組合はなぜ民主党支持なのか

2008-08-18,2008-08-19追記

●鹿沼市職員労働組合は民主党を支持している

あらかじめお断りしておきますが、このページには標題の疑問に対する回答は書いてありません。疑問を提示しただけです。

労働組合の中には日本共産党を支持しているものもあるようですが、鹿沼市職員労働組合(以下「鹿職労」という。)、連合、自治労は、民主党支持です。

●組合は格差社会の是正を求めている

2008-06-13鹿職労ニュースは、連続無差別殺人事件を取り上げ、「格差社会の見直しを」という見出しをつけた文章には、次のように書かれています。

一人前に生活できる賃金を保障できるように最低賃金を引き上げること、労働法制を見直し、派遣やパートを正社員化あるいは均等待遇にすることなど急務なのではないでしょうか(ママ)。

2008-08-08鹿職労ニュースでは、「格差社会の中の貧困」というテーマで次のように書いています。

貧困が広まった背景には、労働者派遣法があるではないでしょうか(ママ)。相次ぐ労働者派遣制度の規制緩和により、もともと立場の弱かった低賃金、不安定雇用の人たちは、生存のために少しでも収入を得ようと文句も言わずに働くような状況をつくって、労働水準と生活水準を押し下げ、弱い労働者を爆発的に増やしました。

いずれにしてもこれら労働市場全体に対する引き下げ圧力を止めるためには、労働市場の中での権利擁護の規制擁護(ママ)とともに社会保障制度の充実が不可欠であり(ママ)、そのためにも企業、行政、政治そして私たち労働組合が役割を理解し取り組んでいかなければならないのではないのでしょうか(ママ)。


●日本共産党の認識

日本共産党は、2008-08-17しんぶん赤旗で、不安定雇用の問題について次のような認識を示しています。

日雇い派遣、偽装請負、ワーキングプア--。なぜこんな非人間的な労働が広がったのか。きっかけになったのが1999年の労働者派遣法の大改悪です。
労働者を企業に貸し出して利益を得るいわゆる「人貸し業」は、 戦後、職業安定法で禁じられました。その例外として1985年に労働者派遣法ができて、対象業務を限定して公認されました。99年の改定案は、これを港湾、建設、警備をのぞいてすべての業務に広げるという内容です。対象業務限定から「原則自由化」への大改悪です。

鹿職労と日本共産党に認識はほぼ一致しているように思います。

●民主党の労働問題への対応はどうだったのか

鹿職労が支持する民主党の労働問題への対応はどうだったのでしょうか。

2008-07-29赤旗に「財界戦略破たん」の記事に「労働の規制緩和の流れ」がまとめられています。これによると、各党の対応は次のとおりです。

○1985年の労働者派遣法制定のときには、
自民、公明、民社が賛成
日本共産党、社会党が反対

○1998年の労働基準法改悪(労働裁量制の拡大)のときには、
自民、民主、公明、社民、自由が賛成
日本共産党が反対

○1999年の派遣対象の原則自由化のときには、
自民、民主、公明、自由、社民が賛成
日本共産党が反対

○2003年の製造業への派遣拡大と派遣期間の延長のときには、
自民、公明、保守が賛成
日本共産党、民主、自由、社民が反対

○2003年の期限付き労働契約の期限延長と労働裁量制の導入要件の緩和のときには、
自民、公明、民主、自由が賛成
日本共産党、社民が反対

労働の規制緩和に賛成し、必要なときに必要なだけ労働力を安上がりに得ようとした財界に貢献してきたのは、民主党じゃありませんか。これまでさんざん貧富の格差を拡大する自民党の政策に賛成しておいて、今になって「国民の生活が第一。」(民主党のホームページから)などというスローガンを堂々と掲げる意味が分かりません。

自民党と一緒になって労働の規制緩和を進めてきた民主党を鹿職労が支持する理由が分かりません。労働問題に関する鹿職労の考え方は日本共産党に近いのですから、どうしてもどこかの政党を支持したいというのであれば、日本共産党を支持するのが筋でしょう。

●自民と民主は同じ

2008-06-12赤旗によると、「11日、民主党などの提出した福田首相問責決議案が上程された参院本会議が開会中の同時刻、国会内外で自民党と民主党などが政策協調体制を積み上げる会合が複数開かれていました。」。

国会近くのホテルで開かれた21世紀臨調、経済同友会、連合の主催で開かれた「公務員制度改革緊急シンポジウム」では、自民党の中川秀直元幹事長が民主党の自民党への同調姿勢を誘うと、「民主党の松本剛明前政調会長は「自公政権には是々非々で対応していく。政策の競争をさせてもらいたい。」と応じました。」。

国会内では、「自民、民主、公明などの国防族議員でつくる「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」の定例会合が開かれました。同会は、当面の目標に自衛隊海外派兵一般法(恒久法)の制定をにらんで与野党の共通認識を深める場になっています。」。

夜には、「自公民国防族議員でつくる安全保障議員協議会(瓦力会長)が国会近くの」個室割烹で懇親会を開きました。

与党と民主党は対立しているように見えても、実態はこんなもんですから、国民の見る与野党対立は茶番にすぎません。そして、こうした実態を一般紙が書かないことも問題です。

以上見てきたように、民主党も労働の規制緩和に賛成してきたし、自衛隊の海外派兵にも賛成ですし、軍事利権が問題となっている団体にも関わっています。

鹿職労が格差の拡大に反対し、平和を希求するなら、そして「労働組合が役割を理解し取り組んでいかなければならない」と言うなら、民主党を支持する理由はないはずです。組合の言っていることとやっていることがあまりにも違えば、組織率も下がるはずです。鹿職労では下がっていないかもしれませんが、村八分を恐れているだけで、組合員の心は上層部の方針から離れているかもしれません。

●宇宙軍拡も自民と民主が協調(2008-08-19追記)

2008-08-18livedoorニュースに欧州連合(EU)の宇宙軍拡進展に焦る日本の防衛産業という記事がありました。冒頭、次のように書かれています。

今年5月の通常国会で日本の宇宙軍事利用を合法化する宇宙基本法が成立した。「1969年の宇宙平和利用に関する国会議決を反故にする」と一部の学者や市民団体は声を上げたが、自民、民主両党の事前合意があったため、衆議院内閣委員会での審議入りから約半月という前代未聞のスピードで参議院本会議において可決された。8月中にも施行の見通しだ。

二大政党が手を携え悪政を押し進めている証拠は、挙げればキリがありません。労働組合がなぜそのような政党を支持するのでしょうか。"寄らば大樹の陰"ということでしょうか。でも民主党は、財界に気に入られようとしており、労働条件の切り下げに加担してきたのですから、組合が民主党を支持することは、自分で自分の首を絞めることになります。見返りがないのに、民主党の選挙にカネを使うことは、組合費の無駄遣いになります。

(文責:事務局)
フロントページへ>その他の話題へ>このページのTopへ