| フロントページ | プロフィール | 鹿沼市の特徴 |
| 鹿沼市の人口 | 鹿沼市の水道 | 思川開発事業(南摩ダム) |
| 東大芦川ダム | その他のダム | その他の話題 |
●「安定供給」はウソ
独立行政法人水資源機構が建設し運営している水源施設に三重用水(1996年4月完成したことになっている。)というものがあります。
三重県は、これを「北中勢水道用水供給事業」と名付けているようです。給水能力は51,000m3/日とされています。
水資源機構の作る三重用水のホームページの「三重用水の特徴」には、「5つのダムで水の安定供給を行っています。水は、いったんすべてのダムに貯められるので、安定的に供給することができます。また、ダムの水は専用の水路で目的地まで流れるので、天候や地形、他の利水の影響を受けにくいという特徴があります。」と書かれています。
「安定的に供給することができます」と繰り返し書かれていますが、実際はどうでしょうか。2005年8月19日付け毎日新聞には、次のように書かれています。
「渇水:三重用水、きょうから10%給水制限--ダム貯水率26%に /三重 水資源機構三重用水管理所(菰野町菰野)は18日、北勢地方の4市2町に農業、水道、工業用水を供給する三重用水について、19日午前9時から10%の給水制限を実施すると発表した。同用水の給水制限は、7月1〜20日に続いて今年2回目。 同用水の水をためる中里、宮川、菰野、加佐登の四つのダムの貯水率は18日現在、約26%にまで低下した。水資源機構中部支社と県の関係機関などで構成する節水対策協議会が給水制限を決めた。 管理所によると、四つのダムの貯水率は、このまま雨が降らない日が続くと、9月10日には枯渇するという。加佐登ダムを除く三つのダムの貯水率が約16%程度に落ち込んだ段階で、再度協議会を開き、節水率を再検討する方針だ。【飯田和樹】 〔三重版〕 8月19日朝刊 (毎日新聞) 」
雨が降らなければお手上げということです。いくら立派な施設を造っても、結局はお天気任せです。
●鹿沼市職員が三重用水を視察した
南摩ダムに関連し水資源機構が鹿沼市に交付した水源地対策収入を使って、鹿沼市職員が三重用水を2度までも視察しました。1度目は87,800円、2度目は140,020円、合計で227,820の職員旅費がかかりました。
まず、2004年11月4日と5日に鹿沼市企画部水資源対策室の係長と主査が視察しました。ついでに徳山ダムも視察しています。なぜ三重用水などを視察することになったのかは、詳しい資料が手に入っていませんので、不明です。5ページ分の報告書(PDFファイル480KB)は入手しましたが、当たり障りのないことしか書かれていませんので、真剣に読まなくて結構です。
次に、2005年2月7日と8日に助役、企画部長、室長補佐が同じ場所を視察に行きました。報告書(PDFファイル174KB)には視察目的が次のように書かれています。
「南摩ダム事業が水資源機構によって進められているが、導水路工事による地下水等の影響や取水による河川への影響が心配されており、これらのの(ママ)問題に対応するため、起業者からの派遣要請に基づき実施したものである。」
そしてその報告書には、三重用水のもたらした負の側面も書かれていました。
●地下水等に影響が発生した
報告書の「視察結果」には、「特に、導水路の工事期間中において地下水等に影響が発生したようであるが、南摩ダム事業の場合、代替水源なども検討しながら工事を考えており、万全な体制で望(ママ)んでいくとのことである。」と書かれています。
しかし、助役らの視察の動機は、「導水路工事による地下水等の影響や取水による河川への影響が心配されており」ということだったはずです。具体的に、いつ、どこで、どのような影響が地下水や河川に発生したのか、そして水資源機構はどのように対応したのかが書かれていません。
そしてなぜ「南摩ダム事業の場合、代替水源なども検討しながら工事を考えており、万全な体制で望(ママ)んでいく」という説明で納得してしまうのかも書かれていません。こんな説明でだまされるなら、子どもの使いではないのか。この程度の報告なら電話取材でも書けます。何のために職員が5人も賃金のほかに23万円もの旅費を使って現地に行ったのか。税金の無駄遣いではないのか。このことを知った鹿沼市民は怒るべきです。(鹿沼市長は視察結果を市民に知らせようとしないでしょうが。)
職員は、今回の視察の旅費は、鹿沼市民の払った税金ではなく、水資源機構からもらったカネだからムダに使ってもいいのだ、と言うのかもしれませんが、そのカネも元は国民の払った税金ですから、ムダに使ってよいというものではありません。
視察旅費が単なるムダならまだましです。2度の視察の真の動機が水資源機構は三重用水で地下水枯渇対策などをしっかりやってますから、鹿沼市民は安心して導水管工事を見ていてくださいという宣伝のための材料集めだとしたら、有害無益です。
いずれにせよ、導水管工事の影響を受けるであろう大芦地区、板荷地区、加蘇地区の住民がこの報告書を読んでも、到底納得できるものではありません。
●取水工は大きな石が流れ込んで壊される
視察結果には、「取水工はゲート式(取水制限流量を超えた場合、取水できる)を採用しており、南摩ダム事業も同じような工法になるようである。現在、牧田取水工において取水工周辺の工事を行なっているが、大雨によって大きな石が流れ込んでくるため壊されてしまったようである。このため、南摩ダム事業においては、常に、取水ができるよう取水放流工手前での対策が必要と考えられる。」とも書かれています。
南摩ダム事業において、取水工の設計図が未だに描けていないということです。洪水時に石で取水工が破壊されることへの対応策が完成していないということです。1964年の当初構想から40年経っても、設計図の描けない計画なんて、中止すべきです。
「常に、取水ができるよう取水放流工手前での対策」を講じようとすれば、多額の費用がかかり、事業費は見積額の1850億円では収まらないでしょう。
また、水資源機構は、黒川と大芦川の洪水時に取水制限流量を超えた流量をすべて南摩ダムに導水できるような計算をしていますが、実際は、大岩がゴロゴロと動くような洪水時には取水はできないと思われます。そうだとすれば、水資源機構が見込んでいる取水可能量は、捕らぬ狸の皮算用です。
するとどうなるか。大雨のときに取水できなければ、平常時に取水しようということになってきます。取水制限流量を下げようという話になってきます。黒川と大芦川は大打撃を受けます。
鹿沼市は、水源地域整備事業費が欲しいばかりに、こんな杜撰な計画に賛成してよいのでしょうか。
●四日市市のウソ宣伝に四日市市民は怒らないのか
三重用水は、農業用水と水道用水と工業用水を開発するとされます。そのうち、水道用水は、全体供給量が51,000m3/日で、内訳は次のとおりです。
四日市市 41,800m3/日
鈴鹿市 6,600m3/日
菰野町 2,600m3/日
四日市市上下水道局のホームページ(PDF化したものはこちら(PDFファイル560KB))には、 「今後、給水人口の増加や生活水準の向上、そして経済活動の活発化に伴って、給水量が毎年増加しますが、これに備え新しい水源を確保しなければなりません。しかし、本市近辺での地下水源は、既に限界であり開発が期待できない状況です。 そこで、水資源開発公団が行った長良川河口堰事業を水源とする新たな三重県営北勢水道用水供給事業からの受水計画を進めることになります。」と長良川河口堰事業に参加することの言い訳が書いてあります。
「今後、給水人口の増加や生活水準の向上、そして経済活動の活発化に伴って、給水量が毎年増加します」という部分はウソです。上記ホームページの「四日市市の主な水道統計」という表を見ると、1990年度と2003年度を比べると、給水人口は19,439人(7.0%)増えていますが、逆に年間配水量は1,838,617m3(4.0%)、1日最大配水量は18,399m3(11.9%)、年間有収水量は2,690,647m3(6.4%)減っています。
少なくとも、「給水人口の増加」に伴って「給水量が毎年増加」するから「これに備え新しい水源を確保しなければなりません」という理屈は成り立ちません。
そして、給水収益は2,791,089千円(55.6%)、総費用は2,881,124千円(53.5%)増えています。給水減価と供給単価も70%以上高くなりました。これで四日市市民の生活は良くなったのでしょうか。
●三重用水の教訓
1990年度と2003年度までの14年間で給水人口は7.0%しか伸びず、年間有収水量が6.4%減るなかで給水収益が5割以上伸びたということは、それだけの料金値上げがあったと考えられます。
その間、消費者物価は6%程度しか上がっていないはず(詳しくは総務省統計局のサイト参照)ですから、水道料金が5割上がったとすれば、突出しています。
なぜ、そんなことになったのでしょうか。四日市市が水需要予測を誤り、必要以上に水を買ったからだと思います。四日市市は、現在、約10万人分の余剰水を保有していますが、残念ながら、今後人口が増える見込みはありません。
四日市市が水需要予測を誤り、三重用水事業に参加し、41,800m3/日もの水道用水を確保したことは、結果として失敗だったと思います。これが三重用水の教訓です。鹿沼市が職員を5人も派遣して三重用水を視察するなら、こうした教訓にこそ学んでほしかったと思います。