船田元衆議院議員が「南摩ダムは中止すべき」との回答

2009-08-17,2009-08-20追記,2009-09-10追記

●総選挙立候補予定者にアンケート実施

「ムダなダムをストップさせる栃木の会」が7月に、栃木県内の衆議院議員選挙立候補予定者に対して栃木県が関わっているダム問題に関するアンケートを実施しました。

このアンケートの概要は、「ダム日記2〜河川法を改正しようヨ」の有権者による選挙運動(栃木編)のページに掲載されていますので、是非ご覧ください。

特に回答をまとめたhttp://www.yamba.jpn.org/0908/tochigi.pdfは、是非ご覧ください。

●船田元衆議院議員が「南摩ダムは中止すべき」との回答

日本共産党の小池一徳氏(栃木1区)は、南摩ダム、湯西川ダム、八ツ場ダムのすべてを中止すべきという意見です。

栃木県知事時代は、思川開発事業を縮小して実施すべきという立場で事業を促進していた民主党の福田昭夫氏も三つのダム計画を中止すべきという意見です。

栃木県1区で立候補予定の船田元氏は、湯西川ダムと八ツ場ダムについては、想像どおり推進の意見でしたが、思川開発事業(南摩ダム)については、「中止すべきだ」という意見を持っていることが明らかになりました。中止すべきとする理由は、水需要が減っていく時代になったので必要ない、ということと、南摩ダムは洪水を防ぐ役には立たない、ということです。

南摩ダムに関する福田氏と船田氏の意見は極めて正しいのですが、10年以上にわたっていろいろなことを犠牲にして、身銭を切ってこのダムに対して反対運動をしてきた私たちにとっては、「ふざけるな」という思いはあります。

知事の立場で事業を促進していた福田代議士と与党自民党の有力代議士である船田氏が思川開発事業は中止すべきだという意見なのに、佐藤信鹿沼市長が「 思川開発事業(南摩ダム)は国の事業であります。ダムの建設目的には、洪水対策としての調整機能及び水道用水や農業用水等の確保があります。ダム事業によって、これらの目的が達成され下流域全体に安心と安全が確保できるとすれば、重要な事業であると理解しています。」(鹿沼市長からの回答の問19の回答)と言い張る必要がどこにあるのでしょうか。

船田氏は、南摩ダムについては妥当な判断を示しましたが、湯西川ダムと八ツ場ダムについては、治水、利水の理由から「建設すべきだ」という意見ですから、総体的には先見性のある政治家とは言えないと思います。水需要が減っていること、減っていくことも分かっていないし、環境や生物多様性の意味も、費用対効果も分かっていないのだと思います。

●霞ヶ浦導水事業に関する衆議院議員立候補予定者アンケートは判断材料にならないのか(2009-08-20追記)

2009-08-18下野によれば、「霞ヶ浦導水事業の那珂川取水口建設に反対している栃木、茨城両県の漁協など5団体は17日、衆議院の両県立候補予定者と同日投開票の茨城県知事線の立候補予定者を対象にした事業の賛否を問う公開アンケート結果を公表」しました。本県は自民、民主両党の前職からの回答はなかったそうです。

本県で事業の賛否に「中止すべきだ」と回答したのは、石森久嗣氏、小池一徳氏、関沢知尋氏の3氏だけでした。

那珂川漁連遠藤ひで(金へんに英)郎(ひでお)会長は、「これでは判断材料にならない」と嘆いていますが、無回答の人や「どちらか判断できない」という人は、環境問題や税金の無駄遣いに関心がないと判断してよいのではないでしょうか。

●船田氏はなぜ「思川開発事業は中止」と回答したのか(2009-09-10追記)

未確認情報ですが、船田元氏は、父譲氏の考え方を踏襲しているという話があります。

第3代栃木県知事だった横川信夫氏は、思川開発事業については、時期尚早で判断できないという立場だったそうです。

船田譲知事(1974〜84在任)は、八ツ場ダムを建設するなら南摩ダムは必要ないという立場だったらしいのです。両ダムを必要とするほど下流県の水需要は増えないという見通しを持っていたようなのです。大谷川から取水される予定だった今市市民の陳情団に対して、そのような見解を示したらしいのです。

元氏は父の見解を踏襲したとする見方はある程度納得できる面があります。「思川開発事業は中止すべきだ」という回答でしたが、「八ツ場ダムは推進すべきだ」としているからです。八ツ場ダムと南摩ダムを裏腹なものとして関連させて考えているようにも思えます。

元氏の考え方は、福田富一知事との擦り合わせもできた上で新聞記事になったようです。

福田知事は、「八ツ場ダムが中止になるなら、南摩ダムの必要性はより高まる」(2009-08-26下野)と発言しており、八ツ場ダムと南摩ダムを関連付けていますので、譲知事の考え方が元氏を通して伝わっているのかもしれません。

しかし、八ツ場ダムと南摩ダムのどちらかを建設するなら、もう片一方は要らないという見解は、船田譲知事の時代には説得力があったのかもしれませんが、今は南摩ダムも八ツ場ダムも、そして湯西川ダムも、要らない時代になったのです。

役人も政治家も時代の変化に気付かない、というより、気が付かないふりをして、「公共」事業を進める時代は、民主党政権で終わるのでしょうか。住民の意識次第だと思います。

(文責:事務局)
フロントページへ>思川開発事業(南摩ダム)へ>このページのTopへ