政治家への企業献金禁止は建前だった

2015年5月18日

●疑惑の企業献金が発覚した

企業や団体は、政治家個人への献金はできないことになっていますが、やはり建前だけのようです。

2015年4月10日付け毎日新聞は、次のように報じています。

原発設備会社:世耕氏側に幹部5人献金 計750万円

世耕弘成(ひろしげ)官房副長官の資金管理団体「紀成会」に兵庫県の原子力発電所設備会社の社長ら幹部5人が2013年、個人献金の上限である150万円ずつ計750万円を献金していたことが分かった。うち3人が同年2月20日に、2人が6月5日にそろって献金しているものの、社長は「会社と関係なく、献金日が同じだったのは偶然」と話すが、専門家は「金額も日付も同じなら自由意思なのか疑問で、個人献金を装った企業献金の疑いがある」と指摘する。【杉本修作】

紀成会を巡っては昨年11月にも大阪市内の人材派遣会社の幹部ら5人から07年以降100万円ずつ、毎年計500万円の献金を受け、08年と09年は献金日も同一だったことが明らかになっている。この時も人材派遣会社側は「個人で行っていることで会社は関係ない」と説明している。

紀成会の政治資金収支報告書によると、13年に献金したのは原発設備会社の社長のほか同社の技術担当、財務担当役員や総務部長など幹部社員。社長は12年11月15日にも150万円を献金しているが、他の4人は13年に初めて献金している。
(中略)
献金について原発設備会社社長は「献金日が重なっているのは偶然で、個人の政治信条によるもの。私が献金した理由についてはお答えする必要はない」と答えた。一方、幹部の1人は「(世耕氏が創設一族である)近畿大の(マグロなどの)養殖研究を応援したかった」と説明。別の1人は「その件に関しては答えられない」と話した。同社には質問状も出し、「献金を当社や社長が社員に指示した事実はなく、調整したこともない」との回答が文書で寄せられた。

世耕氏は12年3月の参院予算委員会で、細野豪志環境相(当時)の資金管理団体がパチンコ業界団体幹部らから受けた献金について「振込日まで同じで実質は業界団体からの献金ではないか」と批判していた。}

◇原発設備会社幹部による紀成会への2013年の献金

2月20日
 社長     150万円

技術担当役員 150万円

執行役員   150万円

6月5日
 財務担当役員 150万円

総務部長   150万円     
    

同様の記事は、下記2ちゃんねるでも紹介されています。     
    【政治】世耕官房副長官側に原発設備会社幹部5人が献金、金額も日付も同じで個人を装った企業献金の疑いも [転載禁止]     
    

なお、世耕氏の資金管理団体が人材派遣会社の幹部らから12年間で5,430万円の献金をもらっていた事件については、同じく毎日新聞の2014年11月29日付け「政治資金:世耕氏団体に毎年500万円」で詳しく報道されています。     

そこでも、世耕氏が細野氏を追及したことについて触れられていて、「世耕氏自身、12年3月の参院予算委員会で、細野豪志環境相(当時)の資金管理団体がパチンコ業界団体幹部ら6人から年間総額71万円の献金を受けたと指摘し「振込日(献金日)まで同じで、実質は業界団体からの献金ではないか。説明責任を果たすべきだ」と批判していた。」と書かれています。     

毎日新聞記事の中の「兵庫県の原子力発電所設備会社」とは、柳田産業株式会社のようです。     

詳しくは、2015年4月27日付け赤旗記事「原発設備会社5幹部 世耕官房副長官側に750万円」をご覧ください。     

寄付の規制については、福井県のホームページの「寄附の量的制限一覧」が参考になります。     
    
●何が問題か     

何が問題かを理解するには、政治資金団体と資金管理団体の違いを理解する必要があります。どちらも政治団体ですが、「政治資金団体」とは、「政党のために資金上の援助をする目的を有する団体」(政治資金規正法第5条)として政党が指定した団体です。     

「資金管理団体」とは、「公職の候補者が、その者が代表者である政治団体のうちから、一の政治団体をその者のために政治資金の拠出を受けるべき政治団体として指定」(政治資金規正法第19条第1項)したものです。     

詳しくは、総務省の「政治団体とは」のページをご参照ください。     

平たく言えば、「政治資金団体」が政党の財布であるのに対して、「資金管理団体」は政治家の財布と考えてよいと思います。     

政治資金規正法は、会社は、「資金管理団体」への寄付は全面的にできないと規定しています(第21条第1項)。     

それにもかかわらず、世耕氏を応援する会社の役員や従業員が金額や日付を示し合わせたかのようにして個人献金をするのは、上記禁止規定の脱法のように見えるではないかというのが問題の本質です。     
    
●検察は起訴を検討すべきである     

2ちゃんねるに引用された毎日記事によると、「政治資金制度に詳しい岩井奉信日大教授(政治学)」は、「献金は組織的で、個人の名を借りた企業献金の疑いがある。 個人が本当に150万円を負担したのか疑問で、仮に会社側が補填(ほてん)した場合には 政治資金規正法違反の可能性もある。企業団体献金を禁止しても逃げ道が残ることになり、政治家の良識が問われる。」と言っています。     

政治家の良識の問題だと言いますが、本件では刑事責任を検討すべきだと思います。     

「献金は組織的で、個人の名を借りた企業献金の疑いがあ」り、「政治資金規正法違反の可能性もある」ということの意味は、本件の献金が「本人の名義以外の名義」でなされた献金に該当する可能性があるということでしょう。     

政治資金規正法第22条の6に、次のように規定されています。     

第二十二条の六  何人も、本人の名義以外の名義又は匿名で、政治活動に関する寄附をしてはならない。
2  前項及び第四項の規定(匿名寄附の禁止に係る部分に限る。)は、街頭又は一般に公開される演説会若しくは集会の会場において政党又は政治資金団体に対してする寄附でその金額が千円以下のものについては、適用しない。     
3  何人も、第一項の規定に違反してされる寄附を受けてはならない。
4  第一項の寄附に係る金銭又は物品の提供があつたときは、当該金銭又は物品の所有権は、国庫に帰属するものとし、その保管者は、政令で定めるところにより、速やかにこれを国庫に納付する手続をとらなければならない。
5  前項に規定する国庫への納付に関する事務は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととする。     
    

つまり、何人も他人名義又は匿名で政治活動に関する寄付をしてはならない(第22条の6第1項)のであって、これに違反して寄付をした者には罰則が科されます。     

「第二十二条の六第一項の規定に違反して寄附をした者(団体にあつては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)」(第26条の2第4号)に対しては、3年以下の禁固又は50万円以下の罰金に処することになっています。     

もちろん、他人名義又は匿名でなされた寄付を受けただけの政治家側には罰則はありませんが、当該寄付金は国庫に帰属することになります(第22条の6第4項)ので、立件することの実益は大きいと思います。     

この種の事案で検察が動いた例は寡聞にして知りませんが、検察はきちんと調べるべきだと思います。検察に正義があるのならば。     
    
●ポケットマネーで150万円の寄付ができるか     

「献金を当社や社長が社員に指示した事実はなく、調整したこともない」と言われてしまい、文書や電子メールが存在しないと、それ以上の追及が難しい事例が多かったのも事実でしょう。     

確かに、大震災以前に東京電力の幹部が自民党の政治資金団体「国民政治協会」していたときのように、「献金額は職位ごとにほぼ横並びで、例えば09年は勝俣恒久会長と清水正孝社長が30万円、6人の副社長は全員が24万円、9人の常務は1人を除き12万円だった。」とすれば、年収に比較して献金額が少額なので、会社が献金分を報酬に上乗せしたという立証は難しいと思いますが、今回の事件では、「13年に献金したのは原発設備会社の社長のほか同社の技術担当、財務担当役員や総務部長など幹部社員。社長は12年11月15日にも150万円を献金しているが、他の4人は13年に初めて献金している。」ということが特徴的です。     

本件では献金額が年間150万円と、東京電力の事案に比べて極めて多額です。ポケットマネーで150万円の寄付ができるほどの報酬や給与をもらっている会社役員や従業員が世の中にどれだけいるだろうかという常識から考える必要があると思います。     

献金をした役員等の元々の報酬・給与の額が不明ですが、150万円の寄付が「身分不相応」であった可能性はないでしょうか。     

その上、献金した5人のうち4人が2013年に初めて献金したというのですから、2013年前後の報酬や給与の年収額に不自然な上下があったかどうかを検察は調査する必要があると思います。     

加えて、献金額が5人とも同じで、献金した日は2日に集約されるのですから、個人の自由な意思で献金したと見るのは困難です。     

したがって、会社の故意を直接立証することができないとしても、間接的な立証が可能と思われます。     

もちろん、疑わしいというだけで個人や法人が処罰されることがあってはなりません。しかし、犯罪の故意は、文書や電磁的記録など、決定的な証拠がないと認定できないというものではないと思います。状況で故意を認定できる場合もあると思います。     

被告人が自白しなくても故意を認定した事例はいくらでもあるのではないでしょうか。     

故意についてではなく、犯罪事実そのものの存否についてですが、「三鷹バス痴漢冤罪事件」では、 東京地方裁判所立川支部(倉澤千巌裁判官)は、被告人が痴漢をしたという決定的な証拠もないまま、「容易ではないけれども、それが不可能とか著しく困難とまでは言えない」という程度の理由で有罪を言い渡しました。

検察は、このような、犯罪の証明が明確にできない事案について起訴をしているのに、政治家がらみの事案では、自白がないから起訴はできません、という理屈を言うとすれば、ダブルスタンダードというものです。

●電力会社からの隠れ企業献金はやりにくくなった

電力会社は1974年以降、会社としては政治献金をしないと公に言ってきたようですが、代わりに、電力会社の幹部が個人名義で政治献金をしていたことは周知の事実で、それは個人献金を偽装した企業献金ではないかという批判は以前からありました。2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故以降は、是正の動きも出ているようです。

2011年12月1 付け朝日新聞富山版には、次のように書かれています。

電力会社幹部による政治家への個人献金

政治資金規正法では、政治家の政治団体は企業献金は受けられないが、個人献金なら受けられる。電力会社幹部らによる政治家への個人献金については、九州電力の「やらせメール」問題を調査した同社の第三者委員会が今年9月、会社幹部名義による政治資金の寄付など、会社と首長との関係に疑念を生じさせる行為を行わないよう求めた。同様に「やらせ」問題があった北海道では、高橋はるみ知事が、北海道電力役員らから個人献金を受け取らない方針を表明している。

本件の裏には、電力会社による隠れ個人献金がやりにくくなったという事情もあるのかもしれません。

●「マグロの研究を応援したかった」ら大学に寄付したらどうか

記事によると、献金をした幹部の一人は、献金の動機を「「(世耕氏が創設一族である)近畿大の(マグロなどの)養殖研究を応援したかった」と説明。」したそうです。

2ちゃんねるの意見にもあったように、近畿大の(マグロなどの)養殖研究を応援したかったのであれば、近畿大に150万円を寄付すれば、より効果的なカネの使い方だったと思います。

●世耕氏から細野氏への追及はブーメラン攻撃だった

2013年3月12日の参議院予算委員会(第180回国会)の質疑で世耕氏は細野氏に次のように追及していました。

○世耕弘成君 続いて、細野大臣にお伺いしたいと思います。
細野大臣は従来から個人献金は非常に重要だとおっしゃって、企業・団体献金の禁止を訴えてこられました。そして、閣僚の献金状況の公開によりますと、細野大臣の個人献金は二千七百七十九万円ということで、一番閣僚の中で個人献金が多い。これは立派なことだと思います。どういう考えに基づいてやっておられるんでしょうか。

○国務大臣(細野豪志君) 私は、政治家になって、国会議員になったときから、できれば個人のそれぞれの皆さんから思いをいただいてやりたいと考えましたので、一度も企業・団体献金を受け取ったことがありません。そして、パーティーも一度もやったことがありません。

 全て個人献金でということで、大変厳しかった時期もあるんですけれども、徐々に応援してくださる方が増えまして、最近は何とか事務所も回るようになってきたということで、その金額に至ったということでございます。
 
 ○世耕弘成君 本当に立派な取組だと思いますよ。
 個人献金の中身を精査してみました。二百五十三人の個人から献金をされている、すばらしいことです。
 
 職業欄を見てみると、これ政治資金規正法で記入が義務付けられている職業欄ですが、主婦とかパートという方もいらっしゃいます。幅広い献金だと思います。私もこうありたいと思います。しかし、職業別に見ると自営業が非常に多い。二百五十三名のうち九十二名、全体の四割近くは自営業。町の商店街の店主とか、そういう個人事業主の方から寄附をもらっているというイメージが湧きました。  
 
 しかし、この職業の記述についてはちょっと幾つか問題があります。全体の一割を超す三十名が空欄になっています。この職業は政治資金規正法で記述が義務付けられている欄なんですが、これが空欄になっております。
 
 総務省選挙部にお伺いしますが、政治資金規正法上、ここは空欄でも問題はないんでしょうか。
 
 ○政府参考人(田口尚文君) お答え申し上げます。
 総務省としては個別の事案についてはお答えは差し控えさせていただきたいと存じますが、その上で一般論として申し上げますと、政治資金規正法におきましては、個人からの寄附で同一の者からの年間五万円を超える寄附につきましては寄附をした者の氏名、住所、職業並びに当該寄附の金額及び年月日を収支報告書に記載することとされておりまして、故意又は重大な過失によりまして収支報告書に記載すべき事項を記載しなかった者又は虚偽を記入をした者につきましては罰則の定めがあるところでございます。
 
 ○世耕弘成君 あと、この全体の四割近くを占める自営業も調べてみるといいかげんなんですね。株式会社、有限会社の社長さんは自営業じゃありませんよ。これは会社役員と書かなければいけないし、現に細野さん、会社役員と書いておられる方もいらっしゃいます。有権者がこういう収支報告、細野さんの中身をチェックするときに、ああ、自営業だったら町の零細な個人商店、八百屋さんとかを思い浮かべますが、会社役員だと別のイメージになる。少なくともこの九十二名の自営業と書かれている方のうち三十名以上の方は、本来、会社役員、団体役員若しくは医療法人役員と書くべき方でありました。また、会社役員の中には建設業関係が多いわけです。全然イメージが変わってくるわけです。
 
   これ、総務省、間違った記載をした場合はどういうふうになるんでしょうか。もう一回お答えください。
 
 ○政府参考人(田口尚文君) お答え申し上げます。  
  個別の事案についてのお答えは差し控えさせていただく前提で、一般論として申し上げますと、故意又は重大な過失によりまして収支報告書に虚偽の記入をした者につきましては罰則の定めがございます。
  
  ○世耕弘成君 あと、もう一度大臣にお伺いしますが、業界団体からは組織ぐるみで献金はもらっておられないということですね。よろしいですか。   
  
  ○国務大臣(細野豪志君) 大変恐縮なんですけれども、できれば事前に言っていただければ私も確認できます。つい先ほど、この質問を急にするからということですので、一切事前に確認ができておりませんので、そこは是非、そういう御質問をいただくのであれば、できれば前日に御通告をいただければ調べてお答えさせていただきたいというふうに思います。
  
  その上で、企業、団体からの支援という形では企業・団体献金は受け取っておりませんので、今の御指摘についてはおっしゃるとおりということでございます。
  
  ○世耕弘成君 私はちゃんと金曜日の夕方に個人献金について各大臣に聞くという通知をしておりますから、質問通告していないわけはありませんよ。  大臣はちゃんと、団体献金、企業献金はないとお答えになっているじゃないですか。ないんですよね。それでよろしいですね。
 
 じゃ、もう一つお伺いしますが、パチンコ業界からの組織ぐるみの献金もありませんか。
 
 ○国務大臣(細野豪志君) はい。念のために申し上げますと、個人として、例えば企業の役員をやっている方で個人献金ではいると思います。パチンコに限らず、業者の方で個人で献金くださっている方はこれはおられるというふうに思います。
 
 先ほどの、総務省からの答弁ありましたけれども、どうしても個人献金の場合は最後は御本人からのお話を信じるしかないんですね。その方の、実は例えばどういう会社かとか、時々私も気になることがあるので、気になるときは調べるようにしているんですが、どうしても限界があるんです、それぞれの皆さんの個人の事情ということに関しては。したがいまして、それぞれの皆さんが書いてくださったことを基本的にはそのまま政治資金報告書に書くという形になっているということでございます。
 
 ○世耕弘成君 もちろん、個人の方であってもどこかの会社の役員であったり団体の役員だったりというのはあるんですが、ある県の遊技業組合、これはパチンコ組合ですね。ここの理事長、副理事長以下幹部の職にある方、そしてその県下の大手のパチンコ会社の方が六名そろって年間七十一万円の献金をきちっとされています。これまさに、個人献金の姿になっていますけれども、実質業界団体からの献金と言えませんか、どうでしょうか。
 
 ○国務大臣(細野豪志君) 元々、私、個人献金をやったときには本当に一人一人にお願いしていたんです。そうやって数百万円になって、そこからその人たちに少しずつ固まりをつくってもらって、例えば個人の方が友人を連れて五人とかいう形で仲間を増やして、そうして増やしてきたんですね。そういう中に、二百数十人って、また更に増えていますので、今三百人超えていますから、友人五人でという方でまとめてというのは結構あるんですよ。そういう意味で、類似の職業の方で、建設の方もいるし、それはパチンコの方もおられます。いろんな業種が恐らくあると思います。そういう方々のそれぞれの固まりごとに個人献金をいただいているというケースはあると思います。
 
 ただ、それは本当に個人の友人で声掛けていただいているんであって、業界からの献金という形にはなっていないということでございます。
 
 ○世耕弘成君 いや、それはそうは言えないと思いますよ。この県のパチンコ組合の理事長、副理事長がずらっとそろって同じ金額をやっているんです。しかも、振り込み日はこれ同じ日ですよ、全部毎月。六月七日、七月六日、八月五日、九月七日、十月六日、十一月八日、十二月七日。みんなそろって同じ日に、よし、今日、細野さんに献金しようと思い付いて同じ金額を入れるんですか。これ、完全にこの業界団体からのあなたへの団体としての献金と受け止めることはできませんか。お答えください。
 
 ○国務大臣(細野豪志君) お金の集め方もそれぞれの形にしていただいているんです。例えば、友人で集まっていただいたときに、そこで集めていただいて、会費でいろんな形で振り込んでいただく方もいらっしゃいますし、特定のグループで同じ日に決めて振り込んでくださっている方もいらっしゃいます。会をつくって、たまに集まって一緒に食事をして、そこで現金で下さるという方もおられます。まあ、現金は余り良くないので最近は振り込みにしているんですけれども、それぞれの形でしていますので、それは、例えばその幹事役というか取りまとめをしていただく方にある程度お任せをせざるを得ないんですね、それだけ集まると。
 
 逆に言うと、そういうやり方は駄目だということになると、広がらないんですよ。二百人、三百人、全部一対一でということになってしまうと、これはつながらないので、どうしてもそういうやり方になるということを是非御理解をいただきたいというふうに思います。
 
 ○世耕弘成君 私も個人献金を集めるのは苦労していますから、お気持ちは分かりますよ。だったら、余り個人献金、個人献金って言わない方がいい。業界ぐるみの事実上献金になっているじゃないですか。この辺はやっぱりきちっと説明責任を果たしていただきたいと思います。  
 

世耕氏は、「ある県の遊技業組合、これはパチンコ組合ですね。ここの理事長、副理事長以下幹部の職にある方、そしてその県下の大手のパチンコ会社の方が六名そろって年間七十一万円の献金をきちっとされています。これまさに、個人献金の姿になっていますけれども、実質業界団体からの献金と言えませんか、どうでしょうか。」、「いや、それはそう(業界からの献金という形にはなっていない)は言えないと思いますよ。この県のパチンコ組合の理事長、副理事長がずらっとそろって同じ金額をやっているんです。しかも、振り込み日はこれ同じ日ですよ、全部毎月。六月七日、七月六日、八月五日、九月七日、十月六日、十一月八日、十二月七日。みんなそろって同じ日に、よし、今日、細野さんに献金しようと思い付いて同じ金額を入れるんですか。これ、完全にこの業界団体からのあなたへの団体としての献金と受け止めることはできませんか。お答えください。」、「私も個人献金を集めるのは苦労していますから、お気持ちは分かりますよ。だったら、余り個人献金、個人献金って言わない方がいい。業界ぐるみの事実上献金になっているじゃないですか。この辺はやっぱりきちっと説明責任を果たしていただきたいと思います。」と言っています。  

世耕氏の細野氏への攻撃はブーメラン攻撃だったというわけです。  

今後、世耕氏が「個人献金、個人献金って言わない」のかどうか、また、どのように説明責任を果たすのかに注目したいと思います。  

でも、同じ穴の狢の民主党からの追及はないのでしょう。  

小選挙区制・二大政党制の弊害そのものです。  

政権は代わっても、政治の中身はほぼ同じで、金持ち階級とアメリカに奉仕するための政治をやっているのですから、貧乏人が地獄から逃れることはできません。  

自民党が財界から巨額の献金を受けて、財界のための政策を進めていることは証明を要しないと思います。  

自民党は結党当時から米中央情報局(CIA)から資金援助を受けていた(2006年7月20日(木)「しんぶん赤旗」)のであり、元々日本の貧乏人を守るための政党ではありません。  

Wikipediaにも、「(結党)当時より1964年まで、アメリカ中央情報局より「共産主義の影響を排除するための、プロパガンダ的秘密支援計画」の一環として資金援助を受ける。」と書かれています。

●世耕氏の妻は民主党議員だった

最近まで知らなかったのですが、世耕氏の妻は民主党参議院議員の林久美子という人だそうです。夫婦であっても政治的信条は違って当然だと言われれば、確かにそうなのですが、割り切れない感じがします。

世耕夫婦の存在は、自民党と民主党の考え方は、基本的に同じだという意味でもあるのでしょう。

●細野氏とは規模が違う

上記のように世耕氏は、大阪市内の人材派遣会社の幹部らからも疑惑の個人献金を受けています。

詳しくは、2014年12月23日付けしんぶん赤旗「人材派遣会社役員らが献金 世耕官房副長官へ計5430万円」をご覧ください。

次のように書かれています。

献金日をみると、11年の場合、名誉会長と会長の母は1月14日、ほかの3人は1月12日、18日、28日。12年は、名誉会長と社長室長が2月9日で、ほかの3人は2月3日、6日、7日。13年は3月1〜26日の間に5人が献金しています。  金額が同一で期日も近く、自由意思による献金なのか疑問がもたれます。  
 

世耕氏は、細野氏が受け取った71万の個人献金を材料に鬼の首を取ったように追及しましたが、自分はその87倍もの疑惑の献金を受けていたというわけです。

●脱核発電は難しい

核発電所の事故によって琵琶湖の1.2倍の面積の土地に人が住めなくなった、つまり、領土を失った、核廃棄物の処分方法は決まらない、事故の原因も不明、にもかかわらず、脱核発電が進まないのは、与党政治家が核発電関連企業の役員等から献金をもらっているからではないのかという疑いがどうしても出てきます。

●派遣社員の待遇改善も期待できない

上記のとおり、人材派遣会社の幹部らが自民党の中枢に多額の政治献金を贈っているのですから、派遣労働者に有利な法制度の改正はないものと思った方がよいと思います。

●おわりに

会社が政治家に寄付をすることは法律で禁止されているにもかかわらず、会社の役員や従業員が個人献金をするという形での脱法が可能です。

しかし、当該役員や従業員の報酬・給与の額と献金の額が社会通念上不釣り合いな場合は、会社の刑事責任を問うべきだと思います。

自民党の議員も民主党の議員も疑惑の個人献金を受けており、自民党政権でも民主党政権でも企業の利益のための政治が行われると考えた方がいいと思います。

(文責:事務局)
文中意見にわたる部分は、著者の個人的な意見であり、当協議会の意見ではありません。
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