ずっとウソだったんだぜ〜森友学園問題を考えてみた〜(その3)

2018-04-02

(敬称略)
●佐川は今井秘書官と森友問題で話していないのか

佐川宣寿証人の「森友問題で今井尚哉秘書官と話してない」という証言については、弁護士の若狭勝も3月28日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)で「ウソ反応が見られる。」と言っています。

livedoorニュースの「佐川宣寿氏の「ウソ」若狭勝氏が指摘 森裕子氏の質問への答弁」を参照ください。次のように書かれています。

スタジオでは、VTRを交えつつ佐川氏の発言に注目した。その中で、自由党の参議院議員・森裕子氏が「官邸の今井(尚哉)秘書官と、森友問題で話をしたことは全くありませんか?」と質問した際の、佐川氏の答弁を取り上げた。

佐川氏は「官邸の秘書官が、私どもの課長クラスだと思いますが、課長クラスと調整をしていたということだと思っている」と答弁。森氏が質問に答えていないとし、再度同じ質問をすると、佐川氏は「私の国会答弁に関して、私が今井秘書官と話をしたことはございません」と答弁した。

すると、森氏は強い口調で「そんなことは聞いていません」と一蹴。「森友問題について官邸の今井秘書官と話をしたことはないんですね?」と三度、尋ねたのだ。佐川氏は3回目にして「この森友問題について、今井秘書官と話をしたことはございません」と言い切る答弁をしていた。

話していないのなら、最初から「話していない」と言えばいいものを、2度もはぐらかすような答弁をしたのですから、疑われて当然です。

佐川は、逢坂誠二・衆議院議員(立憲民主)の今井尚哉・首相主席秘書官との最後の面会の時期についての質問に「最後に会ったのは、記憶が遠いんですが、(2016年6月20日に)理財局長になってすぐ、経済対策で官邸にご説明に上がったときにお部屋にいらっしゃった」と証言しました。 

これでは今井と話したことがないかのようで、関係を否定しすぎている印象です。

とにかく安倍は、今井と谷査恵子(谷ルートと呼ばれている。)について質問されると狼狽するので、野党にとっては攻めどころだと思います。

●佐川は決裁文書を見ないで答弁した

佐川は、「決裁文書を見ないで答弁した」とは言っていませんが、そういうことになると思います。

以下は、公明党の横山信一・参議院議員とのやりとりです(NHKの佐川氏証人喚問 全記録 何を語り、何を語らなかったか 財務省決裁文書改ざん問題から)。

【横山】
佐川氏のご答弁によりますと、文書管理規則に基づいての当時の答弁だったので丁寧さを欠いていたというようなご発言がございましたが、こうしたことっていうのは、当時の理財局長当時ですね。資料(経緯を記載した決裁文書を指すと思われる。ーー引用者)を確認することができなかったという、そういうことなんでしょうか。
【佐川】
それは私の落ち度でありまして、本当にできなかったのかと言われれば、それはできたのかもしれません。ただ、やはり言い訳になりますが、ああいう状況、大変な、局内の騒然とした状況の中でやはりそれを怠ったということであると思います。申し訳ない。

資料を確認しなかったと言っているのですから、決裁文書を見ないで答弁したということになると思います。

小池晃議員に対しても、佐川は、「大変恐縮でございますが、その答弁が本当にその決裁文書をもって作ったのか、どういう資料をもって作ったのか、それは私は各原課がどういうファクトを確認しながら作ったのかというのは、私自身はその答弁書を読んでご答弁申し上げてるんでございます。」と証言しました。(他方、後記のとおり、丸川珠代議員には、「昨年の国会答弁を通じまして、公的取得要望から始まって貸付契約で売り払い契約の経緯について勉強もし、局内でもいろいろ聞いてですね、その過去のものを見ております」と言いました。)

原資料を確認しないで議会答弁をするような職員が、どうして理財局長や国税庁長官にまで昇進できたのか不思議です。麻生太郎は、「佐川は有能」と言いますが、違うと思います。

もし、佐川が有能だとしたら、原資料を見た上で答弁していたのに、見ないで答弁したと虚偽の証言をしたことになると思います。

●佐川は官邸との遮断に失敗した

佐川に与えられた使命は、公文書改ざんと不正な土地取引についての官邸の関係を遮断することだったと思います。政権にとって100点満点の演技だったという評価もあります。

しかし、上記のとおり、森裕子議員の質問(「官邸の今井秘書官と森友問題で話をしたことはまったくありませんか。」)に対し、佐川は、次のように証言しました。

私は国会答弁中は、下の者と、部下職員とやっておりますし、官邸との関係につきましては関係の秘書官が私ども、たぶん課長クラスだと思いますが課長クラスと調整をしていたということだと思っております。調整というのはこういう答弁ができたのでこういう答弁でお届けするとかそういうことだと思います。

つまり答弁について、官邸との調整があったことを認めざるを得なかったということです。官邸との関係の「完全な遮断」には失敗していると思います。

佐川は、「調整というのはこういう答弁ができたのでこういう答弁でお届けするとかそういうことだと思います。」と、「調整」について独自の定義付けをしますが、普通は届けることを「調整」とは言わないし、届けるだけなら平の職員だってできます。わざわざ課長クラス(おそらくは総務課長)が使い走りをするとは思えません。

首相の進退がかかっている事案の答弁を、局長答弁とはいえ、理財局だけで書くことはあり得ないでしょう。佐川の証言には無理があります。

また、「官邸との関係につきましては関係の秘書官が私ども、たぶん課長クラスだと思いますが課長クラスと調整をしていた」という証言も奇妙です。

「たぶん」ということは、どの課長が官邸と調整していたのか分からないということです。

理財局長が答弁書の作成手続を知らないということがあるのでしょうか。

佐川は、とぼけすぎたと思います。

●実務的でない話は官邸と調整したことになる

以下は、小池晃・参議院議員とのやりとりです。

【小池】
実務的な中身じゃないんですよ。極めて政治的な中身の質問なんですよ。これをね、官邸と調整しないで質問する、答弁書を作るなんていうのはあり得ない話じゃないですか、どう考えたって。総理と食い違ったらどうするんですか、それ全部理財局でやっちゃうわけですか。そんな無責任な話が説明が成り立つ訳がないじゃないですか
【佐川】
何月何日に現場で職員と業者とか、相手方と会ったとか会わないとか極めて実務的なお話でございまして、そういうものを総理官邸と調整するということは通常は考えられないわけでございます。

元の決裁文書に政治家や安倍夫妻の名前がぞろぞろ書かれているのですから、本件を実務的な事案だと言いくるめることには無理があります。

この証言を前提としても、その反対解釈として、「極めて実務的なお話」以外の問題については、官邸や財務大臣官房と調整しているということです。

そして、「極めて実務的なお話」についても、「通常」でない場合は調整するということです。本件は、総理が「私や妻が関係していたら、総理も議員も辞める」と大見得を切った事案ですから、政治案件であり、「通常」の事案ではありません。

●佐川証言は破綻している

佐川の証言は、二重基準であり、ご都合主義であり、矛盾しており、支離滅裂です。

改ざんの経緯については、刑事訴追されるおそれがあるので証言を拒否すると言います。

経緯ではなく、改ざん前の文書を見たのか、という質問にも答えません。

その一方で、「官邸や財務大臣からの指示があったか」については、改ざんの経緯や動機の問題であるにもかかわらず、全くなかったと明言しています(特に丸川珠代議員の質問に対し)。

そして、理財局の中で誰が改ざんしたのかについては、小川敏夫議員が「一番冒頭ですか、委員長の質問に対してですね。全て私の責任だというような趣旨のご発言がありました。これはですね、いわゆる事実としてあなたが責任を持って行ったということなのか、そうではなくてあなたが理財局長という職責にあったので、その当時の不祥事は全部、局長の自分にあるとこういう趣旨ですか。どちらですか。」と質問したのに対して、佐川は「私が担当局長であったということでひとえに責任は私にあるということでございます。」と答えました。

つまり、行為責任ではなく、結果責任を負うと言っています。自分は指示していないということになります。

「当時の担当局長として、責任はひとえに私にございます。」(河村建夫委員長に対し)、「その当時にこういう決裁文書の書き換えが起こったということがありますれば、それは私の責任だというふうに思います。」(逢坂誠二議員に対し)という証言からも、自分は指示していないのに部下が勝手にやったと言っていることになります。

このように、改ざんの経緯や動機については言えないと言いながら、上からの指示はないし、自分も指示していない、と言っています。

また、佐川は、「昨年の国会答弁を通じまして、公的取得要望から始まって貸付契約で売り払い契約の経緯について勉強もし、局内でもいろいろ聞いてですね、その過去のものを見ておりますけども、その中では一切、総理や総理の夫人の影響というのがあったということは、私はまったく考えておりません。」(丸川議員に対し)と言いました。

その一方で、小池晃議員の「改ざん前の文書に安倍昭恵さんの名前が何度も出てくると。それをいつかの時点ではご覧になったんでしょう。いつ見たかは言えないっていうんですけど、見たわけでしょうどこかで。その時に証人はどういう印象をどう受け止めたんですか、安倍昭恵さんの名前が何度も出てくるということについて。」という質問には、「やっぱり改ざん前の文書をいつ見たのかという話になるので答えない」と言います。

佐川は、自分からは「その過去のもの(改ざん前の決裁文書ーー引用者)を見ておりますけども、その中では一切、総理や総理の夫人の影響というのがあったということは、私はまったく考えておりません。」と言うのに、その点について質問されると、「刑事訴追されるおそれがあるので答えない」と言うわけです。

自ら改ざん前の決裁文書を見たと言って、政権に有利な証言をしたのですから、改ざん前の決裁文書の内容についての証言を拒絶することは許されないはずです。

都合のよいときだけ「刑事訴追のおそれ」を解除するものであり、究極のご都合主義であり、二重基準です。

自民党の二階俊博幹事長は、証人喚問で「疑いが晴れた」とか「政治家の関与がなかったことが明白になった」と言っていますが、上記のとおり、証言は論理破綻しており、政権への「疑いが晴れた」とは言えません。

二階は理論的に考える能力が欠如しており、政治家を辞めた方がよいと思います。

(文責:事務局)
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