便利の代償

2010-02-23,2010-02-25追記

●きれいはきたない、きたないはきれい

2010-02-26週刊朝日は、「淑女のお尻の洗いすぎは膣内の悪玉菌を増やす!?」という記事を掲載しています。

温水洗浄便座を使いすぎると細菌性膣症になりやすく、妊婦の場合、早産率を高めるというのです。

国立国際医療センター戸山病院産婦人科の荻野満春医師(59)は、次のように言っています。

「一般的には、早産発生のうち50〜60%は細菌性膣症が原因と言われており、くしくも、温水洗浄便座の普及率と早産の発生率は高い相関性を示しています。この事実は、温水洗浄便座の習慣的使用と早産の蓋然的な関連性を示唆していますが、今後さらに慎重な検討が必要でしょう」
 調査対象は、妊娠していない女性(19〜40歳)で、温水洗浄便座の〈習慣的〉な「使用者」154人と、〈全く使用しない〉あるいは〈たまに〉〈時々〉と答えた「未使用者」114人の計268人。それぞれの膣内分泌物を採取し、分析した結果、善玉菌を「保有していない」症例は「未使用者」でわずか8・77%であったのに対し、「使用者」では42・86%と5倍近かった。

 驚くのはまだ早い。荻野医師が続ける。

 「大腸菌などの腸内細菌が膣内から検出された症例の92%は『使用者』で、8%が『未使用者』と、その差は歴然です。また、『使用者』では、悪玉菌を殺す作用のある善玉菌を保有しているにもかかわらず、腸内細菌が検出されるケースが『未使用者』の3・85%に比べ、25%と高率でした」  

お尻を温水で毎回洗浄していても、「きれい」は感覚だけで、科学的に見ると、むしろ汚かったというわけです。むしろ、「紙だけ」の方が清潔で健全だったというのです。消費者は、高いカネを出して、不潔と不健康を買わされていたことになります。大メーカーのTOTOは、医学的な話はノーコメントと言っています。無責任な話です。

シェイクスピアは、戯曲「マクベス」の中で3人の魔女たちに「きれはきたない、きたないはきれい」という台詞を言わせています。

「きれはきたない、きたないはきれい」とは、このことかと思いました。

●便利は不便

2009年8月にカリフォルニア州でトヨタのレクサスに乗った一家が暴走事故を起こしたことは周知のとおりです。詳しくは、【国際】「アクセルが動かない!」 トヨタ車が190キロで暴走、一家四人死亡のリコール問題で事故の交信記録を報道?米テレビ★13(934)などを参照。

原因は、アクセルペダルがフロアマットに引っかかって戻らなくなったためとされたようですが、2009-10-14朝日の米レクサス運転手、1割が「暴走経験」 当局調査に回答には、「回答した(レクサスの)ユーザーの1割が意図せずに加速する「暴走」を経験。NHTSAは、ずれてアクセルペダルを戻らなくする恐れのあるフロアマット以外に、車の構造的な問題も指摘している。」と書かれています。

あの事故で、ギアをNに入れれば助かったのに、という意見もありますが、それでも暴走は止まらないという説もあり、あの場面でどうやれば死なないで済んだのかはよく分かりません。

言えることは、マニュアルトランスミッションのクルマだったら、暴走しなかったということです。クルマが暴走し、パニックに陥っても、クラッチを踏み込むことはできるでしょう。そうすれば、エンジンの力は車輪に伝わりません。もちろん、クラッチが故障することもごくまれにはあり得ますが、アクセルとクラッチが同時に故障する確率は低いでしょう。

「ヨーロッパでは相変わらずMT車が主流で、その割合は85%以上にも上ります。」(プジョーのサイト)。「アメリカでは10台中9台はAT車」だそうで、日本も同様でしょう。

多くの日本人とアメリカ人は、身体障害者でもないのに、高いカネを払ってオートマ車に乗り、便利と危険を買っているわけです。オートマ車は燃費も悪いから、CO2の排出量も多く、環境にも悪いのですが、気にする日本人はほとんどいないのが実情です。

話を戻しますと、マニュアル車に乗っていれば、暴走事故で死ぬことはほとんどなくなると思います。オートマ車というものは、便利に見えても、いざというときに不便なものではないでしょうか。

●ギアをNに入れても止まらない(2010-02-25追記)

レクサスが暴走した場合、ギアをNに入れれば止まるという人がいます。(例えば、http://pub.ne.jp/biginzabijin/?entry_id=2588793のコメント欄、)

しかし、2月23日のアメリカ下院エネルギー・商業委員会で行われたトヨタ自動車のリコール問題をめぐる公聴会で証言したテネシー州のロンダ・スミスさんは、「2006年10月、新車の「レクサスES350」を運転中、高速道路に合流したところで、アクセルの制御が利かなくなりました。ギアをニュートラルやバックに変えたり、両足でブレーキを踏みながらハンドブレーキを使ったりしましたが、車は時速160キロまで加速を続けました。」(2010-02-25赤旗)という記事があります。(産経記事http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100224/biz1002240119003-n1.htmもあります。)

この証言が事実だとすると、ギアをNに入れても暴走は止まらないというのが正解のようです。

ちなみに、スミスさんは、「事故後にトヨタに通報しましたが、トヨタは「整備を適切に行っていれば、ブレーキが常にアクセルに優先する」と回答」(上記赤旗)したそうです。

「整備を適切に行っていれば」って言うけど、スミスさんは新車に乗っていたんですけど。

ちなみに、「前原誠司国土交通相は24日の記者会見で、トヨタ自動車製の車両の急加速や急発進に関して、国内でも2009年までの3年間で38件の苦情が国交省に寄せられていたことを明らかにしました。」(上記赤旗)。やはり、フロアマットの問題は、本質ではないでしょう。

(文責:事務局)
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