9.11に関するWikipediaは非科学的

2007-01-22,2007-02-4追記,2007-02-27追記,2007-03-11追記,2008-01-03追記,2008-03-21追記

●ウィキペディアは「9.11」をテロ事件と断定

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』は、無料で使えるインターネット百科事典で、とても便利なものですが「9.11事件」に関する記事は、非科学的なものです。

Wikipediaは、「9.11」の概要について「イスラーム過激派によってハイジャックされた4機の大型ジェット旅客機が、アメリカ国内の複数の地上施設めがけ意図的に激突し、2992人の犠牲者(犯人含む)を出すなどの甚大な被害を及ぼしたテロ事件。テロ事件としては史上最大の被害となった。2004年11月はじめ、サウジアラビア人のオサマ・ビンラディンがビデオを通じて「モハメド・アタを通じて犯行を指揮した」と証言している。」と記述しています。

オサマ・ビンラディンが犯行指揮を証言しているビデオに出てくるオサマ・ビンラディンをloose changeというサイトで見られますが、明らかに別人です。このビデオを根拠に9.11がオサマ・ビンラディンらによるテロ事件と決めるのは、無理です。

●Wikipediaはビル崩壊の原因はジェット燃料による爆発的火災としている

そして、世界貿易センタービルが崩壊した原因についてWikipediaは、「ツインタワーは、ジェット旅客機のボーイング707が突入しても崩壊しないよう設計されていたはずだった(あくまで衝突のダメージのみを換算されていたものであり、ジェット燃料の延焼による火災のダメージは換算されていなかった)。だが、実際に高速で突入した同サイズのボーイング767によってビル上部は激しく損傷、漏れ出したジェット燃料は吹き抜けを通して下層階にまで達し、爆発的火災が発生した。次いで火災の熱による鉄骨の破断でタワーは強度を失い、9時59分に南棟が突入を受けた上部から砕けるように崩壊した。北棟も10時28分に南棟と同様、砕けるように崩壊した。かつて世界最高を誇ったツインタワーは両棟ともに完全に崩落するという大惨事に至った。」と説明します。

ちなみに、ツインタワー以外のビルについては、「北棟および南棟の崩落による影響で、敷地内の他の4つのビルも崩落・炎上し、敷地北隣の高層ビル・世界貿易センター7号棟もともに崩落。」とあっさり記述しています。

火災でビルが粉々に崩壊した事件は、前代未聞、世界初であり、物理学的に証明できていないようです。ペンタゴンにも旅客機が突入したとされていますが、なぜ爆発的火災が発生しなかったのか疑問です。

世界貿易センター7号棟の崩壊は、「北棟および南棟の崩落による影響で」起きたとされています。「影響で」「崩落した」と言われて納得する人がいるでしょうか。日本語版Wikipediaってこの程度のものなのでしょうか。

●アメリカ政府は証拠を出すべきである

9.11については、アメリカ政府の自作自演であるという説(いわゆる「陰謀説」)があります。第43代アメリカ大統領ジョージ・ウォーカー・ブッシュは、陰謀説はけしからんと言っているようです。アメリカ政府は、9.11はテロであると言い、陰謀説はアルカイダによるテロであることを否定します。どちらが正しいかをここで決めようとは思いませんが、アメリカ政府が分が悪いということは確実に言えます。なぜなら、陰謀説の誤りを証明するのは簡単なことであるにもかかわらず、アメリカ政府は証明をしようとしないからです。

例えば、陰謀説はペンタゴンに衝突した物体は旅客機とは違うのではないかという疑問を投げています。アメリカ政府がペンタゴンに旅客機が衝突したと言うなら、監視カメラの映像をすべて公開すればいいのですが、衝突する物体がはっきり写った映像を公開しません。『 9/11委員会報告書 』というサイトには、「政府が、ボーイング757機が写っているとされるビデオを付近のガスステーションから没収し、所持している、およびそれを未だ公表していない。」と書かれています。

ツインタワーの鉄骨が溶けたのか、砕けたのかという疑問も詳しく調べれば明らかになるのに、さっさと鉄くずとしてインドに運んでしまったそうです。要するにアメリカ政府がビル崩壊の原因を調査したくないのです。あれだけの大惨事が起きたのに、ブッシュ政権は、そもそも9/11委員会の設立を執拗に拒否してきたというのです。上記『 9/11委員会報告書 』というサイトには、「そもそも、この委員会の設立をめぐってはブッシュ政権が当初それを執拗に拒否してきた経緯がある。議員や遺族たちを含む多数の「調査委員会」設置要請の圧力に抗しきれず、ホワイトハウスはやっと渋々重い腰を上げて委員会設置を決めたのが真相だ。また、9/11委員会ができてもホワイトハウスは様々なレベルで調査の進行を妨害してきた。例えば、NASAのチャレンジャー事故究明に5000万ドルの予算をとったのに比べ、国家の重大事件である9/11事件調査にはわずか300万ドルしか与えなかった。また政府関係者の証言を執拗に拒否してきたことなどがある。」と書かれています。

そして、9/11委員会報告書の目的は、政府・軍に落ち度がなかったことを説明することだったようで、「実際のところ、本報告書は、政府、とくに軍(ペンタゴン)が9/11事件に関与しているという可能性を全面否定するのにほとんどのページを費やしている。」と書かれています。

アメリカ政府が事実を公開したくない、原因を調査したくないという姿勢では、陰謀説が正しいと見られても仕方がないでしょう。

●「独立調査委員会」は「独立」ではなかった(2008-03-21追記)

週刊金曜日2008-02-29によると、案の定「独立調査委員会」は「独立」ではなかったことが分かりました。

「委員会 9.11調査の検閲を受けない史実」と題する本に、調査委員会報告書を「実際に作成した「調査委員会」のフィリップ・ゼリコー事務局長(当時)が旧知のライス国務長官やローブ前大統領補佐官と図り、内容がホワイトハウスにとって都合が悪くならないよう工作した実態が描かれている。」そうです。「もともとゼリコー事務局長については、同国務長官と事件以前に共著を出版した仲。2000年の大統領選挙後のブッシュ政権の移行チームのメンバーで、「先制攻撃」を宣言した02年の『国家安全保障戦略』の執筆者でもあるなど、「独立」とは程遠い人物」だというのです。

「独立調査委員会」の共同委員長であるトーマス・キーンとリー・ハミルトンはまともな人のようで、「06年に『大統領抜きで 9.11独立調査委員会の内幕』という本を発表し、ホワイトハウスに調査を妨害された」とも書かれています。

独立調査委員会報告書を金科玉条のようにあがめ奉っている人もいますが、とんでもないということがはっきりしました。

要するにアメリカ政府は9.11に関する真実を明らかにするつもりはないのです。3,000人も死んだ大惨事だというのに。

●ほかにもある非科学的サイト(2007-2-4追記)

Wikipediaだけが非科学的なのではありません。 分解 『911 ボーイングを捜せ』というサイトも非科学的です。

ツインタワーの崩壊に関して、「早い時期に、新聞などで、ビルがパイプ構造で、熱で鉄鋼の強度が落ちて、衝突現場から下に向かって連鎖的に崩壊が広がったという解説(※5)があり、これは大体理屈に合った説明です」と書いています。しかし、「熱で鉄鋼の強度が落ち」たと言うなら、ビル内でどの程度の熱が発生して、鉄鋼がどの程度強度が落ちたのかが分からなければ、科学的に結論を導いたとは言えません。作者が(※5)で示しているサイトを見ても、熱と鉄鋼の強度の関係は書かれていません。

Loose Changeというサイトでは、鉄の融点は1650℃だがジェット燃料は好条件で燃焼させたとしても1090℃くらいにしかならないと言っています。ビル内のジェット燃料には酸素が十分に供給されませんから、たとえビル内が火災になっていたとしても、1000℃に達していなかった可能性があります。そうだとすれば、ジェット燃料の熱では鉄は溶けないはずです。

ツインタワーは、ほぼ自由落下速度で崩壊しています。ビルの重量を支えていたのは、鉄とコンクリートです。コンクリートの強度と熱の関係も説明されていないと思います。400メートルを超える超高層ビルに使われていた膨大な量の鉄とコンクリートの強度が1〜2時間の火災でほぼゼロになるメカニズムが解明されていない段階で「ビルが火災により崩壊した」という説明に納得してしまうのは科学的な態度とは言えないと思います。

では、なぜ鉄とコンクリートが強度を失ったのか。爆薬が仕掛けられていたからだという説が出る所以です。ブッシュ大統領自身が「ビルには爆弾が仕掛けられていた」と言ったとWikipediaに書かれていたのですが、今はその記述は消えています。

動画サイトYouTubeの9/11 Coincidences (Part Twelve)というビデオには、ブッシュ大統領が「ビルには爆弾が仕掛けられていた」と言った証拠が収められているようです。(この段落2007-7-21に追加)

なお、自由法曹団の中にも9.11をアルカイダの犯行とする”常識”を疑問視する見方があります(自由法曹団通信の2007年1月11日号の「同時多発テロ真相解明の文献紹介」参照)。

●日本共産党はアルカイダの犯行とは決めつけていない(2007-02-05追記)

9.11についてWikipediaだけが非科学的な態度をとっているわけではありません。大手新聞社もアルカイダ犯行説に立っていると思います。

種々のしがらみから自由な「しんぶん赤旗」(日本共産党の機関紙)はどうでしょうか。

筆者は、2007-1-1にしんぶん赤旗に次のような質問をメールでしました。

 質問があります。
 例えば、しんぶん赤旗の次の記事 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-12-28/2006122806_02_0.html で、「同時多発テロ」という言葉が使われています。
 テロの定義にもよりますが、アラブ人によるテロだという 意味で使っているとしたら、その証拠はありませんから、 テロという言葉は使うべきではないと思います。
 アメリカ政府がテロと言ってるだけではありませんか。
 BBCは「テロ」でなく「攻撃」という表現に統一したそうです。
 新聞は事実を報道すべきです。
 「テロ」は事実ですか。「テロ」を使う根拠は何でしょうか。

上記質問に対するしんぶん赤旗編集局からの回答(01-26のメール)は次のとおりです。

ご返事が遅れましたことをお詫びします。
(「テロ」とは)一般的には、無関係な一般市民を無差別に殺害することを根拠としています。
BBCは、(9.11について「テロ」という語を)使わないことを承知していますが、具体的事件をテロと規定することは可能と思います。
これからも、「しんぶん赤旗」をよろしくお願いいたします。
赤旗編集局 外信部

要するに、しんぶん赤旗は、9.11がアルカイダの犯行とは決めつけていないわけです。それなら、なぜ「テロ」という言葉を使うのかというと、「テロ」とは、「一般的には、無関係な一般市民を無差別に殺害すること」と定義できるからであると言います。「ブッシュ政権によるテロ」という言い方も可能だ、というわけです。

確かに、「テロリズムの語源になった「Terror」という英語は、単に「恐怖」という意味であるが、政治的なコンテキストで用いられるテロリズム(あるいは単にテロ)は、「暴力的行為を通して、恐怖や不安を生み出すことにより、人間の行動に影響を及ぼすよう意図された心理的な非常手段のひとつ」と定義づけることができる。」(レルネット主幹 三宅善信)とされているようですから、国家権力によるテロというのもアリとする定義の仕方があります。

「はてなダイアリー」というサイトにも、「テロ」とは、「現代では多くの場合、国家・政府ではなく過激派・反体制による暴力的主張・暴力行為について用いられるが、国家・政府が反体制側に暴力的弾圧を加える場合にもまれに用いる。」と解説されています。ただし、9.11がアメリカ政府の仕業だとすると、「国家・政府が反体制側に暴力的弾圧を加える場合」にも該当しませんので、「テロ」と呼ぶのか疑問です。

Wikipediaの「テロリズム」の解説にも「国家が他国や他の文明を攻撃する手段としてテロの実行を命じ、あるいはテロを支援することがテロ国家あるいはテロ支援国家という概念を生み、テロ国家が引き起こす国際テロを国家テロと呼び習わす傾向が生まれ、国家がさまざまな国際テロの主体になり得るという認識が確認されつつある。」と書かれています。

しかし、BBCでは9.11を「テロ」ではなく「攻撃」と表現しているようなのです。その理由はおそらくBBCがアメリカ政府によるテロの定義に依拠しているからだと思われます。

「米国国務省による「テロの定義」では、「国家でない団体、もしくは地下活動員による計画的で政治的な動機を持つ非戦闘員を目的とした暴力。通常、事件を見守る一般の人々に影響を及ぼす狙いを持っている」と」(上記レルネットというサイトから)されているそうで、アメリカ政府は、国家をテロの主体から除外しています。

「テロ」が多義的であるにもかかわらず、各報道機関が「テロ」の定義をしないで「テロ」という語を使うために9.11の名称と犯人に関する議論が分かりにくいものになっています。

少なくとも「赤旗」が「テロ」を広義に用いており、アルカイダによる犯行と決めつけていないことが分かったことは収穫でした。しかし、そうであるならば、あれだけの大惨事の真犯人はだれなのか、という興味を赤旗は当然抱くはずです。そして赤旗は、世界に特派員を置いているのですから調査能力もあるはずです。なぜ調査しないのでしょうか。上記回答メールの文面は、9.11の犯人はだれかという問題に触れたくないという気持ちが表れていると思います。

●「しんぶん赤旗」は9.11の犯人をアルカイダと断定した(08-01-03追記)

私は赤旗に出した質問メールで9.11 は「アラブ人によるテロだという ・・・証拠はありません」と書きましたが、赤旗編集局は回答メール(07-01-26)でそのことに一切触れず、9.11は「テロ」と呼んで差し支えないというものでした。9.11の犯人がだれかについては含みを残していました。

ところが、07-12-28「しんぶん赤旗」に「ブット氏暗殺」「凶暴化するテロ」と題する記事があり、そこでは「米国は2001年10月にアフガニスタンで、同年の9.11同時多発テロを実行した国際テロリスト集団アルカイダと、それをかくまったタリバン政権への攻撃を開始。」と書かれており、9.11の犯人をアルカイダと断定しています。

「しんぶん赤旗」は、真実を報道する新聞だと思っていますが、何を根拠に9.11の犯人をアルカイダと断定するのか教えてほしいものです。

●ビル崩壊のメカニズムに関する長尚氏の意見は非論理的(2007-02-27追記)

信州大学元教授の長尚氏は、評論家立花隆氏の文章(月刊誌「文藝春秋」の11月号の「自爆テロの研究」)を次のように批判します。

「私はしばらくの間,・・・あのビル崩壊は,爆弾によるものとばかり思っていた。つまり,テロリストグループは上に飛行機をぶつけただけでなく,下にも爆弾を仕込んでおいて,それを爆発させたのではないかと考えたわけである。リアルタイムであのビル崩壊をウオッチした人には強く印象に残っていると思うが,あれはアメリカのビル解体専門業者が大量の爆薬をビルの基礎部分に仕込んで,一挙にビルを崩壊させるときとそっくりの現象だった」について


 「筆者も最初,崩壊のメカニズムが想像できなくて,同じような印象を持った。しかし,崩落の模様を丁寧に観察すると,解体のときのように下が壊されて,上部が一挙に崩れているのではなく,上から順次壊れている。したがって爆薬の仕掛けによるものではない。」  

この批判は理論的とは思えません。

「解体のときのように下が壊されて,上部が一挙に崩れているのではなく,上から順次壊れている。したがって爆薬の仕掛けによるものではない。」と言うのなら、「爆薬によるビル解体は、必ず下部から先に爆破するものであり、上部から爆破するという解体の方法はあり得ない。」という前提が証明されなければ、正しい命題とはならないはずですが、長氏のサイトでは、この前提が証明されていません。

ちなみに、飛行機が突入しておらず、したがってジェット燃料が燃えていなかった7号棟がツインタワー同様、ほぼ自由落下速度で崩壊したこと、Loose Changeなどのサイトのビデオでビルが崩壊に先駆けて爆発する様子が見えることを長氏はどう説明するのでしょうか。

●9.11に関する日本共産党の見方(2007-03-10追記)

2007-02-28「しんぶん赤旗」の「知りたい聞きたい」の欄に「01年9月の同時多発テロ事件に対しては、国連憲章にもとづく国連を中心にした措置によって容疑者を拘束し”法にもとづく裁き”を受けさせるよう主張して、アメリカによる報復戦争に反対しました」と書かれています。

この記述からは、日本共産党が9.11の犯人をアメリカなどの国家であるとは全く想定していないように見えます。アメリカ追従の自民党政府を批判している割には、アメリカの描いた筋書きに乗ってしまうのはなぜなのでしょう。

フロントページへ>その他の話題>このページのTopへ