大震災で何が分かるか

2011年3月22日、2011年4月16日追記

●9.11の犯人はアラブ人か

3月19日付け毎日は、次のように報道しています。

東日本大震災:福島第1原発事故 米軍無人機の映像、日本政府が公開に慎重

日本政府が、米空軍無人偵察機「グローバルホーク」が撮影した福島第1原発上空の映像の提供を受けながら、公開に慎重姿勢を見せていることが関係者の証言で分かった。米軍側は「あくまで日本側の判断」とし、提供した映像の公開を承認している。

無人機が搭載する高性能のカメラは「車のナンバーが読み取れるほど鮮明」(米空軍)で、映像は原発施設の内部状況をほぼリアルタイムでとらえており、専門家の分析にも役立つ可能性が高いという。

米空軍は日本政府からの要請を受け、グアムのアンダーセン空軍基地に配備されている最新鋭のグローバルホーク(翼幅約40メートル、全長15メートル)を震災の翌12日から、被災地周辺に飛行させている。多量の放射性物質が検知されている福島第1原発上空では自衛隊機の飛行が困難なため、グローバルホークが24時間態勢で撮影。衛星通信を介して映像を米カリフォルニア州の米空軍基地に送信し、日本政府側にも提供している。

だが日本側は、映像を保有したまま公開していない。同米空軍基地では、米国の原発専門家らが映像を詳細に分析しているという。【大治朋子】

日本政府は、なぜこの映像を公開しないのでしょうか。映像の意味が分からない政府が映像の意味が分からない国民に公開しても、国民に混乱や誤解を与えるだけだという判断でしょう。

でも政府が見栄を張っている場合ではありません。どうせ政府は意味が分からないのですから、画像を公開して民間を含めた専門家に知恵を借りたらいいと思います。真相は、大した事故ではないということにしておきたい政府としては、真実を国民に知らせたくないということなのでしょうね。

ところで、この、アフガン侵攻で活躍した無人偵察機グローバルホークは、どこから遠隔操縦されていたのでしょうか。

3月18日付け赤旗によると、なんと「カリフォルニア州の基地から遠隔操縦されています。」ということです。

この技術があれば、2001年当時、飛行機を世界貿易センタービルに衝突させることは簡単にできたでしょう。

世界まる見え!で9.11再現ビデオに書いたように、この技術を持っていたのは、システム・プランニング・コーポレーションという会社で、CEOを務めていたのがブッシュ政権のユダヤ人閣僚、ドーブ・ゼークハイムでした。

この技術は10年前にはなかったと言いたい人がいるでしょうが、2001年10月7日に始まったアフガン侵攻でグローバルホークが活躍したことは事実のようですので、9.11当時、この技術があったことは否定できません。

ビルに飛行機を衝突させたのは、ナイフで旅客機を乗っ取り、セスナ機も満足に操縦できないアラブ系過激派と考えるよりも、飛行機を遠隔操縦できる人たちと考えた方が合理的ではないでしょうか。アラブ系過激派が飛行機を遠隔操縦できたとは思えません。

●堂々と選挙運動ですか

ダムと原発を推進する増渕賢一(としかず)・栃木県議会議員は、彼の3月20日付けブログによると、「昨日(19日)久しぶりに選挙運動に一日費やした。約200件のお宅を訪問しご支援のお願い」をして回ったそうです。

栃木県議選の告示日は4月1日です。

選挙ナビ - 選挙に役立つ情報サイトによれば、「告示(公示)前は、「政治活動」しかできず「選挙運動」を行うことはできません。」。

「では、選挙運動と政治活動とはどのように違うのでしょうか。明確な定義づけはありませんが、「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的とする行為」が、選挙運動で「政党その他の政治団体等が政策の普及宣伝、党勢拡張などを行うことであり、特定の候補者の当選を得るための行為ではない」ことが政治活動であるとされています。」。

選挙運動については、Wikipediaには、「日本において戸別訪問が禁止されていることから、自動車による候補者の氏名の連呼による選挙運動が行われていることが大きな特徴である。さらに、正規の選挙運動期間が諸外国に比べとても短いため、政治活動という形で実質的な「選挙運動」が行われてきたという経緯もある。」、「告示前の政治活動が事実上選挙運動に近いものが行われるなど非公式な形での選挙運動は実施されているが、このような形の選挙運動規制が果たして適切であるかどうかについては、なお議論が必要であろう。」と書かれています。

増渕議員のホームページの政治信条のページには、「 私は若者が夢を描きやすいような社会を作る礎になろうと思います。」と書かれていますが、ダムと原発を推進し、子孫に借金と堆砂と自然破壊と核廃棄物を残すことが「若者が夢を描きやすいような社会を作る礎」になるような活動とは思えません。

●放水に行ったらどうですか

大震災後の栃木県議会議員 増渕 賢一(ますぶち としかず)ブログを見ているのですが、今のところ、原発推進を見直す考え方は表明されていません。

3月20日の記事には「栃木県では、福島から避難される方がたに対して、避難所の確保に全力を投入している。」と書かれていますが、多数の避難者を出すようなエネルギー政策を支持したことへの反省はないようです。

3月17日付け産経の【放射能漏れ】自民・谷垣総裁「原発推進は難しくなった」原子力政策見直しを表明によれば、「自民党の谷垣禎一総裁は17日の記者会見で、東電福島第1原発の放射能漏洩事故に関連、「原子力政策の推進は難しい状況になった。事故を速やかに総括・分析し、新しい対応を打ち出さないといけない」と述べ、原発推進の方針を見直す考えを表明した。」そうです。

これを受け、3月18日付け東京夕刊「原発推進困難は当然 枝野氏、政策見直し示唆」は、「枝野幸男官房長官は十八日午前の記者会見で、自民党の谷垣禎一総裁が今後の原発推進は困難との見方を示した発言について「至極当然のことだ。まっとうな発言だ」と述べた。」そうです。

「菅政権は原発など先端技術を駆使したインフラ設備を輸出することで、日本の経済振興を図る考えだったが、原発に関しては方針転換する可能性を示唆した形だ。」と解説されています。

自民党も民主党も原発推進では選挙を闘えないと考えたようです。国民の利益を考えたための方針転換というよりも、選挙で勝つためには方針転換せざるを得ないということでしょう。

増渕議員は、大事故が起きても原発推進の方針を変えないようです。原発は事故が起きた場合のリスクが大きすぎてエネルギーとしては使えないということに未だに気づいていないということです。

少なくとも原発推進の立場だった公人とテレビに出ている御用学者は、原発被害なんて恐るるに足りないのでしょうから、自衛官や消防士に福島第1原発の放水作業を任せていないで、率先して放水作業をしてはどうでしょうか。

3月12日付け47ニュースによれば、「政府は12日、福島第1原発での爆発を受け、官邸を中心に住民避難対応を急ぐとともに、東京電力と連絡を取り合いながら放射性物質漏れの被害を最小限に食い止めるための原発制御に全力を挙げた。菅直人首相は夜の記者会見で、広範な被災地での救援・救難活動を含め 「未曽有の国難を乗り越える。命懸けで取り組む」と強調。」しました。

tearfaceというブログに「安全な場所にいる人間に限って、「命がけ」といった勇ましい言葉をもてあそぶ。」と書かれています。現場で活動する人間にとしては、簡単に「命がけ」なんて言ってほしくないと思っていると思います。

●揚水ダムはエネルギーを捨てること

増渕議員は、当然のことながら、原発の付属物である揚水発電についても礼賛しているようです。水力発電に付いて、本当に「脱ダム」でいいの?には、次のように無批判に紹介しているからです。

揚水発電
栃木県には、福島第1・第2原発の夜間電力等を使用して、深山ダム(下池)から沼原ダム(上池)に揚水し電力需要のピーク時に電力を供給する沼原揚水発電所がある。この発電所の能力は675,000kwあり、県営発電所9箇所の総発電量61,800kwの十一倍に相当する。東京電力塩原発電所も同様の揚水発電所である。

Wikipediaには、特徴として、「100の揚水電力で、70程度の発電が出来る。30%程の損失がある」と書かれています。

広瀬 隆 著「私 物 国 家」 第6章 日本最大の官僚組織・電力会社と軍需工場・三菱重工 電力浪費を加速するメカニズムには、次のように書かれています。

揚水ダムでは、水が下に落ちる時にはエネルギーが発生するので、一般の水力発電と 同じように電気を生み出す。しかし落ちた水は、自分で上に戻ることができないので、今度は その下流側の貯水湖の水を、電気を使って上に汲みあげるのである。それで、揚水ダムあるいは 揚水発電所と呼ばれている。

なぜこのようなダムを建設するかと言えば、原子力発電が夜間に運転を停止できない ためである。夜間にあり余る原発の電力を使って、水を夜のうちに汲みあげておき、日中に大量の 電気が消費される時に、その水を落として発電するのである。いや、そのように説明されている。

何も知らずにこの説明を聞くと、いかにも合理的なダムであるかのように感じられる。 ところが実際には、水を汲みあげるのに必要な電力が100万キロワットとすれば、汲みあげた水を 落として生まれる電力は、ほぼ75万キロワットである。四分の一の電気が何にも使われずに 消えるのである。

原発では、原子炉で発生した熱量のわずか三分の一しか電気に変換できないため、 残り三分の二の熱を海に捨てている。このようにしてようやく取り出した電力のうち、夜間には、 またその四分の一を山間のダムで捨てているわけである。

このようにしないと、電力の消費を加速できないので、原発と抱き合わせの必需品として 次々と揚水ダムが建設されてきた。そこに群がるのが、鹿島や清水、ハザマなど大手ゼネコンで あり、それらの関連組織に天下る通産官僚たちである。

彼らは原発でかせぎ、同時に揚水ダムの建設でもかせぐ。これが、 通産省・資源エネルギー庁・建設省・科学技術庁の官僚と電力会社が、われわれの電気料金と 税金を、文字通り湯水のごとく捨てている科学立国の実態である。

増渕議員は、沼原ダムの「発電所の能力は675,000kwあり、県営発電所9箇所の総発電量61,800kwの十一倍に相当する。」から大したもんだと書きますが、675,000kWを発電するために電力を使うことが書かれていません。

Wikipediaによれば、675,000kWを発電するために96万kWの電力を要することになります。

96万キロワットの電力で67万キロワットの発電をする。しかも、原発が停止中は使えません。大したものでもないでしょう。「揚水発電所は電気を一時的に蓄える巨大な蓄電池として働いている。」(Wikipedia)ようですが、「蓄電池としてみた場合、効率が良いとはいえない」し、原発が危険すぎて使えないものである以上、揚水発電も使えません。

●電力不足をつくったのはだれか

3月14日から東京電力の計画停電が始まっていますが、本当に必要な措置なのでしょうか。

「原発がマスコミの中傷の的になってしまったために電気がないとこんなに不便とか原発ってこんなに大事だったのかと国民に知らしめるために計画停電を大げさにやっているという意見もあります。」(計画停電するほど電力不足なのでしょうか?)。

3月15日付けロイター記事日本、原子力発電不足分補う石油火力発電の余剰ある=IEAには、次のように書かれています。

[ロンドン 15日 ロイター] 東日本大震災に伴う原発事故を受けて、国際エネルギー機関(IEA)は15日、日本は原子力発電の不足分を補うだけの十分な石油火力発電による余剰能力を有している、との見解を示した。

IEAは月次報告書で「実際には、液化天然ガス(LNG)および石炭も使用することで需要に対応できる可能性が高いが、LNG、石炭の両セクターにおいては余剰発電能力がより限定的であるようだ」と指摘している。

IEAの推計によると、日本は2009年に石油火力発電能力の30%しか使用しておらず、平均で日量36万バレルの原油・燃料油を使用し、100テラワット時余りの電力を生産した。

3月12日付け朝日東電が電力不足 管内で停電の可能性 発電所停止相次ぐには、次のように書かれています。

東電管内では12日、電灯・暖房需要が増える午後6〜7時の予想需要が3800万キロワット。これに対し、同時刻に供給できる電力は3700万キロワットで、100万キロワット足りなくなるという。約33万世帯分にあたる。

東電の供給能力が3,700万キロワットであることは書いてありますが、なぜ3,700万キロワットなのかを解説する記事は見つかりません。

ヤフー知恵袋のhttp://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1058104765には東電の火力発電の内訳が書かれていますので参考にしてください。

國谷尊之の徒然日記というブログに東京電力管内の火力発電所の現況と、今後の復旧見通しについてというページがあります。ソースが書かれており、信頼性があります。

西陣に住んでますというブログは、電力供給量が定量的に書かれており、評判がよいです。ただし、ソースが書かれていません。これによれば、計画停電も仕方がないということになるようです。

しかし、休眠中の火力発電所と需要の内訳には触れていません。

上記ロイター記事には、「IEAの推計によると、日本は2009年に石油火力発電能力の30%しか使用しておらず」と書いてあります。東電のことではなく、日本全体で火力発電は30パーセントしか稼働していないという話ですが、東電も休眠火力発電所を持っているはずです。

しかし、Wikipediaの「日本の火力発電所一覧」によると、東電管内では、休眠火力発電所は横須賀火力発電所(2010年4月から休眠)しか見当たりませんので、火力発電能力の30パーセントしか使用していないというロイター記事は、東電には当てはまらないのかもしれません。

また、上記ブログは需要量を所与のものとしてとらえているように思います。

需要の抑制が先決だと思います。

東電のやっていることは訳が分かりません。

「オール電化」とやらで電力需要をあおっておいて、テレビコマーシャルで「節電にご協力ください」ですから、マッチポンプです。

供給面では、周波数を60ヘルツに統一して、事故のときは西日本と大量に融通できるように改革すべきです。

●連合は原発推進を見直すのか

2010年8月20日付け朝日記事「連合、原発「推進」と明記 中長期方針 統一見解、初めて策定」には、次のように書かれています。

連合は19日、エネルギー問題に関する基本方針を初めて策定した。現在計画中の原子力発電所の新増設を「着実に進める」とし、これまで内部で意見が分かれていた原子力エネルギーについて推進する姿勢を明記した。

 これまでは2年ごとにまとめる国への政策提言の中で、原発を「重要なエネルギー源」と位置づけるにとどめていた。連合傘下の労働組合には、原発に反対の立場をとる旧総評系と、積極派の電力関係労組などの旧同盟系がおり、統一見解には至らなかったためだ。

 今回の基本方針は、今後10〜20年を見すえた中長期的なものとしてまとめられた。地球温暖化防止に向けて温室効果ガスの排出量削減が迫られるだけでなく、新興国の発展など世界的なエネルギー需要の増加で、資源の獲得競争がますます激しくなってくるとの共通認識に立った。原発の利用向上をはじめ、石油・石炭といった化石燃料によるエネルギーや、再生可能エネルギーとの最適な組み合わせが欠かせないと判断した。

 連合が支援する民主党も、昨年のマニフェストで原子力利用の推進を掲げている。連合の古賀伸明会長は同日の定例会見で「これまでの政策から一歩踏み込んだ方向性が出た。具体的な議論を始めなければならない」と語った。

連合が今回の事故で不明を恥じるのかが注目されます。

連合傘下の単位組合(鹿沼市職員労働組合)などが原発についてどのようなコメントをするのかも注目したいのですが、情報が入っていません。

●下野は警鐘を鳴らしたのか

下野新聞は、「日本の電力業界はこうした事態に至った事実を率直に受け止め、津波への対応を含め、今後の災害の想定と事故対策を根本的に練り直す必要がある。」(3月15日付け1面の解説)と、したり顔で書きますが、原発を宣伝する下野新聞で書いたように、下野は2010年1月27日付けの7面に「企画特集」として、「放射性廃棄物地層処分とその安全性・必要性」という広告を載せています。原発そのものの持つ危険性について警鐘を鳴らすのが新聞の責務だと思いますが、原発に関する限り、その責務を果たしているとは思えません。消費生活アドバイザーの高木智子さんの「安全性が確保され、問題なく動くのであれば、資源のない日本では、推進に値するシステムだと思います。」という発言を無批判に紹介しているのは、問題だと思います。

ちなみに、消費生活アドバイザーに似た資格に消費生活コンサルタントがあります。

両者はどう違うのかというと、消費生活コンサルタントが、http://www.laplace-net.co.jp/adviser.htmによると、(財)日本消費者協会が、消費者問題の専門家を 養成する「消費生活コンサルタント養成講座」の修了者に対して称号を与えるものであるのに対し、消費生活アドバイザーは、(財)日本産業協会が、主に企業内で消費者部門等に人材育成・活用等を目的として消費者相談業務に関する知識、及び技能についての試験を実施、その合格者に対して称号を与えるものです。

下野は、なぜ消費生活コンサルタントではなく、消費生活アドバイザーをゲストに選んだのでしょうか。選んだのは原子力発電環境整備機構広報部長の片平重博さんなのかもしれませんが。

●下野新聞社から反省の弁が出た(2011年4月16日追記)

4月14日付け下野の「雷鳴抄」に次のように書かれています。

日本では学者や専門家が「脱原発」を唱えると「原子力村」と呼ばれる専門家集団から排除される場合が多かったという。原子力産業にかかわってきた専門家たちは、事態を解説する前に「安全対策」への関与の度合いを明らかにし、過ちがあったとすれば、まず謝罪すべきだろう。われわれマスメディアも監視を十分に行なってきたか。反省すべき点は多々ある

上記のように原子力産業から広告料をもらい、安全神話を振りまくことに一役買ってきた下野新聞社ですが、やっと反省の弁が出ました。

とはいえ、下野のスタンスは、上記のように、「(原発は必要だが)事故対策を根本的に練り直す必要がある。」(3月15日付け1面の解説)、つまり安全対策が不十分だった、というものですから、原子力発電は事故が起きたときの損害が大きすぎるので使えないという認識に至っているわけではありません。

だから、「「今後も日本経済にとって、電力供給にとって、原子力発電は大事だ。(原発を)推進してきたことは、決して間違いではない」と述べ」、「「原発を推進してきた立場として今回の事故に謝罪をするつもりはないか」という記者の質問に対し、「ないです」と述べた」(4月15日付け朝日)与謝野馨経済財政相とどれだけ違うのかという疑問は残ります。

(文責:事務局)
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