鹿沼市総合計画は民意を反映していない

2006-11-12

●第5次鹿沼市総合計画基本構想が策定された

広報かぬま2006年10月25日号に「第5次鹿沼市総合計画基本構想が策定されました」(PDFファイル820KB)という記事が載っています。

そこには「みなさんの声を反映した新総合計画基本構想を策定」とか「パブリックコメントの実施などにより多くの市民のみなさんの声をお聴きし、それを反映するよう努めてきました」と書かれていますが、事実に反すると考えます。

●パブリックコメントは審議されなかった

ダム反対鹿沼市民協議会は、第5次鹿沼市総合計画基本構想素案に対して意見を提出しました。2006年7月19日のことです。そのことは、「鹿沼市第5次総合計画基本構想素案への意見を提出した」でお知らせしたとおりです。鹿沼市は私たちの意見を次のようにまとめ、次のように回答しました。

(意見)人口の見通しがまちがっている。「水需要が増加を続ける」「表流水の活用が不可欠」の部分もともに違う。
(回答)将来人口等の計画フレームについては、平成17年度に国勢調査が実施されたことを受け、可能な限り最新の人口動向をとらえて推計し直しました。
本市におきましては、全国的な人口減少傾向に対処するため、今後、企業誘致を強力に進めるほか、各種の雇用対策や定住化対策、中山間地域の活性化対策、さらには、少子化対策としての第3子対策等に主体的に取り組み、人口増を図ってまいります。
総合計画は、各自治体のめざすまちづくりの将来像を描くものであり、「元気なまち」を目指す鹿沼市として、積極的な施策展開を図っていくことによって、人口増が達成できるものと考えています。
また、将来の水需要についても、本市の直近の10年間の給水量等から、今後表流水の活用が必要であると考えています。

上記広報かぬまの記事には「(意見)人口の見通しと、「水需要が増加を続ける」「表流水の活用が不可欠」の部分がまちがっている。」と紹介されています。これに続いて鹿沼市執行部からの簡単な回答が書かれています。

しかし、これだけのことで私たちの意見が基本構想に反映されたとは言えないと思います。「反映」というからには、少なくとも、私たちの意見が鹿沼市総合計画審議会で審議されることが必要だと思います。

ところが、同審議会の委員に話を聞くと、 ダム反対鹿沼市民協議会から上記のコメントが提出されたことは全く知らなかったそうです。「市民からパブリックコメントは募集するが審議会に諮らず、市議会で基本構想を議決した後で広報に載せるだけ。審議会委員も議員もパブリックコメントを見ていない」。これが阿部市長流の「民意の反映」なのでしょうね。

●回答は結論だけ

市長は「人口の見通しが間違っている」という指摘には「企業誘致を強力に進めるほか、雇用対策や定住化対策、少子化対策としての第3子対策などさまざまな対策に取り組んでいきます」と答え、「水需要推計が間違っている」という指摘には「本市の直近の10年間の給水量等から、今後表流水の活用が必要である」と答えています。

私たちは、科学的・定量的に基本構想素案の誤りを指摘したつもりですが、市長の回答は「素案は間違っていない」という結論を繰り返しただけです。私たちの指摘が間違っているという理由が全く示されていません。これでは市民への説明責任を果たしたとは言えません。

政策誘導で人口を増やすことが無理だということは、これまでの総合計画で実証済みです。

「本市の直近の10年間の給水量等から、今後表流水の活用が必要である」も根拠のない話です。

例えば、鹿沼市上水道における過去10年間の1人1日平均給水量(単位:リットル/人・日)の推移は次のとおりです。

1996年   371
1997年   366
1998年   361
1999年   365
2000年   381
2001年   367
2002年   364
2003年   356
2004年   356
2005年   345

10年間で26リットル(7%)も減っています。

広報かぬまに書かれた「回答」は、市民を愚弄するものです。民意を無視して策定された基本構想に賛成するわけにはいきません。

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