草なぎ宅への家宅捜索は違法だ

2009-05-06

●草なぎ氏の逮捕は違法だ

酒に酔って他人に迷惑をかける行為を擁護するつもりはありませんが、違法な捜査を容認することによる害悪は、酔漢による害よりも大きいと思います。

2009-04-24スポニチは、次のように報道しています。

草なぎ容疑者/全裸で奇声!異例の家宅捜索も
アイドルグループ「SMAP」のメンバー、草なぎ剛容疑者(34)が23日、東京都港区赤坂の公園で全裸になったとして、公然わいせつの疑いで警視庁赤坂署に現行犯逮捕された。草なぎ容疑者は泥酔状態で、全裸で奇声を発していたため通報された。同署は赤坂の東京ミッドタウン内にある同容疑者の高級マンションを家宅捜索。同様の事件では異例といえる措置で、芸能界の薬物汚染が取りざたされているだけに一時騒然となった。

「逮捕(たいほ)とは捜査機関または私人が被疑者の逃亡及び罪証隠滅を防止するため強制的に身柄を拘束する行為をいう。」(Wikipedia)とされています。しかし、「犯行は警察官等に現認され、罪証隠滅、逃亡(これだけの人気者ではどこにも逃げ場がないでしょう)といったことも考えにくい」(弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」 )のですから、逮捕の必要性はなかったのではないでしょうか。

「酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」(通称「酔っぱらい防止法」、「トラ退治法」)には、次のように規定されています。

(保護)
第3条  警察官は、酩酊者が、道路、公園、駅、興行場、飲食店その他の公共の場所又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の場所又は乗物」という。)において、粗野又は乱暴な言動をしている場合において、当該酩酊者の言動、その酔いの程度及び周囲の状況等に照らして、本人のため、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当の理由があると認められるときは、とりあえず救護施設、警察署等の保護するのに適当な場所に、これを保護しなければならない。

「酩酊者」とは、「アルコールの影響により正常な行為ができないおそれのある状態にある者」(同法第1条)です。

元警察官でジャーナリストの黒木昭雄氏も「警察官は本来、泥酔者をまずは警察官職務執行法に基づいて『保護』するのが常です。」(2009-05-08週刊朝日p137)と言っています。さらに、「過度の飲酒によって犯罪の意思が希薄、もしくはなかったと考えるべきで『意思無き行為はここれを罰しない』という刑法の大原則に照らせば、今回は不当逮捕のそしりを受ける可能性もある。」と言います。

この逮捕は公平だったのでしょうか。 「だいたいこれさ、今後、大トラを保護したら、全員送検するつもりなの? 司法コストを考えると、恐ろしい無駄遣いの原因を作っただけじゃん。」(「大石英司の代替空港」というサイトの「この逮捕に異議あり」)という意見もあります。大石氏は、「今後」と書いているので、「大トラ」を逮捕するのは異例と認識しています。

全国で1年間に何人の酔っぱらいが道路や公園で全裸になって警察に通報されるのか数字がつかめませんが、警察はそういう人を全員公然わいせつ罪で逮捕して送検しているのでしょうか。そうでないとすれば、今回の逮捕は不公平な逮捕であり、違法です。

「私としては、
・警職法による保護
・いわゆる酔っ払い防止法による保護
・公然わいせつ罪での逮捕
いずれも成立しうるので、正解はひとつで他は不当だ、とは思いません。」 という意見(スベスベ日記の草なぎ邸の家宅捜索についての各説まとめ)もあります。確かに、現場の警察官が心神喪失か心神耗弱か迷うような場合は、「一応逮捕」というのもアリでしょうけど、草なぎ氏は「逮捕から約5時間後の検査でも、酒気帯び運転の基準の約5倍にあたる呼気1リットル中0・8ミリグラムのアルコールが検出される泥酔ぶり。」(上記スポニチ)だったとすれば相当酒臭かったのですから、一見して明白に刑事責任を問えない場合だったと思われますので、逮捕という選択肢はないと思います。

●意思なき行為は処罰できない

第39条第1項には、「心神喪失者の行為は、罰しない。」と規定されています。「心神喪失」とは、「判例によれば、精神の障害によって事物の理非善悪を弁識する能力または弁識に従って行動する能力が欠如している場合、とされる。心神喪失のもとでの行為は、刑法39条1項の規定「心神喪失者の行為は、罰しない。」にしたがって、責任が阻却され、犯罪が成立しない。」(はてはキーワードの心神喪失)のです。

では、泥酔してしまえば何をやっても処罰されないかというと、そうではありません。病的酩酊中に人を刺し殺した事案において、最高裁判所(1951年1月17日判決)は、「本件被告人の如く、多量に飲酒するときは病的酩酊に陥り、因って心神喪失の状態において他人に犯罪の害悪を及ぼす危険ある素質を有する者は居常右心神喪失の原因となる飲酒を抑止又は制限する等前示危険の発生を未然に防止するよう注意する義務あるもの」として、「本件殺人の所為は被告人の心神喪失時の所為であったとしても(イ)被告人にして既に前示のような己の素質を自覚していたものであり且つ(ロ)本件事前の飲酒につき前示注意義務を怠ったがためであるとするならば、被告人は過失致死の罪責を免れ得ない」としました。「原因において自由な行為」の理論を認めた最初の判例とされています。殺人罪という故意犯としては刑事責任を問えないということです。

上記最高裁の判旨によれば、草なぎ氏が飲酒すると前後不覚に陥ってどこででも全裸になるという素質を自覚していたと認定できると仮定しても、罪を問えるのは過失犯に限られるということです。一方、刑法第174条には、「公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と規定されていますから、公然わいせつ罪には故意が要件とされます。前後不覚と言えるほどの酩酊状態に陥った草なぎ氏を故意犯である公然わいせつ罪で逮捕・処罰するのは無理だと思います。

●なぜ「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」があるのか

「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」という法律が2005年から施行されています。

もしも草なぎ氏の行為を公然わいせつ罪に問えるのなら、仮に彼があの日あの状態で人を殺したとしたら、殺人罪に問えるはずです。しかし、殺人の故意を認定することはできないでしょうから、それは無理です。無理だからこそ、国は「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」を制定し、心神喪失中に重大な他害行為を行った者を刑罰に替えて医療機関に身柄を拘束することにしたのです。

酩酊中の殺人を殺人罪に問えないのだとしたら、公然わいせつ罪にも問えないはずです。

●警察は何を捜索したのか

上記スポニチには次のように書かれています。

大きな繁華街を抱え、数々の酔っぱらいを相手にしてきた赤坂署も仰天した草なぎ容疑者の"奇行"。薬物検査を実施して反応が出なかった一方、午後4時15分には観光名所でもある東京ミッドタウン内の高級マンションの家宅捜索に踏み切った。捜査員数人が捜索に入ると約70人の報道陣が集まり、ヤジ馬を含めて一時騒然となった。押収品はなく捜索は約30分で終了。同署は家宅捜索について「あくまで動機や背景を探るための一般的な理由。全裸癖などの嗜好(しこう)性があるか物証を探しただけ」と説明している。

家宅捜索の根拠は刑事訴訟法第218条第1項前段で、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押、捜索又は検証をすることができる。」と書かれており、同法第219条第1項には、「前条の令状には、被疑者若しくは被告人の氏名、罪名、差し押えるべき物、捜索すべき場所(中略)を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。」と書かれています。

赤坂署が捜索差押許可状の請求書類に書いた「罪名」と「差し押えるべき物」は何だったのでしょうか。

赤坂署は「全裸癖などの嗜好(しこう)性があるか物証を探しただけ」と説明しているのですから、公然わいせつ罪だと思われます。しかし、家宅捜索は犯罪の証拠を探すために行うものであり、本件は現行犯逮捕で、警察官が現認しており写真も撮られているでしょうから、証拠は一応あります。全裸でいた時間は公園付近の住民に聞いて調べないと分かりませんが、家宅捜索しても分かりません。

では警察は何を探したのでしょうか。公共の場所で全裸になる映像を集めたDVDでしょうか、「昨日は全裸になって気持ちよかった」と書いた日記でしょうか。

赤坂署は、「あくまで動機や背景を探るための一般的な理由。」とも説明しています。しかし、そのような理由で家宅捜索が認められるのでしょうか。認められるとしたら、あらゆる犯罪の家宅捜索が認められるということにならないでしょうか。

傷害罪の現行犯で逮捕された者は、動機を解明するための家宅捜索を受けなければならないのでしょうか。この場合の家宅捜索を適法と認める人は少ないと思います。

昔から「笑い上戸」、「泣き上戸」、「怒り上戸」、「脱ぎ上戸」という言葉があります。脱ぐことは飲酒の典型的な反応ですから、酔って脱いだことの動機を詮索しても仕方がないと思います。

●警察・検察・裁判所のご都合主義

刑事司法の目的は真実の発見なのでしょうか。犯罪の動機の解明は必要なのでしょうか。その辺がどうも分かりません。

2009年4月19日放送の『テレビ朝日 サンデープロジェクト』によると、アメリカでは被告人に有利な証拠を検察が隠すことは憲法違反であるといいます。ところが日本では、被告人に有利な証拠を検察が隠すことが認められています。

BENLIというサイトの精密ではあるが正確ではない刑事司法というページ(是非参照してください。)に次のように書かれています。

我が国の刑事司法は「精密司法」といわれることがあります。広辞苑によれば「精密」とは「くわしくこまかいこと」だそうですが、そういう意味であれば「精密」といえるかもしれません。検察は、被告人の生い立ちから趣味嗜好まで、どうでも良さそうなことまで立証しようとします。

しかし、我が国の刑事司法は、「精密」ではあっても「正確」なものではありません。残念ながら、裁判所も検察も、「実体的真実」の追究にあまり熱心ではないからです。
ところが、日本では、証拠を隠匿し、これにより被告人を有罪に陥れる権限が事実上検察官に求められており、検察官は頻繁にこの権限を行使します。裁判所は、「弁護人に証拠を開示してあげなさい」と検察官に命ずる権限はあるのですが、この権限を行使したがりません。これは、検察官も裁判官も、実体的真実の追究なんてものにはさしたる関心がないからに他なりません。

和歌山毒物カレー事件の最高裁判決が2009年4月21日に出されたことを受けて、田原総一朗氏は、「真相解明が最高裁の役割ではなかったか」、「一、二審とも謎のままであった犯行の動機の解明こそが最高裁の役割ではなかったのか。」、「刑事裁判の大きな目的は事件の真相解明であり」(いずれも前掲週刊朝日)と書きますが、刑事司法関係法規に「刑事裁判の目的は真相解明である」などと書かれていないと思いますし、上記サイトの著者小倉秀夫氏が書くように、「検察官も裁判官も、実体的真実の追究なんてものにはさしたる関心がない」のです。

上記最高裁判決も「カレー毒物混入事件の犯行動機が解明されていないことは、被告人が同事件の犯人であるとの認定を左右するものではない」と書いています。大量殺人の動機だって犯罪の成立にとってどうだっていいのですから、脱ぎ上戸の動機なんて解明する必要はないと思います。

動機の解明を大義名分としても違法な家宅捜索、長時間の取り調べ、拷問、自白の強要などが行われるのですから、動機の解明をやめれば、これらの違法はかなり是正されるはずです。最高裁が「犯行動機が解明されていないことは、被告人が同事件の犯人であるとの認定を左右するものではない」と言ってくれいてるのですから、警察や検察は動機の解明をやめてしまってはどうでしょうか。

他方、動機の解明を執拗に行う警察権力が、日本人の犠牲者が24人もいる9.11という重大犯罪について犯人(アルカイダであると日米政府は言っています。)の犯行動機を始め、全く調査に動いていないことは実に不可解です。(日本政府が9.11の真相調査のために全く動いていないことは、藤田幸久参議院議員の国会質問から明らかです。詳しくは議員の著書『9.11テロ疑惑国会追及/オバマ米国は変われるか』(クラブハウス社)参照)

警察・検察・裁判所は、「動機の解明」をご都合主義的に使っているように思えてなりません。

ちなみに、上記最高裁判決では、「カレーに混入されたものと組成上の特徴を同じくする亜砒酸が、被告人の自宅などから発見されていること」が大きな理由となっていますが、前掲週刊朝日p139によると、被告人の自宅から押収されたプラスチック容器に残っていたヒ素、そして、夏祭り会場に捨てられていた紙コップに付着したヒ素が同一だったことが一、二審の争点でしたが、この「プラスチック容器は、事件当時、真須美被告の家宅捜索4日目に、自宅の台所の流し台の収納庫から発見されたものである。」というのです。

しかし、被告人の夫は、「台所の下にヒ素が入ったプラスチック容器など置かない。ヒ素の猛毒性は、私自身が自分で飲んでよくわかっている。子どもが飲んだら、エラいことになりますから。捜索4日目まで台所を捜索しなかったのも疑問や」と語っているといいます。

被告人の「子どもたちも、「プラスチック容器は見たことがない」と口をそろえて言っていた。」そうです。

プラスチック容器には「白アリ薬剤」と油性ペンのようなもので書かれていたが、筆跡は夫のものではなかったといいます。

プラスチック容器が家宅捜索4日目に発見されたということが狭山事件の万年筆を思い起こさせます。狭山事件でも「石川被告の自宅は「自供」以前に何度も捜索されていたにも関わらず、人目につきやすい勝手口の鴨居から万年筆が突然「発見」されたのは青年の「自供」後であった。」(Wikipedia)のです。

毒物カレー事件の被告人の家がどれだけ広いのか知りませんが、「白アリ薬剤」と書かれた容器を見つけるのに4日もかかるのは不可解です。

前掲週刊朝日によれば、和歌山県警の当時の捜査員の一人は、「今でも『容器の話は言うな、墓場まで持っていくんや』とか、『もう、その話はやめとけよ』と言う刑事がいます。今もって、なぜ容器が突然、見つかったのかよくわからん。謎やね」と語ったそうです。

●常習性の有無は家宅捜索の理由になるのか

弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」 には、次のように書かれています。

自宅を捜索した理由として考えられるのは、動機の解明、常習性の有無の確認、といったことでしょうね。

公然わいせつ事件で、自宅の捜索まで行う場合はそれほど多くないと思いますが、この種の犯罪は、一種の性癖に基づくことが多く、また、常習的に行われることも少なくないもので、自宅や勤務先等の捜索により、そういった事情に関係する証拠が押収できれば、ということで、赤坂警察署としても、慎重を期して行ったのではないかと思います。

性癖や常習性を探すための家宅捜索を認めてよいとは思えません。「捜査は犯罪の立証のために必要な限度でしか行われてはなりません。」(スベスベ日記

「日々是好日」の落合弁護士(検察官出身)は、「この種の犯罪」と限定していますが、少なくともどの種の犯罪だったら動機の解明、常習性の有無の確認のための家宅捜索を認めるのか法律に明記すべきです。そうでないと警察の恣意を招くと思います。

スベスベ日記には、次のように書かれています。

常習性、性癖といった事実は量刑に影響しますが、必ずしも明らかにする必要があるわけでは無いと考えます。

また、上のように、犯罪ではなく保護の対象にもなりうる微妙なラインで、違法性は甚だ軽微でしょう。錯乱状態で、責任能力すら疑われます。

また、薬物については、逮捕直後の尿検査が陰性である以上ありえない判断です。尿検査で出ないのに嫌疑が晴れないなら、一体被疑者はどうすればいいのだということになります。

以上から、捜索の必要性は皆無と言っていいと考えられます。

詳しくは、スベスベ日記の草薙くんは薬をやってない、と思うを是非参照してください。

長野智子blogの家宅捜索って・・には、「 専門家の方たちによると、公然わいせつ罪では、常習性がないかの確認も含め家宅捜索を行うもので、今回も通常捜査だったとのこと。」、「 ジャーナリストの大谷昭宏さんも、「通常捜査」と仰っていた」と書いてありますが、上記スベスベ日記には、「セオリーからすると、公然猥褻の容疑で家宅捜索ということ自体が相当異常である。」と書かれており、 山口一臣の「ダメだめ編集長」というサイトの草なぎ剛「全裸で逮捕」報道への違和感にも、「(元警視庁警察官の)黒木(昭雄)さんは、「公然わいせつでのガサ入れなんて聞いたことない」と言います。」と書かれています。ゲンダイネットの「家宅捜索」までした警察の狙い も「異例の家宅捜索」と書いています。こうなると捜査の実務においてどちらが普通かは門外漢には分かりません。

長野智子のいう「専門家の方たち」とはだれなのでしょうか。検察OBに意見を聞いても正当な解釈かどうかは分かりません。

家宅捜索は犯罪を立証するための証拠を集めるために認められるのですから、簡易裁判所は、「常習性がないかの確認」のための令状を発付してはいけないと思います。

●家宅捜索の本当の理由は薬物捜査なのか

上記ゲンダイネット記事に次のように書かれています。

たいした事件でもないのに、赤坂署はなぜ草なぎ剛の自宅マンションを家宅捜索したのか。

「クスリでしょう。草なぎが逮捕されたのも、あまりに意識もうろうなので"もしかしたら"ということです。尿検査の結果、クスリは出なかったという。でも念のためにということで、自宅も調べたのです」(報道関係者)

(中略)
「何か出てくればもうけもの。出てこなくても、公然わいせつ罪の裏付け捜査という言い逃れができる。それで異例の家宅捜索に踏み切ったようですが、何も見つからず、30分で終わってしまいました」(前出の関係者)

警察が異例の家宅捜索を行った背景には、SMAPに歌詞を提供していた作詞家の園田凌士が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された事件(夕刊フジのSMAPやBoAらに提供/作詞家を覚醒剤使用で逮捕参照)との関係があるとの見方があります。

全裸で騒いだことは過度の飲酒で説明がつき、「薬物検査を実施して反応が出なかった」(上記スポニチ)のですから、薬物犯罪の嫌疑はなく、令状に薬物犯罪の罪名を記載することはできないでしょう。だとしたら、「そもそも公然猥褻の立件に薬物使用は無関係なのは上の通りで、クスリについて捜索したければ、覚せい剤取締法違反のような真っ当な被疑事実に基づいて捜索するのが原則である。」(スベスベ日記の草薙くんは薬をやってない、と思う)ということになります。

そもそも薬物検査をやった時刻はどこにも報道されておらず、薬物検査の結果が出る前に家宅捜索に入った疑いも持たれています。

マスメディアで法律家の多くが本件捜索を是認するような発言をしていることは問題だと思います。テレビで本件家宅捜索の適法性に疑問を呈した法律家は、私が知る限り、八代 英輝弁護士だけでした。報道関係者では、鳥越俊太郎氏が『報道ステーション』で草なぎ氏の逮捕や家宅捜索はやり過ぎだと言っていました。警察や検察を批判するコメンテーターには出演依頼がなくなってしまうのでしょうが、情けないと思います。

捜査の違法性を指摘して世論の反感を買ったら本人や事務所が損をするという計算もあるでしょうが、草なぎ氏の担当弁護士までが家宅捜索について、「変に疑われるぐらいなら、身の潔白を示すことができたのでよかったと思います。」(スポニチの担当弁護士が接見「本人はとても反省」)と言っていることも残念です。

インターネットの世界では、検察OBのブロガーの奮闘にもかかわらず、健全な意見があることに救われます。

(文責:事務局)
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