鹿沼市長立候補予定者の違いは何か

2008-05-16

●両候補予定者の違いは何か

過去記事鹿沼市長が争点つぶし作戦に出たで書いたことと重なりますが、5月25日の鹿沼市長選挙の立候補予定者である阿部和夫氏と佐藤信氏の政策等の違いについて再度触れます。

ブログ「鹿沼市長選に候補者を擁立しよう」の選挙予想ー投票率UPがカギには、「佐藤氏の勝利のためには、政策の違いを際立たせ、 市民の市長選挙への関心を呼び起こし、 鹿沼市を変える(CHANGE)ことをアピールし、 投票率を上げることが必要でしょう。」と書かれています。

どちらを勝たせるにせよ、ダム問題を追究する当協議会としては、水道問題について両者の政策は全く違うことを強調しておきたいと思います。

阿部氏の水道政策は、南摩ダムにためた水を大芦川から取って水道水源にするという政策です。それが市民の安全安心につながると言うのです。川の水を水源に使うことがなぜ安全安心につながるのかは説明されていません。

2001-05-10「広報かぬま」p4には、「現在、(鹿沼市上水道の)水源は100%地下水に頼っており、降水量の影響をまともに受けてしまう、7〜8m程度の浅い井戸です。」と書かれています。地下水が「降水量の影響をまともに受けてしまう」のなら、河川水は、もっとまともに影響を受けます。

p5には、「地下水は大丈夫?」と小見出しを付けて、「全国的にも、トリクロロエチレン・クリプトスポリジウム等による地下水汚染が騒がれています。」と書かれています。2001-10-25「広報かぬま」p9には、「鹿沼市では、平成2年に北犬飼地区および南押原地区で有機塩素系のテトラクロロエチレンとトリクロロエチレンが検出された事例があり」と書かれており、キヤノンによる地下水汚染事故を表流水確保の理由に挙げています。

私は、その地下水汚染の実態を調べるため、鹿沼市とキヤノンが締結した協定書などの公開を阿部市長に求めましたが、公開を拒否されました。地下水汚染のおそれがあるから河川水を使うと言うのなら、地下水汚染に関する資料を公開すべきだと思います。

阿部市長は、「情報公開を一層徹底」することや「開かれた市政」を公約として当選したのですから、地下水汚染に関する協定書くらいの資料を公開できないようでは公約違反ではないでしょうか。

2001-09-25「広報かぬま」p7には、「地下水は、過剰に汲み上げること等で地盤沈下など環境問題を引き起こします。」と書かれています。鹿沼市の水道事業は、1952年に創設認可を受け、以来地下水のみを水源として経営されてきましたが、そのために地盤沈下が起きたでしょうか。起きたという話は聞きません。「環境問題」を言うなら、ダムを建設することの方がはるかに大きな環境問題です。

河川の汚染事故の方が地下水の汚染事故よりも多いことは、過去記事表流水は地下水より安全か に書いたとおりです。

2001-10-25「広報かぬま」p9には、「市民から寄せられた意見」として次のように書かれています。

「表流水の方が地下水より安全」という根拠はなく、河川水よりも土壌で濾過された地下水の方が安全で経済的ではないでしょうか。

「意見に対する回答」は次のとおりです。

市民のみなさんに安全で安定した水を供給するためには、既存の井戸と新しい井戸の「地下水」を従来どおり使うと共に、東大芦川ダムからの表流水とあわせた2系統の水を使うことが必要です。

回答になっていません。結論を繰り返しているだけで、表流水の方が安全である理由や表流水と地下水を混ぜた方が安全である理由は、どこにも書かれていません。

鹿沼市上水道で水源としている地下水はそのまま飲めます。鹿沼市には浄水場がありますが、浄水(水の汚れを取り除いてきれいにすること)しているわけではなく、塩素を混ぜているだけです。ところが、上日向付近の大芦川の水はそのままでは飲めません。普通の人は、飲んだら腹を壊すでしょう。川の水はそのまま飲めないこと、したがって浄水に費用がかかることだけを考えても、地下水の方が水源として優れていることは明らかです。汚れた水をきれいにするために薬品を使うから水の味も悪くなります。地下水という優れた水源があるのに、なぜわざわざ高いカネを払ってダムにためた川の水を使うのか、まともに説明されたことはありません。

そして、阿部氏の政策によれば、水道料金の値上げが待っています。「(水道料金の)改定は、平成24年及び平成27年に15%の改定を行うこととする。」(鹿沼市水道事業変更認可申請書(第5次拡張変更))と書かれていますので、(1+0.15)^2=1.32倍の値上げになるということですが、実際はもっと大きくなると思われます。なぜなら、鹿沼市の将来の有収水量(売る水の量)は、減っていく可能性が高いにもかかわらず、鹿沼市は将来の有収水量が増えると見込んでいるからです。多額の設備投資をしても、製品が少ししか売れなければ、単価を上げないと資金回収ができないということです。

そして、阿部氏の水道計画には本当の民意は入っていません。民意があるとすれば、商工会議所と一緒になって集めた6万8千人のダム賛成書名ですが、会頭が市長の後援会長だったのですから、市長が集めたのと同じと見られても仕方ないでしょう。

阿部氏は、マニフェストで「費用対効果」とか「少ない経費で最大効果を生む」と書きますが、過去記事水需要予測誤りを詫びないのかで「鹿沼市上水道の給水能力は38,100m3/日で、水源は100%地下水です。水需要(1日最大給水量)が37,800m3/日なら、地下水で間に合います。」と書いたように、鹿沼市の水道水源は、地下水源で間に合うのにわざわざ高い負担金を払ってダムの水を買うのでは、言っていることとやっていることが違いますので、阿部氏の言う「費用対効果」は、言葉だけだと思われても仕方がないと思います。

一方佐藤氏は、鹿沼市の水道は将来とも地下水を水源とするべきだと言っているのですから、大芦川の御幣岩橋付近に第6浄水場を建設する必要がありません。南摩ダムの負担金も払う必要がありません。したがって、大幅値上げもないでしょう。

(文責:事務局)
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