それでも原発推進でダム推進ですか

2011年3月27日

●未だ原発推進への反省なし

福島県や関東一円の空気も水も野菜も放射能汚染されて、多くの人の生活が滅茶滅茶にされているというのに、栃木県議会議員 増渕 賢一(ますぶち としかず)ブログを東日本大震災 日記 3・24まで見てきましたが、増渕議員は、淡々と放射能汚染の状況をつづるだけで、未だに原発推進への反省を表明していません。

●地下水は放射能汚染を免れる

増渕議員は、上記ページにおいて次のように書いています。

ワイン会で挨拶、水道水に関する情報を中心に話す、東京金町浄水場の検査結果は基準値300に対して230ベクレル。宇都宮(松田新田浄水場)は15ベクレルとの調査結果を報告した。『何故(原発から)遠い東京が・・・』との疑問が参加者からもれる。推測で有るが、と断って私の考えを述べる『東京の水道はいずれか(表流・複流)確認していないが、宇都宮の水道水の採取は殆どが複流水(地下水)であるため放射能汚染を免れているのではないか』と。

増渕議員は、放射性ヨウ素による汚染のことを書いているようです。

「東京金町浄水場の検査結果は基準値300に対して230ベクレル」と書いていますが、22日の金町浄水場の計測結果は210ベクレル/キログラムであったという記事(例えば24日付け読売の金町浄水場の水、乳児の摂取制限を解除)は見つかりますが、「230ベクレル」という記事は見つかりませんでした。

増渕議員は、「(地下水)であるため放射能汚染を免れている」と考えるならば、なぜダム推進なのでしょうか。

「 思川開発事業を、一日も早く見直して思川総合開発事業として再開する事が必要」というのが増渕議員の持論です。

彼の書く「思川総合開発事業」とは、1994年の計画のことであり、水道水源を地下水から表流水に切り替える計画です。

しかし、増渕議員は、地下水なら放射能汚染を免れるというのです。逆に言えば、河川水は汚染に弱いということです。

そういうことが分かっていながら、なぜ増渕議員は、河川水を市民に飲ませるダム計画に賛成なのでしょうか。

一方でダムを造れと言いながら、他方で地下水は汚染を免れる優秀な水源だと言う。支離滅裂と言わざるを得ないと思います。

●地下水と伏流水は同じではない

増渕議員は、「宇都宮の水道水の採取は殆どが複流水(地下水)である」と書いています。

「複流水」と2度も書いていますが、おそらくは伏流水のことでしょう。

地下水と伏流水は同じではありません。どう違うかは、県議のダム推進論に説得力はあるかをご参照ください。

通常はどうでもいい問題かもしれませんが、水源を議論する以上、明確に区別して議論すべきです。

●宇都宮市の水道水源はほとんどが地下水ではない

増渕議員は、地下水=伏流水だと思っていること、金町浄水場と対比していることから、「宇都宮の水道水の採取は殆どが地下水である」と言いたいのだと思います。

しかし、宇都宮市の上水道の水源は、ほとんどが表流水です。

地下水源は、白沢水源の60,000m3/日のみです。河川水が142,000m3/日です。河川水の内訳は、県水(川治ダム)が28,000m3/日、今市浄水場が14,000m3/日、松田新田浄水場(川治ダム)が100,000m3/日です。総計で202,000m3/日です。

宇都宮市の202,000m3/日の水源のうち60,000m3/日が地下水源ですから、地下水源の割合は、29.7%です。宇都宮市の水源の約7割が河川水です。

「ほとんどが地下水」というのは誤りです。

●松田新田浄水場は地下水を水源としていない

増渕議員は、宇都宮市の水道水源がほとんど地下水だから汚染が少ないと言いたいようですが、今のところ、宇都宮市の水道水の汚染度は松田新田浄水場での水やそこから供給される水道水で計測されているようです。

例えば、3月26日付け下野新聞のホームページの【全県】環境放射能の調査結果(栃木県発表)を見ると、宇都宮市の水道水は「県保健環境センターの蛇口で採取。松田新田浄水場(鬼怒川)から供給。」と書かれています。

栃木県は宇都宮市の水道水については、地下水の混じった水道水の汚染度を計測しているのではないということです。

したがって、宇都宮市の水道水の汚染度が低いという結果が出たとしても、同市の水源のほとんどが地下水であるせいとは言えませんし、同市の水源のほとんどが地下水であるという事実もありません。

増渕議員の主張はいくつもの誤解に基づいており、意味はありません。

地下水源の方がより安全だという主張は正しいのですが、ダム推進という持論と矛盾します。

ちなみに東日本大震災 日記 3・26に「反省のない人たち」という項目で評論家や政治家を批判しています。自分のダム推進や原発推進は反省の要なしと考えているようです。

(文責:事務局)
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