医師で弁護士の古川俊治参議院議員(自由民主党)は、2021年3月4日に収録され、同月9日に公開された下記の動画(自由民主党の公式チャンネルのようです。)で「妊婦さんこそ(コロナワクチンを)打った方がいい」と言っています。
【CafeSta】新型コロナワクチンQ&A<医学・科学編>ゲスト:古川俊治 参議院議員・医師
この動画の趣旨は、下記のとおりです。
日本でのワクチン接種開始に伴い、CafeStaでも新型コロナワクチンに対する皆さんの不安や疑問の声にお答えする番組「新型コロナワクチンQ&A」をスタートしました。
今回は、古川俊治 新型コロナウイルスに関するワクチン対策プロジェクトチーム事務局長が、医学的・科学的知見から新型コロナワクチンについて解説します。
司会は、当時、自由民主党広報本部長だった有村治子参議院議員です。
古川議員は、新型コロナワクチンについて、「(妊婦への)臨床試験をやってません」(35:48あたり)が、「妊婦さんこそ打った方がいい」(35:56あたり)、「打ったことにより妊婦さんあるいは授乳中に問題が起こったことは何にも報告されていませんから」(36:24)と言います。
ちなみに、ワクチンは、新型コロナ対策として「唯一の戦略」(36:00あたり)であるとも言います。
しかし、次のような情報もあります
大量中絶:妊娠第1期にワクチン接種を受けた女性の75%が赤ちゃんを失っている (Natural News)
この情報は、2022年4月15日に公表されたものであり、上記動画を作成した当時、古川議員は知り得ない情報でしたが、知ってからは、削除するなどの、何らかの対応が必要だったと思います。
また、上記情報を読むと、「医薬品・医療製品規制庁は、COVID-19ワクチンの影響に関するデータが限られているため、妊娠中や授乳中の女性には摂取(ママ。正しくは「接種」)を控えるよう勧告している。さらに、世界保健機関(WHO)は2021年1月、妊婦へのモデルナ製COVID-19ワクチンの使用は推奨されないとしている。」と書かれています。
また、ファイザー社が作成した資料には、「懐胎前と懐胎中にファイザー・バイオエヌテック製COVID-19ワクチンを投与した動物実験によれば、メスの受精力、胎児発生、生後発育に関してワクチンに起因する有害影響は報告されませんでした。」と書かれていることから、ファイザー社は妊娠への影響については、動物実験しかしていないことが明らかです。
根拠は、ファイザー社は、妊娠に関して動物実験しかしていないという阿修羅掲示板の記事です。
また、上記のとおり、古川議員も「(妊婦への)臨床試験をやってません」(35:48あたり)と言っています。
なので、世界各国での接種開始により、いきなり人体実験が始まったというわけです。
その動物実験にも問題があるという情報があります。
下記の阿修羅掲示板の記事によると、44匹のラットを使った実験であり、「この研究を行った医師は、ファイザーとバイオエヌテックの株主、または従業員でした」というのです。
ナオミ・ウルフ 「ファイザー、FDA、CDCがコロナワクチンが妊婦に安全で効果的と主張した根拠は、44匹のラットを使ったフランスの研究でした」 (VigilantFox/タマホイ訳)
●「妊婦にも安全」の証拠となる論文を示した
古川議員は、2021年6月21日に撮影され、同月28日に公開された下記動画に再登場し、コロナワクチンについて解説しています。
新型コロナワクチン<コロナワクチン追加情報>Q&Aゲスト:古川俊治 参議院議員・医師
まず死亡事故について、古川議員は、ファイザー製、モデルナ製のコロナワクチンについては、その接種を原因とする死亡例は、日本でも世界でも例がないと言っています(3:12あたりから)。
そして26:28あたりからは、妊娠についての安全性の話になります。
古川議員は、1回目の出演の翌月に公開された下記の論文を紹介して、ファイザーとモデルナのワクチンについては、妊婦での安全性が証明されたと言います。
下図は、その際古川議員が使った図のスクショ(26:47)です。
1
この論文は、医学界でも最も権威があるとされるニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)に掲載されました。
論文の正式名称は、次のとおりです。日本語訳は、Googleの自動翻訳によります。
Preliminary Findings of mRNA Covid-19 Vaccine Safety in Pregnant Persons
妊婦におけるmRNA COVID-19ワクチンの安全性に関する予備調査結果(原著)
原著を掲載するNew England Journal of Medicineのサイトには、原著について、次のように書かれています。
Volume 384 o Number 24 o June 17, 2021
Pages: 2273-2282
つまり、通称N E J Mという医学雑誌の384巻24号(2021年6月17日発行)の2273-2282頁に掲載されたということです。
そして、履歴には、次のように書かれているので、2021年4月21日に電子版で公表され、同年6月17日に正式に雑誌に掲載されたということが分かります。
Published online: April 21, 2021
Published in issue: June 17, 2021
ただし、この論文は、後で触れますが、同年9月に著者が訂正しました。
だから、現在読める原著は、訂正後のものであり、訂正前の原著は私には検索できません。
訂正の内容については、後に検討します。
●著者は推進側なので客観性がない
「妊婦におけるmRNA COVID-19ワクチンの安全性に関する予備調査結果」の著者は、Tom T.Shimabukuroらの研究チームのようです。
著者情報には、Dr.Shimabukuroを含む22人の名前が書かれており、それらの人たちは、「CDC v-safe COVID-19妊娠登録チーム」に属しているということだと思います。根拠は下記U R L(再掲)です。
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2104983
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)のサイトによれば、「トム・シマブクロ博士は、米国疾病対策センター(CDC)の予防接種安全室(ISO)の室長です。」
要するに、CDCの職員です。(著者の全員がCDCの職員ではなく、CDCから委託された者もいると思います。)
そして、「COVID-19ワクチンタスクフォースのワクチン安全性チームリーダー」です。
つまり、ワクチン接種を推進する側の人間ですから、ワクチンが危険であるという研究発表をするはずがありません。
結論ありきです。
古川議員が根拠としている論文は、最初から客観性がないということです。
●著者について誤解が起きるのは当然だ
上記のとおり、問題の論文の著者は、「CDC v-safe COVID-19妊娠登録チーム」に属している人たちであり、「すべての活動はCDCによってレビューされ、適用される連邦法とCDCの方針に従って実施されました。」と書かれています。
したがって、問題の論文はCDCが発表したと書いている人もいます。
しかし、「この記事の調査結果と結論は著者のものであり、必ずしも疾病管理予防センター(CDC)または食品医薬品局(FDA)の公式見解を表すものではありません。」と明記されています。
つまり、CDCの組織に属する人たちが主な著者となって、CDCがチェックして、CDCの方針に従って実施された調査研究の論文であるが、「疾病管理予防センター(CDC)または食品医薬品局(FDA)の公式見解を表すものではありません。」というのです。
わけが分かりません。
誤解する人が出るのも当然です。
●責任逃れが目的か
シマブクロらの論文の著者が分かりにくい理由は、責任逃れが意図されているからかもしれません。
つまり、シマブクロらが責任を追及されたら、CDCの指示に従ったまでだと言い逃れをするし、CDCが責任を追及されたら、シマブクロらの個人的な見解が書かれたものだと言い逃れをするつもりかもしれません。
ちなみに、下記のとおり、罪名がよく分からないのですが、シマブクロ博士が捜査対象になったという情報もあり、事実だとすると、実際に責任追及がなされる時代になってきたのかもしれません。
コロナワクチンを接種した妊婦の流産率隠ぺいで、シマブクロ博士が捜査対象に (ニコラス・フルシャー)
●河野太郎議員も根拠にしている
なお、この論文は2021年1月から初代ワクチン接種推進担当大臣だった河野太郎議員もコロナワクチンが妊婦に安全であることを宣伝するための論拠としており、決定的に重要な論文です。(実際に論文を読んだのか、監修した「こびナビ」( covnavi.jp , @covnavi)に言われるがままに書いたのかは不明です。)
河野議員は、ブログ「ごまめの歯ぎしり」の「ワクチンデマについて」(2021.06.24)というページに次のように書いています。
アメリカで行われた3958人の妊婦を対象とした研究で、流産や早産、先天奇形が起こりやすいということがないことも確認されています。
3958人という数字は、Dr.Shimabukuroの論文に出てくる数字なので、河野議員はDr.Shimabukuroの論文を根拠に発言していると思われます。
原著のU R Lを再掲しますので、ウソだと思う方はこの数字を検索してください。
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2104983
なお、河野議員は、「3958人の妊婦を対象とした研究」と言いますが、だましだと思います。
上記論文には、「v-safe妊娠登録に登録された3,958人の参加者のうち、827人が妊娠を完了し、そのうち115人(13.9%)は流産、712人(86.1%)は生児出産であった(ほとんどが妊娠後期にワクチン接種を受けた参加者)。」と書かれています。
つまり、この論文は、妊娠については、(調査期間は不明ですが)調査期間の終了にまで妊娠の完了(出産又は中断)という結果が出ていた827人の妊婦を対象としています。
827人は、登録された3958人の約21%にすぎません。
確かに、妊婦への危険性を調査するために、3958人が登録されたようですが、Dr.Shimabukuroらは、論文作成までに妊娠が完了した827人の妊娠の帰結(医学用語では「転帰」と呼ぶようです。)を見て、妊娠に関する安全性について論じています。
河野議員が上記記事を書いた2021年6月24日までに3958人の妊娠を対象とした調査研究の発表があったとは思えません。
もし、あったとすれば、当時1日に10本の論文を読んでいたという古川議員が言及しているはずです。
ちなみに、確かに、Dr.Shimabukuroらの論文の表3に3958人についての調査結果が出てきますが、この人数は、V-safe妊娠登録に参加した者の数です。
表3のタイトルは「V-safe妊娠登録参加者の特徴」であり、その表に書かれていることは、「人種と民族グループ」及び「(ワクチンの)初回適格投与のタイミング」の調査結果であって、3958人の妊娠がどうなったのか(ワクチンが妊娠に与えた影響)についての調査結果は書かれていません。
河野議員は、「人種と民族グループ」及び「(ワクチンの)初回適格投与のタイミング」を調べただけで、なぜワクチンが安全だと言えるのかを説明すべきです。
3958人の妊娠についての調査結果があるという話こそデマです。
●なぜ治験データを示さないのか
古川議員がコロナワクチンは妊婦にも安全だと言うためには、普通なら治験データを示すのが筋です。
しかし、古川議員が言っているように、製薬企業は妊娠についての臨床試験はやっていません。(後記のとおり、ファイザーは、承認前にはラットを使った実験しかしていないことが明らかですが、削除された厚生労働省のサイトではコロナワクチンQ&Aで「現在、ファイザー社等は妊婦を対象とした新型コロナワクチンの臨床試験を海外で実施しています。」と書かれています。記事の作成時期が不明なので「現在」とはいつなのか不明ですが、おそらくは2021年5月頃を指すと思います。そうだとすると、アメリカにおけるファイザー製品の使用開始は2020年12月14日なので、使用開始後に臨床試験をしているということであり、そうであれば、臨床試験とは言えないと思います。また、その”臨床試験”の結果が公表されているのかも不明です。)
したがって、古川議員が妊婦へ接種を勧めるなら、「ワクチン使用後の人体実験に協力してください」と有り体に述べるのが筋だと思います。
ちなみに、人体実験に協力させるには、妊婦がコロナに感染すると重篤化するおそれがあるという脅しとコロナワクチンは妊婦に対しても安全であるというだましの2点セットの宣伝が必要でしょう。
さらに言えば、妊娠について治験が行われていないという事実を知らせないことも必要でしょう。
ちなみに、河野太郎議員は、「mRNAワクチンは、基礎研究、動物実験、治験が省略されることなく実施され、リスクを上回る臨床的に意味のある有効性が確認されています。」(2021.06.24「ごまめの歯ぎしり」)と書いており、「治験が省略されることなく実施され」たと明言しています。
https://web.archive.org/web/20210812071458/https://www.taro.org/2021/06/ワクチンデマについて.php(アーカイヴ)
しかし実際は、妊娠についての治験は行われていません。承認後の治験というものがあるとすれば別ですが。
ファイザー製薬の特例承認関係の書類を見ても、p46に、「ラットにおける生殖発生毒性試験が実施された(表 7)。」と書かれており、生殖については動物実験しかされていません。
また、「本剤の臨床試験では、妊婦は除外基準に規定されていたが、海外 C4591001 試験の第2/3相パートで、23 例に妊娠が報告され、そのうち 9 例は妊娠を理由に治験中止された。これらの被験者の妊娠の転帰については現時点で情報は得られておらず、引き続き追跡する。」(p46)と書かれていますが、これは、妊娠を前提としない治験の最中に偶然にも妊娠が報告されたということであり、妊娠についての治験を行ったということではありません。
そして、23例中「9例は妊娠を理由に治験中止された。」のであり、23例の妊娠の転帰についても不明だと言っているので、妊娠について治験を行ったわけではないことは明らかです。
なお、「海外での使用許可後又は製造販売後の自発報告(報告対象期間 2020 年 12 月 1 日〜同年 12 月 31 日)において妊婦への投与は 28 例に確認され、特段の懸念は認められていない(7.R.3.7 参照)。」と書かれていますが、「特段の懸念は認められていない」ことの根拠が定量的に書かれていません。
何をもって「特段の懸念は認められていない」と言うのか説明しないのですから、そんな漠然とした話を信用しろと言われても無理です。
●ワクチンでは生殖についての試験をしなくてよいことになっている
日本では、感染症予防ワクチンでは、生殖についての試験をしなくてよいことになっていることをご存知でしょうか。
下記の動画によると、下図のとおり、遺伝子治療薬と感染症予防ワクチンは、同様の作用機序であるにもかかわらず、感染症予防ワクチンについては、様々な試験項目が免除されているようです。
ワクチンの場合は、胚や胎児への影響も試験しなくていいということです。
また、発がん性についても試験が免除されています。
感染症ワクチンそのものが恐ろしいものだということです。
【冒頭のみ】岩上安身によるインタビュー第1185回ゲスト 京都大学名誉教授・ワクチン問題研究会代表理事 福島雅典氏、外務省元国際情報局長 孫崎享氏
2
●予備調査だった
上記論文の題名がPreliminary Findingsから始まることからも分かるように、この論文は予備調査にすぎませんでした。
論文の表4の脚注に次のように書かれています。
妊娠喪失に関するデータは、2020年12月14日から2021年2月28日までの間にmRNA Covid-19ワクチン(BNT162b2 [ファイザー-ビオンテック] またはmRNA-1273 [モデルナ])を接種し、妊娠を完了したと報告したv-safe妊娠登録の参加者827人に基づいています。
つまり、接種期間が2020年12月後半からの2か月半で論文の公表(電子書籍)が2021年4月ですから、妊娠初期に接種した人が無事出産できるかを見届けられないことは最初から分かった上での予備調査でした。
だから、予備調査から確たる結論を得られないことは、最初から分かっていたことです。
こんな予備調査を確定的な根拠とすることが科学的態度と言えるわけないと思います。
●死産がゼロという結果になった
古川議員は、2021年6月に公表した自民党の広報動画の中で、上記論文(初版)の表4を和訳して示しています。
26:47のスクショを再掲すると、次のとおりです。
1
「自然中絶」の次の行に「早産」と書かれていますが、誤りです。
「(20週以上)」の「早産」なんておかしいでしょう。
だって上限が設定されていないのなら、40週で出産しても早産になってしまうからです。
早産は、その2行下に「早期産」として書かれています。
「早期産」は古川議員の造語でしょうか。ネット検索しましたが、ヒットしませんでした。
ここで「早産」と書くと、2行上にも「早産」があって、和訳した表が意味不明になってしまうので、造語をしたのかもしれません。
論文の表4の原文と日本語訳(Chromeによる)を次のとおり載せておきます。
原文については、脚注を省略してあります。
ただし、この原文は訂正後のものであり、自然流産についての記述が初版(私には検索不可)とは違います。
3
4
still birth とは死産のことであり、preterm birthとは早産のことです。
だから、古川議員が作成した表の「早産」は「死産」と、「早期産」は「早産」と読み替えなければ、意味が通じません。
古川議員は、「早産(20週以上)」、「早期産(37週未満)」と訳していますが、どう理解してよいのか全く分かりません。
論文を誤訳しておいて、妊婦への安全が証明されたから、妊婦は安心してコロナワクチンを打ってください、と言うのは無責任ではないでしょうか。
古川議員は、世界中で出ているコロナに関する論文を日本では誰よりも読んでいる先生です、と有村治子議員は紹介しています(根拠は下記動画(再掲)の1:06あたり)が、英単語の意味が分からないのだとすると、読んだことにはならないのではないでしょうか。
【CafeSta】新型コロナワクチンQ&A<医学・科学編>ゲスト:古川俊治 参議院議員・医師
いずれにせよ、古川議員がstillbirth(死産)を「早産」と誤訳したために、論文の表4から「死産」の欄がなくなってしまい、つまり、死産はなかったことにされてしまいました。
●古川議員が作成した表4の脚注にも間違いがある
古川議員が和訳して作成した表の脚注に「生誕児と流産(冒頭では「中絶」と書いていましたが)を含む。」と書かれています。
表の中の記号が省略されているので、この脚注が何を解説したものか、一見しただけでは不明ですが、訂正版の和訳(GoogleChromeによる。)と付き合わせると、「分母には生存出生児と死産児が含まれています。」に相当すると思います。
つまり1/725という死産児の発生確率についての脚注だと思います。
その原文は次のとおりです。
The denominator includes live-born infants and stillbirths.
そうだとすると、古川議員は、この脚注でlive-born infantsを「生誕児」と、stillbirthsを「流産」と訳したと考えるのが合理的です。
live-born infantsを「生誕児」と訳したことは結構です。
しかし、stillbirthsは「死産」であり、「流産」と訳すのは不可解です。
それに古川議員は、表の中でのstillbirthを「早産」と訳しているのに、脚注でのstillbirthsを「流産」と訳すのは更に不可解です。
一般に「早産」と「流産」では意味が違いますよね。
医学の世界では、「早産」と「流産」は同義語なのでしょうか。
ここから言えることは、古川議員はstillbirthの意味を理解していないということです。うっかりミスではありません。
stillとは、動かない、とか、音のない、という意味であり、birthは誕生ですから、stillbirthは、語学や医学の専門家でなくても、誤訳することが少ない単語だと思います。
●数字は「ワクチンを接種した妊婦」の数ではない
古川議員は、右欄の数値は「ワクチンを接種した妊婦」としていますが、正確ではありません。
というより、ほぼ間違いです。
なぜなら、表4の右欄のうち、妊婦の数が書かれているのは、冒頭の1行だけであって、次の行の「725」は、死産児と生存出生児の合計です。
それ以下の行の数字は、生存出生児の数です。妊婦の数ではありません。
論文には、「104人の自然流産のうち96人(92.3%)は妊娠13週未満で発生し(表4)、生児を出産した712人の妊娠のうち700人(98.3%)は妊娠第3期に最初の適格ワクチン接種を受けた人々であった。」と書かれていることから、生存出生児724人の内訳は、700人がそれぞれ1人の子を産み、12人が双子を産んだということになると思います。
●自然流産率が高すぎる
初版の論文では、古川議員が作成した表にあるとおり、コロナワクチン接種が始まる前の自然流産率は10〜26%だと書かれています。
確かに、そう書かれた論文があるのかもしれませんが、26%は高すぎると思います。
Dr.Shimabukuroらは、かなり特殊な論文を引用しているのだと思います。
例えば、下記動画(50:55あたり)を見ると、自然流産率は10〜15%だと言っています。
「Covid-19とmRNAワクチンの歪んだ現実を探る」〜ワクチン接種後症候群の実態と_殖影響のエビデンス〜 本橋 秀之 東京医科_学病院 疾患モでル研究センター HD 1080p
なお、この動画の結論の一つは、コロナワクチンは生殖機能に影響を及ぼすということです。
ちなみに、エマ婦人科クリニック名古屋栄というサイトを見ると、「また、妊娠した女性の約40%が流産しているとの報告もあり、多くの女性が経験する疾患です。」と書かれており、自然流産率が約40だという説もあるわけです。
そうなると、自然流産率は10〜40%ということになります。
これだけ幅が大きいと、自然流産率には、そもそも指標としての意味があるのか疑問です。
なお、N H Kのサイトによると、「アメリカCDC=疾病対策センター」は、一「般的な流産の割合、11%から16%」としているとのことです。
●分母の設定の仕方に整合性がなかった
訂正前の論文の表4の分母の設定の仕方に整合性がありませんでした。
訂正前の論文の表4は古川議員が和訳したものしか見つからないので、その表を見てください。
ワクチンを打った妊婦のうち、自然流産(古川議員は「自然中絶」と言っていますが)をした妊婦は「104/827」(妊婦の数です。)と書かれています。
そして、早産(古川議員が「早期産」と書いている行)については、「60/636」(出生児の数です。)と書かれています。
早産については、脚注に「分母には妊娠 37 週までにワクチン接種を受けた参加者のみが含まれます。」と書かれています。
早産の時期を過ぎた37週以上の時期に接種した妊婦は、ワクチンが原因で早産する可能性がそもそもなかった妊婦ですから、そのような妊婦が産んだ子どもの数は、分母から除外しなければ、ワクチンの影響で早産した子の数を正確に把握できないという趣旨でしょう。
したがって、早産についての60/636の分母は、37週未満でワクチンを打った妊婦(数は不明)が産んだ子の数です。
つまり、早産では、ワクチンによる影響が考慮された上で分母が設定されています。
これに反し、自然流産した妊婦数は104/827と書かれており、分母の827人は、調査対象とした妊婦全員です。
論文の本文には、「生児を出産した712人の妊娠のうち700人(98.3%)は妊娠第3期に最初の適格ワクチン接種を受けた人々であった。」と書かれています。
妊娠第3期とは、表3を見ると、28週以上を指すようです。
この論文では、「自然流産」とは、20週未満で胎児が自然に体外に出ることと定義していると思います。
そうだとすると、28週に達してからワクチンを打った人は、ワクチンを打ったために20週未満で自然流産することはあり得ないので、自然流産した妊婦の分母に28週に達してからワクチンを打った妊婦700人を含めることは不当です。
少なくとも、早産で生まれた子どもの数の分母の設定の仕方と異なる仕方で自然流産した妊婦数の分母が設定されています。
だから、自然流産した妊婦数に分母は、827-700=127でなければおかしいと批判する者が多数出たようです。
この批判に従うと、自然流産の発生確率は104/127=約82%という、とんでもなく大きな数値になります。
●論文は訂正された
上記の批判を浴びたためか、Dr.Shimabukuroらは、当初論文を訂正しました。
この訂正に最初に気づいたのは、おそらくは岡田正彦新潟大学名誉教授だと思います。
訂正文は下記のU R Lです。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMx210016
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMx210017
2021年9月8日にオンライン公開され、正式掲載は同月14日のようです。
関連する資料を掲げておきます。
↓評論記事
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMe2107070
↓NIHの記事
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33882218/
●訂正の内容とは
訂正点の中で最も重要なのは、表4で自然流産について「The "Published Incidence"cell in the same row should have read "Not applicable," rather than "10-26," and the "V-safe Pregnancy Registry" cell should have read "104," rather than "104/827 (12.6)."」としていることです。
つまり、「公開された発生率」について「10-26(%)」としていたのを「Not applicable」(岡田名誉教授はunknownと変更されたと言いますが、誤りだと思います。)としてしまいました。
適用すべき数値がない、という意味でしょう。
つまり、自然流産の割合が表示されず、妊婦の数だけを記載することにしたのです。
具体的には、自然流産の欄は「104/827(12.6)」(古川議員が作成した表を参照)だったのが「104」に書き換えられたということです。
そのように訂正した理由は、次のとおりです。下記U R L参照。
https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMx210016
No denominator was available to calculate a risk estimate for spontaneous abortions, because at the time of this report, follow-up through 20 weeks was not yet available for 905 of the 1224 participants vaccinated within 30 days before the first day of the last menstrual period or in the first trimester. Furthermore, any risk estimate would need to account for gestational week-specific risk of spontaneous abortion.
「この報告書の時点では、最終月経初日の30日前または妊娠初期にワクチン接種を受けた1224人の参加者のうち905人については、妊娠20週のデータがまだ入手できていない。さらに、リスク推定には、妊娠週数特有の自然流産リスクを考慮する必要がある。」
つまり、訂正した理由は、妊娠周辺期及び妊娠初期に摂取した妊婦のデータが約26%しか収集できていないし、そもそも、妊娠週ごとの自然流産リスクを考慮しなければ、リスクの推定ができないよね、ということです。
●訂正した結果どうなったか
自然流産の欄を上記のように訂正した結果、104人という妊婦の数だけが書かれることになったのですから、104人がどのような意味を持つのか、評価ができないということになりました。
つまり、ワクチンによる自然流産のリスクがどの程度のものかは分からないことを著者が認めたということです。
ところが、一方で、著者らは、「直接比較はできないものの、妊娠を完了したCOVID-19ワクチン接種者の妊娠および新生児の有害転帰の算出された割合は、COVID-19パンデミック前に実施された妊婦を対象とした研究で報告された発生率と同様であった。」とも書いています。
論文を参照。
支離滅裂です。
コロナ禍前の自然流産の発生率については、Not applicable、つまり、適用できる数値基準がないとして、分母を消したのですから、つまり、「率」や「割合」を算出できないのですから、「COVID-19パンデミック前に実施された妊婦を対象とした研究で報告された発生率と同様であった。」と言えるはずがありません。
●古川議員の言説が崩壊した
自由民主党の広報動画(2021年6月公表)で古川議員の発言を改めて確認してみます。
新型コロナワクチン<コロナワクチン追加情報>Q&Aゲスト:古川俊治 参議院議員・医師
27:47では、画面の下部に文字が出ています。
古川議員の解説を要約したものです。
「過去のデータとワクチン接種後のデータを比較し妊婦でも安全に接種できるという結果が出ている」と書かれています。
しかし、Dr.Shimabukuroらは、古川議員が動画に出演した後の2021年9月に論文を訂正し、自然流産の発生率については、過去の発生確率は適用できないと言っているのですから、自然流産した妊婦が104人いたという事実がワクチンの安全性を示すものなのか、はたまた危険性を示すものなのかを判定する基準がないので評価ができないのであり、したがって、「妊婦でも安全に接種できるという結果が出ている」という結論は導けません。
古川議員が言っていることは崩壊しています。
したがって、自由民主党は、コロナワクチンが妊婦に安全であるという根拠が失われたのですから、上記の動画を削除すべきです。
そして、妊婦に安全とは言えないという趣旨の動画を撮り直すべきです。
そうでなければ、これからも、この動画を見て、接種してしまう人が増える可能性があるからです。
もっとも、自由民主党が日本の人口を減らすことを意図しているのなら、上記の動画は削除すべきではないということになります。
また、古川議員がデタラメを言っていることの証拠としても、削除しないことに意味はあります。
また、ワクチン被害者が古川議員に損害賠償を請求する際にも証拠として使えるでしょう。
●827人の構成がおかしくないか
調査対象となった827人の妊婦のうち、「生児を出産した712人の妊娠のうち700人(98.3%)は妊娠第3期に最初の適格ワクチン接種を受けた人々であった。」というのですから、700人が第3期に接種したことは確実です。
第3期(28週以上)に接種した700人は、調査対象者827人の約85%です。
ワクチンを接種した妊婦を827人集めてきて、そのうちの約85%が第3期に接種していたというのは、かなり偏ったサンプルの集め方だと思います。
自然流産というのは、定義上、20週ないし22週まで(国によって自然流産の定義が異なるようです。)に妊娠が自然に中断することですから、極端な話、20週以上ないし22週以上に接種した妊婦ばかりを集めてきたら、言葉の定義上、自然流産する妊婦は一人もいないことになります。
28週以上になってから接種した妊婦の数が約85%を占める集団では、約85%は、そもそもワクチンによる流産の危険にさらされていなかったのですから、つまり、28週未満で接種した妊婦は約15%しかおらず、そのうち20週ないし22週までに接種した妊婦はさらに少ないのですから、827人のうち、流産する妊婦の数の割合は、全調査対象者の4%程度でもおかしくないと思いますが、論文では12.6%だったというのですから、流産する確率が従来の確率と変わらないという評価は誤りだと思います。
一方、調査対象者827人から第3期になってからワクチンを接種した700人を差し引いた127人を分母にして、自然流産した104人で流産する確率を計算すると約82%になるという話をどう評価すべきかという問題があります。
この数字をもってコロナワクチンの強力な毒性を示す証拠であると、鬼の首をとったように言うことはできないと思います。
なぜなら、自然流産する可能性のある妊婦をどうやって抽出したのかが不明だからです。
ワクチン有害事象報告システムのリストから抽出したのなら、自然流産など悪い結果となった事例ばかりを集めることになります。
また、対象者の827人は、アメリカでコロナワクチンの接種が始まった2020年12月14日から論文作成時(2021年3月頃か?)までの3か月半程度の短期間で妊娠が完了した妊婦なので、必然的に悪い結果を多く集めることになったとも考えられます。
つまり、論文での自然流産率が、論文では20週未満でワクチン接種という危険にさらされた妊婦を分母として約82%と高いのは、ワクチンの毒性が強いからかもしれませんし、標本の抽出の仕方が異常であるからかもしれませんし、それらの原因が競合しているからかもしれません。
大量中絶:妊娠第1期にワクチン接種を受けた女性の75%が赤ちゃんを失っている (Natural News)という情報もあるので、結果論的には、コロナワクチンの妊娠に対する毒性は極めて高いのかもしれませんが、シマブクロらの論文から導いた自然流産率約82%になるという説が、結果として正解に近い数値になるとしても、理論的に正しいとは思えません。
●「V-safe妊娠登録参加者の特徴」では妊娠後期で接種した妊婦は25.7%だった
論文の表3では、「V-safe妊娠登録参加者の特徴」を分析しています。
表3では、「初回ワクチン接種時の年齢」「人種と民族グループ」「初回適格投与のタイミング」「妊娠中の新型コロナウイルス感染症」が分析されています。
河野議員が言うように、対象者はV-safe妊娠登録の参加者3958人ですが、それらの妊婦の妊娠の完了結果については、何ら記載がありません。
表3で注目したいのは、「初回適格投与のタイミング」です。
3958人のうち「妊娠後期: 28週以上」で接種した妊婦は、25.7%でした。
ところが、上記のとおり、妊娠の完了結果を調査した827人については、「妊娠後期: 28週以上」で接種した妊婦の割合が700人(約85%)だったと言うのですから、妊娠の転帰についての調査対象の集団(論文では「コホート」と言っています。)の妊婦の週数の構成は、現実世界のそれとかけ離れており、調査対象者は意図的に選ばれたものと思われ、くだんの論文は統計的に意味のある議論になっていないと思います。
●接種回数と接種時期が重要なはず
コロナワクチンの安全性を検証するには、接種回数と接種時期が重要な要素だと思いますが、くだんの論文は、それらを度外視していると思います。
日本呼吸器学会のサイトには、「厚生労働省の指針では、ファイザー製およびモデルナ製のワクチンともに「2回の接種が必要」と明記されています。」と書かれています。
しかし、調査対象となった妊婦には、1回しか接種していない人もいるかもしれません。論文では、妊娠の転帰についての対象者の827人については、何回打ったのかが不明です。
接種回数によって、妊娠への悪影響の出方は違うと思います。
妊娠の転帰を調査する場合、そこを無視してよいのか疑問です。
また、妊娠週数が早いほど薬物による悪影響を受けやすいと見るのが常識でしょう。
そうだとすると、ワクチンをいつ接種するかという要素は、決定的に重要だと思います。
冒頭の阿修羅掲示板の記事を再掲します。
大量中絶:妊娠第1期にワクチン接種を受けた女性の75%が赤ちゃんを失っている (Natural News)
ワクチンの接種回数と接種時期を重視しない研究に意味があるとは思えません。
そのことは、シマブクロらも理解しているようであり、「妊娠第1期と第2期の早期にワクチン接種を受けた妊娠の一部が完了しているが、大部分は進行中であり、このコホートにおける自然流産の割合を定義するには、ワクチン接種のタイミングに基づいて結果の直接比較が必要である。」と書いています。
●調査方法が理解できない
Shimabukuroらの論文を読んでも、どのような方法でコロナワクチンの安全性を調査しようとしているのかが理解できません。
要約には、「2020年12月14日から2021年2月28日まで、「v-safeワクチン接種後健康チェッカー」監視システム、v-safe妊娠登録、ワクチン有害事象報告システム(VAERS)のデータを使用して、妊婦におけるmRNA COVID-19ワクチンの初期の安全性を評価しました。」としか書かれておらず、本文にも「監視システムと対象人口」と「V-safe監視システムと妊娠登録」について説明しているだけで、調査の仕方についての考え方が示されていません。
馬場園明九州大学教授は、「例えば、ある要因をもつ集団の疾病の発生頻度が、その要因をもたず、他の条件が等しい対照集団に対して統計的に有意に高ければ、その要因と疾病の発生に因果関係があると認められる。」と言います(「新型コロナワクチン、接種と死亡の因果関係」)。
普通の治験なら、AとBの二つの妊婦(各妊娠週ごとに同数の)あるいは妊婦予定の女性の集団(年齢層や人種をそろえて)を用意して、片方にワクチンを接種し、他方にはプラセボ(例えば生理食塩水)を打って、差が出るかを確認するというやり方になると思います。
Shimabukuroらは、こうした調査方針を示さず、単に妊娠を登録した人たちのうち、接種事業開始から数か月のうちに接種し、かつ、妊娠が完了した827人の結果だけを見て、従来の論文に記載された自然流産率等と比較して安全性を判定するというのですから、そもそも意味のある調査とは思えません。
なお、ワクチン未接種の集団として、従来の研究結果を使うことも可能かもしれませんが、そうするのであれば、ワクチン群の構成は、現実世界の妊婦の週数の分布状況を踏まえた縮図となっている必要があります。
アメリカでも月別の出生数に大差はないはずです。
そうであれば、妊婦数は各週数にほぼ均等に分布していると思います。
しかし、くだんの論文では、調査対象となった827人の構成は、上記のとおり、28週以上で接種した妊婦が約85%と、非常に偏っています。
そもそも、Shimabukuroらが疫学を理解している、あるいは精通しているとは思えません。
疫学は医学の一分野ではありません。
医師や医学者なら疫学を理解していると考えるのは誤解です。
推測ですが、大学の医学部に疫学やワクチンの授業はないと思います。ワクチンについての授業はなかったと証言する医師もいます。
そうだとすると、ほとんどの医師は、疫学もワクチンも知らないのだと思います。
日本で疫学を使いこなしている医学者で私が知っているのは、岡山大学の津田敏秀教授であることは、たまたま知っています。
岩波の雑誌「科学」を読むと、疫学を勉強していない学者・研究者は、津田教授の論文を理解できず、まともな批判ができませんでした。
世界で最も権威があるとされる医学雑誌であるニューイングランド医学ジャーナルに疫学的に意味不明な論文が堂々と掲載されるということは、世界的に見ても、疫学をマスターしている医師や学者・研究者は少ないことを意味していると思います。
●結論は「分からない」ということになるはずだ
Shimabukuroらの論文には次のように書かれています。
レジストリ データは予備的なもので、小規模なサンプルから得られたもので、主に第 3 トリメスター ワクチン接種による新生児の結果を示しています。追加の妊娠結果が報告され、サンプル サイズが増加すると、調査結果が変わる可能性があり、まれな結果の検出が容易になる可能性があります。妊娠初期にワクチン接種を受けた妊婦から現在までに生児が v-safe 妊娠レジストリに記録されていないため、先天異常など、妊娠初期の曝露に関連して発生する可能性のある有害結果を評価することができませんでした。追跡調査は継続中です。
妊娠初期に接種した妊婦については、出産まで待てない調査であるため、「先天異常など、妊娠初期の曝露に関連して発生する可能性のある有害結果を評価することができませんでした。」ということです。
「v-safe 監視システム、v-safe 妊娠登録、および VAERS からの初期データでは、妊娠後期の Covid-19 ワクチン接種に関連する妊娠または新生児の結果に関して、明らかな安全性の兆候は示されていません。」と書いているのも、あくまでも、「妊娠後期」になってからの接種については、安全性への影響は見られなかったと言っているだけであって、「妊娠初期および妊娠前期間を含む、母親の Covid-19 ワクチン接種に関連する母体、妊娠、新生児、および小児の結果をさらに評価するには、継続的なモニタリングが必要です。」と言っているのですから、古川議員は、「妊娠初期および妊娠前期間」における接種についてはデータがないので分からないというのが論文の結論である、と教えるのが科学的な態度だと思います。
●支離滅裂としか言いようがない
「●訂正した結果どうなったか」の見出しの内容と重複しますが、重要なので繰り返します。
Shimabukuroらの論文には次のように書かれています。
直接比較はできないが、妊娠を完了した新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けた人の有害な妊娠および新生児転帰の割合の算出値は、新型コロナウイルス感染症パンデミック前に実施された妊婦を対象とした研究で報告された発生率と同様であった。
上記のとおり、「妊娠第1期と第2期の早期にワクチン接種を受けた妊娠の一部が完了しているが、大部分は進行中であり、このコホートにおける自然流産の割合を定義するには、ワクチン接種のタイミングに基づいて結果の直接比較が必要である。」にもかかわらず、ワクチン接種のタイミングに基づいて結果の直接比較がなされていないのですから、「このコホートにおける自然流産の割合を定義する」ことはできないはずです。
「このコホートにおける自然流産の割合を定義する」ことができない以上、「ワクチン接種を受けた人の有害な妊娠および新生児転帰の割合の算出値は、新型コロナウイルス感染症パンデミック前に実施された妊婦を対象とした研究で報告された発生率と同様であった。」という結論を導くことはできません。
要するにシマブクロらは、論文の根幹的に重要な部分を訂正して、具体的には、自然流産した妊婦数の分母を消して、自然流産の発生割合が算出できないようにしたにもかかわらず、転帰の割合は従来と同様であったと書くのですから、支離滅裂です。
「記述分析は、SASソフトウェア、バージョン9.4(SAS Institute)を使用して実施されました。すべての活動はCDCによってレビューされ、適用される連邦法とCDCの方針に従って実施されました。」と書いてあるのに、なぜ基本的なミスがあって訂正をしたのか理解できません。
また、「すべての活動はCDCによってレビューされ、適用される連邦法とCDCの方針に従って実施されました。」と書いてあるのに、注記に「この記事の調査結果と結論は著者の見解であり、必ずしも米国疾病予防管理センター(CDC)または米国食品医薬品局(FDA)の公式見解を反映するものではありません。」と書かれているのも矛盾しているように思います。
要約における結論に「予備的な調査結果では、mRNA COVID-19ワクチンを接種した妊婦において明らかな安全性の兆候は示されませんでした。」と書かれており、一見すると、安全であるという表れがなかったと読みたくなりますが、逆に危険であるという表れが見つからなかったと読むのが正解だと思います。
問題は、「安全性の兆候」の解釈です。
原文は、safety signalです。
医学論文では常套句なのかもしれません。
ファイザー社のワクチンの特例承認申請に使われた報告書(独立行政法人医薬品医療機器総合機構が作成)p47に「安全性シグナル(アナフィラキシー、注射部位発赤、注射部位腫脹、倦怠感、悪心、嘔吐、下痢、過敏症、不眠症、注射部位そう痒感、四肢痛、顔面麻痺)」と書かれているので、safety signalは、「安全性を示す表れ」ではなく、「安全であるか否かにかかわる表れ」、さらに言えば「危険であることの表れ」と読むべきだと思います。
また、signalとsignは似たような意味で使われるのですが、RedKiwiというサイトによれば、signは中立的または肯定的である可能性がありますが、signalは警告や危険などの否定的な意味合いを持つことができると書かれています。
シマブクロらも否定的な意味合いでsignalを使ったと思います。
確かに、妊娠にとって危険性が証明されたわけではないとしても、安全であることが証明されたわけでもないのですから、シマブクロらがワクチンの危険性が証明されたわけではないことだけを言うのは公平ではありません。
仮に、この論文を批判する岡田正彦名誉教授らが指摘するような、この論文からは、自然流産率約82%が導かれるという説が正しいとすると、この論文では、「危険であることの表れ」が示されているのであり、論文の結論は誤りということになります。
●重大でない利益相反はある
注記には、「すべての著者は米国政府職員または米国政府請負業者であり、重大な利益相反はありません。」と書かれています。
「重大な利益相反はありません。」がどこまで信用できるかは別として、重大でない利益相反があることを前提にしていると思います。
「重大material」かどうかは、雑誌の編集者が判断するのでしょうから、判断権者が重大とないと判断すれば、利益相反(例えば、製薬企業から著者への利益供与がなされていること。)は見逃されることになります。
薬品の有効性や安全性に関する論文は製薬企業が書かせている可能性もあるということです。
そもそも、著者たちは、コロナワクチンの接種を推進する立場のCDCの職員や請負業者ですから、利益相反はあります。
だから、著者は「重大な利益相反はありません。」と書いたのでしょう。
●ニューイングランド医学ジャーナルでは論文の査読が行われていないと見るべきだ
シマブクロらが2021年9月8日公開の妊婦におけるmRNA COVID-19ワクチンの安全性に関する予備的知見で論文を訂正したのは、査読がされていないからであると見るべきだと思います。
査読をしていたとすれば、簡単なミスが見逃されたと言うことは、査読者の知的レベルが著作者のそれよりも低かったということであり、査読としての意味がありません。
「査読(英語名:peer review)とは、学術雑誌に投稿された論文の質と信頼性を同分野の専門家が評価・検証するプロセスです。」(Readableから)。
「査読者は、論文の専門分野に精通した研究者の中から選ばれます。」(Readableから)。
世界で最も権威のある医学雑誌であると言われる「ニューイングランド医学ジャーナル」で掲載論文の査読がなされていないとしたら奇妙なことです。
(実際には、さすがに査読はされていたが、査読者が公平でなかったためにミスが意図的に見逃されたのかもしれません。)
●シマブクロ論文がモデルナのワクチンの承認申請に使われていた
一流雑誌に掲載されたシマブクロらの論文の効果は絶大であり、根幹部分が訂正されたという経緯は無視され、コロナワクチンは妊婦にも安全であるという当初の論文の結論が方々で引用され、マスコミが訂正された事実を報道しないこともあり、ひとり歩きしているのが現状です。
コロナワクチンを推進する勢力は、間違った論文の結論のひとり歩きを最初からねらっていたのかもしれません。
シマブクロ論文の絶大な効果の一例を挙げると、訂正前の論文がモデルナのワクチンの承認申請に使われていたという事実があります。
モデルナのワクチンの販売名はCOVID-19 ワクチンモデルナ筋注であり、日本での承認申請者は武田薬品工業株式会社です。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構での審査の結果報告書が2021年5月17日に作成されています。
そのp53に、次のように書かれています。
機構は、申請者の説明を了承した。なお、米国 CDC は Vaccine Adverse Event Reporting System(VAERS)等の複数の副反応報告システムから得られた、mRNA ワクチン(本剤又はコミナティ筋注)の接種を受けた妊婦の安全性情報からは、現時点では特段の安全性上のシグナルは得られなかったが、長期間のフォローアップが不可欠との情報を論文発表している(N Engl J Med. 2021; doi: 10.1056/NEJMoa2104983)こと等も踏まえ、製造販売後の情報から、新たな知見が得られた場合には、追加の注意喚起の要否を検討する等、申請者は適切な対応を行う必要があると考える。
ここで「(N Engl J Med. 2021; doi: 10.1056/NEJMoa2104983)」は、訂正前のシマブクロらの論文を指します。ウソだと思ったら"N Engl J Med. 2021; doi: 10.1056/NEJMoa2104983"で検索してみてください。
つまり、(独立行政法人医薬品医療機器総合)機構は、「接種を受けた妊婦の安全性情報からは、現時点では特段の安全性上のシグナルは得られなかった」ことを重視していると思われます。(「安全性上のシグナル」は、「危険であることの兆候」と読み替えてください。)
具体的には、訂正前のシマブクロらの論文には、調査対象者における自然流産の確率が12.6%と書かれており、コロナワクチンの登場前の論文に記載された確率と比較して大差がなかったことが重視されたと思います。
しかし、2021年9月に島袋らが論文を訂正したことにより、「機構は、申請者の説明を了承した。」ことの前提が崩れました。
また、そもそも機構は、「米国 CDCは・・・論文発表している(N Engl J Med. 2021; doi: 10.1056/NEJMoa2104983)」と書いており、論文を書いたのが米国 CDCだと書いていますが、前記のとおり、この論文の注記には、「この記事の調査結果と結論は著者の見解であり、必ずしも米国疾病予防管理センター(CDC)または米国食品医薬品局(FDA)の公式見解を反映するものではありません。」と明記されており、CDCは著者ではありませんし、論文はCDCの公式見解を反映するものでさえもありません。
したがって、機構は、著者を誤解した上で論文の価値を評価しています。
したがって、政府が行った特例承認には瑕疵があると考えます。
また、機構は、「製造販売後の情報から、新たな知見が得られた場合には、追加の注意喚起の要否を検討する等、申請者は適切な対応を行う必要があると考える。」と書いています。
つまり、新たな知見が得られた場合には、申請者は適切な対応を行う必要があるとされています。
そうであれば、シマブクロらが2021年9月に論文を訂正したことにより、自然流産についての危険性が不明になったのですから、申請者は適切な対応を行う必要があるはずです。
申請者は適切な対応をしていないのであれば、特例承認の前提は崩れるので、特定承認は取り消されるべきです。
シマブクロらが論文を訂正したことにより、申請者が適切な対応をしたとは思えません。
●コロナワクチンと妊娠に関する情報
コロナワクチンの妊娠への影響に関する情報で私が参考になると思ったものを掲げますので、興味のある方は参照ください。
ワ○チンで突然死する本当の原因とは?予防医学の専門家が教えるコ○ナワ○チンの危険性Q&A(Part1):新潟大学名誉教授/医学博士 岡田 正彦
産婦人科学会はNEJM論文の「mRNAワクチンによる流産率は12.6%」を根拠に妊婦に接種を推奨したが、妊娠20週未満の流産率は82%だった (福田 世一@小倉台福田医院)
とんでもない改竄と新たな論文 井上正康LIVE適塾セカンドチャンネル
(全体的にはいいことを言っていますが、1:26で表示される引き算が間違っているので、引用する際には注意が必要です。)
新型コロナワクチン接種開始後、胎児の死亡は1925パーセント増加しているとDr. Peterson Pierre, M.Dが解説。「(2分動画)たいへんな胎児の死亡の上昇」(michisleepy information for Japnanese rumble動画 1分59秒 2022/3/31)
「米軍医が内部告発 コロナワクチン接種開始後、流産、癌、各疾病が激増中」
「論文 『COVID-19 mRNAワクチンの経胎盤移行: ワクチン接種後の胎盤、母体、および臍帯血分析から得られたエビデンス』」
「COVIDワクチンmRNAは妊娠中にワクチン接種を受けた女性の胎盤と乳児に『全身に広がる』可能性 (Epoch Times)」
「ジェームス・ソープ博士 『コロナワクチン接種後、流産は58倍、胎児死亡は38倍、月経異常が1000倍に増加』 (連新社訳)」
「ジェームズ・A・ソープ博士 『死産率は1000件中6件前後だが、2021年には29を超えた。見たことのない死と破壊だ』 (連新社訳)」
リチャード・ゲイル、ゲリー・ナル博士 「COVID-19パンデミックは医学的科学の死を招いた」 (Alzhacker zomia訳)