ずっとウソだったんだぜ〜森友学園問題を考えてみた〜(その1)

2018-03-27

(敬称略)
●佐川が昭恵の関与を証言した

2018年3月27日の参議院証人喚問で佐川宣寿・前理財局長は、森友学園の国有地取得に関する安倍昭恵の関与があったことを証言しました。

内閣総理大臣夫人付きの谷査恵子が財務省理財局の国有財産業務課の田村嘉啓・国有財産審理室長に電話をかけたと佐川は証言しました。

電話の内容は、介護施設に適用される特例規定を学校にも適用できないか、という問い合わせだったと証言しました。

この証言は、非常に重いと思います。

谷からの電話の内容について古賀茂明がエクサイトニュースの「昭恵夫人はいつまでしらばっくれるのか」で次のように紹介しています。

これは共産党の宮本 岳志 (みやもとたけし)衆議院議員が、田村さん本人から直接聞き取り調査をしてわかった事実です。谷さんはまず「安倍昭恵付の谷査恵子と申します」と身分を名乗ってから「安倍内閣が一億総活躍ということで女性を活躍させるため、介護施設に国有地を貸し付けている場合、その賃借料を10年間半額に負けるという政策を行っています。同じことを学校に適用できないか」と打診し、またこれが「籠池さんからの願いである」ということも付け加えたのです。
(第41回メディアを考えるつどい「森友事件の政府とメディアの幕引きを許さない」西宮市立勤労会館大ホール2017年6月10日より)

賃借料を半額に負けてくれという学園の要望を伝える話ですから、土地取引に関する昭恵の明白な関与と言えると思います。

政府の反論としては、その打診は、谷が個人的にやったことであり、夫人の行為とは言えないというものです。

しかし、古賀によれば、「安倍昭恵付の谷査恵子と申します」と身分を名乗っているし、2015年11月17日に谷から籠池に送ったファクスに「引き続き、当方としても見守ってまいりたいと思いますので、何かございましたらご教示ください。なお、本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております。」と書かれていることから、夫人と無関係とする強弁は無理です。

加えて、経済産業省のノンキャリの課長補佐と財務省のキャリア官僚の田村が直に電話することなどあり得ません。古賀は、次のように言います。

国有財産審理室長は財務省のキャリア。一方、谷さんは、経産省のノンキャリです。だから二人の間には財務省と経産省、キャリアとノンキャリという二重のハードルがあって、まず、普通では直接話せない相手なわけです。谷さんが国有財産審理室長と直接やりとりすること自体がありえない。これは絶対にないですよ。

また、安倍晋三・内閣総理大臣は、夫妻は国有地売却に関係していないと言っているのであって、貸付について口利きを行うなど、関係していても進退問題とはならないと反論するでしょう。

しかし、本件貸付は、売却を前提としており、貸付と売却は一体不可分のものです。決裁文書にも「売払い時期を定めた売買予約契約を貸付契約と同時に締結する」(売払決議書「普通財産売払決議書」2016年6月14日)と書かれているのですから、貸付と売払いを切り離した議論は無理です。

●官邸と課長の協議を認めた

佐川は、公文書改ざんに官邸が関与していなかったことを強調してましたが、答弁書の作成に当たり、課長が官邸と協議していたことは認めました。収穫だと思います。

●すり替えの詭弁が使われようとしている

森友学園問題の本質は、「国有地売却でなぜ特別扱いがされたか」及び「生徒に教育勅語を暗唱させるような小学校の設置認可がなぜなされたのか」です。

ところが、これらの問題を追及するうちに、財務省が公文書を改ざんしたことから、そのことだけが問題であるかのような議論をする人が出てきています。

2018年3月19日のTBSニュースによると、自民党幹部は、「昭恵さんの招致はない。改ざんに関わったわけではないし、佐川さんとは違うよ」と語ったそうです。

国民は、このようなすり替えの詭弁にだまされてはいけません。

2018年3月25日の参議院予算委員会でも安倍晋三内閣総理大臣は、「妻は文書の書き換えに関わっていない、指示していない」と、誰も言っていない説にムキになって反論していました。安倍は、「森友問題とは文書改ざん問題だ」と国民に錯覚させて、土地取引に関する夫妻への疑惑をかわそうとしていると思います。

●昭恵夫人の『そんなことは言っていない』は信用できるか

「安倍晋三首相は14日の参院予算委員会集中審議で、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省決裁文書の改ざんについて」「首相夫人の昭恵氏が学園側に「いい土地ですから、前に進めてください」と発言したと改ざん前文書に記載されていたことについては、「妻に確認した。『そんなことは言っていない』ということだった」と説明した。」(2018年3月14日付け時事ドットコム)と報道されています。(安倍は夫婦の会話が世間で通ると総理大臣が本気で思っているようです。)

しかし昭恵は、2014年12月6日に塚本幼稚園での講演で「(泰典理事長(当時)には)主人にお手紙や電話をいただいたり、実際にもお会いしていただいたりしていました」と言いました(健康になるためのブログの【マジ?】やはり安倍総理と籠池氏は会っていた?昭恵夫人の言葉を「とくダネ!」が紹介)。

安倍は、「1対1とか少人数で籠池と会ったことはない」と答弁していますが、「お手紙や電話をいただいたり」しているとすれば、怪しいものです。

また、週刊朝日2017年3月10日号には、籠池が「5年ぐらい前にPTAの紹介で知り合った。首相になる前で昭恵夫人と先に知り合って小学校の見学に来てもらい、住吉大社にもご一緒させてもらった」とリアルに語ったことが書かれているようです(情報速報ドットコムの「安倍晋三首相は籠池理事長と会った」、週刊朝日がスクープ記事!夫人と一緒に学校見学も!?)。

籠池と会っていないという安倍の答弁が正しいとすれば、昭恵の「会った」という発言はウソだったことになります。

ウソを言う人が家庭内で『そんなことは言っていない』と言ったとしても信用できません。

安倍は、2018年3月26日の参議院予算委員会で「妻は籠池が安倍に会ったことがあると言うので、勘違いした」「籠池氏は、私の演説を聞きに来ただけだった」と答弁しましたが、昭恵は「主人にお手紙や電話をいただいたり」と言ったのですから、勘違いとは思えません。電話も面会も勘違いということがあるのでしょうか。

●安倍の答弁も伝聞にすぎない

安倍は、「削除された文書に妻の『前に進めてください』という発言が出てくるが、籠池が言ったことにすぎない」と言います。要するに伝聞証拠だから『前に進めてください』という発言はなかったというわけです。

それを言うなら、ご自身の答弁(「妻に確認したら、言ってないとのことだった」)も伝聞証拠であり反対尋問ができないので、証拠能力が否定されなければなりません。

籠池はウソを言うような人であり、うちの妻と同一に論ずるべきではない、という反論が予想されますが、上記のとおり、昭恵も重要な問題についてウソを言っています。

このことを2018年3月26日の参議院予算委員会で福島瑞穂が指摘しました。

福島は、「両方とも間接話法、伝聞なんです。裁判でも伝聞証拠は証拠とはなりません。人がこう言っているというのは証拠にならないんですよ。」と言いました。

安倍は、「籠池さんと昭恵の二人のやりとりでありますから、どちらかが自分の正しさを証明するためには、第三者が必要だというのは、それは自明の理だと、こう思う次第でございます。」と言いました。

日本の刑事訴訟において伝聞証拠が原則として証拠とならない(憲法第37条第2項、刑事訴訟法第320条)のは、元々の供述が反対尋問の機会にさらされないので、「伝聞証拠を証拠とすると事実認定に誤りを生じる可能性が類型的に高い」からです。「第三者が必要だ」という説は見当外れです。

●総理がウソを言っている可能性はないのか

理論的には、昭恵が「前に進めてください。」と言ったと安倍に言ったのに、安倍が「妻は『そんなことは言っていない』と言っていた。」とウソを言っている可能性があります。

安倍は、東京オリンピック招致の際に、「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。」と言いました。この「アンダーコントロール」発言はウソです。

また、安倍は、1月30日の衆院予算委員会で、準強姦罪で逮捕状が出たのに執行されなかった山口敬之との関係を希望の党・柚木道義に質問され、「記者として私の番記者であった者が『取材をしたい』ということで取材を受けたことはありますよ。それ以上のものでも以下のものでもない」と答弁しましたが、山口は著書「総理」の中で「時には山に登ったりゴルフに興じたりした」「総理辞任後も、私は会食や登山、ハワイでの休暇など様々な機会で安倍と時をともにした」と書いているようです。「2016年12月にプーチン大統領が来日した際には、出演した『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)で山口氏は“安倍首相に大谷山荘へ2回連れていってもらった”“相当仲良くならないと連れていってもらえない”と大はしゃぎ。」(リテラの「ただの取材者」答弁は嘘だ! 安倍首相と“準強姦疑惑”山口敬之の親しすぎる関係、ネットでは“仲人”情報も)という事実もあるようです。

「安倍は山口の仲人だった」と軍事アナリスト・小川和久とツイートしましたし、少なくとも安倍が山口の結婚式であいさつしたという情報があります。

したがって、昭恵が本当のことを言っていたとしても、安倍がウソ答弁をしている可能性はあると思います。

●内閣府は今治市の文書の書き換えを指示している

加計学園問題についてですが、週刊文春2018年3月22日号のp28に、今治市民ネットワーク共同代表の村上治が同年1月10日及び14日に今治市庁舎内で同市企画財政部の課長補佐に聞き取り取材したところ、同市職員が2015年6月5日に内閣府において国家戦略特区ワーキンググループ委員から受けたヒアリングに関する市長への報告書について内閣府から指示を受けて、加計学園職員の発言部分を削除したことを認めた旨が書かれています。

内閣府の指示は、2017年3月6日前後で、そのメールは破棄したと上記今治市職員は言ったとのことです。

削除した分量は2ページにもなるといいます(阿修羅の加計学園問題でも公文書書き換え疑惑(週刊文春))。

内閣府は、2017年3月6日前後に自治体が作成した文書にまで書き換えを指示したのですから、森友問題についても、財務省の決裁文書についても改ざんを指示していたという推論はおかしくないと思います。

(文責:事務局)
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