データを聞くだけの質問は要らない

2016-04-18

●質問が非効率ではないのか

2016年3月開催の鹿沼市議会本会議一般質問を傍聴しました。

9日に大島久幸議員は、防災問題と経済活性化問題のほかに簡易水道事業について質問しました。

簡易水道事業に関する質問事項は、以下のとおりでした。

1 事業全般について
(1)各簡易水道事業について
・現時点での各事業規模(エリア、給水人口、配管延長、普及率)
(2)有収率と漏水対策について
・簡易水道事業ごとの有収率の変化
・漏水管改修の経緯、新年度の予定
(3)各簡易水道事業ごとの収益について
2 水道事業との統合について
(1)スムーズな事業移行について
・職員配置、管理事務引継ぎ
(2)会計移行について
・2017年度のキャッシュフローについての予想値
・会計統合8年後、赤字に転落する可能性

後半の水道事業との統合問題については、何が質問したいのか理解できましたが、前半については質問の意図が分かりませんでした。

それもそのはず、大島議員自身が、水道部長の答弁を「メモしきれなかった。後で文書で教えてほしい。」と言っていました。

大島議員が簡易水道に興味を持たれたのは結構なことですが、質問の仕方に問題があると思います。

一般質問の中で事実確認に時間を割く場合はあり得ると思います。例えば、執行部が事実を隠そうとしている場合に、議員が一般質問でその事実の存在を暴こうとするのは意義のあることです。

しかし、簡易水道のエリア、給水人口、配管延長、普及率などは、隠すようなものではありません。

事前に基礎的なデータを調べておいてから質問するべきではないでしょうか。

基礎的なデータは、議員の顔で要求することに気が引けるのであれば、情報公開請求でいくらでもとれるはずです。

鹿沼市議会は税金で運営され、一般質問はケーブルテレビで生中継されているのですから、議員さんには、基礎的なデータを踏まえ、何が問題なのかを指摘するような質問をしてほしいと思います。

大島議員としても、議員の役割を、データを質問して終わりと考えているわけではないのだと思います。3月議会では、簡易水道事業の基礎的なデータを押さえておいて、後日問題があると感じたら6月議会以降で質問を続けていけばいいというお考えなのだと推測しますが、しかしそれでは悠長すぎると思います。

このようなタイプの質疑は、鹿沼市議会の常任委員会でも一般的になされているようで、議員も職員も「議会質問とはそんなもの」と考えている可能性があります。

ここで大島議員の議員活動を全体的に論評するつもりはありません。大島議員がほかのテーマについてどんな質問の仕方をしているのかも調べていません。大島議員は、人格的には真面目で温厚で人望も厚いのではないでしょうか。

少なくとも、水問題について質問を今後もするようなことがあれば、基礎的なデータは事前に把握して、できればフリップを作ってきて要点を示しながら質問に臨んでほしいと思います。

部長たちにデータを答えるだけの答弁をさせていたら、部長たちも育ちません。

もしも大島氏が私たちのようにボランティアで世直し活動をしている人なら何も言えませんが、市民には、税金で報酬をもらっている議員に対しては効率的な議会質問をするよう求める権利があると思います。

●佐藤誠議員の質問も上質ではなかった

ちなみにですが、2016年3月11日には、佐藤誠議員の質問がありました。

鹿沼市議会においては、議員の質問時間は、答弁を含めて1時間と決められているようです。

佐藤議員は、50分以上を自分の演説に使い、市長の答弁の時間をほとんど残さないという奇策を用いました。

発言通告は、「市長の進退と市政運営の結果と考えを問う。」というタイトルで、中身も「市長の政治家としてのこれまでの政治的言動、実績や政党としての関わりを検証しながら、市長の市政運営に対しての考えと市長選挙に臨んでの進退を問う」というもので、抽象的な通告です。

佐藤議員が50分以上かけて言いたかったことは、下野新聞のアンケートにも書かれているとおり、「佐藤市政を支持しない。」その理由は、「市役所改革ができず、国や県との良好な関係も築けていないことが最大の問題。2期8年の任期が限界である。」ということのようです。

コストコが来ないのも、鹿沼街道が4車線にならないのも佐藤市政のせいだとも言っていましたが、それらの問題は、市長が政治生命をかけるような問題なのでしょうか。

佐藤議員は、「市役所改革で産み出した財源を使ってシンプルでパワフルな人口増」が持論です(5つの提案 佐藤まことの挑戦)。

佐藤議員は、権力者は人口を自由に操れると考えているようですが、そうはいかないことは、阿部和夫市長が第3子対策事業で証明したと思います。佐藤議員には、歴史に学んでほしいと思います。

最後に答弁に立った佐藤信市長は、佐藤議員のブログ「ルビコン川を越えて」の中の「久しぶりの話」というページの中から
「今ではお互いにすっかり敵同士だ。
お互いの信じる道を阻む敵同士だ。
見えるところでは苛烈に鉄鎚を叩き付け、
見えないところでは非情に毒刃を突き刺す。
お互いを葬り去らなければ、其々の信じる理想が実現しないのだから。」
という、佐藤市長と佐藤議員が不倶戴天の敵であることを宣言する文章を朗読し、こんなことを書く議員にまともに答える必要があるのかと疑問を呈しました。

これに対して佐藤議員が「そのブログは自分が書いたかどうか分からない。自分が書いていないとすれば、市長の発言は名誉毀損になる」と言いました。

「ルビコン川を越えて」というブログを佐藤議員が書いていないとすれば、誰が書いているのでしょうか。佐藤市長への反論になっていないように思います。

私が傍聴した範囲での感想は、鹿沼市議会では建設的な議論が行われているとは言い難い状況にあるということです。

(文責:事務局)
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