6月下旬、鹿沼市長への質問に掲載したとおり鹿沼市長に水問題に関する質問状を送付しました。
6週間かけて作成された回答(7月8日付け)が7月10日に届きました。
はぐらかそうとしていて、情けないというのが感想ですが、「鹿沼市地下水調査」が非科学的であることが証明されるなどの収穫もありました。(回答書の原文は、水問題に関する質問状について(回答)(PDFファイル288KB)参照)
市長からの回答と当協議会からのコメントを順次ご紹介します。
●浄水場等がなければ予期せぬ異常渇水に対応できない(2009-07-25修正)
1. 使う予定のない水利権をダムの建設負担金を支払って取得することは、もったいないと考えませんか。
水道事業は、安心・安全な水を安定的に市民に提供することが責務と認識しており、現在はあらゆる方策を考えながら地下水で賄っています。
ただし、その地下水が足りなくなった場合は、市民生活に多大な影響を与えることから、他に水源を求めざるを得ず、表流水も選択肢の一つと考えております。
ダムの水は、水質・水量ともに地下水よりも不安定ですので、「安心・安全」の観点からは、地下水を放棄し、ダム水を確保するのは、どう考えても間違っています。 市長自身、「ダムの水を使うとなれば、設備投資が必要。ダム水には水質の不安もある。」(2008-12-08)と言っています(鹿沼市長に申入書を提出した参照 )。
また、2008年9月11日の鹿沼市議会一般質問で、佐藤信市長は、「毎年給水区域の拡張を図っている中、予期せぬ異常渇水や災害、地下水汚染など、地下水のみでは対応できなくなり、市民生活に支障が出た場合には、水源を南摩ダムからの表流水と地下水の2系統により確保することも選択肢の一つとして持っておく必要があると考えております。」と答弁しています。
「予期せぬ異常渇水」は、いつ起きるか分からないのですから、それに備えるには、机上の計算で水利権を取得するだけでは足りず、実際に浄水場を整備し、配水管も整備して、いつでも市民にダム水を供給できる体制にしておかなければならないはずですが、市長は、取水堰や浄水場の整備はしないという意味の発言をしています(2008年7月議会答弁及び上記申入書受領時の「ダムの水を使うとなれば、設備投資が必要」発言)。「予期せぬ異常渇水」のために水利権を取得しておくと言いながら、取水堰や浄水場を整備しないのは、矛盾です。
したがって、「地下水が足りなくなった場合は、市民生活に多大な影響を与えることから」ダムの水利権だけを取得しておくという理由は成り立ちません。
そもそも「地下水が足りなくなった場合」を想定するくらいなら、科学的な理由もないのに、最初から地下水源を放棄する計画を立てるべきではないと思います。
佐藤市長が「地下水が足りなくなった場合は、市民生活に多大な影響を与えること」を避けるために、ダムの水利権を取得しておく必要があると本気で考えているのであれば、取水堰、浄水場及び配水管を整備すべきです。
ところが、佐藤市長はそれらの整備はしないと言います。(佐藤市長は、2008年9月議会で「南摩ダムからの取水については、できる限り使わない方が市民にとってもいいわけでありますから、そのことを前提にして、あらゆる考えられる策について検討を先にすることが大切だというふうに思っていますので、とりあえず使うから設備をやっとこうという、設備というか、そのための取水のための設備投資をするという考えはございませんので、ご了解をいただきたいと思います。」と発言)。そのことに対して議員もだれ一人異論を述べません。なぜでしょうか。市長も議員も鹿沼市上水道は地下水源で足りていること、及びダム水の水利権の取得は、国や県へのお付き合いにすぎないことを認識しているからではないでしょうか。(2009-07-25この段落修正)
鹿沼市が付き合いでダム水の水利権を取得すると、市長や議員や一般職の職員にいいことがあるのかどうか知りませんが、付き合わされる市民はたまりません。ただし、職員組合も行政の無駄遣いを放置・黙認することが職員減らしにつながることに気付き始めたことについて職員労働組合は無駄な事業の廃止に取り組むのかで書いたように、ダム水の水利権の取得が一般職の職員に利益をもたらすとは思えません。
●水道設計指針に基づいてもいないし、人口予測も間違っている
2. 鹿沼市の2007年度の水需要(1日最大給水量)は、29,520m3/日でした。人口が減少し、節水機器が普及する中、今後鹿沼市の水需要(1日最大給水量)が37,800m3/日に極めて近くなることがどれくらいの確率で実現すると考えますか。
計画1日最大給水量は、水道施設設計指針に基づき、鹿沼市第5次総合計画の計画人口と、過去10年間の給水量実績から推計したものであります。
質問に全く答えていません。
そもそも鹿沼市第5次総合計画の計画人口を根拠に推計したことが間違っています。
鹿沼市の人口は、粟野町との合併時(2006年1月1日)の人口が104,052人でした。2009年7月1日の人口が102,950人です。3年半で1,102人減っています。鹿沼市第5次総合計画では、2016年に105,300人と推計されています。鹿沼市の人口が現在減少傾向にある中、今後7年間で2,350人も増えるはずがありません。
「水道施設設計指針に基づき(推計した)」というのも誤りです。
例えば、鹿沼市水道事業第5次拡張第1回変更計画では、計画負荷率(計画1日平均給水量/計画1日最大給水量)を、過去10年間の実績値の最低値(1996年度の値)を採用して75.2%(2006年度〜2025年度)と推計しています。
しかし、「水道施設設計指針(2000年)」(日本水道協会発行)p25には、計画負荷率の設定に当たっては、「長期的傾向を把握するとともに過去の実績値や図-1.2.4の給水人口規模別負荷率、さらに他の類似都市との比較を行い、気象による変動条件にも十分留意して計画値を決定するものとする。」と書かれています。
1997年度の負荷率の全国平均値は83.0%で、給水人口規模が5万〜10万人未満の事業体の平均も同じく83.0%です。
類似都市の状況はどうでしょうか。2007年度の実績を見ると、栃木市の負荷率は96.2%です。佐野市の負荷率は89.6%です。
鹿沼市の最近10年間の負荷率の平均値(1999年度〜2008年度)は、84.4%になります。
最近3年間の鹿沼市上水道の負荷率の実績値は、
2006年度が88.2%、
2007年度が88.6%、
2008年度が88.9%です。
2006年度以降ずうーっと75.2%で続くと推計したことがいかに不当であったかは明らかです。
鹿沼市は、新市建設計画(2004年度策定)では計画負荷率を82.1%としていたのですから、80%以上の数値にしても全くおかしくありません。
鹿沼市は、2015年度の1日平均給水量を28,361m3/日と推計しています。負荷率を75.2%と推計するから1日最大給水量は37,800m3/日となってしまいますが、新市建設計画で採用された82.1%を採用すると、1日最大給水量は34,544m3/日となります。負荷率を適正な値に近づければ、水需要(1日最大給水量)を3,200m3/日以上減らせます。
鹿沼市は、負荷率の傾向を無視し、類似都市との比較も行わずに、最近10年間の最低値を採用し、本来設定すべき推計値よりも、おおよそ10ポイントも不当に低く負荷率を推計した(その結果、計画1日最大給水量を水増しした)のですから、「水道施設設計指針に基づき(推計した)」とは言えません。
鹿沼市の水需要予測は、水道設計指針に基づいてもいませんし、人口予測も間違っていますから、マトモな予測になるはずがありません。
●鹿沼市は水源にどれだけ余裕があるかを言いたくないのか
3. (1日最大給水量が)29,520m3/日と37,800m3/日の差8,280m3/日は、近時の1人当たり給水量を前提とすると、給水人口何人分の水量ですか。
平成19年度が29,520m3/日、平成20年度が30,007m3/日の実績であり、第5次拡張事業計画の最終年度が37,800m3/日となります。
これも質問に全く答えていません。
市長は、現在鹿沼市でどれだけ水が余っているかを言いたくないということが分かりました。2万人分(当協議会の計算)もの水が余っているならダムの水を買う必要はないと市民に気付かれたくないということでしょうか。
都合よく数字を並べて、1日最大給水量が増加傾向にあるかのように回答を書いていますが、鹿沼市の1日最大給水量は、1995年度の35,636m3/日をピークに減少傾向にあり、ピーク時より5,000m3/日以上も減っているのですから、今後、多少の揺り戻しがあるとしても、傾向としては減っていくでしょう。仮に常識的な予想に反して増加傾向に転じたとしても、2015年度に37,800m3/日にはならないでしょう。
1日最大給水量が今後減少から増加に反転する原因が見当たりません。
市長を始めとする鹿沼市の職員たちは、水需要は着実に減少傾向にあるのに、ダム事業に参画するために、市民を欺いてまで水需要が増え続けると唱え続けるつもりでしょうか。
2004年に鹿沼市執行部は、「平成14年度の実績を見ても、給水区域内人口、1人1日平均給水量、1人1日最大給水量、負荷率など、いずれも計画を下回っているのは認識をしております。」(2004-03-10鹿沼市議会一般質問における山崎正信議員からの質問に対する渡辺政夫水道部長の答弁)と言っていました。(負荷率については、2002年度の負荷率の実績値(82.4%)は計画値(74%)を上回っていますので、言い間違いです。)ここで市執行部は、給水実績が計画を下回っていることは認識していると言っていますが、減少傾向にあるとは言っていません。鹿沼市は、水需要が減少傾向にあることを認めたことは、かつてなかったのではないでしょうか。
こうなると国における核持ち込み密約に関する政府の対応とそっくりですね。密約書の現物がアメリカで公開され、村田良平元外務事務次官などが密約の存在を実名で証言しているのに、政府は存在を認めていません。
権力者がウソをつき続ければ、政治への信頼はなくなります。
●給水区域拡張にダム水は要らない
4. 上水道の給水区域は、今後具体的にどの地域を拡張する計画があるのですか。
今年度要望に基づき拡張を行っている主な区域は、見野・武子・笹原田・上石川・下石川・深津であります。その他今後拡張が計画されている区域は、古賀志町・富岡・佐目町・野沢町・北赤塚町・亀和田町・藤江町などであります。
そもそも「今年度要望に基づき拡張を行っている主な区域」というのもおかしな話です。かつて水道部長は、議会で次のように答弁していました。
また現在水源が不足していることから、給水区域の拡張ができない状況にあります。今後新たな水源を確保し、菊沢、南摩、南押原の各地区を加え、第5次拡張計画の1日最大給水量5万500tの計画値は必要と考えております。(2001-12-13)
拡張するために必要な新たな水源の確保が未解決の状態のため、進捗がない状況となっております。(2004-03-10)
ところが、水源がないのに給水区域が拡張しているにも書いたように、鹿沼市は新規水源を確保できないにもかかわらず、次々と給水区域を拡張しています。鹿沼市に水源が余っているということではないでしょうか。上記答弁は、虚偽答弁ということにならないでしょうか。
また、上記の地域の人口を全部足しても8,466人(2009年7月1日現在)です。1人1日最大給水量を400L/人日と仮定しても、3,386m3/日の水量です。2008年度の1日最大給水量が約3万m3/日ですから、上記拡張地域分を足しても、鹿沼市上水道の水源は34,000m3/日あれば足ります。
現在の保有水源量は、38,100m3/日ですし、1995年度に最大35,636m3/日を給水した実績もありますから、34,000m3/日は今のままの水源で供給可能です。
さらには、ダムが2015年度に完成したとしても、現在(2008年度)の鹿沼市の給水人口が、そのときまでには2%(数にすると77,635人×2%=1,553人)くらいは減るでしょうから、差し引き6,900人分の水(1人1日最大給水量を400L/人日と仮定しても2,800m3/日)があれば上記地域への拡張できることになります。(厳密に言えば、拡張予定区域の人口も減っていきます。)
また、住民の要望が本当にあるのか疑問です。給水区域を拡張しても、加入者が少ないならば、必要水量は更に少なくてよいことになります。
鹿沼市にダムの水なんか必要ない。このことが明らかになるのが嫌なので、質問3では、何人分の水が余っているのかを市としては言いたくないのでしょう。
ちなみに、給水区域を拡張するにはどうしても新規水源が必要だと言うなら、佐目町・野沢町・北赤塚町・亀和田町・藤江町の南押原地区に配水するのですから、上日向にダム水用の浄水場を建設して送水するよりも、南押原地区に井戸を掘る方が効率的です。計画取水量も第5次拡張計画時の11,100m3/日ではなく、2,800m3/日程度となれば、南押原地区住民の賛成も得やすいはずです。
上記拡張予定区域のためにダム水の水利権なんて必要ありませんし、仮に必要だとしても、取水堰も浄水場も整備しないのですから、水利権を取得しても上記地域への給水区域の拡張にとって意味がありません。
●"18万人分の水が必要"だから南摩ダムに参画した
5. 鹿沼市は思川開発事業計画に当初0.423m3/秒で参画していましたが、2006年に0.2m3/秒に減量しました。その理由を教えてください。
平成13年に県に報告した0.423m3/秒は、当時の鹿沼市の最大量として県に報告したものであり、その後検討した結果、表流水必要量は0.2m3/秒としたものです。
これも質問に答えていません。理由を聞いているのに、結論を繰り返しているだけです。
回答では、「鹿沼市の最大量」と、ぼかして書いていますが、鹿沼市は、2001年に県に対して「表流水」の需要量が0.423m3/秒と報告しました。0.423m3/秒とは、36,547m3/日です。当時も38,100m2/日の地下水源を持っていましたから、合計すると74,647m3/日にもなってしまいます。74,647m3/日の水量は、1人1日最大給水量を400L/人日と仮定すると186,618人分の水ということになります。
鹿沼市が18万人分の水を確保する必要性があるという想定で思川開発事業計画への参画が始まったということです。
●「推測される」だけで実害なし
6. 鹿沼市地下水調査で定めた上水道の適正揚水量を超えて取水すると、どのような不都合が生ずるのですか。
取水井に目詰まりがおこり、取水能力が落ちることが推測されます。また、特に冬季には地下水位降下が大きくなり、砂の流出や水位の回復が低下します。
市民に実害が出ていないのではないでしょうか。
冬季に上水道の適正揚水量を超えて取水すると「地下水位降下が大きくなり、砂の流出や水位の回復が低下します。」と回答しますが、冬季は需要量も落ちますから、適正揚水量を超えて取水するという事態には、そうはならないと思われます。
「推測されます。」という程度の害でしかないということです。
●年度ごとの実害示せず
7. 鹿沼市上水道では、2000年度以降も毎年度適正揚水量を超えて地下水を揚水していますが、そのことによってどのような弊害が生じたのですか。年度ごとに具体的に示してください。
平成8年3月に第5次拡張事業の認可で、予定していた南押原の取水井が確保できなかったため、既設の取水井でまかなわざるを得ず、適正揚水量を超えて取水しました。そのため、「6」で回答したとおり各取水井の取水能力が低下しました。
弊害を「年度ごとに具体的に示してください。」と質問しているのに、全く答えていません。弊害が生じていないと解釈されても仕方がないと思います。少なくとも、市民に影響を及ぼすような弊害が発生していないことは確実だと思います。
鹿沼市が決めた水道水源である地下水の適正利用量は846万m3/年(23,187m3/日)ですが、1991年以来18年間ずっと適正利用量を超える年が続いています。最近10年間の平均利用量は974万m3/年であり、平均で15%も適正利用量を超過して利用していることになります。
それでも実害がないのですから、「適正利用量」って一体何なのでしょうか。適正利用量は、鹿沼市地下水調査報告書の中に書かれていますが、調べてみると、鹿沼市地下水調査の問題点の水源井の警戒水位の設定の仕方で地下水適正利用量は大きく変わるに書いたように、算出根拠となった井戸の警戒水位の設定の仕方で大きく変わってしまいます。それに算出根拠となった井戸は、各浄水場の代表井戸であり、すべての井戸について検討した結果を集計したものではありませんから、かなりおおざっぱな数字です。第5次拡張計画でどんぶり勘定で出した適正利用量と自称専門家たち(長谷部正彦教授なんか地下水の専門家じゃないでしょう。)が3年かけて算出した適正利用量がピッタリ一致するのも、できすぎた話です。
鹿沼市上水道では、実績で986万m3/年くらいは利用していて問題が起きていないのですから、適正利用量はそのくらいの数字にならないとおかしいと思います。
鹿沼市地下水調査報告書(2004年3月)p36には、次のように書かれています。
地下水適正利用量とは、地下水の水収支域における地下水流入量と地下水流出量の関係を、常に(5)式の状態に保つことができ、井戸枯れなどの地下水障害を引き起こさず、安定的に利用できる地下水量のことを意味する。
鹿沼市域の場合、工業用、農業用、簡易水道などその他の水道用水源における地下水障害は、年間を通して認められない。しかし、近年の上水道事業はほぼ毎年冬季に井戸枯れが生じ、給水制限を実施していることは既に述べた通りである。(図1−1)。
したがって鹿沼市域で適正な地下水利用を図るには、上水道水源において適正な地下水利用を図ることが不可欠である。本調査では、給水制限が各水源井に定められた警戒水位を指標として実施されていることから、上水道水源の地下水適正利用量を、警戒水位を下回らない地下水揚水量とみなした。
このようにして定められた上水道水源の地下水適正利用量が妥当なものならば、これを超えて利用した場合には、井戸枯れなどの地下水障害が引き起こされなければならないはずです。
だから鹿沼市は、「鹿沼市地下水調査で定めた上水道の適正揚水量を超えて取水すると、どのような不都合が生ずるのですか。」という質問には、「井戸枯れなどの地下水障害が起きます」と答えなければならないはずです。そして、鹿沼市上水道では18年間も適正利用量を超えて地下水を利用しているのですから、「井戸枯れなどの地下水障害が起き」ていなければならないはずです。
ところが、市長の回答は、「取水能力が落ちることが推測されます。」というものですし、実際に「井戸枯れなどの地下水障害が起き」ていません。
したがって、市が定めた適正利用量は妥当でなかったということになります。
●審議会ではダメな理由をなぜ言えないのか
8. 水道計画に市民が参加する検討組織として鹿沼市は懇談会を開催するとのことですが、審議会を開催しない理由を教えてください。
国がまとめた「地域水道ビジョン作成の手引き」の中で、「顧客のニーズを把握」「検討会の設置」が記されていることから、懇談会を設置し市民の意見を聴取したり、アンケート調査を実施し、その結果を反映していきたいと考えております。
ここでも質問に答えていません。はぐらかしです。当協議会は、市が懇談会を開催するのは質問文に書いており、分かっているのですから、「審議会ではなぜダメなのか」を質問していることは明らかです。
どうして市長は回答しないのでしょうか。
まともに審議した場合、ダム事業への参画に道理がないことが明らかになることを恐れているのでしょうか。
●ここでも人口と給水量の減少を率直に認めない姿勢
9. 鹿沼市の水需要予測は50,500m3/日(2010年度)から37,800m3/日(2017年度)に変わりました。25%も下方修正した理由を説明してください。
主な要因は、第4次、第5次鹿沼市総合計画における計画人口の差と、前回と今回の計画策定時の前10年間の給水量実績の差によります。
第4次総合計画の計画人口がデタラメだったということではないですか。その反省もなく、第5次総合計画でも人口が増えるという計画しか書かないのは、どういうことなのでしょう。
ほかの市では、人口が減るという予測をきちんとやってます。なぜ鹿沼市ではできないのでしょうか。前市長ができないのはある意味理解できてしまいますが、佐藤市長がデタラメな人口予測という負の遺産を引き継ぐ必要性は、本来ないと思います。
鹿沼市はここでも「計画人口の差」とか「給水量実績の差」と表現し、「差」とは、人口も給水量も減少していることを意味することが明らかなのに、それを認めようとしません。こういう書き方をすれば、「計画では増えるはずだったのが、実際はそれほどまでには増えなかった」と勘違いする市民もいるかもしれません。
しかし、実際には、増えると計画したのに減ったのですから、全然方向違いの予測をしてしまったわけです。その失敗を糊塗する姿勢からは、市民のための政策は生まれないと思います。
口が裂けても人口が減った、給水実績が減ったと言わない姿勢にはあきれるほかありません。
考えてみれば、それを言ってしまうと、「だったら、将来も水需要は増えないよね。」「だったら、ダム水は不要だよね」という流れに乗らざるを得ません。
鹿沼市政は、市長が代わっても「ダムありき」が続いているということなのでしょう。
●実績が減っているのに増えると予測した者の責任は問うのか
10. 市は、水需要予測を大幅に見誤り、50,500m3/日(2010年度)に合わせた水源を確保し、施設を整備しようとしていました。水需要予測を大幅に誤ったことについてだれがどのような責任をとったのですか。
計画1日最大給水量は実績をもとに推計し、当時の給水量は右肩上がりに増加しており、設定当時はやむをえない数値と判断されます。
そうだとすると、推計当時に人口も給水量も右肩下がりに減少しているのに、それらが増加に転ずるという推計をした者の責任はどうとるのでしょうか。
来年のことが分からない者に17年後のことが分かるのかに書いたように、鹿沼市は、2006年度に行った水需要予測において、2005年度までの給水実績が右肩下がりに減少していたにもかかわらず、同年度の水需要(1日最大給水量)を35,430m3/日と推計しました。ところが、2006年度の実際の1日最大給水量は29,196m3/日でした。その差6,234m3/日です。率にして22%も過大に推計していたことになります。2006年度の1人1日最大給水量381L/人日で割ると、16,362人分の給水量になります。1年後の水需要を1.6万人分も間違ったことになります。
2006年度の推計のときには、水需要は明らかに減少傾向にありました。実績を無視して過大な水需要予測をした者の責任は問われないのでしょうか。計画値は「やむをえない数値と判断」されるのでしょうか。
過大な需要予測を繰り返してもだれも責任を負わないシステムが無駄な公共事業が繰り返される原因になっていると思います。
●間違った原因を市民に説明せよ
11. 鹿沼市は、2010年度の水需要が50,500m3/日になると、広報かぬまで繰り返し広報してきました。その後予測値を37,800m3/日へと大幅に修正しました。広報で市民に周知した予測値が間違っていたのですから、広報で訂正するのが筋だと考えませんか。
今回の計画変更は、給水人口、1日最大給水量であり、今後、整備区域の拡張など大幅な変更がある場合にはその中で掲載してまいります。
水需要を4分の1も減らしたことが「大幅な変更」ではないのでしょうか。11,100m3/日の地下水源の確保を断念したことも「大幅な変更」ではないのでしょうか。
2010年度の水需要が50,500m3/日になると、あれだけ自信満々に宣伝していたのに、予測が外れると市民に知らせないのは不誠実です。前回の予測が「設定当時はやむをえない数値」だったのなら、なぜ間違ったのかを市民にきちんと説明すべきです。
●予測が科学的なら当たるはず
12. 水需要予測は、科学的根拠に基づいて行うものですか。
2・9番で回答したとおりです。
これも質問に答えていません。質問2で指摘したように、水道施設設計指針に基づいて推計していないのですから、科学的根拠に基づいて行ったとは言えません。
鹿沼市の水需要予測は、科学的根拠がないから、何回やっても当たらないのではないでしょうか。
市長がこの質問に答えないのも、鹿沼市の予測が科学的でないからでしょう。科学的に予測していたら、増えるか減るかぐらいは当たるはずです。
●鹿沼市の負担額は15億8,100万円で間違いない
13. 思川開発事業計画に関する鹿沼市の負担金15億8100万円はどのような根拠で算出されたのですか。
15億8100万円の根拠については、東大芦川ダムを中止したことにより県と合意したものであります。この金額は、東大芦川ダムを建設した場合の市の負担金相当額であります。
国の計画では、思川開発事業計画の総事業費が1,850億円だと仮定した場合、鹿沼市の負担額は53.5億円となります。鹿沼市の総務課に確認したところ、鹿沼市はそのうちの15億8,100万円を支払い、残りは県が支払うとのことです。
鹿沼市民は得をしたような気になりますが、15億8,100万円でさえ、もともと不要な出費です。
鹿沼市がこれほど優遇されるということは、栃木県は東大芦川ダムのときから余程の無理をして鹿沼市をダム事業に引き込んだことを意味するような気がします。
●負担金を払っていないなら脱退も簡単
14. 市はこれまで国又は県に思川開発事業計画に関する負担金をいくら払ったのですか。
支払っていません。
だったら、すっきり脱退できると思います。
●単独参画であることは間違いない
15. 思川開発事業計画に関する負担金はどこに対して支払うのですか。
独立行政法人水資源機構です。
16. 思川開発事業計画に関する負担金は、元利合計でいくら払うことになるのですか。
負担金は、15億8,100万円です。利息については、支払方法により異なります。
これも質問に答えていません。家庭なら元利合計の支払額など気にせずに住宅ローンを組んでしまうこともあるでしょうが、自治体において、総支払額を市民に示さずに高い買い物をすることが許されるのでしょうか。佐藤市長は車座集会(2008-10-30)で負担金は「固定資産税の増収分で回収できると見込んでいます。」と発言していますが、総支払額が分からなければ、それが正しいか検証できません。
水道部で利息のシミュレーションをしているとは思いますが、主権者である市民に示さないのは不誠実な態度だと思います。
下記のように、佐藤市長は、「水を使わなければ負担は生じません。」と語っていますので、そうだとすれば、15億8,100万円を払わなくてもいいのではないでしょうか。
●車座集会の答弁は間違いか(2009-07-25修正)
17. 鹿沼市分の水利権を取得する団体は県ですか、鹿沼市ですか。
鹿沼市が取得することになります。
2008-10-30の車座集会(北部地区)で、佐藤市長は、「水利権は県が取得しますので、水を使わなければ負担は生じません。なるべく水を使わない方向で考えています。」と語っています。「水利権は県が取得します」は、間違いだったことになります。
そうだとすれば、質問者に訂正の連絡をするはずですが、質問者に確認したところ、市から市長答弁の訂正の連絡はこれまでのところないそうです。車座集会で市長や部長が間違ったことを発言しても、発言記録の訂正もしなければ、質問者への訂正の連絡もしないというのが鹿沼市の方針なのでしょうか。(2009-07-25この段落修正)
●「ダムと値上げは関係ない」はごまかし
18. ダム事業に参画することによって、水道料金がどれだけ値上げになるのですか。
水道料金については、ダムの水を使うか使わないかではなく、給水原価と供給単価によって決まって参ります。
当市の水道事業は、全市給水化のために、今後も未普及地への拡張事業や、大幅に増加してくる耐用年数を超えた配水管と水道施設の更新を行っていかなくてはなりません。
更にクリプトスポリジウム対策のために浄水場の整備が必要になるなど、収支のバランスによっては値上げも検討していかなければなりません。
水道料金が「給水原価と供給単価によって決まって参ります。」という部分は正しいでしょう。
しかし、ダムの水を使えば、給水原価が上がるのですから、供給単価を上げなければ、赤字になって経営破たんします。したがって、供給単価を上げざるを得ません。多分、どこの自治体だってそうしてます。
だから、「ダムの水を使うか使わないかではなく」、つまり、ダムの水を使うことは値上げと関係ない、という言い方は、どう考えてもごまかしとしか思えません。ごまかしでないなら、ダム水を買って、水道料金を上げなかった料金を示すべきです。
市民皆水道は民意かに書いたように、「全市給水化」は民意ではないでしょう。旧西部簡易水道では、07-03-31現在で有収率27.8%、加入率46.3%、使用率29.0%でした。上水道の給水区域でも加入していない人が約7%います(いずれも2007-08-03の鹿沼市議会一般質問答弁から)ので、鹿沼市の水道普及率は100%にはならないと見るべきです。
「大幅に増加してくる耐用年数を超えた配水管と水道施設の更新を行っていかなくてはなりません。」。だったら、ダム事業に参画して使わない水を買うよりも、配水管の更新にカネを使うべきでしょう。
●無駄と分かっているから「造らないのがベスト」と言ったはず
19. 思川開発事業は子孫に恥ずべき負の遺産ではないと胸を張って言えますか。
思川開発事業(南摩ダム)は国の事業であります。ダムの建設目的には、洪水対策としての調整機能及び水道用水や農業用水等の確保があります。ダム事業によって、これらの目的が達成され下流域全体に安心と安全が確保できるとすれば、重要な事業であると理解しています。
いみじくも、「ダム事業によって、これらの目的が達成され下流域全体に安心と安全が確保できるとすれば」と仮定形で答えているように、思川開発事業の効果は甚だ疑問です。本当に「ダム事業によって、これらの目的が達成され下流域全体に安心と安全が確保できる」かどうか、鹿沼市は検証したのでしょうか。「国が効果があると言っているから、効果があると考える」では、自治体としての責任を果たしていません。
治水効果の及ぶ範囲を勝手に変えてしまう国土交通省で書いたように 、構想当初の思川開発事業の治水効果は、当然のことながら、思川より下流には及ばないとされていましたが、1994年5月の計画変更により、治水効果がなんと渡良瀬遊水地を越えて、利根川まで及ぶことになってしまいました。ダムの治水容量も洪水調節方式も変更しないのに、効果の及ぶ範囲だけが変わってしまうというデタラメぶりです。
大谷川から取水されることに危機感を持った旧今市市では、思川開発事業の必要性を検証しました。その結果が「思川開発事業大谷川取水に対する調査報告書」(2000年3月)にまとめられています。そこは福田昭夫市長(当時)の偉いところです。
福田市長(当時)がこの報告書で思川開発が虚構であることを暴いたことは大きな功績ですが、後に栃木県知事になって、思川開発は縮小し実施するのが妥当と変節したことに私たちは驚き、かつ、失望しました。
佐藤市長は、県議時代に「南摩ダムは、移転対象者が移転して、造らないのがベスト」と言いました。なぜ「造らない方のがベスト」と言ったのでしょうか。無駄であることを見抜いていたからではないでしょうか。
南摩ダムが無駄な事業であることがみんな分かっているのに、大人だから口に出して言わない。そんなことがいつまで続けられると市民は考えているのでしょうか。
●南摩川に水が流れるようになることの意味
20. 思川開発事業が完成することによって、南摩川の流量は増えるのですか。
思川開発事業の目的に、「既得用水の安定と河川環境保全のための流量確保」があります。思川開発事業では、河川の流量が少ない場合に、ダムの貯留水を河川に補給することを計画しています。
完成後、南摩川に、既得用水の取水や河川環境保全に必要な流量を、南摩ダムから放流し、南摩川の河川流況の安定化を図ることとしています。
水無川の南摩川に水が流れるようになるというのですから、取水される黒川と大芦川の惨状が予想されます。南摩川の流量が増えるということは、当然、黒川と大芦川の流量が減るということを覚悟しなければなりません。
●地下水の適正利用量は地下水を捨てるための小道具
21. 上水道事業で2000年度以降、減圧給水をしたのですか。したとすればいつですか。しなかったとすれば、なぜしなかったのですか。
以前は冬季の渇水期に減圧給水を行いましたが、平成15年度から各浄水場の能力に応じ配水区域のブロック分けを実施したことにより効率的な水運用ができ、減圧給水するに至りませんでした。しかし、冬季の降水量等の状況によっては今後減圧給水を実施する場合もあります。
まず、質問に答えていません。2003年度以降は、減圧給水を行っていないことは分かりました。
2000年度以降を聞いているのに、ブロック分けを実施していなかった2000年度から2002年度まではどうだったのかを答えていません。
質問7で、鹿沼市は、「適正揚水量を超えて取水し」たので、「各取水井の取水能力が低下しました。」と答えますが、「適正揚水量を超えて取水し」ても、冬季の夜間の減圧給水さえ実施しないで済むのですから、「適正揚水量」とは、何だったのか。やはり、表流水を確保することによって余った地下水を捨てるための小道具と言ってよいと思います。
●鹿沼市の表流水は自流に分類されている
22. 鹿沼市は大芦川の自流について水利権を取得しているのですか。
水利権は取得していません。
栃木県の作成する「栃木の水道」に計画上の鹿沼市の「表流水」の水源が「ダム」ではなく、「自流」に分類されているのはなぜでしょうか。大芦川の自流に水利権を求めるなら、南摩ダムの負担金なんて払う必要がないと思います。
●地下水源を放棄する必要なし
23. 水道用の地下水源を保全するために鹿沼市は今後どのような努力をするのですか。
森林の持つ水源涵養機能の増進を図るため、森林所有者の森林施業計画の作成を推進するとともに保安林の指定拡大などを推進してまいります。
また、水利用については、家庭や工場等において節水に努めるようPRし、揚水量の適正化に努めてまいります。
だったら今後も水道用地下水源は使えますね。放棄する必要性はないでしょう。
●最近でも沢涸れは起きている
24. 思川開発事業の導水事業によって、板荷地区や加蘇地区の地下水や沢水が枯渇する等の影響が出ないようにするには、どのような構造や施工方法があるのか教えてください。
水資源機構では、導水路トンネルの建設に向けて、トンネル・地質の専門家から指導・助言を得ながら、地下水に影響を与えないような構造や施工方法について検討してきました。
この検討会での審議結果を受け、地下水利用状況、地質状況等を考慮し、施工性及び止水性に優れる工法(シールド機械)による掘削や、止水性を高めた覆工構造(セグメント覆工)を採用する計画としています。
2007年の圏央道高尾山トンネル工事でも沢涸れが起きている(小池晃参議院議員のホームページで圏央道高尾山トンネル掘削に伴う国定公園への影響に関する質問主意書参照)のですから、上記工法が水環境を守るための確立された工法と言えるか疑問です。そんなすばらしい工法あるなら、なぜもっと早く採用しなかったのでしょうか。
●河川から取水されても心配ないが従来の地下水利用は取水能力の低下を招く心配があるというご都合主義
25. 黒川と大芦川から南摩ダムに導水されることによって、上水道や簡易水道の水源井戸にどの程度の影響があると考えているのですか。根拠も含めて教えてください。
水資源機構では、黒川・大芦川からの河川水取水に先立ち、取水地点の下流地域への影響を評価するため、地下水の専門家から指導・助言を得ながら、既存資料の収集整理を行うとともに、河川水位及び地下水位等の継続的な調査を行っています。その収集資料及び調査結果等を基に評価・解析を行い、「河川水取水による下流地域への地下水利用への支障はない」と判断しています。
なお、下流地域への地下水利用とは、上水道や簡易水道等の水源井戸です。
一般の井戸への影響はどうなのかも聞かなければいけませんね。
水無川の南摩川の流量が増え、かつ、取水される河川(黒川・大芦川)に依存する地下水にも影響がない。そんなうまい話があるのでしょうか。
鹿沼市がどう判断しているのかを質問しているのです。
おそらくは、水資源機構が言っていることを信じるというのが答でしょう。無駄な地下水調査をやるカネはあるのですから、カネがないから調査できないという言い訳はできません。これまでも、水資源開発公団がカネを出して県が調査するというやり方をしていたのですから、水資源機構のカネで調査する方法もあります。
1976年3月議会で山下和男企画調整部長は、当初計画での栃木県による調査では、「黒川、大芦川ともに大体5センチ程度下がるであろうと、しかし月、もしくは場所によっては最大10センチ水位が下がることもある、こういうことでございます。」と答弁しています。取水条件が変わったとはいえ、本当に地下水などに影響がないのでしょうか。
水を取られるときには大丈夫と楽観し、自分が水道水源を使うときには実績を無視して取水を抑制する。何たるマゾヒズム、何たるご都合主義でしょうか。
●節水のPRはやる気なし
26. 2000年度以降市民に節水を呼びかけましたか。呼びかけたとすればいつ、どのようにして呼びかけましたか。呼びかけていないとすれば、理由を教えてください。
毎年、水道週間(6月1日〜7日)には、街頭にて呼びかけております。
ホームページでも呼びかけております。
どうして「広報かぬま」で呼びかけないのでしょうか。街頭啓発なんて、ごく一部の市民しか気付きません。
時期も6月の水道週間に呼びかけるのはおかしいと思います。回答6に書かれているように、鹿沼市では冬季に取水能力が落ちるのですから、冬季に節水を呼びかけるのが筋だと思います。
冬季に節水を呼びかけないで、冬季に取水能力が落ちる(だからダム水が必要だ)と言われても信じられません。
ホームページでいつPRしたのでしょうか。答えていません。
2007-12-05の鹿沼市議会で襲田利夫水道部長は、次のように答弁していました。
今年度は4月からですが、水道部のホームページを市民の皆さんにより利用しやすいように充実を図りました。その中で、節水に対する部分についても十分ご理解いただけるような形で行ってきたところです
現在の鹿沼市のホームページに節水を呼びかけるページは見つかりませんでした。ダム水を買わなければならないほど水が不足しており、市民に節水してほしいなら、ホームページで日ごろからの節水を市民に呼びかけたらどうでしょうか。東京都水道局では、ホームページで「都民の皆さまには、日頃からの節水にご協力をお願いいたします。」と節水を呼びかけていますし、節水型機器を勧めるページもあります。
呼びかけていないということは、市として節水など望んでいないと思われても仕方がないと思います。
27. 今後市民に対して節水の呼びかけをするのですか。具体的な予定があれば教えてください。
26番で回答したとおりです。
冬季に取水能力が低下して苦労しているはずなのに、冬季には節水のPRをしないで、6月にしかPRしないというのですから、本当に水が足りないのか疑問を持たれても仕方がないと思います。
実質無回答が多くて、困りました。質問の2、3、5、7、8、9、12、16には実質答えていません。
今回の回答文から次のことが言えると思います。
鹿沼市としては、ダム事業に参画するためには、現在どれだけ水源に余裕があるのかを市民に知られたくないし、水余りの状態であることを認めたくない。
鹿沼市としては、ダム事業に参画するためには、水道事業第5次拡張事業第1回変更計画における水需要予測が、実績値とどれだけかい離しようとも、正しいと言い続ける方針である。
ま、確かに、鹿沼市には水が余っており、水需要予測も間違っていますと市長が認めてしまったら、ダムの水を買う理由がなくなってしまいますから、そこは譲れない線なのでしょう。
しかし、鹿沼市の地下水源は38,100m3/日あると鹿沼市は広報紙でも決算監査資料でも言い続けてきたし、買う予定のダム水は16,200m3/日なのですから、合計すれば54,300m3/日にもなってしまいます。これを2008年度の1人1日最大給水量387リットルで割ると、140,310人分の水となります。2009年3月31日現在の給水人口が77,635人ですから、その約2倍の水量になります。
そのような大量の水源を抱えることが無駄であることはだれの目にも明らかですから、ダム水を買うことを至上命題とする限り、地下水を38,100m3/日まで使ってはいけないという理屈を言う必要があります。
そこで鹿沼市は、2001年度から2003年度にかけて4,620万円の費用をかけて、学者と県水資源対策室長と助役と国際航業部長を専門委員として地下水調査を実施し、鹿沼市上水道の既設水源の適正利用量は、年間846万m3(23,187m3/日)であるという理屈を編み出しました。
だから、適正利用量を超えて地下水を利用したら、市民にこういう被害が生じますとはっきり説明する必要があります。
しかし、上水道の水源井戸における適正利用量を超えて揚水するとどのような弊害が起きるのかと質問6と7で聞いたのですが、年度ごとに具体的に答えられないのですから、鹿沼市地下水調査が非科学的であることが明らかになったし、質問26と27の回答からも、鹿沼市が本気で節水をPRするつもりがあるとは思えませんので、鹿沼市は、上水道用地下水源を年間846万m3以上利用してはいけないという理由を説明できていません。
小山市、野木町、藤岡町などかつて地盤沈下の起きていた県南地域では、地下水を利用してはいけない理由をつくりやすかったのですが、鹿沼市内では地盤沈下の話は聞かないので、地下水源を捨てる理由を探す鹿沼市としては、非常に苦しい立場にあります。
地下水を使ってはいけない理由を説明できないのですから、地下水を95,000人分保有している鹿沼市(1人1日最大給水量を400L/人日と仮定)にダム水は不要という結論になると思います。