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南摩ダムにおける水源地域対策基金事業助成金という名前の協力感謝金が1世帯一律940万円であることについて「水没世帯へ940万円補償金上乗せ?」で書きましたが、八ツ場ダムにおける協力感謝金の実態について「八ツ場ダムー足で歩いた現地ルポ」(明石書店)の著者鈴木郁子さんにお聞きしました。
だからどうすべきか、という議論は別にするとして、とにかく国営八ツ場ダムにおける協力感謝金の実態について知っていただきたいと思います。
「水源地域対策基金事業助成金」については、実は、私も常々、どうして私たちの金を使うのに、行政サイドは県も町も、互いに(質問を)たらい回し。まるで秘密のトンネルを通過させるかのようで、スッキリ、堂々とした説明責任を果たさないのか、いぶかしく感じてきた。
事実、借地借家人たち水没地の弱者層に配慮したとはいえ、この助成金によって、八ッ場では移転が助長させられ、建設を促進してきた功罪は否めない。いまや半数以上が移転。後戻りが利かぬ現実が作り上げられている要因の一つだ。
《a》 「水源地域対策基金事業助成金」とは、従来「協力感謝金」と呼ばれてきたもので、名称に問題ありとして検討され改称の上、八ッ場では2001年12月から支給が開始された補助金である。
《b》 「水源地域対策基金事業助成金」とは、ダム完成後に水利権を得ることになる下流の受益都県から、群馬県を通して長野原町が預かり、移転者に支給される、文字通りの感謝金である。
《c》 補助金なのに課税の対象になる。
《d》町を出ていく人々への助成金を長野原町が支払い、残留組は群馬県からもらう。
※上記《c》《d》には整合性がない等、水没関係五地区連合補償交渉委員会で指摘し続けたメンバーもいたが、早期調印に焦った同会では、受け入れられなかったと伝え聞いている。
《e》金額は補償基準調印前の2001年5月の説明会で、伝えられた。 助成金の基準額の一例は、水没地で宅地100坪・農地10アール所有の三人家族には1030万円。水没地域・準水没・代替地域に大別され、家族数と土地所有形態によって個別の額が支出される。
《f》 前掲書P139に、助成金一覧表を掲載。 世帯によって異なるが、およそ600万円〜1000万円と思える。
【結論】
(1) 助成金は、各地のダムにならって、八ッ場ダムでも確実に支給されている。
(2) なお、宅地だけでなく、農地が水没地にある場合も、適用されているそうだ。
(3) 事実、土地を持たぬ借地借家人にとっては、きわめてありがたい感謝金だ。 「助成金も足せば、何とか新築できる」と語ってくれ、程なく移転新築した温泉街の商店主や幾人かの水没者の証言が耳に残る。
(4) ただし、このために、移転に拍車がかけられ、現地残留組との分断作用を果たしてしまった、冒頭の位置付けは明らか。
(5) そして、行政は相変わらず、歯切れの悪い説明をし、水没民は廃止になったら困るので沈黙を守る。