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●当協議会が鹿沼市議会に下水道規則の改正を陳情
ちょっと古い話ですが、ダム反対鹿沼市民協議会は、2004年1月29日に鹿沼市議会議長あてに「鹿沼市下水道条例施行規則の改正について」という陳情書を提出しました。陳情書の全文は次のとおりです。
(件名)
鹿沼市下水道条例施行規則の改正について
(要旨)
節水を推進するため、鹿沼市下水道条例施行規則を改正し、市民が水洗トイレを設置する際、1回洗浄水量が10リットル未満の大便器を設置できるようにすることを陳情する。
(理由)
鹿沼市下水道条例施行規則第4条には、排水設備の構造基準が定められている。同条第9号には「水洗便所のための洗浄装置は、次のとおりとする。」と書かれており、以下の表には、大便器の1回洗浄水量は、10リットル以上と定められている。
一方で衛生用品製造業者は、1回洗浄水量が8リットルの大便器を開発し、販売している。具体例を挙げれば、東陶機器株式会社の「ネオレスト」や「ピュアレスト」と呼ばれる商品がそれに該当する。
したがって、鹿沼市民は、新築や改築の際に、こうした節水型の便器を採用したくても、上記規則の規定が存在するため設置できないことになる。
鹿沼市は、一方で冬季の渇水を理由に「広報かぬま」などで市民に節水を訴えたり、水源が不足するからダムによる表流水が必要だとまで宣言したりしながら、他方で合理的な理由もなく規則により節水型便器の普及を阻止することは政策的に矛盾している。
大便器の1回洗浄水量を10リットル以上と規制することに合理的な理由が存在するのかと言えば、宇都宮市下水道条例施行規則第3条にも排水設備の構造基準が定められているが、便器の1回洗浄水量を規制する規定はないので、上記規制に合理的な理由が存在するとは思えない。
鹿沼市は、企業や市民の節水に向けた努力に報いるべきである。そして、節水型社会を構築し、無駄な水源開発のために自然を破壊しないようにすべきである。それが今年の元旦に環境都市宣言をした鹿沼市の責務である。
そのために、1回洗浄水量が10リットル未満の大便器を設置できるよう、排水施設の構造基準を見直し、鹿沼市下水道条例施行規則を早急に改正すべきである。
2004年1月29日
鹿沼市議会議長 船 生 哲 夫 様
ダム反対鹿沼市民協議会
会長 広 田 義 一
●環境経済常任委員会は継続審査とした
2003年3月議会において、鹿沼市議会環境経済常任委員会は上記陳情を審査しました。常任委員会での審査の内容は次のとおりです。
2003年3月鹿沼市議会定例会 環境経済常任委員会
(鈴木章由委員長)
陳情第1号鹿沼市下水道条例施行規則の改正についてを議題といたします。
執行部から規則の説明をお願いいたします。
(下水道施設課長)
お手元の鹿沼市下水道条例施工規則をご覧いただきたいと思います。その中の2ページの一番下にあります第4条(9)水洗便所のための洗浄装置は次のとおりとする。この中の一番下の大便器10リットル以上ということが明記しております。今回の陳情につきましては、10リットルの表示、8リットルではどうかという陳情ではございますが、10リットルの表示につきましては、適正な管理をするため、本市としては、10リットル以上のものということで表示をしてあります。ただ、あの、現在はですね、陳情の中にあるように、8リットルのものも、できていると、製品化されているとございますが、これは節水型又は省スペース型ということで、メーカーの方で表示しながら、8リットルを作っているということであると思います。
この8リットルの製品に関しましては、メーカーの方、3年前ぐらいから若干作っているんじゃないかなと。
大便器10リットル以上という表示がしてあるということでございます。
(山崎正信委員)
お恥ずかしい話だけど、これが出てくるまで10リットルなんていう規定があるのも知らなかった。陳情の内容から言ってもね、今、水槽の中にペットボトルなんか入れて、量をできるだけ出さないようにするのが主流なんですよ。そこで10リットルなんていうのはおかしい。もし、なんかあったら、あくまで個人の家の個人の責任だからね。これは陳情のとおりだと思いますね。全然問題ないと思いますよ。
(船生哲夫委員)
本市の条例なんですが、ほかの市の……
(下水道施設課長)
他市の状況につきましては、真岡市がありますが、表示しているのは、8リットルというのが表示してあります。その他の市では、表示がないのが現状であります。
ただ、近県で茨城県の全部は見ていないわけなんですが、常陸太田市は逆に13リットルという表示がございまして、おのおので、本市の場合は、10リットルですが、おのおので設定しているのが現状です。
(船生委員)
ほかの市、自治体を参考に聞かしていただきましたけれども、本市とすれば、見直しとか検討はしておりませんでしょうか。
(下水道施設課長)
この量につきましては、今までは検討しておりません。一応、本市としては、目安となる10リットルというのが適正な管理であるということで、見直しに関しましてはやっておりませんでした。
(冨久田耕平委員)
(聞き取れない)
(恩田課長)
その件につきましては、相手の市の方に関しましては、聞いておりません。
(小川清正委員)
10リットルというのは昭和何年のときに決めたのか。
(下水道施設課長)
これは設定が50年でございます。ですから、そのときと変わっておりません。
(小川委員)
改訂は考えているのか。(聞き取れない)
(山崎委員)
規則には個人宅で使う便器の水量まで規則に入れるっていう考え方、日本の官僚の最たるもの。個人宅の問題でしょう。便器が詰まったら、そこの問題なんだよ。そこまで取り決めてね、規制緩和みたいにやるっている、何ともなじまないと思いますよ。だから、その辺は、国だけじゃなくって地方自治体も考えないと。
栃木県内でも真岡以外は条例の中にも一切入れていないわけで、これでいいんですよ。ほかに迷惑をかけるということはある程度規制しなきゃいかんけど。
個人宅の問題なのだから、そこで何が起ころうが、そこの責任でやらなきゃいかん。
そういった意味で言っておきます。8リットルでも大丈夫っていうことにするっていうことだったら、これの趣旨を生かす形だから、これ以上は言いませんけどね。
(船生委員)
陳情の趣旨というか、要旨については分かりました。今後、検討していただくということにして。ただし、理由については、若干ダムの方に結びつけるのはいかがかと。そういうふうに思いますので、前の部分については結構だと思いますが、理由についてはちょっと納得がいかない。
(鈴木委員長)
陳情第1号についてはどうですか。不採択ということで。
(山崎委員)
ちょっと待って。不採択?
議会がこんなの不採択にしたら笑われるよ。理由が何であれ、10リットルで決めているものがおかしいでしょってことを言ってるんであって、こんなこと不採択なんてしたら議会が笑われるよ。
(「今後の検討事項として」と言う者あり)
もうちょっと○○(聞き取れない)を持たないと市民に笑われっちゃうよ。今まで10リッターでやって、節水のために8リッターも出てきた。それを既によそはみんな使っている。鹿沼市だけがそれを不採択なんて笑われっちゃう。そんなみっともないことしないでよ。せめて継続ぐらいにしておかないと。何を考えてんだよ。よく考えないと。よその市に笑われちゃうよ。
(鈴木委員長)
それでは陳情第1号については、継続審査とするっていうことでよろしいでしょうか。
それでは挙手を願ってよろしいですか。
継続審査を結論とするご意見の方は挙手をお願いします。
4名。
不採択とする方の挙手をお願いします。
3名。
それでは多数により継続審査とすることに決しました。
●鹿沼市下水道規則は改正された
上記陳情は、継続審査となっているうちに、2004年に鹿沼市長が鹿沼市下水道条例施行規則を改正し、第4条第9号の「大便器の1回洗浄水量は、10リットル以上」とする部分を削除して、「水洗便所には、排除すべき下水を支障なく流下させる洗浄装置を設けること。また、大便器の洗浄にフラッシュバルブを使用する場合は、逆流防止装置を設けなければならない。」と改めてしまい、陳情が目的を失ったことにより審議されないこととなりました。
陳情が審議されようがされまいが、鹿沼市当局が1回当たりの使用水量が10リットル未満の便器の使用を禁止していたことを反省して規則を改正したことにより、鹿沼市において節水型便器の使用が可能になったのですから、それはそれでめでたいことです。そして、当協議会の運動の成果であることは否定できません。
●問題は鹿沼市議会の対応だ
しかし、鹿沼市議会の対応には驚きます。
船生哲夫委員が「陳情の趣旨というか、要旨については分かりました。今後、検討していただくということにして。ただし、理由については、若干ダムの方に結びつけるのはいかがかと。そういうふうに思いますので、前の部分については結構だと思いますが、理由についてはちょっと納得がいかない。」と発言しました。結論はいいのだが、ダム問題と結びつけたのが気に入らないということです。これを受けて、鈴木章由委員長が「不採択ということでどうか」と言い出しました。
そこでがんばったのが山崎正信委員でした。「理由が何であれ、10リットルで決めているものがおかしいでしょってことを言ってるんであって、こんなこと不採択なんてしたら議会が笑われるよ。」と発言し、議会の良識を示しました。
それでも結果は、継続審査と不採択が4対3で、危うく不採択となるところでした。
●なぜダム反対派市民を憎むのか
不採択にしようとした3人の委員についても、理由はおそらく船生委員と同じく、ダム問題と結びつけるのがけしからんということでしょう。
しかし、鹿沼市が水が必要だからダム事業に参加すると言いながら、地下水源の放棄を計画し、節水型便器の使用を禁止し続けるなど節水に熱心でないのは、ダム事業に参加したいからではないかと疑われても仕方がないでしょう。
船生委員がなぜダム反対派の市民を目の敵にするのか理解に苦しみます。確かに理由は大事ですが、本件陳情の審議に際しては、山崎委員が言われるように、理由はともあれ、節水型便器の禁止をやめさせることの方が優先されるべきではないでしょうか。