須藤元気は根拠を聞かずに納得した

2025-08-08

●須藤元気は治験が終わっていないと言っていた

2025年7月20日が投票日の参議院議員選挙に国民民主党から公認されて立候補することになった須藤元気は、同年5月27日にアップされた、Japan In-depthというサイトでのインタビュー動画で「(自分が)言っていたのは副反応リスク、それから治験が終わっていないmRNAワクチンに対して慎重にするべきじゃないか(ということだ)」と言いました。藤江成光のXで視聴できます。

須藤は、同様の発信を以前からしていたようです。

「須藤氏は2023年11月に、「もういい加減ワクチン接種を進め続ける理由はないでしょ」とX(旧ツイッター)に投稿するなど、ワクチンの効果に懐疑的な私見を示していた。」と言います。根拠は下記の日刊スポーツ記事。

須藤元気氏のワクチンめぐる過去発言の背景明かす 国民・榛葉幹事長「彼の高校の同級生が…」[2025年6月20日15時39分]

これに対して、国民民主党の支持者から、須藤の言動は「科学的根拠に基づく政策方針」という同党の方針と矛盾するという指摘があり、「同年6月30日、東京都内で記者団の取材に応じ、ワクチンに関する過去の発信について「私の発言で医療従事者に大きな負担をかけた。心からおわびする」と陳謝した」(Wikipedia須藤元気)という経緯があります。

その模様を撮影した動画が下記です。

【国民民主党】須藤元気さんに科学の大切さを伝えました

ただしこの動画は、同党の公式動画チャンネルではなく、医師であり、2022年11月から国民民主党愛知県第16区総支部長である福田徹衆議院議員の動画チャンネルです。

「須藤元気さんに科学の大切さを伝えました」という上から目線のタイトルですが、間違った認識を持っていたのはどっちなのかが問題となっています。

約27分の長い動画ですが、文字起こしを表示して、短時間で概要を見ることもできます。

●福田の発言内容とは
(総論)

個人の問題ということと社会全体の問題ってのは、これ実はあの両方大事なんですね。ただどうしてもワクチンについてはま一定のリスクがあることも事実で、このリスクと一方で、え、公衆衛生上の社会全体のベニフィットを高めるという意味のですね、そのリスクとベネフィットをいかにこううまくですね、こうコントロールしていくのかマネージしていくのかっていうことが多分ワクチン行政においては極めて重要なんだというふうに思いますで、その上でやっぱり正しい情報をね、こう伝えていくってことが、ま、リスクコミュニケーションていうことで言うと、すごく大切だし、そこに政治がやっぱり果たす役割は非常に大きい

一定の割合の方がワクチンを接種すると感染症が広がりづらい社会を作れる。これ集団免疫と言います。

ですからワクチンを接種した人はもちろん、こうワクチンを接種できない、例えば乳幼児であったり、あと免疫不全のある方であったり、あと妊婦さんですね、こういった方の健康を守ることにつながります

例えば、妊娠中にはしかにかかるとこう重症化したり、うん、早産こういう原因になったり、やっぱり妊婦さんを守るためにははしかの集団免疫をしっかりつくることがとても大切になります

つまり、ワクチンというのは個人を守ることにとまらず社会を守ることができる

(コロナワクチンの効果)

ワクチンの効果は、発症予防効果と重症化予防効果、この2つの効果で説明したい

ただ一方で、やっぱりどうしても、こう、ワクチンに否定的な発信をされる方は、こう、私から見ると時期をずらして批判することが多いと感じるんですね。

こう、例えばこう発症効果が小さくなってきた後に発症効果あるって言ったじゃないかって言ったり、あとどうしてもこう研究結果っていうのは遅れて出てきます。

だから接種対象を変えるタイミングっていうのはある程度研究結果が出た後になるので、こう後になって、あれ意味なかったじゃないかって批判したり、ま、こういうことが起こってると思うんですね。で、これは決して科学的な批判とは私は思えない

(コロナワクチンの副反応)

これまで4億回接種していて、副反応疑いに報告されて死亡例は2000件、0.0005%ですね。うん、でこの約2000件のうちワクチンと死亡との因果関係が否定できないと判断されたものが2例あります。

で実は、ほとんどがこう情報不足等でワクチンとの因果関係が評価できないという評価になっています。え、確かにこうワクチン接種後の有害事象の因果関係の判断って、ものすごく難しいです。

これWHOでも難しいと言われています。

例えば、こう、ワクチン接種後に亡くなられた方を解剖した。そして、心筋梗塞を起こしていたと分かったとします。

うん、ただ心筋梗塞っていうのは、こう、いつ誰にでも起こりうる疾患。

それがワクチンを打ったその日や次の日に偶然起こしたのか、それともワクチンの影響で起こしたのか、これは現時点では評価できないですよね。

だから、この死亡がワクチンの影響で起こったのか、若しくは、こう、関係なく起こったものか、こういう個別の因果関係の判断っていうのはものすごく難しくて、これに関しては、もう少し時間をかけて事例を収集して、こう、集団での評価が今後必要になってくるだろうと思っています。

(治験と承認の時期)

我が国で2021年に接種を開始したタイミング、ファイザー、モデルナのm RNAワクチン、これは海外でいわゆる一般的な治験と言われる第1相試験、第2相試験、第3相試験、これは全て終わって有効性も安全性も検証された状態で、あの、我が国で承認されています。

ですので、厚生労働省も2021年10月8日の時点でm RNAワクチンの治験が終わっていないという主張は注意が必要な誤情報として分類しています。

2021年、我が国で承認されたタイミングでは海外では1相、2相、3相終わっておりますので、その当時の日本における必要性としては十分に妥当な判断だったのではないかと私は考えています。

●危害と便益のバランスは取れたのか

福田は、総論では、危害と便益のバランスを取ることが重要だと言っているのだと思いますが、実際にバランスは取れたのでしょうか。

政府は、尾身茂が言うように、コロナ禍を検証していません。

玉木は、将来必ず来るパンデミックに備えて、国会で検証すべきだと言っていますが、ワクチン行政が正しいという結論を持った上での検証を提唱しているのですから、意味のある検証になるとは思えません。

むしろ、有害無益な茶番劇になるでしょう。

国民民主党が、福田が言うように、危害と便益のバランスを取ることが重要だと考えるのであれば、国民民主党が独自の調査研究をすべきだと思います。

政党交付金が22億円も入るのですから、調査研究費用はあるはずです。

全体的な調査はできないとしても、謎の大量死の原因究明くらいはできるはずです。

●福田は乳幼児と妊婦には接種できないと発信したのか

福田は、「ワクチンを接種できない、例えば乳幼児であったり、あと免疫不全のある方であったり、あと妊婦さんですね、こういった方の健康を守ることにつながります」と言います。

福田は、ワクチンは乳幼児と妊婦には接種できないと言っていることになります。

しかし、コロナワクチンの場合、乳幼児と妊婦にも接種できるとされ、推奨され、実際に接種事例もあります。

9か月で開発され、特例承認しか受けていないワクチンを幼児や妊婦に接種するのは危険だと福田が考えたとすれば、極めて真っ当な考えです。

そうであれば、福田は、そのような発信をしたのでしょうか。

小児科学会と婦人科学会がコロナワクチン推奨の声明を出した時に、福田はそんな危険な声明は出すなと言ったのでしょうか。

●ワクチンで集団免疫をつけるなら、感染予防効果があることが必要なはず

福田は、「例えば、妊娠中にはしかにかかるとこう重症化したり、うん、早産こういう原因になったり、やっぱり妊婦さんを守るためにははしかの集団免疫をしっかりつくることがとても大切になります」と言います。

しかし、後藤 重則(瀬田クリニック東京)医師が監修する「感染症流行の収束の鍵を握る「集団免疫」とは? 社会全体で感染症を防ぐにはワクチンが有効」という記事には、「しかし実際のところ、ワクチンによっては接種によって重症化を防ぐことはできても、感染を防ぐ効果が乏しいこともあり、たくさんの人がワクチンを接種しても集団免疫の状態にはならないこともあります。」と書かれています。

つまり、ワクチンに感染予防効果がなければ、接種しても集団免疫とはなりにくいということです。

しかし、実際のコロナワクチンは、尾身茂が言うように、そして、政府が感染予防効果に関するデータをねつ造したことからも分かるように、感染予防効果はなかったのですから、コロナワクチンで集団免疫を得ようという対策そのものが間違っていたということです。

後記のとおり、福田は、コロナワクチンには、感染予防効果はなかったと考えていると思います。

そうであれば、ワクチンに感染予防効果があることを前提とした集団免疫の理論で今回の政策を支持することは矛盾しています。

●感染予防効果に触れないのは卑怯ではないか

福田は、「ワクチンの効果は、発症予防効果と重症化予防効果、この2つの効果で説明したい」と言います。

ワクチンに感染予防効果があることを前提に、一般論としてのワクチン接種による集団免疫を説明しているのに、コロナワクチンについては、感染予防効果に触れないのは、理論破綻を示していると思います。

福田がコロナワクチンの感染予防効果に触れないのは、感染予防効果がないことを認めているからではないでしょうか。

そうであれば、尾身のように、感染予防効果はなかったと正直に言うべきです。

●効果がないという主張は結果論ではない

福田は、ワクチンの効果がないじゃないか、という批判は結果論であり、後出しジャンケンであり科学的ではないと言いたいのだと思います。

しかし、コロナウイルスは変異株ができてしまい(変異株は人工的につくられたという説もあります。)、ワクチンの効果は、あったとしても、短期間しか持続しないという批判や懸念は、もともとあったはずです。

だから、ワクチンで集団免疫を獲得するという方針にはそもそも無理があると言っていた専門家も相当いたと思います。

そうした懸念に対しては、変異株に対しても当初のワクチンの効果が期待できるとか言って、ワクチン接種以外の方策を捨てたのが政府です。

●福田は二重基準を使っている

福田は、「これまで4億回接種していて、副反応疑いに報告されて死亡例は2000件、0.0005%ですね。うん、でこの約2000件のうちワクチンと死亡との因果関係が否定できないと判断されたものが2例あります。」と言います。

副反応検討部会に上がった死亡報告数は、2024年7月29日までに2204人です。根拠は下記です。

ダッシュボード

それはともかく、福田が、接種と死亡の因果関係をどのように考えているのかさっぱり分かりません。

因果関係のある死亡を2件と考えているなら、死亡の発生確率は、2/4億=0.0000005%になります。

因果関係のある死亡を2件と考えるなら、2204件の報告のうち2202件(福田なら報告件数を2000件としているので1998件と言うでしょう。)は、因果関係が認められない事例だというわけです。

因果関係のある死亡を2件と考えるなら、因果関係が認められない事例がほとんどである2000件という数値を使って0.0005%という発生確率を出す意味が分かりません。

それとも福田は、報告された2204件全てに因果関係があると考えるのでしょうか。

そうではなくて、副作用の死亡率が0.0000005%ではあまりにも小さすぎて不自然なので、ご都合主義で報告件数を分子にして死亡率を計算したのではないでしょうか。

●福田の考え方では薬害防止ができない

福田は、「だから、この死亡がワクチンの影響で起こったのか、若しくは、こう関係なく起こったものか、こういう個別の因果関係の判断っていうのはものすごく難しくて、これに関しては、もう少し時間をかけて事例を収集して、こう集団での評価が今後必要になってくる」と言います。

恐ろしい考え方です。

予防原則の考え方が欠落しており、こんな考えでは薬害は防止できません。

「もう少し時間をかけて事例を収集して」いるうちに、被害がどんどん拡大してしまいます。

ワクチンを接種して、死亡者が出て、因果関係が不明なら、一旦は接種を中止し、原因を究明するのが筋です。

実際、これまでのワクチンではそうしていたのではありませんか。

福田は、「例えば、ワクチン接種後に亡くなられた方を解剖した」と言いますが、解剖した事例がどれだけあるのか疑問です。

死亡の原因究明をしないまま、ワクチンをどんどん接種したのですから、謎の大量死が起き、人口が激減するのは当たり前です。

要するに福田の考えは、「疑わしきは罰せず」という考えであり、刑事手続では真っ当な考えですが、ワクチン接種と死亡の因果関係があることがはっきりするまではワクチンを打ち続けるべきだということですから、薬害も水俣病も防げません。

情報不足で因果関係の評価が不可能という事例は、因果関係がある事例を含んでいます。

ところが福田は、評価できない事例を因果関係が否定すべき事例とみなしているわけです。

不明と否定は違うと思います。

●海外治験は終わっているというのが福田の解説

冒頭に掲げた動画で福田は次のように言います。

我が国で2021年に接種を開始したタイミング、ファイザー、モデルナのm R N Aワクチン、これは海外でいわゆる一般的な治験と言われる第1相試験、第2相試験、第3相試験、これは全て終わって有効性も安全性も検証された状態で、あの、我が国で承認されています。

ウィキペディアによれば、「COVID-19ワクチンの接種は、2021年2月17日に初回接種」とされています。

つまり、福田は、接種開始時期の2021年2月17日時点で、海外治験は第3相試験まで終了していたと言っています。

そして、福田は、その根拠を示しませんでした。

なお、福田は、接種開始時期と特例承認の時期を使い分けているようにも見えますが、特例承認の時期は2021年2月14日(根拠は医薬品医療機器等法に基づく新型コロナウイルスワクチンの特例承認について)なので、接種開始時期と3日しか違わないので、使い分けているわけではなさそうです。

●治験とは何か

ここで、治験とは何かを押さえておきましょう。

しかし、その法的根拠は見つかりませんでした。

厚生労働省のサイトで見つかったのは、どこかの審議会の下記資料(2005年3月開催か)です。

治験について

また、緊急承認制度が施行されましたというページにも裏面に治験の期間と被験者数の相場みたいなものが書かれています。

国立研究開発法人国立生育医療研究センターのサイトの次のページを見ましょう。

治験ってなあに?

まず、臨床試験と治験の違いを確認します。

「臨床試験とは、健康な成人や患者を対象に新しい薬や治療法の効果や安全性を科学的に調べる方法です。」

「治験」は、臨床試験のうち、新しい薬や治療法としての承認を得るために必要なものだとされます。

そして、「第◯相」については、概ね次のような理解でよいと思います。
第1相 安全性の評価
第2相 効果の評価
第3相 より多数の患者について、効果や安全性を最終的に確認

なお、Yahoo!ニュースには、次のように書かれており、こちらが分かりやすいのかもしれません。専門家の見方が一致しているわけではなさそうです。

第1相試験 健常ボランティアに対する用量試験
第2相試験 比較的少数に対するランダム化比較試験
第3相試験 大規模なランダム化比較試験

ちなみに、上記の会議資料によれば、新しい発想のワクチンを開発するなら、最低でも6年はかかりそうです。13年かかるだろうという説もあります。

ファイザー製薬のC E Oは、新型コロナワクチンを9か月で開発したと言っていますから、相当無理な開発であったことは事実です。

BBCニュースジャパンのファイザー、新型ウイルスワクチンの緊急使用許可を申請 アメリカで初という記事には、「新型ウイルスの遺伝子コードの詳細が明らかになってから10カ月以内にワクチンの緊急使用許可申請にこぎつけた。これは、ワクチン開発としては驚くほどの速さだ。アメリカでワクチンが承認されるまでには平均で8年近くかかるとされる。」と書かれています。

土屋正忠衆議院議員は、ブログに「2019年12月中国武漢で発生した新型コロナウイルス感染症ですが、わずか半年後の2020年4月にワクチンが開発されました。」と書いています。根拠は下記。

天才画家エゴン・シーレはスペイン風邪にやられた。現代に生きる私たちはmRNAワクチンでコロナを乗り越えつつある。発明者のカタリン・カリコ博士にノーベル賞を。5月8日に2類相当からインフルエンザ並みの5類へ

なぜ、「2019年12月」から「2020年4月」までが「わずか半年後」になるのか分かりません。

半年後ではなく、4か月で開発したと言うべきだと思います。

医学の素人の言うことを相手にしても仕方がないという意見もあろうかと思いますが、影響力の大きい衆議院議員が言うのですから、相手にしないわけにもいきません。

むしろ、土屋の言っていること(「2020年4月にワクチンが開発されました。」)の方がファイザーのCEOの発言より正解かもしれません。

なぜなら、後記のとおり、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構Pharmaceuticals and Medical Devices Agency(PMDA)が作成した報告書によっても、ファイザー社製のコロナワクチン(正確にはビオンテック社との共同開発ですが、表記が面倒なので、以下「ファイザーのコロナワクチン」としておきます。)の海外治験は、2020年4月から始まっているからです。

なお、【遂に実現】遺族『須藤元気さん、あなたには"憤り"しかない』という動画のコメント欄には、ファイザーに問い合わせた人が次のように投稿しています。

@haimiao9335
ファイザーに問い合わせました。
海外  第1〜3相 治験は2020年4月29日〜2023年2月10日 (12才以上)
国内  1〜2相 治験は2020年10月21日〜2021年11月25日

つまり、海外治験は2020年4月29日から始まったと見てよいと思います。

ワクチンの「開発期間」の定義にもよりますが、それを病原体の特定の着手から治験開始直前までと定義すると、ファイザーのコロナワクチンの開発期間は、半年よりも短く、4か月程度となると思います。

なお、ファイザーの海外治験の終了日が「2023年2月10日 (12才以上)」となっており、下記の厚生労働大臣の発言による治験終了時期と10か月ものずれがありますが、そして、重大な問題だと思いますが、原因不明です。

この違いをおそらく誰も問題にしないことも問題だと思います。

厚生労働大臣が「ファイザーの治験は2023年12月に終った」という発言の根拠を確認する質問をした人はいないでしょうし、情報公開請求をした人も今のところいないと思います。

お前が公開請求すればいいじゃないかと言われそうですが、真偽の確認にはエネルギーが必要です。私にはそれだけのエネルギーがありません。

●治験に意味はあるのか

治験には常に意味があるとは限りません。

手順に科学的な合理性がない場合又は治験で使われた医薬品の製造方法と違う方法で製造された医薬品を販売した場合には、治験に意味はありません。

ファイザーのコロナワクチンは、治験に使ったものと市販品は別の方法で製造したことをファイザーが認めたという情報があり、そうだとすると、治験は全く意味のないものとなります。

●厚生労働大臣の発言と矛盾する

福田の上記発言は、厚生労働大臣の発言と矛盾します。

福岡資麿厚生労働大臣は、2025年7月8日の記者会見において、日本でコロナワクチンの接種を開始する時点では、海外治験も終了していなかったと発言しました。

明らかに福田の発言と矛盾します。

藤江成光による下記動画によれば、福岡大臣は次のように言います。

おかしくないですか!?こんなことが許されると思いますか!?

ファイザー社及びモデルナ社のメッセンジャーR N Aワクチンの海外臨床試験は現時点ではいずれも終了してございまして、お尋ねがありました終了時期につきましては、ファイザー社の海外第1、第2、第3相試験の終了時期は、2023年12月、モデルナ社につきましては、海外第1相試験、第2相試験、第3相試験の終了時期は、それぞれ2022年4月、2021年10月及び2022年12月であると承知をしております。

なお、モデルナのコロナワクチンの製造販売は、2021年5月21日に特例承認されました。

根拠は、同日付けの讀賣新聞記事「モデルナ製ワクチンを24日から接種開始…厚労省、アストラゼネカ製は当面使用しない方針」(下記)です。

厚生労働省は21日、米モデルナ、英アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンの製造販売を特例承認した。これを受け、防衛省は同日、東京と大阪で実施する大規模接種でモデルナ製を使うと正式に発表した。24日から接種を開始する。一方、厚労省はアストラゼネカ製について、当面、国や自治体の公的な接種に使用しない方針とした。

つまり、モデルナのワクチンについては、2021年5月21日に特例承認され、同月24日には使われたということです。

●「特例承認に係る報告書」にも治験は継続中と書かれている

独立行政法人医薬品医療機器総合機構は、2021年2月8日に、ファイザーのワクチンについて「特例承認に係る報告書」を作成しました。

そのp3には、次のように書かれています。

本剤は、SARS-CoV-2 による感染症の予防を目的として、独国 BioNTech 社及び米国 Pfizer社により2020年__月より開発が進められた。海外臨床試験(C4591001試験)は同年4月より、国内臨床試験(C4591005 試験)は同年 10 月より開始され、2021 年 1 月 20 日時点でいずれも試験継続中である。

つまり、ファイザーについては、「2021 年 1 月 20 日時点でいずれも試験継続中である。」と明記されています。

これを見ても、「2021 年 1 月 20 日時点で」継続中という話であり、接種が開始された同年2月17日までに治験が終了した可能性がある、という理屈を言う人がいるかもしれません。

確かに、理論的にはその可能性はあるのですが、それを確かめる情報は、ネット上にはなかったと思います。

福岡大臣は、根拠は示しませんでしたが、上記のとおり、ファイザーの治験は2023年12月に終了したと言うのですから、結果としては、その可能性はなかったことになります。

福岡大臣からこの言質を取った藤江成光の功績は大きいと思います。

●福田の言い訳は「データが出そろっていた」だった

藤江の動画を見た愛知県民が福田徹に質問をした動画を引用する動画があります。

【速報】藤江さんが襲われました&「日本人ファーストじゃない」とか明らかにおかしい!【心理カウンセラー則武謙太郎】

7月10日に福田徹は、「コロナワクチンは接種開始時点では治験が終わっていなかったのではないか」という趣旨の質問をされて、「データが出そろって、それを元に申請されて承認したことを(海外治験が)終わったと言いました。」とか「プロトコル全体が終わったのは承認された後だけれど、承認するために必要なデータが出揃ったことを、そしてそれで承認されたことを(海外治験が)終わったって説明」(44:20あたり)と答えました。

●プロトコルが誤用されている

プロトコルの意味は、次のとおりです。

「自然科学や社会科学の研究において、プロトコルとは、実験の設計と実施において事前に定義された手順方法を指すのが最も一般的です。」(https://jmedia.wiki/小規模で単一場所で行われる試験を除き、試験の設計と目的は臨床試験プロトコルと/Clinical_trial_protocol)

ただし、福田は、プロトコルの意味を間違って使っていると思います。

プロトコルを治験の意味で使っていると思います。

プロトコルは手順方法(を記録したもの)そのものですから、それ自体が始まるとか終わるとかはありません。

始まりと終わりがあるのは、プロトコルに定められた手順、例えば治験期間であって、プロトコルが終わるということはありません。

横文字を使って素人をケムに巻こうとしたのでしょう。

●福田は行為主体を混同している

また、福田は、「それを元に申請されて承認したことを(海外治験が)終わったと言いました。」と言いますが、治験が終わることに行政当局が承認することを含むという表現は理解できません。

治験を行うのは申請者であり、特例承認をするのは行政当局です。

要するに、治験と特例承認は別の行為であり、行為主体も違います。

したがって、治験に特例承認が含まれるはずがありません。(あるいは福田は、治験とは、申請者と行政当局が共同作業で行うものだと考えているのかもしれません。そう考えないと、福田の日本語は成り立ちません。)

また、福田が「承認」と言っているのは「特例承認」の意味です。

福田は、承認と特例承認を混同しているとも思います。おそらくは意図的に。

●データは出そろっていない

福田は、「(特例承認前に)データが出そろって」いたと言いますが、出そろっていなかったと思います。

「データが出そろって」いた、とは、申請者がデータカットオフを行ったことを指すと思われますが、そうだとすると、本当にデータが出そろうのは、治験期間が終了した時点のはずであり、データカットオフは、一応の区切りをつけるだけであり、「データが出そろって」いたとは言えないと思います。

●「データカットオフ」を理解しよう

治験が終っていたかどうかという議論は、データカットオフがどのようなものかについての認識を共有しないとかみ合わないと思います。

「特例承認に係る報告書」p20には、次のように書かれています。

7.1 国内第1/2相試験(CTD 5.3.5.1.2:C4591005 試験、実施期間 2020 年 10 月~継続中:データカットオフ日 2021年1月5日)

p22には、次のように書かれています。

7.2 海外第1/2/3相試験(CTD 5.3.5.1.1:C4591001 試験、実施期間 第1相パート:2020 年 4 月~継続中(データカットオフ日 本剤30μg群:2020年11月14日、その他の接種群:2020年8月24日)、 第2/3相パート:2020 年 7 月~継続中(データカットオフ日 2020 年 11 月 14 日))

上記の記述によっても、海外臨床試験も国内臨床試験も機構が報告書を作成した時点では継続中であることが分かります。

「データカットオフ日」とは、締切日のようなものです。

臨床試験が終了するまで薬の安全性や有効性を定量的に評価できないとすると、特例承認の判断材料がないので、一応の締切日を設定して、それまでに得られたデータで一応の安全性や有効性を定量的に評価し、特例承認の判断材料にしようという発想だと思われます。

カットオフしたデータで安全性や有効性を評価しても、それは一応のものにすぎないはずです。

治験が終了しているなら、データカットオフは不要です。

データカットオフという作業をしているということは、治験が継続中であるということです。

こびナビの動画のコメント欄に次のような記述があります。

厚労省のHPを見れば記載がありますが
・有効性についての治験
・安全性についての治験
↑こちらは終わっています。

・持続性についての治験
↑こちらが継続中であるため「治験中」となっています。

安全性・有効性の治験が終わっているのであれば、ひとまず「安全」なのではないでしょうか。

厚生労働省のサイトのQ&Aを見れば、安全性と有効性についての治験が問題なく終わったと思い込む人が出るのも無理もありません。

こういう誤解は、PMDAが作成した報告書を読まず、あるいは読んだとしても、データカットオフを理解していないことから生じると思います。

データカットオフによって、安全性と有効性について一応の数字が出ているから治験が終了していると思い込んでしまいます。

しかし、治験は継続中です。

重要問題であるにもかかわらず、なぜか試験期間がどこにも明記されていないから、こうした誤読が発生するのだと思います。

試験期間が明記されていれば、臨床試験が終わっているかどうかで論争は起きないはずです。

●治験が終わったのは特例承認の後だったことを認めている

いずれにせよ、福田は、上記の動画の中では、プロトコルを治験の意味で使っていると思われ、そうだとすると、「プロトコル全体が終わったのは承認された後だけれど」と言っているので、治験が終わったのは特例承認された後だったことを認めていることになります。

そして、「データが出そろって、それを元に申請されて承認したことを(海外治験が)終わったと言いました。」は、特例承認を治験に含めており、意味不明です。

要するに福田は、2025年6月30日に「海外治験が終わっていた」と言ったのは、「データが出そろって、それを元に申請されて承認した」という意味だったと答えたのです。

しかし、福田は、6月30日には、「海外でいわゆる一般的な治験と言われる第1相試験、第2相試験、第3相試験、これは全て終わって有効性も安全性も検証された」と言ったのです。

福田は、「海外治験は終わっていた」と明言していたのです。

後になって、「終わっていた」という言葉の定義を変えて、それでも自分は間違ったことを言っていない、という言い訳は見苦しい限りです。

福田は、潔く自分の発言の誤りを認めたらいいと思いますが、そうはいきません。

なぜなら、須藤元気の発言が正しいことになり、反ワクチンの立場を改心させることができなくなるからです。

要するに、虚偽情報を流しているのはワクチン推進派の方であるということが、ここでも明らかになったということです。

●大臣発言は政府がデマ情報に分類していたことと矛盾する

福田は、「(厚生労働省は)2021年10月8日の時点でmRNAワクチンの治験が終わっていないという主張は注意が必要な誤情報として分類してい」たと言うので、藤江成光は、厚生労働大臣記者会見でその真偽を確認する質問をしました。

福岡大臣会見概要(2025年7月15日(火)10:44〜11:02 省内会見室)

【最新大臣会見】医師でもある国会議員が、厚労省の名前を使い誤情報を広めている・・大臣、対応しないのですか?

福岡大臣の回答は、「臨床試験が終わっていないので安全性が確認されていない」という情報について、ワクチンの有効性や安全性について誤解を与えるおそれがあるので誤情報として分類していたというものです。

上記文章は、「臨床試験が終わっていない」という文と「安全性が確認されていない」という文が「ので」という原因・理由を表す接続助詞でつながっています。

大臣が言いたいのは、上記文章は、「臨床試験が終わっていない」ことは事実だが、「安全性が確認されていない」という部分については間違っているので、全体として誤情報だ、ということでしょう。

だから、2025年7月の大臣発言と2021年10月の誤情報分類は矛盾しないということでしょう。

しかし、そういうことであれば、2021年10月時点で「臨床試験が終わっていない」ことは事実だが、「安全性が確認されていない」という部分については間違っている、と、二つの話を分けて書くべきでした。

ところが、次に見るように、政府は、コロナワクチンに関するQ&Aでは治験が終わっていたと思わせる記述をしていたのですから、今回の大臣発言は、厚生労働省の過去の発信と矛盾します。

また、仮に矛盾がなかったとしても、つまり、過去の発信が「治験は終わっていなかったが、安全性は確認されていた」という内容であったとしても、無茶な話です。

治験が終わっていなくても安全性が確認できるなら、治験を終わらせる必要がないことになりますが、治験を終らせなくてよい理由はないと思います。

●治験終了後の報告はされていない

福岡大臣の発言によれば、ファイザーのワクチンの治験は2023年12月に終わったのですが、その後、1年半以上経ったのに、その結果報告は未だになされていないようです。

治験が終わったのに、申請者から結果報告がないというのは不思議です。

ということは、ファイザーのワクチンはいまだに特例承認されたにすぎないということです。

接種開始から4年以上経っても特例承認のままだとすれば、不可解極まりません。

●厚生労働省は誤解を誘導する発信をしていた

海外治験は終わっていたという福田発言の根拠を推測すると、厚生労働省のサイトのコロナワクチンに関するQ&Aではないかと思います。

新型コロナワクチンQ&A【2024年3月時点】というページがあります。

そこには、「本ページは、令和6年(2024年)3月31日までの新型コロナウイルス感染症に係るよくある質問を参考としてまとめたページです。」と書かれています。

つまり、【2024年3月時点】とは、多くの質問項目をまとめた時期です。

このページには、以下の記述があります。

【2024年3月時点】新型コロナワクチンの臨床試験(治験)が終わっていないというのは本当ですか。

新型コロナワクチンは、臨床試験(第3相試験)で、有効性と安全性に関して厳格な評価が行われた後に承認されています。その上で、効果の持続性等を確認するために、臨床試験の一部が継続されています。

誤解してほしくないのは、この質問は、「2024年3月時点で治験が終わっていないという話は本当か」という意味ではありません。

【2024年3月時点】は、すべての質問項目の頭に付いています。

この質問は、おそらく2021年時点から出ていたものであり、したがって、その内容は、「接種が開始される前に治験が終わっていなかったという話は本当か」という意味でしょう。

回答は、「新型コロナワクチンは、臨床試験(第3相試験)で、有効性と安全性に関して厳格な評価が行われた後に承認されています。」としており、よく読むと、治験が終わっているかについて答えていません。

話をはぐらかすのは卑怯です。

「臨床試験(第3相試験)で」と書いたのは、治験が終わっていると受け取れる表現ですが、後日、治験が終わっていないではないか、と突っ込まれたときに、「いやいや、治験が終わったとは書いてない。「その上で、効果の持続性等を確認するために、臨床試験の一部が継続されています。」とちゃんと書いている」という言い訳をするためでしょう。

(参考資料)として挙げられている※1:PMDAの審査報告書(ファイザー社のワクチン)のp3には、2021年2月10日時点では海外治験も国内治験も継続中と書かれているのですから、特例承認時までに終わっているかと聞かれたら、「終わっていない」という答えにならざるを得ません。

また、海外の第1相治験と第2相治験の終了時期について、全く触れないのも、終了していると思わせる効果をねらったものと思われ不当です。

厚生労働大臣の発言が正しいとすると、ファイザーのコロナワクチンの海外治験は、第1相から第3相までの全てが、2023年12月まで続いたのですから、記事の書かれた2021年7月21日に第1相と第2相が終了しているはずもありません。

●「承認されています。」は誤りだ

厚生労働省は、上記Q&Aで「承認されています。」とか「薬事承認されています」と書きますが誤りです。

この書き方では、承認は本来の承認の意味にしか受け取れません。

実際は、承認ではなく特例承認です。

「接種を受けるのは既に承認されたワクチンであり」と書きますが、「特例承認されたワクチン」にすぎません。

薬事を所管する官庁が正式文書において「承認」と「特例承認」を使い分けないということは考えられません。

実際、「これらの情報に加えて、日本国内でも、日本人を対象に臨床試験(第1/2相試験)を実施し、安全性や免疫原性(抗体の産生や細胞性免疫を誘導する性質)があること等が確認された後、特例承認を受けています」と書いた部分もあります。

にもかかわらず、厚生労働省は、「承認」、「薬事承認」及び「特例承認」をグジャグジャにして使っています。

「特例承認」であったにもかかわらず、「承認」や「薬事承認」を使ったのは意図的であり、「特例承認」であるという本質を隠すためだったと思われます。

●国内治験にも言及しているが終了時期については触れず

新型コロナワクチンQ&Aでは、国内治験についても言及しており、次のように書かれています。

日本国内でも、日本人を対象に臨床試験(第1/2相試験)を実施し、安全性や免疫原性(抗体の産生や細胞性免疫を誘導する性質)があること等が確認された後、特例承認を受けています(※1、※2)。

国内第3相試験を省略しているということです。だから、特例承認ということでしょうか。

それはともかく、この文章も詐欺的です。

普通の人がこの文章を読んだら、国内第1相及び第2相試験は終了したものと誤解します。

しかし、実際は、治験継続中にデータカットオフによって安全性と有効性を確認したにすぎないのです。

国内臨床試験についても、実施して確認されたと述べるだけで、終わっているかどうかには答えないのです。

このすり替え論法に、これまでどれだけ多くの議員と市民がだまされてきたことでしょうか。

仮に福田がだまされただけであり、意図的に虚偽の事実を述べたのでないとしても、そうであれば、「特例承認に係る報告書」も読んでいなかったことになります。

科学的に絶対に正しい事実を発信すると言いながら「特例承認に係る報告書」も読んでいなかったとしたら、解せない話です。

福田は、何を根拠に海外治験は終了したと判断したのかを、市民のためだけでなく、須藤元気のためにも説明してほしいと思います。

●評価は丁寧に行われた、もウソ

回答には、「このように、既に、有効性と安全性の評価は丁寧に行われました」と書かれていますが、治験期間が終了する前にデータカットオフをして一応の数字を出しただけですから、「評価は丁寧に行われました」とは言えず、ウソだと思います。

●Q&Aでは「治験のプロセスは省略されていない」としている

Q&Aには、次の質疑応答があります。

【2024年3月時点】通常の臨床試験(治験)のプロセスが省略されているのは本当ですか。

新型コロナワクチンは、医薬品開発に必要な臨床試験(治験)のプロセスを経て有効性と安全性が示された結果、世界中で承認されています。

現在日本で承認されている新型コロナワクチンでは、上記のプロセスが省略されることなく実施され、信頼性が確認されたデータによりワクチンの有効性や安全性が示されています。

いやいやおかしいでしょう。

治験が終了する前にデータカットオフをやっているのですから、治験のプロセスを省略した段階で特例承認をしていることになると思います。

治験のプロセスが省略されていないという情報は、明らかにデマ情報です。

●従来のワクチンで得られた知見を適用するのは非科学的だ

回答には、次の記述があります。

米国FDAのガイダンスでは、安全性について、大規模な臨床試験を基にした緊急使用を許可するために、接種後観察期間の中央値が2か月間あることを一つの要件としました。これは、従来のワクチンの副反応はほとんどが2か月以内に認められることが分かっているためです(※3、※4)。

「治験が終わっているか」という質問との関連性が不明であり、何が言いたいのかよく分かりません。

しかし、「従来のワクチンの副反応はほとんどが2か月以内に認められる」という知見を安易に適用することは誤りだと思います。

mRNAを人間の体に入れるのは初めてなのですから、副作用(あえて「副反応」とは言いません。)も従来のワクチンのものとは全く違うことが想定されるのであり、従来のワクチンにおける経験値を基準として評価することは許されないと思います。

●奇妙なこと

それにしても奇妙に思うのは、厚生労働省は、なぜ回答の末尾に参考資料として「PMDAの審査報告書」を掲げるのかということです。

これを読めば、特例承認前に治験が終わっていなかったことが分かってしまいます。

つまり、回答文と「PMDAの審査報告書」の記述が矛盾することを見抜いてくださいと言っているようなものです。

言い逃れをねらったのでしょうか。

治験が終わっていたとウソをついたと批判されたときに、「終わっていた」とは言っていない、参考資料に「PMDAの審査報告書」を挙げており、終わっていないことを隠すつもりはなかった、読み手が誤解しただけだ、という言い逃れができるようにしたかったのかもしれません。

しかし、厚生労働省は、治験のプロセスは省略されずに承認されたと明言しているのですから、言い逃れはできません。

●福田には同情できない

一般市民は、このQ&Aを読んで、少なくとも第3相治験は終了したものと誤解したと思います。

福田の誤解もここから来ているのかもしれません。

しかし、だからといって福田に同情する気にはなれません。

野党議員は、政権の仕掛けた詐欺にだまされてはダメでしょう。

政権のつくウソを見抜いて、市民のために暴露するのが野党の責務でしょう。

もっとも、政権のウソにだまされたのは、立憲民主党も日本共産党も同じです。

ワクチン詐欺にだまされなかったのは、参政党と日本保守党だけだとしたら、既成政党が愛想を尽かされるのは当然です。

もっとも、国民民主党が政府にだまされているという見方は素朴であり、むしろ、製薬企業と親和性があるのだと思います。(「玉木の言う検証は「結論ありき」だ」で紹介したとおり、ダボス会議に出席している玉木は、検証をする前からワクチン行政はダメではないという結論を予め持っているのですから。)

立憲民主党も日本共産党も政府にだまされたと見るのは早計かもしれません。

●厚生労働省が詐欺を用いた理由とは

厚生労働省が詐欺を用いた理由は簡単です。

もし正直に「接種時に治験は終っていたのか」という質問と答えをかみ合わせれば、「治験は終了していません。」と回答せざるを得ませんが、それはすなわち、接種を推奨することが、「人体実験に協力してください」と言っているのと同義になるということですから、そうなったら、接種を受ける人がほぼいなくなります。

そうなると製薬企業の莫大な利益がふいになります。

国民の命と健康よりも製薬企業の利益を優先させる政治家と役人と学者がいるから、「コロナワクチンの安全性について重大な懸念は認められない」という発言が繰り返されるということです。

●なぜ根拠を確認しないのか

問題は、須藤が事実の根拠を確認しないことにあると思います。

医師である衆議院議員に治験は終わっていたと言われると、その根拠を確認しないで、自分の言っていることは非科学的で、事実に反しており、反省して謝罪しますと言うのですが、どうしてそうなってしまうのでしょうか。

反省して謝罪するなら、福田に対して、治験が終わっていることの根拠を質問するのが筋だと思います。

須藤は、自分が科学的に行動していると言うなら、福田がウソを言っていないか、間違ったことを言っていないか、と疑うべきです。

医師である福田が言うのだから正しいだろうと思ったのでしょうが、別の医師は治験が終わっていないと言っていたと思います。

では、須藤は、どちらの医師の言うことを正しいと信じるのでしょうか。

上記のとおり、福岡資麿厚生労働大臣は、2025年7月8日の記者会見において、「ファイザー社の海外第1、第2、第3相試験の終了時期は、2023年12月」であったと回答し、日本でコロナワクチンの接種を開始する時点では、海外治験も終了していなかったと発言しました。

須藤は、福田の発言と福岡大臣の発言のどちらを信じるのでしょうか。

大臣の発言が正しいとは限りません。

大臣だって、ウソをつくこともあるし、間違ったことを言うこともあるはずだからです。

某内閣総理大臣は、「内閣総理大臣の私が言っているのですから、私の言うことは正しいんです」と言っていましたが、理論的に成り立たない話です。

誰が言っているか、で、ことの真偽を判断すると何度でもだまされることになるでしょう。

藤江成光は須藤元気を推しているようですが、私は、残念ながら須藤は政治家に向いていないと思います。

事実の根拠を確認しない人に国の舵取りを任せるわけにはいきません。

国会議員候補者は、根拠も確認せずに反省や謝罪をしてはいけないと思います。

須藤は、目下の目標を達成するためには事実の根拠を確認するわけにはいかなかったと見ることもできます。

目下の目標とは、参議院選挙に国民民主党の公認候補として出ることです。

そのためには、須藤が反ワクチンの立場ではないことを国民民主党の支持者の前で宣言する必要があります。

須藤が、治験が終わっていることの根拠を確認すると、玉木と福田の主張を論破することになってしまい、それでは公認を得られないことになります。

もっとも、反ワクチンの立場をかなぐり捨てて、謎の大量死が起きていることを気にもかけない政党の公認を得ようという目標設定自体がくだらないのであり、やはり、須藤は政治家に向いていないと思います。

●公明党も承認と特例承認を混同している

最近気づいたのですが、公明党も誤情報を流しています。

公明党のサイトに党ワクチン・治療薬開発推進プロジェクトチーム 秋野公造 事務局長に聞くというページがあります。

冒頭に次のように書かれています。

新型コロナウイルス感染の収束のカギを握るワクチンについて、厚生労働省は米ファイザー社製をきょう14日に正式承認し、医療従事者向けの先行接種が17日に始まる予定です。ワクチン接種にこぎ着けるまでには、確保などに奔走する公明党の取り組みがありました。党コロナ感染症ワクチン・治療薬開発推進プロジェクトチーム(PT、座長=高木美智代衆院議員)事務局長で、医師の秋野公造参院議員に聞きました。

この記事が書かれたのは、2021年2月14日です。

「新型コロナウイルス感染の収束のカギを握るワクチン」と言いますが、コロナはワクチンで収束したのでしょうか。

5類移行を収束と呼ぶのでしょうか。

2回の接種で収束するはずだったのではないでしょうか。

それはともかく、厚生労働省は米ファイザー社製を2014年2月14日に「正式承認」したと書かれています。

2022年2月11日付け日経新聞記事「医薬品の特例承認とは 海外実績で審査短縮」によれば、「特例承認」とは、海外で流通している医薬品を対象に緊急時に海外実績で安全性と有効性を評価して行う承認です。(そうであれば、国内治験は不要のはずですが、なぜかコロナワクチンでは国内治験も実施しています。)

日経新聞は、特例承認について「国内で未承認の医薬品について、使用を許可するための制度の一つ。「緊急時に健康被害の拡大を防止する」ため、海外での使用実績などをもとに本来の手続きを短縮・省略して販売などを認める。承認に要する期間を短縮して使用を開始でき、新型コロナウイルスの治療薬やワクチンは、ほとんどがこの過程で承認されている。」と解説します。

つまり、「本来の手続きを短縮・省略して販売などを認める」のが特例承認です。

これを正式承認と呼べるはずがありません。

●アメリカでも緊急使用許可だった

特例承認の根拠条文である薬機法第14条の3第1項第2号を見ると、外国で販売していることなどが要件とされていますが、販売や授与がされていればいいのであって、正式に許可されたものである必要はないと思われます。

実際、ファイザーのワクチンは、アメリカでは緊急使用許可だったようです。

根拠は、BBCジャパンのファイザー、新型ウイルスワクチンの緊急使用許可を申請 アメリカで初です。

つまり、運転免許に例えれば、二重の意味で仮免許です。

なお、記事には、「ファイザーとビオンテックのワクチンは、mRNAというウイルスの遺伝子コードの一部を注射することで人間の免疫システムを訓練する、実験的な手法によって開発されている。」と書かれています。

要するに、コロナワクチンは実験なのです。

こんなものが2021年に「正式承認」されたなどと言っていはけないと思います。

●「日本は外国のように緊急使用を認めることはありません。」は虚偽ではないのか

また、秋野議員は、「海外ワクチンの承認が欧米諸国と比べて遅いのは。」という質問に対して、次のように答えます。

有効性や安全性に配慮した結果、時間がかかっています。日本は外国のように緊急使用を認めることはありません。ワクチンの効果に人種差が想定されるため、日本人を対象とした一定の治験を必要としていることが理由に挙げられます。海外に遅れても安全性を重視しているのです。

すなわち、「日本は外国のように緊急使用を認めることはありません。」と言います。

しかし、特例承認を定める医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条の3第1項第1号には、特例承認の一要件として、「緊急に使用されることが必要な医薬品」と書かれています。

秋野がどのような意味で「日本は外国のように緊急使用を認めることはありません。」と言うのか理解できません。

●治験も審査も極めて短期間だった

馬場園明九州大学教授も公益社団法人日本経済研究センターというサイトの新型コロナワクチン、特例承認に求められる事後検証という記事で、次のように書きます。

厚生労働省は2月14日、ファイザーとビオンテックが開発した新型コロナウイルスワクチン「コミナティ」を特例承認し、同月17日から日本国内における新型コロナワクチン接種を開始した。ファイザーの承認申請は昨年12月18日。同ワクチンは58日間という異例のスピードで承認されたことになる。

「特例承認」は、海外で使用されている医薬品について日本国内の承認審査を短縮する特例的な承認である。ファイザー日本法人は昨年12月、厚労省に対して海外の大規模治験データを提出。続いて、今年1月に国内の治験データを提出し、短期間での特例承認に漕ぎ着けた。

ファイザー、ビオンテックが提出した治験データの中で厚労省が最も重視したのが、アメリカ、ドイツ、トルコ、ブラジル、アルゼンチン、南アフリカで実施した大規模治験データである。

この治験では、本物のワクチンを接種したかどうか、新型コロナに感染しているかどうかにかかわらず、40.06日〜44.41日しか追跡していないことが分かる。

つまり、せいぜい45日しか追跡していない治験を重視したというのです。

秋野は「有効性や安全性に配慮した結果、時間がかかっています。」と言いますが、申請から特例承認まで58日間で、海外治験の追跡期間が45日だったというのですから、秋野の言う「有効性や安全性に配慮した」という話は誤情報だと思います。

「日本は外国のように緊急使用を認めることはありません。」も誤情報だと思います。

(文責:事務局)
フロントページへ>その他の話題へ>このページのTopへ