鹿沼市内に「松坂トンネル」完成。何がめでたい?

2017-12-21

●「松坂トンネル」完成

鹿沼市の板荷地区と東大芦地区が703mのトンネルで結ばれました。思川開発事業の一環として整備されたものです。

2017年11月14日付け下野新聞が「アンバ様、よさこい…地域挙げて開通祝う 鹿沼・松坂トンネル」の見出しで次のように報じています。

【鹿沼】県道板荷引田線の「松坂トンネル」の開通式と通り初め式が12日、引田側坑口付近で行われ、その後、一般供用が始まった。思川開発事業の一環として整備されたが、市北部と西部が一本の道でつながり、移動時間短縮など市民生活にとっても効果は大きい。工事が長年かかっただけに、式典に参加した地元住民らは「やっと便利になる」と笑顔を見せた。

開通式には来賓や土地提供者ら約60人が参加。赤松俊彦(あかまつとしひこ)副知事が知事のメッセージを読み上げ、工事経過報告や、国会議員、県議らの祝辞が続いた。

通り初め式はトンネル入り口前で国、県、市、地元代表らによる交通安全祈願、テープカット、くす玉開披が盛大に行われた。その後、パトカー先導による車列の通り初めも行われた。

地元挙げてのセレモニーも。式典の合間、よさこいの地元チーム「勢や 鹿沼」が元気よく踊りを披露、祝賀ムードを盛り上げた。また板荷地区で3月に行われる伝統行事「アンバ様」も登場。笛を中心としたおはやしが響き、大天狗がトンネル前で「アンバ大杉大明神、悪魔払ってヨイのヨイのヨイ」と大声でお払(ママ)いをした。

完成した県道板荷引田線は2700メートル(トンネル703メートル)で歩道なしの片側1車線。これまで峠部の一部区間が通行不能だった。そのため国土交通省と水資源機構が進める思川開発事業(南摩ダム)の一環としてダム工事用道路を確保するため、2005年度から計画された。トンネルは13年度から工事を進めていた。総事業費は約37億円(県負担分は約10億円)で、うち約24億円がトンネルの事業費。
(中略)
市北部と西部の地域間交流や観光ルートの広がりなども期待される。


●代償は小さいと言えるのか

記事を読むと、参加者一同で交通の便が良くなって喜んでいるように見えます。

しかし、喜んでいる場合でしょうか。

鹿沼市民は、道路整備の代償として、黒川と大芦川から南摩ダムへと水を取られるのです。

どのくらい取られるのかというと、東大芦川ダム中止に伴う対応に係る説明会(2005年1月29日、西大芦小学校体育館)の資料によれば、黒川からは800万m3/年、大芦川からは2000万m3/年です。

1955年〜1984年の実績流量の平均値からは、黒川では約11%、大芦川では約18%の水量を取られることになります。

これだけ取られても、両河川の流域の農業用水や井戸に、そして鹿沼市上水道水源に本当に悪影響がない、あるいは、あったとしても大したことではないと言えるのでしょうか。

何がめでたいのか私には分かりません。

もしも、両河川から導水されて、流域に悪影響がでたら、政治家は何と言うのでしょうか。

「私は、導水されても悪影響が出ないと言ったことは一度もない。水資源機構が大丈夫だと言うのを信頼しただけだ。」と言うのでしょうか。

(文責:事務局)
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