水を使わなければ負担は生じないのか

2009-02-06

●なぜ水道料金の値上げ幅を説明しないのか

佐藤信鹿沼市長は、2008年秋に車座集会を市内各地区で開きました。ダム関係の質疑を紹介します。

2008-10-30には、北部地区で開催しました。まず、斎藤さんの質問と市長回答を紹介します。

(斎藤)
市長の「南摩ダムの水は使わない」との発言がありましたが、水道料金にはどのような影響がありますか。また、ダム工事費における市の負担はどのくらいになりますか。
(市長)
「ダムの水を使わなくて済むようにやっていきます」と発言しました。水道については水源地の確保や老朽管の布設替えを進めますが、水道料金については今のところ未定です。市の負担は15億8千万円ほどになりますが、代わりに固定資産税の増収分で回収できると見込んでいます。また関連事業のハーベストセンター等についても将来の負担にならず効果的になるよう見直します。

「水道料金については今のところ未定です。」という回答ですが、そうであるならば、水道料金にどのような影響があるのか分からないがダム建設負担金は支払うという決定は、あまりにも市民を愚弄していないでしょうか。市民は、水道料金にどれだけ跳ね返るのかが分からなければ、ダム事業に参画するという政策の是非を判断できないと思います。

ダム事業に参画した結果、水道料金がどれだけ上がるかについては、過去記事水道料金の値上げが待っているに書いたように、「鹿沼市水道事業変更認可申請書(第5次拡張変更)」に「(料金の)改定は、平成24年度及び平成27年度に15%の改定を行うこととする。」と書かれています。この計算は、過去記事水道料金の値上げは32%では済まない に書いたように、有収水量が10年間で12%伸びるという前提で32%の値上げが必要だというものですから、有収水量が将来減少したら、値上げ幅はとんでもなく大きなものになるでしょう。

とにかく、前市長のときに、ダム事業に参画すれば、2回の値上げでトータルで32%の値上げになるという計算をし、厚生労働大臣の認可を2008年3月に得ているわけですから、そのように回答すべきだと思います。有収水量が10年間で12%伸びるという前提も含めて。

市長は、鹿沼市水道事業変更認可申請書(第5次拡張変更)に書かれていることを水道部職員から知らされていないのでしょうか。市長は、なぜ水道料金の値上げについてきちんと説明しないのか、理由が分かりません。値上げのことを言うとダム事業に参画することに市民から反対されるからだとしたら、フェアな態度とは言えません。

厚生労働大臣からどのような内容の認可を得たのかを市民に明らかにすべきです。だから私たちは、鹿沼市長に申入書を提出したで紹介したように、ダム問題に関する申入書で「 3 水道事業第5次拡張計画の第1回変更計画の全容を広報かぬまで明らかにすること。」を申し入れたのです。市長の回答は、「 今回の変更につきましては、給水人口、1日最大給水量などであることから「広報かぬま」に掲載する予定はありません。今後、大幅な変更の場合は検討してまいります。」というものでした。「など」の中には値上げの話も含まれているのですが、それは知らせないというわけです。

鹿沼市が支払うことになるダム建設負担金はダムにかかる固定資産税収入で回収できるとの回答ですが、ダムにかかる固定資産税がいくらになるのかが分からなければ、市長の回答が妥当なのか判断できません。

ちなみに、鹿沼市の支払うダム建設負担金は15億8千万円ほどとのことですが、借金をして支払うので、利息を含めればそんなものではすみません。また、ダムの水を使う者は、ダムの維持管理費用を毎年負担しなければならないということも忘れてはなりません。これらの支出を含めて固定資産税の収入と釣り合うのか、今のところ分かりません。

仮にダム建設負担金と固定資産税収入が釣り合うとしても、市の財布は二つあり、固定資産税は一般会計に入り、ダム建設負担金は水道企業会計から出すのではないでしょうか。

「代わりに固定資産税の増収分で回収できると見込んでいます。」ということは、一般会計から企業会計に繰り入れるということでしょうか。それは原則的に違法ではないでしょうか。

●水を使わなければ負担は生じないのか

次は小竹森さんの質問です。

(小竹森)
実質公債費比率が12.1%から19.5%に上がりましたが、判断基準が変わったのですか。
また、ダム建設によって余計に財政が厳しくなると思います。水利権の負担などで300億円ほどの借金になると聞いており、市民の水道料金だけ(で?)対応できるのでしょうか。
(市長)
計算では下がっているはずです。実質公債費比率は下がっておりトータルで見ると健全であると考えています。
(※ 新聞報道で「9.5%」を「19.5%」と誤りがあった。) ダム費用は市の負担は15億8100万円のみです。水利権は県が取得しますので、水を使わなければ負担は生じません。なるべく水を使わない方向で考えています。
(※ 費用負担同意はいたしましたが、支払い時期は県と調整中です。)

「水利権は県が取得します」という回答は理解できません。2006-06-30に栃木県知事から国土交通省関東地方整備局長あてに出した文書(標題は、「大芦川総合開発事業東大芦川ダム建設工事の中止に係る鹿沼市の都市用水確保について」)に、「鹿沼市水道用水0.2m3/s(単独取水)」と書かれていますので、小山市同様、県を経由するのではなく、直接国に負担金を支払うことになるのだと思います。「単独取水」と「県が取得」は矛盾すると思います。

「水を使わなければ負担は生じません。」というのも分からない話です。負担が生じないなら水道料金も上がらないと誤解する市民も出るでしょう。

単独参加したら水を使わなくても15億8100万円の負担は生じています。使わない水利権のためにそんなに払うのは無駄でしょうというのが私たちの主張です。また、使わない予定の水利権を取得すること自体が違法です。

(文責:事務局)
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