合せ事項というのは、幹事会で最終的に決定されることだと思いますので、この件については、具体的な人数というのは、やはり幹事会あるいは議会改革で検討していただいて、この議運におきましては、陳情人の趣旨はよく分かりますので、趣旨採択ということでしておけばいいのではないか、そういうふうに考えます。

陳情の趣旨は、傍聴人の定員を増やしてくれ、ということではなく、「傍聴人に定員を設けず、会場の収容能力の範囲内で傍聴を許可する扱いとしてほしい」ということです。

鈴木敏雄委員は、なぜ定員を設けることにこだわるのか、説明すべきだと思います。

●加藤美智子委員の発言

加藤美智子委員の発言は、会議録によれば次のとおりです。

委員会の傍聴ということで質疑をしましたけど、新庁舎ができる今、前段階ですよね。また、これがそのときに人数が変わったり、それから中身が変わるのは非常に紛らわしいと思う。なので、今現在、この陳情があがっていて、こういう希望があるとしても、非常に時期的な問題があるかと思います。

私は、非常にこの趣旨はよく分かるのですけど、関心を持っていただくというのはとても大事なことだと思うのですが、今現在では今までの市議会の申合せ事項に従うということでさせていただきたいと思います。

また、それぞれの委員会の委員長の意見で傍聴席ができるということも、今現在活かされていることですから、そのときの判断も仰げると思いますので、私は、今現在のこの申合せ事項に従うということで、不採択とさせていただきます。
▽質疑なんてしていない

揚げ足取りで言うのではありません。重要だから言います。加藤委員は、「委員会の傍聴ということで質疑をしましたけど」と言いますが、質疑なんかしていません。

質疑とは、提案者や発言者に疑問点を問いただすことですが、どの委員も他の委員の発言に疑問をぶつけていません。まともな結論を出せない原因はここにあると思います。

▽新庁舎建設とからめる意味が説明された

加藤委員は、本件陳情を新庁舎建設とからめる他の委員と違い、その意味を説明しています。

「新庁舎ができる今、前段階ですよね。また、これがそのときに人数が変わったり、それから中身が変わるのは非常に紛らわしいと思う。」と言います。

要するに、傍聴に関するルールを今変更しても、新庁舎が完成する2〜3年後には再度変更することになると紛らわしい、つまり、市民が戸惑う、ということでしょう。

▽2〜3年後に変更されるルールをつくって何が悪いのか

加藤委員の意見は、2〜3年でルールを変更することは、朝令暮改であり、好ましくないということでしょう。

確かに税制が2〜3年でコロコロ変わるのはよくないでしょう。

陳情で問題になっているのは、傍聴に関するルールです。

2〜3年後に変更されたからといって、誰にどんな不利益があるのでしょうか。誰も損はしないと思います。

朝令暮改はよくないという原理原則はあるものの、時限立法という立法手法も認められているのですから、寿命の短いルールをつくるべきかを検討する場合には、原理原則で割り切るのではなく、寿命の短いルールをつくることによるメリットとデメリットを比較衡量することが必要だと思います。

加藤委員は、朝令暮改はよくない、という原理原則にこだわっているだけのように見えます。

そうでないと言うなら、今、ルールを変えると、誰にどんな不利益が及ぶのかを説明すべきです。

▽そもそも市民は議会傍聴のルールなんか知らない

加藤委員は、傍聴のルールが短期間で変わると「非常に紛らわしい」と言いますが、意味が分かりません。

そもそもほとんどの市民は委員会の傍聴のルールなんか知りません。

元々知らないルールが短期間で変わっても「非常に紛らわしい」という事態にはなりません。

ひょっとして、議員にとって「非常に紛らわしい」という意味で言っているのかもしれませが、それはないでしょう。

なぜなら、議員は議会のルールに精通しているはずですし、たった3行程度で書けるルールが短期間に変わったとしても、自分たちで変えたルールですから、「非常に紛らわしい」ということにはならないはずです。

▽「委員長の意見で傍聴席ができる」という事実はない

加藤委員は、舘野委員と同様に、「それぞれの委員会の委員長の意見で傍聴席ができるということも、今現在活かされていることです」と言いますが、そんな事実があるのでしょうか。

少なくとも2018年6月22日の議会運営委員会では、各派幹事会申合せ事項が厳守され、鰕原委員長は、記者2人、一般市民3人の合計5人を超える傍聴を許可しませんでした。だから陳情が出ているのです。

▽「非常にこの趣旨はよく分かる」なら趣旨採択が筋だ

加藤委員は、「非常にこの趣旨はよく分かる」と言いながら、結論は不採択です。

「非常にこの趣旨はよく分かる」なら趣旨採択が筋ではないでしょうか。

加藤委員も議会用語を理解していないようです。そうでないとしたら、一般市民を目の敵にしているのだと思います。

●鰕原一男委員長の発言

鰕原一男委員長の発言は、会議録によれば次のとおりです。

本委員会としては、鹿沼市議会先例及び申合せ事項において定めた、委員長が許可する傍聴の取扱いの見直しを図ることが望ましい。

ただし、会議の運営上及び秩序保持のため、傍聴人定員数は一定の基準を設けざるを得ない。

したがって、できるだけ傍聴をしてもらうことについて、その必要性があることは言うまでもないことから、本陳情は趣旨採択とし、今後議会内部で検討すべきものとしたいと思います。他に意見等はございませんか。


▽傍聴ルールの見直しはいつやるのか

鰕原委員長は、「傍聴の取扱いの見直しを図ることが望ましい」と言いますが、各派幹事会による申合せ事項を見直すのはいつのことか分かりません。

20年後かもしれません。いつ見直すのかを言わなければ意味がないと思います。

空いている席に市民を座らせればいいだけの単純な話です。他市の状況を調査したとしても、2日あれば結論が出る問題ではないでしょうか。

委員長が「問題の先送りではない」と言うなら、期限を明示すべきです。

▽「会議の運営上及び秩序保持のため」とはどういうことか

定員を設ける理由は、「会議の運営上及び秩序保持のため」とのことですが、理解できません。

定員を設けないと「会議の運営上及び秩序保持」に支障が出るということになりますが、本当でしょうか。

実は、委員会の傍聴人の定員が守られなかった実例があります。項を改めて説明します。

●委員会の傍聴人の定員が守られなかったが秩序保持ができなかったのか

上記では、委員長の裁量で5人を超えて傍聴させた事実はないという前提で書きましたが、実は、委員会の傍聴人について5人という定員が守られなかった実例があったことが分かりました。

2017年3月15日に環境経済常任委員会の会議が開催され、「「横根太陽光発電所」建設差し止めの措置実現に向けた陳情」が審査されました。

情報公開請求によりその際の傍聴人受付簿を取得しました。そこには、黒塗りになっていますが、一般欄に3人の、記者欄に3人、合計6人の住所氏名が記載された形跡があります。

記者欄には、社名を書く欄がありますが、書いてあるのは、下野新聞だけです。

したがって、6人の内訳は、記者1人、市民5人だった可能性があります。

記者が3人だったとしても、各派幹事会申合せ事項違反です。

正確な内訳は、議会事務局職員に聞いても教えてもらえませんでしたが、いずれにせよ、当日の常任委員会の傍聴人の数が6人であったことは間違いありません。

つまり、各派幹事会申合せ事項で決めた5人を超えていたということです。

増渕靖弘委員長が裁量により5人を超えて傍聴を許可したものと考えられます。

舘野委員が「委員長の裁量で傍聴者数を増やすということができる」と言い、加藤委員が「委員長の意見で傍聴席ができるということも、今現在活かされている」と言うのは、この実例を踏まえてのことかもしれません。

そして、傍聴人の定員を超えて、傍聴を許可した場合に会議の運営や秩序の保持に支障があったかと言えば、なかったと思います。

したがって、鰕原委員長の「会議の運営上及び秩序保持のため、傍聴人定員数は一定の基準を設けざるを得ない。」という前提は、成り立ちません。

そうであれば、増渕委員長は、裁量権を適切に行使したのに対し、鰕原委員長は、適切に行使しなかったという話です。確かに、傍聴希望者は同一人物ではありませんが、2018年6月22日の傍聴希望者が秩序を乱しそうに見えたという根拠もないでしょう。

いずれにせよ、5人の定員を超えて傍聴を許可した実例があり、それで問題がなかったのですから、陳情は採択するのが筋です。

●不採択にこだわったのは異常だ

上記のとおり、本件陳情は、議会運営委員会では不採択となったのに、本会議では紛糾の結果趣旨採択となり、ねじれ現象が起きました。

委員会で、委員長提案のとおり趣旨採択としていれば、本会議で紛糾し、時間を浪費する必要はなかったことになります。

結果的に趣旨採択とするなら、本会議を徒に紛糾させた責任は、不採択にこだわった4人の委員(船生、舘野、加藤、小島の各氏)にあると思いますが、4人に反省する気持ちはないのでしょうか。

船生委員は「趣旨については分かりますけど」、舘野委員は「気持ちは分かりますけど」、加藤委員は「非常にこの趣旨はよく分かるのですけど」と自ら言っているのですから、当然、採択すべきだし、少なくとも趣旨採択にはすべきところ、敢えて不採択にこだわったのは異常だと感じます。(結局、「趣旨は分かる」と言わなかったのは、小島委員だけ、ということになりますが、陳情の趣旨を理解できないのですから、それはそれで問題です。)

3氏の姿勢は、安倍晋三首相が「沖縄の皆様の心に寄り添う」と口では言いながら、問答無用に辺野古新基地建設を進めるという姿勢に似ていると思います。

(文責:事務局)
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