「中電病」の問題に進展があった

2025-01-31

●質問主意書が出されていた

「中電病」については、過去記事「東京新聞はなぜワクチンを疑わないのか」で紹介したとおり、東京新聞が2024年7月18日に「電車のオーバーランがなぜか多発 中央・総武線の中野電車区、3年で40件 運転士の間では「中電病」とも」という記事を載せました。

その影響かは不明ですが、同年12月4日に鈴木庸介衆議院議員(立憲民主党)が「JR中央・総武線乗務員の原因不明の体調不良に関する質問主意書」を提出していました。

鈴木議員が中電病について政府に質問したことは素晴らしいと思います。

しかし、「2019年に乗務員の勤務制度が改正され、乗務時間や拘束時間が増えたとされる。また2020年には職場転換制度によって運転士が多く転出してしまい、超過勤務や休日勤務が多くなったという指摘がある。特に、当時の中野電車区で勤務シフトが過密になり、労働環境が厳しくなったという指摘もあるなか、こうした制度上の改変が影響を与えた可能性について、政府として調査する予定はあるか。」と聞いています。

要するに、労働強化が原因ではないか、という聞き方をしており、ピント外れだと思います。

過重労働も問題ではありますが、中電病の本質はそこじゃないでしょう。

同じ立憲民主党議員でも原口一博議員が質問していれば、こんな聞き方をしていなかったと思います。

旧・中野電車区でのみ勤務シフトが過密になったという事実があるのであれば、原因は明らかであり、対策も容易です。調査チームを組んで原因究明をしたが、それでも原因不明なのでお祓いをするという事態にはならなかったはずです。

鈴木議員が問題の本質を把握しているのか疑問です。

「特に、当時の中野電車区で勤務シフトが過密になり、労働環境が厳しくなったという指摘もある」と言うのであれば、噂話のような言い方ではなく、そのような事実があったのかを調べてから質問することもできたはずです。

その調査は容易です。なぜなら、労働組合が喜んで協力すると思われるからです。

鈴木議員は、なぜワクチンとの関連を質問しなかったのか、不可解です。

●答弁書の内容は事実をなかったことにするというものだった

鈴木議員の質問主意書に対する12月13日付けの政府答弁書は、 JR東日本から国土交通大臣への報告においても「中電病」に関する報告は受けていないので、国土交通省として、「中電病」に関する情報を把握していない、したがって、調査も周知もすることも考えていないというものです。

木で鼻を括ったようなというか、取り付く島もないというか、政府としては、全く問題にしないという答弁です。

しかし、特定の電車区でのみ電車を定位置に停められないという事象が2021年6月から3年間で40件(2024年11月までで43件)も発生することは、素人が見ても異常なのに、鉄道事業を監督する国土交通省が問題にしないことは不可解です。

東京新聞が記事にしたのも、中電病が大事故の前兆になるおそれがあると考えたからだと思います。

2024年の夏から「JR東日本は同電車区施設の空気調査をはじめ、職場環境の改善対策に乗り出した。」(同年7月26日付け東京)のも、JR東日本としても、同様の懸念を抱いたからだと思います。

東京新聞が報道し、それを受けてか、質問主意書が出ていて、特定の路線でオーバーラン等の事象が多発しているという事実が明らかになっているのに、JR東日本が正式に報告していないから、当該事象がなかったことにするという対応は許されないと思います。

●朝日新聞も後追い記事を書いた

朝日新聞も中電病を無視できなかったようで、東京新聞の記事から約半年後の2025年1月10日付けデジタルで細沢礼輝記者(鉄道担当)が「謎の「中電病」 中央・総武線各駅停車で相次ぐ運転士の体調不良」という見出しの記事を書いています。

ネットで読める部分は次のとおりです。

「中電病(なかでんびょう)」という言葉が、首都圏のJR運転士の間でささやかれている。中央・総武線の各駅停車(三鷹―千葉)で運転士の体調不良によるオーバーランなどが相次ぎ、所属する職場(旧・中野電車区)に原因があるのではと心配する声が出ているためだ。JR東日本は現場の水質や空気成分検査に乗り出したが、原因はわからないまま。神主を呼んで安全祈願もして、職場環境も改善したが状況は変わらず、謎は深まるばかりだ。

JR市ケ谷駅で2024年11月20日、三鷹発千葉行き電車が停止位置の約7メートル手前に停車した。JR東日本首都圏本部によると、30代運転士は「駅到着時に睡魔に襲われ、居眠りしてしまった」と説明。乗車前の点呼で健康状態に問題はなかったという。
翌21日にはJR四ツ谷駅で、停車中の中野発津田沼行き電車の30代運転士が体調不良を訴えた。運転士交代のため、運転は約20分間ストップした。

3年ほど前から相次ぐ体調不良
どちらの運転士も、JR中野…

オーバーランなどのインシデントは、東京新聞が報道してから約4か月後の2024年11月になっても起きているということです。

有料記事なので、私は全文を読めません。

細沢記者は、多分、この後で原因の分析をしていると思いますが、どういう分析をしているのかが気になります。

新型コロナワクチンは候補に挙がったのでしょうか。

●おそらくコロナワクチンは原因から外されている

朝日の記事の全文を読まないと分からないのですが、おそらくは、コロナワクチンは原因から外されていると思います。

なぜなら、記事のコメント欄に「本当に原因不明なのだろう。」と書かれているからです。

しかし、記事には「3年ほど前から相次ぐ体調不良」と書かれています。

つまり、体調不良は2021年から始まったということです。

東京新聞では、2021年6月から中電病が発生したことを明記しています。

上記過去記事に書いたとおり、J R東日本での新型コロナワクチンの職域接種は2021年6月21日から始まったのですから、ワクチン接種は、原因の第1候補に挙げられてしかるべきです。

しかし、J R東日本は、産業医を交えた対策チームを発足させて原因を究明しましたが、それでも不明なので、神主を呼んで安全祈願をするしかなかったということです。

朝日がワクチンを疑わなかったという推理が当たっているとすると、不可解です。

中電病とワクチン接種を結びつけることはタブーなのだと思います。

朝日新聞は空気を読むとしても、東京新聞の本社編集局長は「東京新聞はなぜ、空気を読まないのか」という本を書いているのですから、東京新聞がワクチン接種との関連性を書かないのは解せません。

●「徹底調査!」をうたうサイトを見てみた

なずなというサイトに「中電病とは?原因やオーバーランと水質検査やJR東日本の対策について徹底調査!」(2025年1月10日に掲載したと思われます。)というタイトルのページがあります。

「徹底調査!」というタイトルの割には、ワクチンの「ワ」の字もありません。

このページには相当の字数が費やされているだけでなく、短時間に書かれたと思われることから、相当の努力を要したと思います。

このページは、同日付けの朝日新聞を無断引用しているのですが、同日中にこれだけのボリュームのページをアップしたとすれば、かなり能力の高い方が書いたことになると思います。

しかし、内容はデタラメです。(なので、読むことをお勧めしません。ただし、読んではいけない文章のお手本としては読んでほしいとも思います。)

「中電病が注目されるようになった背景には、運転士がオーバーランを繰り返すという問題があります。2024年11月20日には、三鷹発千葉行きの電車が停止位置の約7メートル手前に停車したという事例が報告されました。運転士は「駅到着時に睡魔に襲われ、居眠りしてしまった」と説明しており、運転前の点呼では健康状態に問題がないとされていましたが、この事例が引き金となり、中電病という言葉が広まりました。」と書かれています。

つまり、中電病が最初に発生したのは、2024年11月20日だと言っています。

無断引用している朝日の記事には、「3年前」と書いてあるのを見ていないのでしょうか。

なずなは、2024年7月18日東京新聞の記事も引用しており、そこには中電病という言葉が出てくるのですから、中電病という呼び方が2024年11月20日から発生したという説は誤りです。

また、「中電病の解決には、現場の労働環境の改善や過労の軽減、さらには職場での体調管理の強化が不可欠です。」と書きますが、一方で、「根本的な原因を解明し、運転士の健康と安全を守るための対策を講じることが求められています。」とも書いています。

根本的な原因が解明されていないと言っているのですから、解決策を提示するのは矛盾していると思います。

●ミヤネ屋で報道された

おおきな木ホームクリニックというサイトに「中電病」(2025年1月19日掲載)というページがあります。

中電病は、日本テレビのミヤネ屋(2025年1月17日放送)でも取り上げられたと書かれています。

上記サイトの著作者は、結論として、下記のとおり、ワクチン接種との関連を疑っています。

上記にあるとおりテレビで紹介されていたのは、『昨年11月までの3年間で43件』。
たぶん「3年前から」この体調不良が目立っているということなのでしょう。
となれば新型コロナワクチンの関与はないか?ということです。

これが常識的な見方だと思います。

●「カーブが多いからではないか?」という説もある?

ミヤネ屋の「メインキャスター」(誰を指すのか分かりません。)が「カーブが多いからではないか?」という意見を紹介したそうです。

全く意味不明です。

カーブが多いとなぜオーバーランや体調不良が起きるのか分かりません。

また、中電病は2021年6月から起きているのですが、それ以降に総武線と中央線でカーブを増やすことなどあり得ないと思います。

総武線と中央線でカーブが多いという事実があるとすれば、それは昔からそうだったのであり、昔は中電病がなかったことをどう説明するのでしょうか。

とんでもない説を紹介したM Cあるいはコメンテーターが愚かだったという見方をするのは間違いだと思います。

自分の意見として言ったら理論的でないという批判を浴びることを予想する知能を持っているから、自分の意見としては言わないのだと思います。

ではなぜそれでもアホな説をわざわざ紹介するのかと言えば、誰かに頼まれているからだと思います。

●普通の推理

阿修羅掲示板に上記朝日の記事を紹介する形の謎の「中電病」 中央・総武線各駅停車で相次ぐ運転士の体調不良 (朝日) という記事があります。

次のようにコメントされています。

まず、疑うべきはコロナワクチンですね。
職域接種で、大勢が運悪く毒性の高いロットを打ってしまったのではないでしょうか。
実は、福島原発事故後、運転士、車掌の体調不良が多発しており、放射能被ばくの影響も疑われます。
安全祈願よりも、まず科学的にものごとを考える姿勢が大切です。

これが普通の推理だと思います。

マスコミが普通の推理をしないのは、暗黙の掟があるからなのかもしれません。

しかし、ネット空間でも普通の推理をする人が極めて少ない理由が分かりません。

(文責:事務局)
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