住田弁護士は「冤罪の母」だった

2009-04-22

●住田弁護士は冤罪事件の主任検察官だった

2009-04-19放送の「サンデープロジェクト」(テレビ朝日)を見たら、「行列のできる法律相談所」(日本テレビ)に"史上最強の弁護士軍団"の一人として出演している住田裕子弁護士が草加事件という冤罪事件の主任検察官だったことが分かりました。「行列のできる法律相談所」では彼女を"法律の母"と持ち上げています。

●草加事件とは何か

草加事件とは、Wikipediaによれば次のような事件です。

草加事件(そうかじけん)とは、1985年7月19日に埼玉県草加市の残土置き場で同県八潮市在住の中学3年女子生徒の絞殺体が発見され、その容疑者として草加市在住の13〜15歳の少年5人が逮捕、1人が補導された事件の通称である。検察側の主任検事は住田裕子弁護士である。この事件は日本の冤罪史に残る事件である。
(中略)
2009年4月19日放送の『テレビ朝日 サンデープロジェクト』によると、本件の検察側の主任検事は住田裕子弁護士であるという。取材に対して、守秘義務を理由に事実確認への回答を行っていない。

「草加事件」をめぐる損害賠償請求訴訟の上告審で00年2月7日、最高裁第1小法廷(大出峻郎裁判長)が言い渡した判決の理由要旨は、たむ・たむというサイトの草加事件 最高裁の判決理由のページに掲載されています。

上記テレビ放送によると、被害者の胸に付着していた唾液、スカートに着いていた精液、衣類に付着していた毛髪はいずれも血液型がAB型であることを示していたというのですから、全員がO型かB型の血液型だった6人の少年を犯人に仕立て上げることには、そもそも無理がありました。

民事訴訟の差し戻し審の東京高等裁判所もAB型の犯人がいると思われると言っているように、草加事件はどう見ても冤罪でしょう。

●住田弁護士の対応

住田弁護士は、テレビ朝日の取材に守秘義務があるため事件の話をするべきでないと思うと言ったほか、「一般論として、刑事と民事で異なった結論が出ることは多々ある」と言ったそうです。

彼女は守秘義務を理由にコメントを避けましたが、謝罪することが守秘義務に違反するとは思えません。また、事件について未だ公表されていないことを言うのは問題かもしれませんが、既に公表されている事実について話すことは守秘義務違反ではないと思います。

彼女が「一般論として、刑事と民事で異なった結論が出ることは多々ある」と言ったということは、民事訴訟で「無実」という結論が出たとしても、刑事訴訟で出た有罪の結論が間違っていることにはならないという意味だと思います。有罪(正確には少年院送致)という結論が間違っていないのだから、反省する必要もないし、元少年たちに謝罪する必要もないというのが彼女の論理でしょう。

●検察の関心は何か

上記テレビ放送を見ていると、警察や検察は真実の発見に関心がないとしか思えません。被疑者や被告人が真犯人かどうかなんて関係ないのです。犯人らしい人間を捕まえてきて有罪判決を出させればそれで事件解決です。刑事訴訟というゲームで勝利すればいいということでしょう。ゲームに勝利するためには、都合の悪い証拠(被告人に有利な証拠)を平気で隠すのが検察であるというのが上記テレビ放送のテーマでした。

それじゃ、犯人にされた人間が可愛そうですって?そんなことを気にする刑事司法関係者は、テレビドラマ「相棒」の杉下右京さんくらいなものではないでしょうか。

●なぜ住田弁護士が史上最強か

分からないのは、日本テレビがなぜ住田弁護士を「行列」のレギュラー回答者にしているのかということです。人はだれも過ちを犯すものです。しかし、歴史に残る冤罪事件の責任者(しかも反省もしていない)にわざわざ白羽の矢を立てる必要があったのでしょうか。私は彼女の論理的思考力と人権感覚を疑います。

(文責:事務局)
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