森友問題での菅義偉官房長官と太田充理財局長の答弁は虚偽ではないのか

2018-04-12

(敬称略)
●昨年2月22日の秘密会合の内容を菅が答弁した

2018年4月11日の衆議院予算委員会で川内博史委員が、昨年2月22日に菅官房長官らが佐川理財局長(当時)らから森友問題について説明を受けたことについて質問しました。

菅は、次のように答弁しました。

昨年の2月22日についてご説明をさせていただきたいと思います。
森友学園の問題が国会でも大きな問題となっておりましたので、官房長官としてもですね、全体像を把握する必要があるということ、そして総理からも、ご指示もありましたので、財務省理財局、国交省航空局、土地の売却の経緯等について説明を受けました。
それは22日の夕刻であります。
官邸に来てもらい、大要の説明を受けましたけれども、限られた時間でありましたし、慌ただしい日程の中であり、途中になってしまいましたので、その日、外での会合を終えた後、再度私の議員会館の事務所に来てもらい、追加の説明を受けました。
そして、森友学園への土地の売却について、なぜゴミの処分費用を差し引くことになったのか、など経緯を聞きました。
特に国会でも大きな問題となっていた土地の値段について、説明を受けましたが、公共事業これに使う基準で精算しており、問題はないということでありました。
また、総理夫人のことについて、夫人付きから財務省に問い合わせがあり、一般的な回答をしたことがあったが、何か問題になるようなことではない、ということでありました。
その旨私は翌日総理にご報告したと思います。

太田充理財局長も枝野幸男委員に同様の答弁をしています。

●なぜ谷ファクス事件が話題となったのか

安倍晋三首相は、2017年2月21日又は22日に(根拠は2018年4月11日、菅の川内博史委員への答弁)「妻の名前も出ているから徹底的に調査するように」と菅に指示しました。

なので、菅は、22日の会合で夫人の話が何も出なかったとは言えない立場です。夫人が話題にならなければ、何のための徹底調査か分からなくなります。

そこで菅は、「夫人付きから財務省に問い合わせがあり、一般的な回答をしたことがあった」という説明を受けたと言います。菅はなぜこの話題を持ち出したのでしょうか。

菅は、改ざん前の決裁文書を見てもいないし、説明も受けていないと言っていますので、決裁文書に書かれている昭恵の言動について触れるわけにはいきませんから、決裁文書に書かれていない話題を探すと谷ファクス事件しかなかったのかもしれません。

●菅が谷ファクス事件を知ったのは2017年3月ではないのか

しかし、菅が谷ファクス事件を知ったのは2017年3月ではないでしょうか。

3月23日には、籠池泰典理事長(当時)の証人喚問があり、そこで籠池が谷ファクスを暴露し、菅がその日の記者会見で、谷のメールアドレスや携帯電話番号を消さずに記者に配るという失態を演じました。

菅がよほど慌てていたことは明らかで、籠池が証言するまで谷ファクス事件を知らなかったのだと思いました。

しかし菅は、2017年3月24日の参議院予算委員会で次のように答弁しています。

○福山哲郎君
今日はお忙しい中、官房長官にお越しをいただきました。私、官房長官に余り質疑したことないんですね。私、与党のときに、当時野党だった官房長官に大変いろんな国会の在り方について御指導いただいた経験があるので、僕、珍しく官房長官にお伺いするんですけど、昨日夕方、官房長官会見の際に、籠池理事長が喚問で語られた例の谷さんからのファクスを記者に配られたと聞いています。その時分は実は参議院の理事会に提出をされてまだ外になっていません。官房長官はこのファクスをどこから入手をされたのでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 
私は、この問題が国会で議論されるようになって、そして、総理夫人が籠池氏との間で百万円の問題とか、そうしたことが、寄附した、しないのお話がありました。そういう中で、一連、官房長官の立場として、どんなことがあったのか、例えば一対一でなくて二人同席をして……(発言する者あり)いや、例えばの話、そういう中で、この夫人付きの方が、かつてこのようなことがありましたということを報告を受けたところでありました。(発言する者あり)いや、夫人付きの谷さんという方が、こういう封書が来てこういう回答をしましたということの報告を受けていたということです。
○福山哲郎君 ということは、谷さんから入手をされたということでよろしいですか。
○国務大臣(菅義偉君) 
そのとおりです。
○福山哲郎君 
それは、官房長官、いつのことですか。
○国務大臣(菅義偉君) 
一週間前、前後だったと思います。
○福山哲郎君 
財務省を始め政府は、もう面談記録も含めてことごとく廃棄したと言って何も出てきていないんですね。これ問題になっている二〇一五年の十一月のやり取りの資料なんですね。
じゃ、谷さんだけが保存されていたということですか、官房長官。
○国務大臣(菅義偉君) 
こういう、籠池さんから封書が来て、それについて電話で財務省に問合せをして、電話でまた財務省から回答を得て、それをこういう形で出しましたということでした。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 福山哲郎君。質問してください、今の、もう一回。福山哲郎君、質問して。
○福山哲郎君 
いやいや、昨日のファクスを官房長官が入手をされたのは一週間前でよろしいですね。
○国務大臣(菅義偉君) 
その全体の話を聞いたのは一週間ぐらい前であって、その後、そんなに時間たたないで入手をしました。
○福山哲郎君 
じゃ、こういった森友関係の面談記録その他については、財務省はことごとくない、国交省もことごとくないと言われています。
じゃ、谷さんだけが保管をしていたということでよろしいんですか。
○国務大臣(菅義偉君) 
それは、谷さんだけかどうか分かりませんけれども、少なくとも対森友に対して、こういう封書があって、それについてこのように財務省に問合せをして、このように答えましたということは、私はそこだけ実は報告を得ていたということです。
○福山哲郎君 
それ、今、谷さんだけかどうか分かりませんって、すごく重要な御答弁で、じゃ、谷さんだけなのか、森友関係のこういったことはほかの省庁はどうなのかといって、官房長官から指示を出していただけませんか。
○国務大臣(菅義偉君) 
私は、夫人についてのことで聞いたときにそういう報告を受けたということでありますから、そこは、谷さんがこれだけ、これ一回だということも後で明らかになってきたということではないでしょうか。(発言する者あり)
○委員長(山本一太君) 福山哲郎君。──福山哲郎君。いや、福山哲郎君、質問してください、もう一回。──もう一度。いや、もう一度質問してください。いや、止めていないから、質問して。
○福山哲郎君 
他の省庁ともあるかないか、谷さんだけかと聞いたら、それは分かりませんとおっしゃったので、だから、夫人とのことはその一回だけだということは理解しましたが、そのことが、他の省庁もあるのかどうかを官房長官から確認して、提出をしろというふうに官房長官から御指示をいただけませんかとお願いをしています。
○国務大臣(菅義偉君) 
いや、私は、少なくともこの問題があって、財務省とか国交省からそれは話を聞きました。そういう中で、その後にやはり夫人の問題が出てきましたので、夫人付けの谷さんから聞きました。そういう中で、その要請があってこういう答えをしていますということの紙をもらったわけでありまして、ですから、少なくとも政府全体の中で私、しっかり聞いておりまして、財務省、航空局については今まで国会で議論されたとおりであります。
○福山哲郎君 
谷さんは、もう今、内閣官房、官邸にいないんですね。どこにあったんですか。谷さんから入手されたのか、財務省とやり取りをしたからといって財務省から入手したのか、それはどちらですか、官房長官。
○国務大臣(菅義偉君) 
それは谷さんからです。それで、籠池氏の問合せに対して送ったものであり、個人で保有していたということであります。
情報公開法並びに公文書管理法で、行政文書というのは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして当該行政機関が保有しているものを指していると。送られたファクスは行政文書には当たらないと考えています。

菅は、谷ファクスの入手時期について「その全体の話を聞いたのは一週間ぐらい前であって、その後、そんなに時間たたないで入手をしました。」と答弁していますから、3月19日頃としか解釈できません。

ファクスを入手した時期と谷が田村に問い合わせたことを知った時期が異なるとしても、上記答弁からは、谷が田村室長に問い合わせたことを菅が知ったのは、早くとも3月24日の1週間前、つまり3月17日頃と解さざるを得ません。

小池晃委員と総理が次のようなやり取りをしています。

○小池晃君
総理は、この総理夫人付けと籠池氏との間でこうしたファクスのやり取りが行われていたことをいつ知らされたんでしょうか。先ほど官房長官は一週間前ぐらいと言ったけど、総理はいつ知らされたんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も大体官房長官と同じ時期だと思います。

このやり取りからも、総理も官房長官が谷ファクス事件を知ったのは3月24日の1週間くらい前と認識しているということになると思います。

したがって、菅が2月22日の時点で既に谷ファクス事件を知ったという答弁は虚偽ということになると思います。

ちなみに、説明会は、総理官邸と菅の事務所で開かれたということになると、相当の長時間です。徹底的に議論されたはずです。

それにもかかわらず、菅が、専ら説明を聞いていただけだと言う話は不可解だし、説明の内容も取引の経緯と谷ファクス事件だけだとしたら、長時間は必要ないはずです。

徹底的な調査を長時間やった割には、内容があっさりしすぎています。

(文責:事務局)
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