公文書管理法は自治体にも適用があった

2013年11月22日

●公文書管理法は自治体にも適用があった

過去記事栃木県は利水代替案の検討結果を記載した資料を廃棄してしまったにおいて、私は「自治体は公文書等の管理に関する法律をまねるべきだ」と書きました。

ところが、そんなことは言うまでもなく、この法律の本則の最後の条文である第34条に次のように規定されていることに気がつきました。

(地方公共団体の文書管理)
第三十四条  地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。

公文書等の管理に関する法律が施行されたのが2011年4月1日です。それから2年以上経つのに、栃木県文書学事課の職員がこの法律の中身をまるで知らないとはどういうことでしょうか。

●公文書等の管理に関する法律とは

この法律がどのような法律かをWikipediaで確認してみます。

概要として次のように書かれています。

この法律で謳う公文書とは「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」とし、その公文書を「主権者である国民が主体的に利用し得るものであること」を担保する法律である。2009年6月24日に成立した。またこの法律では公文書の作成と保存に関して各省庁共通の規則も定めている。

この法律に従い大臣は毎年度内閣総理大臣に管理の状況を報告し、またその内容は公表される。さらに歴史的に重要とされる公文書は国立公文書館に永久保存することとしている。

制定の背景としては、次のように書かれています。

2007年5月に起こった年金記録問題などでずさんな公文書の管理が明らかとなり、内閣総理大臣の福田康夫が法制化を指示したことで法制化された。

福田康夫氏は、以外といい仕事をしていたのですね。

●福田康夫氏は売国政策から日本を救った

孫崎享氏も福田康夫氏は、必ずしも対米追従ではなかったと評価していたと思います。

News×Newsというサイトでは、福田康夫氏は以下のように評価されています。

40 名無しさん@九周年 :2008/10/08(水) 00:14:56 ID:8HUQWvBU0
(2008年)7月16日、渡辺喜美金融担当相は訪ねてきた米政府元高官に語りかけた。
「米政府が必要とすれば日本の外貨準備を公社救済のために米国に提供するべきだと考えている」
渡辺案は、米国の自力による住宅公社再建には限界があるとみて、この6月末で1兆ドルを超えた
日本の外貨準備を米国の公的資金注入の資金源として提供する思い切った対米協調である。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080717/fnc0807172048018-n1.htm

福田首相は辞任の直前まで続投する気だった。辞任を決めたのは、金融庁が渡辺案の報告書をまとめ上げ、提出する直前だった。もし、福田首相が9月1日に辞任しなければ、9月14日に破綻したリーマンブラザースの救済に日本の1兆ドルの外貨準備金が使われていたかも知れない。

周囲との調整を得意とする福田では、金融庁と渡辺喜美の暴走を止められない。仮に止められたとしても、首脳会議でブッシュから直接持ち込まれたらノーと突っぱねられない。そう思った福田は、全国民から卑怯者として非難される事を承知の上で、日本を守るためにまさに体を張って辞任した。

要するに、福田康夫氏が金融庁と渡辺喜美氏の売国政策から救ったという評価もあるわけです。

話が飛んでしまいますが、渡辺喜美氏はTPP推進論者です(根拠は、TPP問題で露呈した「みんなの党」の限界  天木直人)。渡辺氏の政策は、売国政策だと思います。

●栃木県はとりあえず重要文書の廃棄をやめることはできる

とにかく、栃木県の職員(少なくとも5人)は、ある事業が完了する前に代替案や費用対効果に関する検討資料を廃棄してしまったら、当該検討作業が正しかったのかを検証できなくなるから、事業が完了する前に関係資料を廃棄すべきではないと言われても、文書取扱規程で決められたとおりに廃棄するしかないし、それで問題がないと考えているのが現状です。

地方公共団体が一刻も早く「この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施」(公文書等の管理に関する法律第34条)してくれないと、住民に必要な情報が記載された文書等がどんどん廃棄されてしまいますので、住民が自治体に要請していかないといけないと思います。

栃木県は大きな組織です。一般行政部門の常勤職員だけでも4769人(2013年4月1日現在。根拠は、「栃木県の給与・定員管理等について」)もおり、教育、警察、公営企業部門を合わせれば、2万4000人を超える大所帯です。

したがって、仕事のやり方を1年や2年でがらっと変えろと言われても難しいのは分かりますが、とりあえず、栃木県文書等管理規則の保存年限に関する部分だけでも暫定的に一部改正しておいて、事業の検討資料等の重要文書の一律的な廃止をやめることはできるはずです。国にならって栃木県文書等管理規則を全面的に改正する作業は、その後で時間をかけてじっくり取り組んでもよいはずです。

書庫スペーズが足りないという反論が予想されますが、克服できない課題ではないと思います。

(文責:事務局)
文中意見にわたる部分は、著者の個人的な意見であり、当協議会の意見ではありません。
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