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足羽川ダム〜水害を密室で検討するなんて〜

2005-4-5

2005年4月4日付けの毎日新聞が福井豪雨による足羽川の水害に関し福井県が設置した検討会について報道しています。

*****引用開始*****

05記者リポート:福井豪雨 足羽川・堤防決壊の報告書 「想定外」に疑問 / 福井

 ◇「想定外の洪水」断定に疑問 審議非公開に割り切れなさ??県の施策に反映を

 昨年7月の福井豪雨災害で、足羽川が堤防決壊に至ったメカニズムの解明を図って きた福井県設置の「足羽川洪水災害調査対策検討会」(委員長、中川一・京大防災研 究所教授)が4回に及ぶ専門家の会議や調査を終え、このほど西川一誠知事に報告書 を提出した。

被災直後には、さまざまな決壊原因が指摘されたが、一体どうだったの かの一応の結論が出されたと言える。ただ、この報告書から、洪水やその被害を防ぐ 対策は導かれるのだろうか。点検してみた。【兵頭和行】

 ◇外的要因  今年2月23日、第4回検討会を終えた中川委員長は会見で、「今回の洪水は未曽 有の大洪水だった」と想定を超えた洪水だったことを強調した。被災直後は、橋りょ うの橋げたが増水した川の流れをせき止める「ダム効果」や、対岸の河川敷に臨時設 置された道路の盛り土が原因で川の水かさが増したなどと指摘された。中川委員長の 発言はそうした疑念を払しょくするためだった。

(中略)  

 ◇計画流量見直し  県河川課は、「そもそも計画高水位を超えたのだから越水が起こり、どこが決壊し てもおかしくない状態だった」という。計画高水位とは、堤防の高さや強度などの設 計の前提とする水位で、通常は堤防上から下約1メートルに達した水位をいう。  また、河川の治水計画では、計画高水位に達した際の流量を基準に、河川の流量を どれだけ確保するかという「計画流量」を設定している。足羽川の現状の流下能力は 毎秒1300トン。近畿地方整備局の試算では、堤防決壊時は毎秒2400トンに達 していたという。現在、それを先取りする形で、同整備局が設置した専門家や住民に よる「九頭竜川流域委員会」では、足羽川の計画流量の見直し作業が進んでおり、毎 秒2400トンに耐えられることを前提に整備する方針だ。  検討されている整備内容は、まず河床掘削や橋の架け替えで流下能力を毎秒180 0トンにかさ上げしたうえ、上流域にダムを建設し、毎秒2400トンを1800ト ンに低減し、次に福井豪雨並みの豪雨が来ても、越水しないようにする計画だ。

 ◇ソフト対策強調  中川委員長は「ハード対策には限界があり、ハードとソフト両面での取り組みが必 要」として、堤防強化や治水整備ばかりではなく、ソフト対策の重要性を強調した。 現在、県は足羽川を含む県内5河川で、流域住民に対し、洪水予報を発令できるシス テムの構築を進めている。また、洪水被害を防止・軽減するため、関係機関からの情 報収集と住民への情報提供のあり方を見直す方針で県水防協議会委員会で県水防計画 を変更する作業をしており、出水期前の5月下旬にも計画に反映させる予定だ。

 同検討会での検討内容は、審議と同時並行して県の諸施策に反映され、再度災害を 防ぐという観点からは素早い対応だったと言える。だが、想定外の洪水と割り切って しまうには疑問が残る。もし、橋げたや道路などの外的要因がなければ、水位が下が り、越水したとしても決壊までに至らなかった可能性はないのだろうか。

どこまで審 議したのかも、同検討会が非公開だったため、確かめようがなかった。検討会後の会 見で委員の1人は非公開の理由について、「(審議の中で出た)数字が独り歩きする と困る」と言った。報告書の内容が本当に十分な審議が行われたものなのか、割り切 れなさが残った。ともあれ、報告書の「評価」は、今後の県の施策にどこまで反映さ れるのかにかかっている。その検証を記事化していきたい。

4月4日朝刊 (毎日新聞)

*****引用ここまで*****

福井県が水害の検証をなぜ非公開で行わなければならなかったのか理解できません。非公開の理由は、「(審議の中で出た)数字が独り歩きする と困る」ということらしいです。そんなことを言ったら、どんな審議会でも発言や数字が独り歩きする可能性は常にあるわけですから、公開できる審議会はなくなります。

足羽川ダムを造りたい人たちが、世間にダム無用論がわき起こることを過剰に恐れていることの表れではないでしょうか。端的に言って、足羽川ダム(「足羽川ダムはいらない」のサイト参照) を正当化するための検討会でしょう。

水害の検証を公開でできない。こんな情けない話があるでしょうか。おそらく日本だけの現象でしょう。

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